「彼がラーメンを愛しているのだけは間違いない」

 Bungieによるオンライン対応FPSの続編『Destiny 2』は、日本でもプレイステーション4で9月6日、Xbox One(ダウンロード版)で9月8日、PC版(Battle.net専売)が10月24日に発売予定。E3ではパブリッシャーのアクティビジョンが大規模な試遊コーナーを設け、対人戦モード“クルーシブル”の新モード“カウントダウン”などが体験可能で、注目を集めていた。

 前作同様、協力プレイも可能なキャンペーンモードに加え、対人戦、協力プレイのレイド戦など、さまざまなコンテンツが待ち受けている『Destiny 2』について、開発元Bungieでエンジニア・リードを務めるLuis Villegas氏に話を聞いた。なお本誌では5月に行われたイベントでゲームディレクターのルーク・スミス氏にインタビューを行っているので、そちらも合わせてお読みいただけると幸いだ。

『Destiny 2』E3インタビューをお届け。今回のストーリーや新要素の実際から、ケイド6とラーメンの関係までいろいろ聞いた【E3 2017】_04
▲「日本語もちょっとだけ喋れるよ」と、記者のトンチキな英語より10倍うまい日本語が喋れるLuis氏であった(なおインタビューは英語で行われた)。

――今回の最大の敵であるドミナス・ガウルについて、彼はなぜシティ襲撃という思い切った手段に出たのか、その動機を教えてください。
Luis Villegas(以下、Luis) 『Destiny』の物語が始まる前、まず“トラベラー”がガーディアンに光を与えた。トラベラーは光の守護者としてガーディアンを選んだわけだ。しかしドミナス・ガウルは、それはトラベラーの過ちであり、彼こそが光にふさわしいと考えている。彼にとってみれば、彼は彼自身の物語のヒーローなんだ。彼こそが光を守るための力を持っていると思っているし、その力を手に入れる運命だと感じている。だから彼の襲撃はトラベラーの犯した過ちを自分で正そうという考えから導き出された当然の帰結なんだ。

――僕は5月に行われたイベントで、キャンペーン冒頭のデモを遊ぶことができました。ザバラやイコラが出てきて僕を助けてくれたわけですが、あのミッションにケイド6は出てくるんでしょうか? 多分、デモではカットされた部分に出てきてくれるんじゃないかと思っているんですが……。
Luis 『Destiny 2』のストーリーの大きな部分が、我々のヒーローを助けて、襲撃によって失墜した信頼を回復するよう努め、そしてドミナス・ガウルに逆襲できるよう立て直すという部分に割かれている。だから「具体的にどこで」というのは言えないけれども、あなたの冒険の中でケイドを再発見するだろうし、彼もまたあなたのためにそこにいるはずだよ。

――またあのデモでは、もうほとんどみんなシティを脱出しているのに、清掃ロボットが健気に掃除していました。彼にあの後どんな運命が待っているのか、知る術はありますか?
Luis ワハハ、確かに知りたいね! 彼はプログラムされた「シティを綺麗にする」という彼の仕事をちゃんとしていて、周囲であれだけの大破壊が起こって散らかったからには、彼は仕事しないわけにはいかないんだよね。だから僕らとしては止めようがないし、結構なあいだ掃除し続けるんじゃないかな。

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――ところで、ティザートレイラーでケイド6がお気に入りのラーメンの話をしていましたが、どうやってケイドはラーメンを消費するんですか? 人間以外向けの代替ラーメンでもあるんでしょうか?
Luis (大爆笑)ガーディアンたちにとっても、彼がどうラーメンを消費しているのかは謎なんだ。言えることはひとつ、彼がラーメンを愛しているのだけは間違いない。

――前作でアウォークンの女王マラが結局どうなったのか、『Destiny 2』で知ることはできますか? 彼女は公式にはM.I.A.(※)という扱いのはずです。王子のユルドレンはどうでしょう?(※戦闘中行方不明の意。死亡が確認できない場合に使われる)
Luis 『Destiny 2』は、先ほども出てきた3人の主要人物、つまりザバラ・イコラ・ケイド、そして他の幾人かのガーディアンを中心にした話を展開するようにフォーカスしているんだ。今のところはアウォークン勢力の話は入ってこない。

