つぎなる新式装備の詳細にも言及!

FFXIV』の拡張パッケージ『紅蓮のリベレータ―』のアーリーアクセスが、いよいよ2017年6月16日の18:00ごろ開幕する。“新たな『FFXIV』の開幕”を目前に控え、世界中のプレイヤーの期待と興奮が最高潮に高まりつつあるなか、現在の心境と同作の直近の未来を吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビュー。

零式を超える高難度コンテンツはパッチ4.1実装! 『FFXIV』吉田氏インタビュー【E3 2017】_01
▲プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。“FF30周年×横浜 スペシャル生放送”の座談会に参加したのちに、息つく間もなく渡米。E3の会場に入ったとのこと。

 同作の制作を取り仕切る吉田氏は、E3 2017の会場内でプロモーション活動の真っ最中。前日はスクウェア・エニックスブースで開催されたプロデューサーレターLIVE in E3に出演するなど、『紅蓮のリベレータ―』の魅力を全世界に向けアピールしているところだ。そんな吉田氏に、現地で短時間ながら話を聞くことができた。

 なお本稿では読みやすさを確保するため、インタビューに若干ながら編集を加えている。吉田氏の発言および順番は、実際のものとは異なる部分があるので、あらかじめご了承願いたい。

『FFXIV』は過去最高に盛り上がっている

──いよいよ数日後に最新拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のアーリーアクセス(発売に先駆けてゲームが楽しめる早期予約特典。2017年6月16日 18:00ごろより。正式リリース日は6月20日)が始まりますが、現在の心境をお聞かせください。

吉田直樹氏(以下、吉田) つい先日まで最終調整を行っていたので、心境(を語る)という感じではまだありません。『FFXIV』はMMORPGなので、ふつうのパッケージとは違い、時間の許す限りギリギリまで調整が行えます。正直なところ(完成したという)実感はまだあまりなくて……。パッチノート朗読会を終えてワールドをオープンさせる1時間くらい前から、日本のコミュニティーの皆さんの「手が震えてきた」みたいな書き込みを見て、やっとちょっと実感が湧くのかなっていう気がしています。

──私もすでに手が震えているんですが、帰国した時点ですでに開幕しているので……。

吉田 ちょっと切ないですよね(笑)。

──そうなんです(笑)。吉田さんは、アーリーアクセス期間中にログインされるんですか?

吉田 僕は室内(室内俊夫氏。コミュニティチーム)とふたりでプレイヤーの皆さんから上がってくる(データの)動向を注視しています。日本のスタッフと連絡を取り合いながら、トラブルが発生した場合には、そのワールドに向けて僕が告知文を書いたりすることになるはずなので……プレイするヒマはまったくなさそうです。

──残念ですね……。

吉田 『蒼天のイシュガルド』のときもそうだったので、仕方ないかなと。日本に戻ってから追いつきます。レイド攻略の仲間たちから「遅いんですよ」と言われてしまわないように(苦笑)。

──(笑)。E3 2017の会場を回られて、目についたゲームですとか、気になる技術みたいなものはありましたか?

吉田 まったく見る時間がないです(苦笑)。ですが『MONSTER HUNTER: WORLD(モンスターハンター:ワールド)』に関しては、スタッフの方々とお食事する機会があったので、いろいろな話をおうかがいしました。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で、シリーズを続けていくことの重要性とともに、“変える勇気”のすごくいい例を見せつけられました。『MONSTER HUNTER: WORLD(モンスターハンター:ワールド)』も、いい意味で既定路線を壊してつぎの世代の『モンスターハンター』を(作り出す)という意気込みをすごく感じさせる作品です。カンファレンスでも、(新作発表の)映像が出た瞬間、北米エリアの観衆から大歓声が上がりましたよね。

──確かにすごい歓声でした。

吉田 日本の開発者として、すごく誇らしいことだと思います。あとは『ゴッド・オブ・ウォー』の仕上がりも楽しみですね。

──北米や欧州のプレイヤーの契約状況は、どのような感じでしょうか?

吉田 全世界規模で、『新生エオルゼア』以降いちばん盛り上がっているところです。とくに北米エリアはずっと成長を続けているので、すごい数字になってきています。(数字の)伸びでいうと、欧州エリアもすごい勢いで増えているので、サーバーを足さないとパンクしてしまいそうで……。とにかく、絶好調ではあります。

超高難度バトルは懐かしさを感じる作り

──メインシナリオは、アラミゴ編とドマ編のふたつに分かれている感じですか? それとも1本のストーリーの中で、アラミゴとドマが交互に絡んでくる流れでしょうか?

