シティ陥落。人類はガーディアンを再び必要としている!

 先週末、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で、Bungie開発によるアクティビジョンのFPS『Destiny 2』のワールドプレミアが行われた。同社の招待により本誌も参加し、すでにキャンペーンモードやCo-op&対戦系モードPC版などのプレイリポートをお届けしてきたが、今度はゲームディレクターのルーク・スミス氏へのインタビューの模様をお届けする。

『Destiny 2』ゲームディレクターにインタビュー。新サブクラスの内容や武器スロットの再編成の意図など、いろいろ聞いた_05

 その前に簡単におさらいしておくと、『Destiny 2』では、レッドリージョンを率いる“Ghaul”(ガウル)が地球にあるガーディアンたちの拠点“シティ”を襲撃するというオープニングから、宇宙と人類の平和を守るための新たな戦いが描かれる。システム的にはプレイヤーキャラクターである“ガーディアン”に新たな3種類のサブクラスが登場するほか、4種類の新たなロケーションが登場。対戦モード“クルーシブル”にも新ルール“カウントダウン”が追加される。
 そのほか、武器のスロットの再編成や、マップ周りの改善(ランディングポイントを選べるほか、オービットにいちいち戻らなくてよくなる)などの仕様変更、初となるPC版がアクティビジョンのグループ会社であるBlizzard EntertainmentのPCゲームプラットフォーム“Battle.net”で展開されることが判明するなど、単に新たなコンテンツが出てくるという以上に盛りだくさん。

 なおこの記事の対応機種表記は現地での発表内容に準じてPS4/Xbox One/PCとしているが、本作は現状プレイステーション4版のみが日本向けに発表されている。

新サブクラスやキャラ移行について

――まず最初に確認なんですが、ウォーロック、タイタン、ハンターという3種類のクラスがあるのは変わらなくて、けれども新しいスーパースキルを持ったサブクラスがいるということでいいですか?
ルーク・スミス(以下、スミス) そうだね。クラスは『Destiny』のストーリーラインを引き継いで、ウォーロック、タイタン、ハンターの3種類が出てくる。それでそれぞれに新しいサブクラスが入るんだ。タイタンに追加されるのはSentinelで、ウォーロックはDawn Blade、ハンターはArc Strider。
 この会場にはタイタンのストライカーとハンターのガンスリンガーの“リマスター版”も持ってきていて、PvPエリアで遊べると思う(※キャンペーンモードのデモはDawn Blade固定だったようだ)。これらのキャラクターには新要素が追加されていて、例えばストライカー・タイタンなら“ハボックフィスト”を一回やってから走ってショルダーチャージし、再度ハボックフィストを放つなんてこともできる。

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▲ハボックフィストを出した後、移動してから追加を出せるように。

――それは強力ですね。
スミス だろう? 一方で3つの新しいサブクラスは新たなファンタジーをこの世界にもたらす。Sentinelはアグレッシブなサポートキャラクターで、近接戦向きだ。キャプテン・アメリカのようにシールドを投げるし、保護シールドを作り出せるので、仲間はその背後に隠れることができる。Arc Striderはアクロバティックなキャラクター。スーパースキルでは電磁槍を召喚することができて、高速に移動して敵の攻撃をかわしながら戦場を突き進む。Dawn Bladeはもうやった?

――やりました。空中でエイムするとちょっと留まれるようにできたり、さらに空からでもスーパースキルの炎の剣を出せたり、気持ちよかったです。
スミス そう、Dawn Bladeは空中で優位になれる。炎の力を使って空中戦を有利に展開するんだ。

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▲ウォーロックの新サブクラス“Dawn Blade”のスーパーは、炎の剣を振って火炎弾を飛ばすという技。

――『Destiny』から『Destiny 2』にキャラクターは移行出来ますか? 成長やアイテムなどはどうでしょう?
スミス 顔とヒストリーは移せる。同じプラットフォームなら記録されているから、例えばプレイステーション4でプレイしたのであれば、『Destiny 2』でもそのキャラクターを呼べる。ただし成長要素などは『Destiny 2』から新たに始まる形で、みんなが同じ状態からということになる。