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▲リーフを本拠地とし、女王マラとシスコン気味の王子ユルドレンを中心に一大勢力を築いていたアウォークンだったが……。(※前作の画像です)

――前にディレクターのルーク・スミス氏にインタビューした時に、今回4つの惑星があって、初代『Destiny』に出てきた場所は地球以外は出てこないと聞きました。これは本当でしょうか?
Luis それは本当だ。今回は4つの惑星が出てくる。まず地球にある“ヨーロピアンデッドゾーン”は、我々がこれまでで最大の地域になっている。そしてタイタン、イオ、Nessus。これらはそれぞれ異なる雰囲気を持った場所で、探索のやり方も異なってくるし、隠されている秘密も異なる。

――Nessusについて話してもらえますか? プレスリリースなんかでは、ケイド6が大きく関係しているようですが……。
Luis Nessusは秘密に満ちている場所で、その秘密はプレイヤーに見つけて欲しいから、今はあまり詳しく語れないんだ。非常に美しい場所なんだけどね。

――初代『Destiny』では、大まかに6つのロケーションがありました。地球・月・火星・金星・水星・リーフ。あとで土星周辺も話に出てきましたね。『Destiny 2』でさらなるロケーションを期待することはできますか?
Luis 『Destiny 2』のユニバースがどう拡張されていくかは今後話していくことになると思う。すでにふたつのエクスパンション(拡張)を出すということも言っているしね。今その内容については話せないけども一般論として、我々としてはプレイヤーが探索できる場所を増やしていきたいと思っているし、今後新たに出てくる場所があると思ってもらっていいはずだ。

――システムの質問になりますが、惑星に降り立ってフリーロームする時の、ランダムイベントや現地で起こるアクティビティについて話してもらえますか?
Luis もちろんだ。『Destiny 2』では現地でプレイヤーがどう活動するかについて変えたんだ。降下地点を選んで地表に降りたら、フリーロームで探索したりできる。それぞれのエリアは大きいから、いろいろ見るべきものがある。その過程で“アドベンチャー”という新たなアクティビティを見つけることがあるだろう。これは10分から15分程度のサクッと遊べるもので、『Destiny 2』のストーリーの一部をなしていて、ひとつひとつのアドベンチャーの中でちゃんと話の始まりと終わりがある。前作に引き続いてパトロールミッションなんかもあるし、“ロストセクター”と呼ばれる新しいアクティビティもある。ロストセクターはダンジョン探索のような感じに、ラストにはボスがいて、倒せば大きな報酬が手に入るといった感じだ。
 そしてプレイヤーはその地域を離れることなく、こうしたアクティビティを楽しむことができる。オービットに戻らなくていいし、アクティビティをいちいち選び直さなくても大丈夫。だからそれぞれの惑星を自分なりのやり方でじっくり楽しめると思うよ。

――ヨーロピアンデッドゾーンにあるという新たなプレイヤーハブについて教えてください。前作でガーディアンが集まっていたシティはぶっ壊れてしまいましたから。
Luis そう、シティがあんなことになってしまったから、ガーディアンは別の場所を探さなければいけなかった。そうしてヨーロピアンデッドゾーンにふさわしい場所を見つけたわけだ。そうして集まって新たなハブを作り、新たな商人を置いて、なんとサッカー場まで作った(※トレイラーに一瞬映っている)。ガーディアンたちはそうして新たなアイデンティテイとなる場所を作ったわけだ。それが新たなプレイヤーハブとなる。

――これまでのシティでは3つのクラスの統括をザバラ・イコラ・ケイド6がやっていました。今回のプレイヤーハブではどうなんでしょうか?
Luis 『Destiny 2』では、シティが破壊されて、3人もひどく傷ついてしまい、一度は命も失って、ガーディアンたちの力となるのが難しくなって、それぞれ別々の惑星に行ってしまったんだ。だからガーディアンはどうやって彼らを助けられるかを見つけだしていかなければならない。というわけで今回彼らはハブにはいなくて、それぞれの場所でどうやったらドミナス・ガウルを倒せるかを模索しているんだね。