吉田 イメージとしては後者に近いですが「ここまでがドマ編で、このパートはアラミゴ編だろう」みたいな感じで、プレイするとわかる気もします。とはいえ、さほど双方を行ったり来たりすることもありません。ユウギリ、ゴウセツ、ヒエンなどのキャラクターを集中して描くために、ドマでの旅もそれなりに尺の長いものになっています。

──なるほど。

吉田 ただし、アラミゴ編とドマ編が別々に分かれているわけではなく、1本の大きな話の中で双方が登場する感じです。

──楽しみです(笑)。

吉田 (ドマ側では)アウラ族の掘り下げも行われているんですが、これまでお出ししてきた一連のPV映像から、その場面をあえて徹底的に外してあります。味わいのある(アウラ族の)新キャラクターがたくさん出てくるので、そのあたりにもご注目ください。

──会場で豪神スサノオ討滅戦をプレイさせていただいたんですが、タンクひとりの状態でプレイできるようになっていました。今後、このような編成で蛮神討滅戦に挑めるようになるのでしょうか?

吉田 あれはElysium(エリュシオン。海外の有力なレイド攻略グループ)だからこそ可能な編成です。おそらくグループ内で話し合って「レベル63のキャラクターを操作するとアクションローテーションがガタガタになるので、DPSを(ひとり増やして)おいたほうがいい」と判断されたのだと思います。彼らはタンクだけでなくヒーラーもすごく上手なので、(タンクをひとり減らしても)十分カバーできると判断したのでしょう。その動画が配信されたことで、皆さんがざわついているのではないかなと。

──実際に動画を観た方が多いようで、タンクひとりの編成で挑むパーティも多く見受けられました。

吉田 それを参考にした方々が「あの構成のほうが攻略しやすい」と思われているようですが……タンクふたりのほうが絶対に安定します。(特殊編成の場合)タンクが潰れてしまったらそこでアウトなので(苦笑)。

──零式をさらに超える難度のコンテンツは、いつごろ実装されますか?

吉田 パッチ4.1です。いわゆる偶数パッチのあいだにレイドを4層まで終えて、あとは全員の胴装備と武器が揃うまで周回するだけという状態になってしまうと、(その後)奇数パッチが公開されたとしても、どうしてもモチベーションが下がってしまいますよね。そうならないために、偶数パッチで実装されるレイドをすべて突破できた方たちだけが挑める超高難度コンテンツひとつを、奇数パッチで入れることにしました。(編注:一部、誤解を生みそうな表現だったため、修正を行いました)

──どんな内容になりそうですか?

吉田 まだ言いません(笑)。『紅蓮のリベレータ―』開幕後もプロデューサーレターLIVEを開催しますので、その中で紹介していければと思っています。人によっては懐かしいと感じるかもしれません。現在モリモリ作っているところですが、難しくても「難しすぎる!」とは言わないでください(笑)。

零式:デルタ編の最終層は天動4より難しい

──次元の狭間 オメガ零式:デルタ編(以下、零式:デルタ編)も楽しみにしている人がたくさんいると思いますが、新式装備に関してお話しいただくことは可能ですか?

吉田 今回も武器は用意されています。新式装備に関しては、パッチ3.4でだいたい形ができ上がったと思っています。ですので、当時と同じ感覚で実装されます。

──当時、ソフィア武器で挑む人と、新式武器で参加するプレイヤーがそれぞれ出てきたような感じですか?

吉田 そうですね。零式:デルタ編の実装と同時に、レシピも公開されます。

──それまでにクラフターを育てておいたほうがいいと。

吉田 はい。パッチ4.05がリリースされるまでにクラフターがレベル70になっていれば(基本的に大丈夫です)。ただし、レシピが公開された時点で必要な素材がわかるので、それらの収集も必要になってくるでしょう。今回の新式装備も、レイドの早期攻略には有用だと思います。とはいえトップの方々は、1層と2層に関しては新式装備がなくてもクリアーするのではないかなと。

──そうなんですか。

吉田 前回の機工城アレキサンダー零式:天動編(以下、零式:天動編)のときも、確かワールドファースト争いを展開していた方々は、1層と2層で新式装備をほとんど使っていなかったはずです。

──3層と4層は、やはり攻略に時間が掛かりそうですか?

吉田 今回はおおむね零式:天動編に則して作ったので、おそらく3層までは当時と同じペースで進むと思います。ただし4層は、零式:天動編よりもちょっと難しくしてあります。

──なるほど。

吉田 零式:デルタ編の4層は、ノーマル版にはなかった演出が山盛りになっているので、ぜひ行った方々は自慢してください(笑)。

──先日の出張プロデューサーレターLIVE in E3で、インスタンスダンジョン(以下、ID)の数をひとつ抑えて、そのぶんほかの新規コンテンツを作ると話しておられました。その新規コンテンツとはどのようなもので、またどんなスケジュールで開発されていくのですか?

吉田 パッチ4.1の実装項目はすでに確定させています。そのなかにも新しい要素はたくさんありますが、「これがその代替コンテンツです」みたいな感じではないかもしれません。どちらかというと、パッチ4.3以降ではないでしょうか。

──パッチ4.3以降に、それがだんだん見えてくると。

吉田 しょせんひとつのIDなので、従来のものと遊びかたが極端に異なるコンテンツを、その程度のコストで作れるものではありません。ですが今後、パッチ4.1と4.3でIDをひとつずつ削ったぶんのコストを足して、何か新しいひとつを作る……ということはある思います。

──パッチ4.05で実装される宝物庫ウズネアカナルに挑戦するには、新しい地図が必要になるのでしょうか?

