予測できない不思議な世界が生まれる

 2017年5月20日、21日に京都勧業館 みやこめっせにてインディーゲームの一大祭典“A 5th of BitSummit”が開催。21日のメインステージには、Q-Gamesでクリエイティブ・プロデューサーを務めるBaiyon氏が登場し、『PixelJunk』シリーズ最新作の『Eden Obscura』について、デモプレイを交えながら解説した。

『PixelJunk』シリーズ初のスマホゲーム『Eden Obscura』、カメラ機能を使った独創的なビジュアルを紹介【A 5th of BitSummit】_01
▲Q-Gamesクリエイティブ・プロデューサー Baiyon氏。

 iOS/Android用モバイルアプリ『Eden Obscura』は、2008年にプレイステーション3用としてリリースされたアーティスティックなワイヤーアクションゲーム『PixelJunk Eden』をモチーフとした完全新作だ。『PixelJunk Eden』は、当時フリーランスとして音楽やファッションなどの分野で活動していたBaiyon氏がQ-Gamesとコラボレーションし、はじめて取り組んだゲーム。昨年、Baiyon氏はQ-Gamesのクリエイティブ・プロデューサーに就任し、この『Eden Obscura』を手掛ける流れとなった。

 「今回はモバイル用なので、いろんな場所に持っていって、いろんな新しい体験ができればいいなぁというコンセプトが最初にあった」という『Eden Obscura』。「僕はキラキラしているものとか、透けているものが好きで、小さい頃は男なのにロボットよりもスパンコールやスーパーボールなんかを集めていた。そういうものを、ユーザーの動きで表現できれば、というところから出てきたタイトル」だと、Baiyon氏は解説した。ちなみに、『PixelJunk Eden』はプレイ時間の長いゲームだったが、今回はモバイル用ということで、新しいアイテムを入れたり、ダブルジャンプを採用するなどし、プレイ時間を最適化しているそうだ。

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▲『Eden Obscura』ティザームービーより。

 ここからはBaiyon氏による『Eden Obscura』のデモプレイが行われた。まずはタイトルロゴを見せながら「ロゴのなかに僕の顔が見えるのがわかりますか?」。スマートフォンのフロントカメラを使い、細いロゴのなかにユーザーの顔の周辺を映し出すようになっているという。次に、ゲーム中の画面を示し、「バックグラウンドにみなさんがカラーグレーディングされています」。このように、まるで背景が透けて見えているかのような独創的なビジュアルを、カメラを使って生み出しているとのことだ。

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▲タイトルロゴ。フロントカメラ映像が使われている。
▲ゲーム中の画面。バックカメラ映像が使われている。

 続いて、また異なるゲーム画面を見せたあとに、指でバックカメラのレンズをふさいでみせた。すると、バックグラウンドでストロボラインのようにチラチラしていたエフェクトが消え、真っ黒に。このステージの背景は「カメラでリアルタイムに撮影した映像をバラバラに分解して、格子状の背景をひとつずつ埋めている」。そのため、不思議な映像が生まれ、レンズをふさぐと背景も消えてしまったわけだ。「モバイルなので、プレイしていると自然に手が動き、(カメラも動いた結果)万華鏡みたいにキラキラする」とBaiyon氏。

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 そのほか、“プラント”(ゲーム中の世界に生まれる植物)のなかにバックカメラ映像を映し出したステージがあったり、フロントカメラで撮影したユーザーの顔がガラスの向こうに透けて見えるような背景のステージがあったり。実際の映像ではなく、光を感じて別のものを映し出すデザインのステージもあるという。Baiyon氏は「こういうふうにカメラを使っているゲームってまだないと思うんで、かなりおもしろいかなと思っています」と語った。

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 「透けているものが好きという話ですが、昔、“iMac”で半透明のモデルがありましたよね。あれがどうして流行ったかをロジカルに説明したくて、いろんなひとに聞いてみたんですけど、誰も説明できなくて。なにかプリミティブなものがあるのかなとも思い、感覚的に気持ちいいとかきれいとか、今回はそういうものを実験するプロジェクトでもあります」という、ユニークな『Eden Obscura』。リリース日はまだ未定とのことだ。