――ということは、あなたは先程Nessusとケイド6の関係について秘密と言いましたが、同じ文脈なのでは?
Luis おっと! 秘密をひとつ見つけたみたいだね(笑)。

――今回はPC版などもあって、新たなプレイヤーが増えますね。前作のストーリーに追いつくための施策はありますか?
Luis 『Destiny 2』のストーリーは、前作のプレイヤーだけでなく、新しいプレイヤーにも理解できるように構築しているんだ。だからオープニングをプレイするだけでも、「トラベラーとはこういう存在で、ガーディアンにとってはこういう意味があるんです」、「ガーディアンとはこういう存在です。あなたはこうした理由でここにいるんです」といったことがゲームプレイの中で自然と理解されるように語っている。

――では『Destiny 2』の新規プレイヤーへのアドバイスはありますか?
Luis まずはストーリーに身を任せてみるといい。そうすれば必要なことをそこで学べるはずだし、ガーディアンとしてのアイデンティテイを与えてくれると思う。もうひとつは他のプレイヤーとPvPであれこれ実験してみること。最初は勝てないかもしれないけど、その中で対人戦ならではの部分を把握していけると思う。

――ストーリーテリングという点で、前作からの最大の違いはなんでしょう?
Luis 『Destiny 2』にとって、ストーリーは欠かせない柱のひとつだ。ストーリーを語り、『Destiny』の豊かなユニバースについて伝えていくのはメインゴールでもある。今回は映画的な場面をいくつも作りだすことにフォーカスした。実際に前作とくらべてシネマティックカットシーンなんかも多いし、ゲームプレイの中でも映画的な光景を目にするだろう。

――今回は新たなサブクラスが3つあって、他に従来のサブクラスのリファイン版も存在します。あなたはどれが好きですか?
Luis 僕はハンターで遊ぶことが多いから新サブクラスの“アークストライダー”を楽しんでいるよ。アクロバティックなアクションやマーシャルアーツなんかが好きだから、アークストライダーのスタイルはしっくりくる。電磁杖を召喚して、敵の中に飛び込んで暴れまわるのがカッコいいしね。
 でもウォーロックの新クラス(ドーンブレード)も火の剣と火の力が強力だから面白いし、タイタンの新クラスのセンチネルが使うシールドなんかも中距離戦で仲間をきっちり守ってくれる。個人的な好みで言えばアークストライダーなんだけど、新サブクラスはどれもイケてるよ。

――そのアークストライダーの新たなスーパースキルですが、マルチプレイでのあなたの戦術を教えてください。僕はふたり相手にしようとして、ひとりは倒したけどふたり目でミスっちゃったんですよね。
Luis まず全部の敵がどういう位置関係でいるのか把握するように努めているよ。もし相手が固まっているなら、飛び込んでまとめてなぎ倒すチャンスだ。でも相手がそれぞれ離れている時は厄介なんだ。いきなり発動することはせずに、相手の動きを見ながら立ち回って、寄ったところを叩きに行く感じかな。

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――『Destiny 2』であなたにとって個人的にベストな部分はなんですか?
Luis やっぱりストーリーが大きいかな。前作のストーリーも自分にとってはガーディアンである自分に向けてちゃんと語られている気分がした。ふたつ目は“Guided Games”という新機能だ。

――ああ、マルチプレイのモードを遊ぶ時に、あとひとりかふたり参加プレイヤーが足りないクランメンバーとソロプレイヤーを結びつけるシステムですね。僕もソロプレイヤーなので期待してます。
Luis それはバッチリだね。我々としてはさまざまな素晴らしいコンテンツを作ったんだけども、レイドやストライクミッションは人数が大事だから、どうしてもすべての人が遊びやすい形ではなかった。それでマッチメイキングにメスをいれることにして、素晴らしいDestinyコミュニティーがお互いに歩み寄れる方法を模索していたんだ。この新機能によって、これまでより多くの人が幅広いコンテンツを楽しめるようになるといいね。