環境は変化し続ける! ロシア一強の時代を揺さぶるか?

 2017年5月28日(土)と5月29日(日)の2日間に渡って、ロシア・モスクワにて開催された“The Grand Finals 2017”決勝戦。Wargamingが提供するオンラインタンクバトル『World of Tanks』(PC版)の世界最強を決定すべく、CIS(ロシア)、NA(北米)、EU(ヨーロッパ)、APAC(アジア)、China(中国)の各リージョンの代表チームが集う、毎年恒例の祭典となっている。

現環境世界最強戦略!『World of Tanks』“The Grand Finals 2017”決勝戦の模様をリポート!_01
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▲毎年この舞台から、『World of Tanks』(以下『WoT』)の頂点の座を争う最高のドラマが生まれる。

 毎年熱い戦いがくり広げられるGrand Finals。『WoT』の本場であり、今大会の開催地でもあるロシアの強豪チームがあまりに強く、他リージョンのチームが並ぶことはできないのでは、とさえ思われていた。しかし最近は、その世界情勢も変化。ロシアやヨーロッパの強豪チームに追いつけない場面が多かったAPAC、ならびにNAのチームが善戦を見せてくれた。

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▲ベスト8まで進出したEL Gaming(APAC)とElevate(NA)。とくにElevateは、ベスト4に食い込むという快挙を達成。もうアジアや北米が「弱い」とは言わせない!

 また、28日(土)のプレーオフ初日でCISの両雄、Natus Vincere G2AとTORNADO ENERGY(元Hellraisers)がいきなり激突したことも、大きな波紋を呼んだ。押しも押されぬ王者であるNatus Vincere G2Aに対し、強豪でありながら昨年はNatus Vincere G2Aとぶつかって敗れた雪辱を背負うTORNADO ENERGYが相まみえる。事実上の決勝とも言えるカードは、まさかの逆転6タテでTORNADO ENERGYが勝利! 昨年とは逆の展開となった。

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▲王者Natus Vincere G2Aに対し序盤は圧倒されたものの、不屈の逆転劇でこれに勝利し、勢いに乗ったTORNADO ENERGY。

 TORNADO ENERGYは、そのあとも同じロシアの強豪・Not So Seriousを大差で下し、決勝戦へ進出。もう1チームは、予選の段階で一度Natus Vincere G2Aを破るという大金星を達成した新進気鋭の北米チームのElevateを準決勝で圧倒し、ヨーロッパ勢初の決勝戦進出を果たす、ヨーロッパのDiNGとなった。

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▲両チームともに、決勝戦まで相手に圧倒的な差をつけての勝利で駆け上ってきた。

これが世界の頂上決戦!

 TORNADO ENERGY(CIS)対DiNG(EU)のカードとなった、今年のGrand Finals決勝戦。まずはお互いのマップピックの段階から、DiNGが相手チームが先の試合で圧倒的な強さを見せたMINESをあえて早めに選択したり、TORNADO ENERGYが自ら不人気マップCLIFFを選択するなど、お互い何らかの狙いがありそうな選択を見せる。

 なお、Grand FinalsのルールはBO13(7本先取勝利)。ピックされた各マップで、それぞれのチームが1度ずつ攻撃側、防御側を交代し、2試合を行なう。

■第1マップ GHOST TOWN

 最初の試合の舞台は、お互いの陣営間の距離が近く、即座に遭遇戦に展開するGHOST TOWN。従来なら高速かつオートローダー搭載の高火力戦車が主役となるところだが、今大会では先のアップデートで強化されたTier Xの重戦車Mausを各チームが積極的に運用。この試合でも、両チーム合わせて計5両ものMausが並ぶ。

 Bat.-Chatillon 25t(バッチャ)など、瞬間火力が高い車輌はもちろん主力とされているが、それらの車輌の火力にもMausは耐えることができる。このことが今大会では、従来の電撃戦とはまったく異なる戦術を各チームに取らせる要因となっていた。

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▲その耐久性が格段に増し、戦線の構築と押し上げにおいて無類の強さを発揮しているMaus。現環境最大のキーとなる車輌だ。

