ゲームを通じてほぐれていく父と息子の姿に、三者三様の思いが重なる

 『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)を主題にした期待のドラマ、『FFXIV 光のお父さん』が、いよいよ放送スタート! このドラマでは、オンラインゲームの可能性を信じるひとりの男性が、長らくすれ違い続けてきた父との絆をつなぎ直す目的で父を『FFXIV』の世界に誘い、正体を隠して冒険をサポートする様子が描かれる。実写とゲーム映像のシンクロ感が見どころとなった本作に出演する、千葉雄大、大杉漣、馬場ふみかの3人の俳優陣に、原作ブログの感想や撮影時のお話をうかがった。

大杉漣が不覚にも涙? ドラマ『FFXIV 光のお父さん』出演俳優 千葉雄大、大杉漣、馬場ふみかインタビュー_05
大杉漣が不覚にも涙? ドラマ『FFXIV 光のお父さん』出演俳優 千葉雄大、大杉漣、馬場ふみかインタビュー_01
大杉漣が不覚にも涙? ドラマ『FFXIV 光のお父さん』出演俳優 千葉雄大、大杉漣、馬場ふみかインタビュー_02

「マイディーさんが込めた思いは乗せられたかなと思います」

大杉漣が不覚にも涙? ドラマ『FFXIV 光のお父さん』出演俳優 千葉雄大、大杉漣、馬場ふみかインタビュー_04
千葉雄大(稲葉光生役)

 1989年3月9日生まれ、宮城県出身。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。『家売るオンナ』、『ソースさんの恋』などのドラマのほか、映画『暗黒女子』、『ReLIFE』、『帝一の國』、『兄に愛されすぎて困ってます』、『亜人』にも出演。

──主人公を演じてみていかがでしたか?

千葉雄大(以下、千葉) 話の軸となる父と息子の関係性やホームドラマの部分は、すごく共感できるものがありました。これは僕だけじゃなく、見てくださる方にもそう感じていただける内容だと思います。そして、その心の通わせかたが『FFXIV』なのが新しくて。そもそも『FF』の名前を出していいんだ? って(笑)。スクウェア・エニックスさんが全面協力してくださったからいろいろと勝手が利いて、ワイプ処理などもなく、ゲーム画面そのもので話が進んでいきますから。すごく新しくて、前衛的な作品だと思います。

──ゲームを介した親子の実話も珍しいですが、ドラマ化されたのがすごいですよね。

千葉 マイディーさんが、ほぼ実際に体験されたことですからね。何度か撮影現場にも来てくださって、本当にやさしい方だと思いました。僕がそんなに『FFXIV』に詳しくないこともご存知だったので、いろいろと教えてくださって……。お芝居もきちんと見てくれましたし、リリースが打たれたときに、ブログで僕のことも含めて書いていただいたりして、すごくうれしかったですね。

──そのときのマイディーさんとの会話は、役作りに活かされましたか?

千葉 ドラマの後半に、けっこう感情が高まるシーンがあるんですね。それは『FFXIV』を通してその流れになるんですが、マイディーさんから直接お話が聞けたので、その思いみたいなものはちゃんと乗せられたと思います。

──大杉漣さんとの共演はいかがでしたか?

千葉 僕が拝見してきた大杉さんの役柄は、ハードボイルドでクールで、ちょっと怖い印象でしたが、お会いしたらすごくお茶目で、かわいらしい方で。撮影の合間にいつも現場を盛り上げてくださって、すごく助けられました。……僕みたいな若手が言うのは失礼ですが、ムードメーカーは大杉さんでした。

──馬場ふみかさんの演じる正田陽子とは、どんな関わりがあるのでしょうか。

千葉 どこまでお話していいのかわかりませんが、陽子ちゃんはすごくクールで、群れないOLという感じの役柄です。ふみかちゃん自身もサバサバしていて、つき合いやすい感じですね。僕もけっこうズバズバ言うタイプなので、負けじとズバズバ合戦でした(笑)。

──千葉さんはプライベートであまりゲームをしないということですが、子どものころも遊ばなかったのでしょうか。

千葉 子どものころは遊びましたよ。家にファミコンがあったので、『スーパーマリオ』とか遊びました。そこから『マリオRPG』も遊びましたし。昔、スーパーファミコンでゲームボーイのソフトが遊べるやつがありましたよね?

──スーパーゲームボーイですね。

千葉 それです。それでよく遊びました。『ポケモン』はずっと遊んでいて、いまでも好きですよ。あとは、『モンスターファーム』とか『ドラゴンクエスト』、『桃鉄』、『ジョジョ』も。でも、僕のゲームの歴史は、初代のプレイステーションまでなんです。

──それがいまやプレイステーション4ですからね。

千葉 びっくりしましたよ。もう、電源スイッチがどこについているのかわからないの(笑)。

──このドラマで、最新ハードに触れられましたね(笑)。

千葉 僕が小さいころから『FF』を遊び続けているような子どもだったら、こういうときにお話することももっとたくさんあっただろうと思うんです。でも、『FF』をあまり知らない僕が演じることで間口が広がると言いますか、そんな僕でも楽しんで遊べるゲームだからと、『FFXIV』をプレイしたくなる人が出てきてくれるとうれしいですね。それに、ドラマのゲームパートの制作って、ものすごくたいへんだったと思うんです。そこに関わった人たちの思いも届けたいですから……。そういう意味でも、このドラマがきっかけとなって、どんどんプレイヤーが増えていったらいいなと思います。オンエアされたら、僕もそこへ潜り込みたいという野望もあります(笑)。

──タイトな撮影スケジュールだったとお聞きしました。それゆえにたいへんだったことはありましたか?