――つまり新規の人でもベテランに追いつけるということですね。
スミス そう、全員が『Destiny 2』プレイヤーということだね。

――新規プレイヤーが『Destiny』のストーリーに追いつく方法はありますか?
スミス 具体的に『Destiny 2』にあたって何をやるかは、今日はまだ話せることがないかな。でもロア(物語設定や背景などの要素)はたくさんあって、Webでも読むことができるし、ネットのコンテンツクリエイターが、何が起こったのかを知ることができる動画とかのコンテンツを提供しているから、そういうものをチェックしてもらうのもいいと思う。

――レベルキャップなんかはどうでしょう?
スミス レベルキャップやそれ以降の強化がどうなるかについても、まだ開発途中なので話せないんだ。今日も装備やステータスの数字をいろいろ見たと思うけど、あれも開発中のものであって最終的なものではない。

武器のスロット分けやプラットフォームの仕様について

――本作では武器スロットの区分けがキネティックウェポン・エナジーウェポン・パワーウェポンという形に変わりますね。この変更についてのコンセプトを話してもらえますか?
スミス 理由はいくつかあるんだ。まず『Destiny』のプレイヤーは、オリジナル版Fatebringerのような、ダメージタイプのあるプライマリー武器を好む。強力で属性がついているような武器ね。だからこれは続けて提供したい。
 でも一方でPvPなどでは、ワンヒットキル(即死系)武器があると、交戦したと思ったら死んでたというのを繰り返すことになったりして、どうやったらうまくなれるかという学習に繋がりにくい。だからこうした武器、フュージョンライフル、スナイパーライフル、ショットガン、そして対抗策であったグレネードランチャー、ロケットランチャー、ソードなどとともにパワースロットに入れることにした。
 それ以外の武器種は、キネティックウェポンとエナジーウェポンのスロットに入る。こうしてプレイヤーに装備構成を今まで以上にカスタマイズして欲しいんだ。例えばサイドアームをキネティックとエナジーのスロットに入れて超近接戦特化なんてこともできる。Arc Striderのドッジ(回避)アビリティと合わせれば、近接攻撃を避けることができるから、ダブルのサイドアームピストルを使ってから近接戦で舞うように戦える。

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▲電磁槍を出し、舞うように戦える“Arc Strider”。

――PS4 Proバージョンは30fpsで動いているように見えました。60になる可能性はありますか?
スミス PS4 Proについてのテクノロジー研究を進める中で、まずはゲームを真の4Kにしたかったんだ。今の所それでいっぱいだから60にするのは難しいかな。

――PC版ではどうですか?
スミス PC版はマシンの性能に合わせて調整できるようになっている。フレームレート制限はないし、FOV(視野角)も調整できる。PCで『Destiny 2』をリリースするからには、PCゲーマーが期待する設定項目を提供するつもりだ。

――パブリッシング寄りの話なので開発側ではご存知ないかもしれませんが、PC版に日本語は入るんでしょうか?
スミス うーん、それはちょっとわからないな。多言語に対応する作りにはなっているんだけども。いい質問だね、今度確認してみるよ。

――PC版はBattle.netで出るわけですが、何か特別な機能はありますか? 例えばBattle.netと統合されたフレンドリストとか。
スミス イエス。『Destiny 2』PC版をBattle.netで出す時にはBattle.netのアーキテクチャーに統合するので、クロスゲームチャット(ゲーム間を横断できるチャット機能)やマルチプレイセッションへの招待なんかが可能だ。

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▲正式な国内展開は不明だが、PC版はBlizzard EntertainmentのBattle.netで販売・提供される予定。

ロケーションやキャンペーンについて

――『Destiny 2』には4つの惑星が出てくることが発表されました。前作に出てきた場所は出てきますか?
スミス いや、前のロケーションはなくて、すべて新しい場所で展開される。ヨーロピアン・デッドゾーン(地球)、イオ、Nessus、タイタンだ。