 注目の1試合目、DiNGは建物を壊すために一瞬突出した相手側のバッチャに打撃を与えつつ、南中央からの強襲作戦に出る。序盤から有利な形を生み出したいという、積極的な動きだ。
 TORNADO ENERGY側はこの強襲で重戦車AMX 50 100をいきなり失うも、無理に攻め入ってきたDiNGの各車輌は、高火力を誇るT57 HEAVYの有効射程内に釘付けにされてしまう。最初に遭遇したのがおそらく速攻撃破を狙っていたであろうMausではなくTier VIIIの格下、AMX 50 100だったというのも、DiNGの強襲が不発に終わった要因だろう。

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▲最初はDiNG優勢かと思いきや、ふと気付けば挟撃の形で足止めしつつ、Mausが互いに味方の盾になり、ダメージを分散。さらにMausの巨体で道をふさぐことで機動力を奪いながら数の有利を保ったTORNADO ENERGYが圧勝。

 攻守入れ替えての第2試合、TORNADO ENERGYはMaus4両にT57 HEAVY2両という超重量編成を展開。それに対して機動力寄りのバランス型編成を取ったDiNGは、北側からの進行は足の遅さからないと見て、バッチャを先行配置して偵察しつつ、有利位置に先に展開する。
 そこから前に出てT57 HEAVYを狙いに行くDiNG。それに対して、TORNADO ENERGYのMaus3両はなんと、後ろや側面から撃たれようともその攻撃陣を完全無視して進軍。それを追うDiNGの攻撃陣に対してしっかりと他車輌がフォローを入れ、重戦車を中心とした火力担当車輌を最優先で撃破していき、優勢を生み出した。

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▲Mausだからこそできる、この強行進軍。これを囲んで殲滅しようとしてもフォロー組からの援護射撃もあってうまくいかず、DiNG側は気付けば分断され、中戦車しか残っていない状況に追い込まれていた。バッチャの逆転の一手も、重戦車組がぶ厚い装甲で巧みに吸っていく。

■第2マップ MINES

 早くも2連勝し、勢いに乗るTORNADO ENERGY。機動力を生かした中央高地確保が最重要とされていたMINESだが、ここでもMaus4両というゴリ押しの布陣を取る。

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 だが、さすがにこうなるとTORNADO ENERGY側のバッチャなどの取るべきルートは限られてくるため、予測したDiNG側が開幕に突出したバッチャを一斉射で瀕死ならびに乗員ほぼ全滅まで追い込む。しかし痛手どころか、TORNADO ENERGYは予想される側面からの挟撃さえも気にせず、なんと全Mausで高地に進軍。DiNGは無理せず引いて守り、高地を取られつつも膠着状態に持ち込む。
 さらにDiNGは自走砲G.W.Tiger(P)で高地にこもる偵察・けん制役を仕留めるなど、徐々に優位を築いていく。そのまま時間をかけて挟撃の形に持ち込み、全車輛撃破を達成した。

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▲Maus4両の超高耐久力編成によるゴリ押しに対し、冷静に立ち回ったDiNG。初手でバッチャを1両無力化できたのも、大きな勝因となった。強豪TORNADO ENERGYに対しては危険を承知でもファーストアタックで有利を生み出すという、DiNGの作戦が見て取れる。

 続いて攻守交替しての、MINESでの第2試合。TORNADO ENERGYはMaus3両の重量編成、それに対しDiNGは駆逐戦車T110E4などを投入し、Mausは2両。
 TORNADO ENERGY側は、これまでの流れからもっとも警戒すべき初手の布陣移動中の攻撃を、きわどいところで発見されず回避することに成功。そのあとはお互い発見できない距離からも、相手の位置を予測してのブラインドショットが飛び交う。

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▲ブラインドショットがこのように直撃し、乗員損失などの致命的なダメージを生み出す場面は今大会で多く見られてきた。見事な予測射撃!