吉田 パッチ4.0の公開時点で、新しい地図が追加されます。パッチ4.05から、それを使うと転送魔門が現れるようになります。

──パッチ4.05までに新しい地図を集めておいたほうがよさそうです。

吉田 集めてもいいですが、“どの地図なのか”は言わないでおきます。

──ということは、新しい地図がいくつか増えると。

吉田 そうですね。

──今回、ジョブHUD(ジョブ専用のUIのこと)が新しく入りますが、そのなかで吉田さんがお気に入りのものはありますか?

吉田 吟遊詩人は、デザイナーから最初に提出されたものが(イメージと)ぜんぜん違うものでした。そこで、歌ごとに五線譜(のパターンを)入れ換えて、効果の長さを曲が演奏されているかのようなアニメーションで表現するというアイデアを、僕のほうからピンポイントで出しました。それをイメージ通りの形にキレイにまとめてくれたので、僕の中ではかなり気に入っています。

──ほかにはありますか?

吉田 竜騎士が紅の竜血を発動するまでのドラゴンアイの段階が、(当初)とてもわかりづらくて……。“蒼天編”のメインシナリオは竜の眼をモチーフに描いてきたこともあり、目が開いていく部分は何度もやり取りをしながら作りました。そのおかげで、うまくできたかなとは思っています。

──黒魔道士はいかがでしょう?

吉田 黒魔道士のジョブHUDの情報量がいちばん多く、それらをひとつのUIに詰め込むためにいろいろ意見交換したので思い入れはけっこうあります。ほかに、モンクの闘気のモチーフも「いちばんわかりやすいからスファライにしよう」と僕が言って変えてもらいました。ジョブHUDはUIチームといっしょに作ったので、どれも思い入れがありますね。

──どれもすごく個性が出ているので、ジョブHUDを見ているだけでワクワクしてきます。

吉田 召喚士が呼び出せるバハムートが“鳩胸”だったので、「もっと前傾姿勢にしないとカッコ悪くなるよ」と話したりもしました。

数年に一度のお祭りを楽しんでほしい

──プレイヤーに『紅蓮のリベレータ―』をどう遊んでほしいですか?

吉田 楽しみかたは、プレイヤーの皆さんが決めてくれればいいのかなと。ですが、『紅蓮のリベレータ―』は『FF』シリーズ作品としてメインシナリオにすごくこだわっているので、できればご自身のペースに合わせてゆっくりと楽しんでいただきたいです。次元の狭間 オメガ零式:デルタ編のオープンも(開幕から)4週間後に設定してあるので、焦って物語を進める必要はありません。新ジョブを触ってみたりなど、皆さんそれぞれのペースでメインシナリオを中心に遊んでもらえるとうれしいです。

──たくさんのプレイヤーが『紅蓮のリベレータ―』を心待ちにしていると思います。そうした方々に向けて、コメントをお願いします。

吉田 拡張パッケージは数年に一度しかリリースされないので、お祭りみたいに楽しんでもらえたらなと。今回はとくに変わるポイントが多いため、“変わることへの怖さ”がついて回るかもしれませんが、それもお祭りの一部分です。我々もそのつもりで取り組みますので、ぜひお祭り気分で楽しんでいただくのがいちばんかなとは思います。

──お祭りの開幕が本当に楽しみです。

吉田 サーバーが落ちなければいいんですが……(苦笑)。過密ワールドはとくに心配しています。

──じつは私、過密ワールドが閉じられる前に別の過密ワールドへ移転したため、もとのワールドに戻れなくなってしまいました。この状態はいつごろ解消されるのでしょうか?

吉田 微妙なニュアンスにはなりますが、メドとしては(サーバーが)安定する人口になるまでは、おそらく閉鎖したままになるかと思います。とにかくログインラッシュがすごくて……。(ログインできたとしても)満足に遊べないのでは意味がありません。現在は特定のワールドに所属し続けるメリットがあまりないので、土地がたくさんあったり、経験値ボーナスが付与されたりする優遇ワールドへ移られたほうが、気持ちよく遊べるはずです。もちろんコミュニティーをお持ちの方は(移転が)難しいとは思いますが……。

──いまはワールド間パーティ募集機能もありますしね。

吉田 ですので、ひとつのワールドに留まるメリットがさほどありません。一方で、現在はゲームに復帰される方もすごく増えていて、その影響で過密ワールドが……。

──ワールドを閉じているにも関わらず、復帰者によって人が増えていると。

吉田 まさにそうです。閉じたはずなのに、ログイン数が増えている状態です。過密ワールドにおられる方は、(開幕直後の)ログイン戦争は避けられないかなという感じです。

──それもお祭りのひとつですね(笑)。

吉田 そうしてください(苦笑)。

零式を超える高難度コンテンツはパッチ4.1実装! 『FFXIV』吉田氏インタビュー【E3 2017】_02