――初代『Destiny』では、キャンペーンがもっと長ければいいのにと思った人は少なくありません。今回はどうでしょうか?
スミス 長さをどう解釈するかは難しいけども、ストーリーがきっちりしていることは重要だ。今回はDominus Ghaulが“トラベラー”の遺産を受け継ぐにふさわしいことを証明するために攻めてくるという話なんだけども、ヨーロピアン・デッドゾーン、イオ、タイタン、Nessusのそれぞれでもストーリーが展開していき、プレイヤーがこれらの惑星を発見し、NPCに出会ったりする中でもちょっとしたストーリーが始まったりする。アクティビティ(やること)の点では『Destiny 2』は『Destiny』より多いと思うよ。

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▲惑星上では、ストーリーミッションだけでなく、道中で突然起こるパブリックイベントなど、さまざまなプレイ要素が関わってくる。フィールドのローミング中に出会ったNPCとの会話からクエストが始まったりする、ちょっとオープンワールドアクションゲームっぽい要素もある模様。

――物語のオープニングですが、いきなりGhaulに率いられたカバルのレッドリージョンが攻めてきてシティが陥落し、ザヴァラたちが自らガーディアンを助けてでも希望を繋ごうとするという、終盤のようなものすごいテンションでした。あのテンションをどう維持していくんですか?
スミス 気に入ってくれてありがとう(笑)。でもテンションを維持しようとしてはいないんだ。いろんなムードや感情を持ったキャンペーンにしたいからね。最初からずっとハイテンションだと長く持たないから、一回登ったらリカバリーが必要だ。チャレンジ、敵、能力、すべてに山や谷があり、それをプレイヤーが発見していくという形にしている。

――ところでシティはボロボロになってしまったわけですけど、ソーシャルスペースというか、ロビー的なものはあるんでしょうか?
スミス 今日は詳しくは話せないんだけど、新しいソーシャルスペースがヨーロピアン・デッドゾーンにある。実はこれまでに出ているビデオにもチラッと映っているんだけどね。

新規やソロプレイヤーもマルチプレイを遊びやすくするために

――僕はほとんどの場合、友達とプレイ時間が合わないのでソロプレイヤーであることが多いです。それで『Destiny 2』の、ソロプレイヤーが何かをプレイする際に追加プレイヤー募集中のクランから組む相手を選べる“Guided Games”は面白い機能だと感じました。あれの設計意図を教えてください。
スミス Guided Gamesなど『Destiny 2』を形作っている要素は、『Destiny』の哲学でもある「隠れた楽しさを見つける」というところからきている。このシリーズにはトライアルやナイトフォール、レイドなど楽しいものがいろいろ入っていて、グループで協力してすばらしいものを見つけることができる。
 それでDestinyコミュニティにはクランがあったけども、それに属さない個人もいる。今回はゲーム内に公式のクランシステムもある。みんなに「クランに属しなさい」とは言わないけど、クランに入って一緒にプレイするのは楽しいことだから、システム上で一緒に何かできるようにしよう、というのが発端だ。
 やったことがない人がいるかもしれないけど、『Destiny 2』のナイトフォールはとても楽しい。それでソロプレイヤーがナイトフォールをやりたいとして、プレイセッションを探すとマッチメーキングによって、プレイヤーが2人スタンバイしていて3人目を待っているクランとマッチしたりする。一緒にプレイできるグループをシステム側で探して、どこと遊ぶかはクランのポリシーなんかを見てあなたが選べるんだ。こうしてソーシャルグループを持たないプレイヤーにもグループを紹介できる。そうやって一緒に遊んでフレンドリストに追加するかもしれないし、まぁそうならないかもしれないが、それはそれでオッケーだ。

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▲Guided Gamesの例。「初心者にキツそうな言葉が並んでいるので回避しようかな」的な。

――『Destiny 2』で、あなたが個人的に一番好きな部分はなんですか?
スミス Destinyの世界、この宇宙に集まって仲間と共有できる楽しさに、さらに新たな人を迎えられるという可能性かな。全員が同じところからスタートして冒険を始め、クランのような経験をしたり、あるいはGuided Gamesの機能を利用して、我々が構築した新たなコンテンツを楽しんでもらえればと思っているよ。