 ブラインドショットでいきなりバッチャ1両の車長を持っていかれたTORNADO ENERGYは、それでも敵布陣が判明するまで冷静に待つ。結果、東にバッチャ1両を控えさせつつ、西から攻め入る布陣をとったTORNADO ENERGY。すさまじい物量の西側侵攻部隊だったが、DiNGはフォーカス勝負を制して最優先でバッチャを落とし、Mausも各個撃破で撃退。これで一気にDiNG優勢かと思われたが、TORNADO ENERGY側も個々のフォーカス力の高さから撃退を重ね、車輌数逆転まで持ち直す。
 そのあとは一進一退の攻防となり、お互いの車輌がほぼ瀕死の状態での戦いとなるも、最後はAMX 50 100が時間を稼ぎ、後ろから回り込んだバッチャのリロードを間に合わせるという見事な火力コントロールを見せたTORNADO ENERGYが接戦を制した。

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▲きわどすぎる最後の接戦は、まさに鳥肌ものだった。TORNADO ENERGYの巻き返しの力、まさに世界最高クラス。DiNGはもう少し待ちつつ自走砲の援護を待てば、無駄な被弾がなかったかも知れないが……。

■第3マップ HIMMELSDORF

 ここまで3-1と、TORNADO ENERGY側が押し切る形で進んできた試合。こちらのマップでは、まずはDiNG側がMaus3両、TORNADO ENERGY側がMaus2両と高火力駆逐戦車T110 E3を2両という編成で試合開始。

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 開幕、3両のMausを西側に一気に押し入れたDiNGは、全Mausともにかなりの痛手を受けてしまう。奥に陣取ったE3の高火力をなんとかして止めたいところだが、この初手を止められたことでE3一両が北西に陣取ってしまい、西側からの進行は非常に難しい状況に。
 これに対し重要な車輛は失わず、固い防衛線を引くことができたTORNADO ENERGY。残り時間が3分を切り、攻めざるをえなくなったDiNG側は、猛烈な波状攻撃の布陣の前に出ざるを得ず、一気に崩されてしまう。序盤にDiNG側の遊撃役が相手側の主要な車輛を落とせなかったことが、この劣勢を生んでしまったようだ。

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▲Maus3両といえど、E3の主砲の貫通力の前には耐え切ることができなかった。右写真の右上、3両のMausの残耐久力を見てもらえれば、その火砲のすさまじさがよく分かる。

 攻守交替しての続いての試合、守るDiNGは西側、やや南へと深く展開。これに対しTORNADO ENERGYは東の高所を確保しつつ、東側の8ラインをゆっくり上がっていくため、なかなか遭遇戦が起こらない展開に。

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 この8ラインの移動を察知されたところから、TORNADO ENERGYが一気に陣地に向けて移動開始。DiNGはこれに対し南からの裏取りはせず、全車輛で北陣地へ。ほぼ全車輛による、陣地でのフォーカス戦が展開する。
 TORNADO ENERGYはある程度ここで有利を取るもこだわらず、素早く退いて西へ展開。あまりに速い再展開に、E3を倒しにいったDiNG側は追いつけない。3両での西陣地の占領を見事成功させ、TORNADO ENERGYが勝利した。

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▲最初のぶつかり合いを制しつつも、相手の妨害しうる車輌が足止めできていることを確認するや、すぐに西陣地の占領に切り替えて進軍したTORNADO ENERGY。気付いたときには、その占領を妨害できる車輌が西側にはいなかった。

■第4マップ PROKHOROVKA

 5-1と、TORNADO ENERGYはこのマップで連勝すれば、優勝が決定するところまで迫っての第4マップ。初戦ではお互いMausは出さず、足回りに優れた重戦車WZ-111 model 1-4などで、機動力を確保した布陣を展開。ここにきてお互いのチームが、機動力で中央突破のラッシュを仕掛け合って激突するという展開を迎えた。

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▲前環境のラッシュ戦を思い出させる、すさまじい打撃戦に。

 この乱戦を制したのは、113など主力となる車輌をしっかりと守りつつ、フォーカス対決でその実力を見せつけたTORNADO ENERGY。この乱打戦で、本来不利とされる「攻め入った」側の形になったというのに、しっかりと余裕を残して勝利してみせた。
 一瞬の判断で、フォーカスを集中させる相手をリロードが長いバッチャではなく、継続的な高火力を持つ113やIS-7に決定し、瞬間的に優位を生み出すTORNADO ENERGY。その判断力と実行力のスピードは、もはやコンピューター並みと言える。

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▲フォーカス戦なら、やはりTORNADO ENERGYに軍配が上がった。これで勢いづき、優勝に向けてリーチ!