千葉 今回主演させていただいて、ひとつの作品の中でいろいろな場所を渡り歩いたんですね。たとえば家族のシーンだったら、そこだけまとめて撮ったり、会社のシーンや、僕の部屋でひとりのシーンもありました。それぞれが同じ現場で、同じスタッフさんが取り組んでいるはずなのに、シーンごとにまったく違っていて。渡り歩く感じがすごくおもしろかったです。

──具体的にはどう違ったのですか?

千葉 大杉さんやお母さん役の石野真子さんは、本当にあったかい感じでしたね。袴田吉彦さんは僕の会社の先輩役ですが、コミカルでけっこうパンチがあって、本当にヘンな人だなって(笑)。僕ひとりのシーンは、わりとしんみりするものが多かったです。決して大きな現場ではありませんでしたが、撮影シーンごとに別の盛り上がりがありましたね。

──すべての現場で撮影している、唯一の人物ですもんね。

千葉 そうなんですよ。

──主人公の光生の部屋には、マイディーさんの私物が持ち込まれていたそうですね?

千葉 はい。でも、今回はふつうの人がプレイしていることを前面に出す意図があったので、ずいぶんオシャレな部屋でしたよ。キレイすぎて生活感がないので、布団のぐちゃぐちゃ具合でそのせめぎあいをしていました(笑)。これはマイディーさんがおっしゃっていたんですが、「ゲームが好きなんです」と言うだけで、「あ、オタクなんですね」と思われてしまうと。僕も好きなものは突き詰めてオタク的になっていますから、それがゲームというだけでマイナスな印象を持たれるのは、すごくイヤなことだと思います。だから、それをなくしたいと。

──原作ブログにも書かれていました。

千葉 美術さんがすごく力を入れて作り込んでくださったので。ひとひとつの小道具のデキがすごいんですよ。

──あとは、食事の差し入れもすごかったそうですね(笑)。

千葉 本当においしかったです(笑)。ドラマの中でも食事シーンは多くて。カレーが出ることが多かったです。

──マイディーさんのお母さんの定番料理ですね。

千葉 撮影終わりに余ったカレーをみんなで食べたりしましたし、ケータリングに温かいスープやご飯、お弁当もありました。お弁当のときは、石野さんがサラダやトマトのはちみつ漬けを作って持ってきてくれたり。すごく健康に気を使ってくださって、本当にお母さんみたいでした。

──原作があるとはいえ、まだドラマの全貌がわからないので楽しみです。

千葉 構成に関しては、言葉だととても説明が難しいんです。ひと言では伝えきれないので、観ていただくのがいちばんかなと。

──ゲームパートが自然なのが驚きです。

千葉 そうなんですよ。声優さんの声の力も本当にすごいです。しかも、いまをときめく声優さんに出演いただいていますから。ただのプレイシーンだったら、作るのもまだ簡単なのかもしれませんが、個々のキャラクターに寄りのカメラアングルがあったり、手元だけを映すシーンがあったりして、本当に実写ドラマの撮影と変わりがないんですよ。

──ふだんは画面上にいろいろ情報が表示されますが、それも非表示状態ですしね。

千葉 キャラクターの演技だけが抽出されているので、ゲームをしない方にもわかりやすく観てもらえる映像になっています。……ゲージがぐちゃぐちゃ出ていてもおもしろいですけどね(笑)。キャラクターの頭上にピコンとセリフが出るわけでもないので、引きの画面だと誰が何をしゃべっているのか区別がつかないという問題があります。それを踏まえてこういう絵作りになったんだと思います。

──ドラマの見どころはどこでしょうか?

千葉 お父さんが『FFXIV』を始めて、僕たちがそこへ潜り込んでいって出会うシーンがすごくいいです。光生は仕事でうだつが上がらない人物なんですが、それに対して、ゲーム中にお父さんの導きみたいなものがピンポイントで出たりするんですね。もちろんそれは、親としてではなく、マイディーへのアドバイスですが。でも、僕はお父さんから言われたと感じています。ゲームのチャットでふたりの心が通っていくといいますか、そういうところが見どころだと思います。

──泣かせるシーンも多そうですね。

千葉 そうですね。でも、けっこうコミカルなシーンも多いですよ。前半はとくに笑えますね。でも、後半は……けっこうびっくりするかも? 原作を読んでいらっしゃる方でしたら、想像がつくと思いますけれども。