 続く同マップの第2試合、DiNGは強力な駆逐戦車JagdPz E 100を投入。これに対しその配置位置を予測し突っ込んだTORNADO ENERGYだったが、それをさらに読んでいたかのように、待ち受けていたJagdPz E 100がその一団を迎撃し、大打撃を与えた。こうなってしまうと、さすがのTORNADO ENERGYもダメージコントロールが追いつかない。そのままダメージレースに勝利し、ここでDiNGが1本取り返した。

■第5マップ CLIFF

 電撃的な読み合いによる、DiNGの逆襲が成功。ここで迎えた第5マップのCLIFFは、かつてTORNADO ENERGYにとっての非常に不名誉な試合が記憶に残っている。流れがわからないまま、それでもTORNADO ENERGYがリーチをかけた状態、6-2で試合開始。

 その注目の両チームの編成は、なんとここに来て両者ともに軽量編成。Mausが変えた現環境を、さらに塗り替えるかのような電撃戦の構えとなった。

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▲さらにここで、TORNADO ENERGYはPz.Kpfw. VIIを投入。この一手はどう出るか。

 ファーストアタックはDiNGがこれまで通りもぎ取り、さらに優位な地点も確保。西側の高地を確保し、先にダメージを奪っていく。

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▲ランダムマッチでも有効な、この位置を確保しての砲撃。DiNGが序盤のペースを握る。TORNADO ENERGYに対して無理にでも初手有利を取っていくという、勝利パターンに持ち込めたが……?

 西側を抑えられたのに対し、TORNADO ENERGYは東の高地を確保。ブラインドショットの応酬が起こると、TORNADO ENERGY側が有効打をもぎ取っていくが、西側の偵察を担当していたTORNADO ENERGYのバッチャが発見され、瀕死に追い込まれてしまう。
 だがここから、TORNADO ENERGYはあえて南西に主力を集め、一気に北上。車輌数の差もあってDiNG側は押し込まれ、一気に西側の優勢を失ってしまう。

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▲Pz.Kpfw. VIIがとっさに防盾で攻撃を弾くことができた、などといった幸運も。流れが一気にTORNADO ENERGY側に傾いた。

 しかしDiNG側も、重要な東の丘上でのにらみ合い中、一瞬の隙を突いてTORNADO ENERGY側の一両を撃破し、同数に持ち返す。そのにらみ合いが動き出したタイミングで、TORNADO ENERGYが西側に展開していた車輌が動き、一瞬で挟撃に展開。1-1交換が続き、とうとう両チームともラスト1両を残すのみとなった。
 お互い、ダメージが上振れする可能性を考えると、ほぼリロードなしの一斉射で倒し切れる耐久力を残しての一騎討ち。これを制したのは、TORNADO ENERGYのAPPLEWOW選手! まだ1発を受けられる状態に持ち込み、冷静に相手を撃破して、優勝をもぎ取った。

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▲恐ろしく息詰まる一騎討ちを、見事に制したAPPLEWOW選手。地形的な優位を取られてもつねに1-1交換にまで持ち込んでいった、TORNADO ENERGYのチーム力がこの勝利へと導いた。
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 こうして激戦が続いた決勝ステージ。その全試合を振り返ってみると、Mausの強化による重編成の強さが際立ちつつも、優勝したTORNADO ENERGYの勝因のほとんどは、判断の速さと配置の素早さによるものという結果になった。

 また、要所で前環境と同じくバッチャなどの高機動、高火力の車輌がキーとなっていることは変わらず、いわばMausによる戦線構築という新たなカードを手に入れつつも、これまで培われてきた高機動戦法もまだまだ重要、といった印象だ。

 今後はむしろ、重い車輌をその足の遅さがありながら素早く布陣展開するという、さらに高度な判断力を求められる戦略が重要となるのかも知れない。
 すでに来年の世界大会に向けて動き出しているであろう、世界各国の『WoT』プレイヤーたち。この新たなカードと課題が生まれた新環境で、彼らが今後、どのような目覚ましい戦略で魅せてくれるのか。次の大会の舞台を楽しみにしたい!

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