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地方都市でくり広げられる、悲しくもおぞましい物語――竜騎士07氏シナリオの『祝姫 -祀-』PS4&PS Vitaで7月20日に発売決定

日本一ソフトウェアは、プレイステーション4、プレイステーション Vita用ホラーアドベンチャーゲーム『祝姫 -祀-』を、2017年7月20日に発売することを発表した。
  • ●“呪い”をテーマにした和風伝奇ホラーアドベンチャー

     日本一ソフトウェアは、プレイステーション4、プレイステーション Vita用ホラーアドベンチャーゲーム『祝姫 -祀-』を、2017年7月20日に発売することを発表した。

    【15:45ごろ追記】
    記事初出時、記事の表示に不都合がありましたため、修正いたしました。読者ならびに関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。


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     本作は、『なく頃に』シリーズを手がけた竜騎士07氏がシナリオを担当する、“呪い”をテーマにした和風伝奇ホラーアドベンチャー。イラストレーター・和遥キナ氏と背景作家・mocha氏による美しいビジュアルが、悲しくもおぞましい物語を彩っていく。PC向けタイトルとしてリリースされた『祝姫』本編が移植されるほか、竜騎士07氏による追加シナリオも収録される予定だ。

     今回は、ストーリーや登場人物、物語の舞台となる“須々田(すすだ)”の情報が明らかになった。


    ●プロローグ

    煤払(ススハラ)家の男子は代々、一定の歳を迎えると親元を離れて独り立ちする。
    そして誰にも頼らずに心身を鍛え、それを以て一人前と認められたそうだ。
    だからこの日に備え、ひとりで生活するためにさまざまなことを身に付けてきた。

    県立須々田高校。そこが僕の新しい学校だ。
    高校での毎日は、気楽なだけでなく、とても快適。
    誰もが楽しげに過ごす2年A組。

    しかし、彼女。黒神十重(クロカミトエ)。
    彼女は、不思議、……という言葉だけでは説明のつかない少女だった。
    胸には片時も離すことなく、日本人形のようなものを抱えている。
    知らぬ間に髪の毛が伸びている呪いの人形に違いない、などと囁く者もいる。
    そう言われても不思議のない、薄気味悪い人形だった。

    でも、そんな彼女との出会いは運命だったのかもしれない……。

    いや、これは運命だったのだ。


    ●須々田駅、南口前にて

    『駅ってさ。何気に超メジャーでポピュラーな自殺スポットだと思うんだよね』

     雑踏のざわめきの中から、不意にひとつの声だけとチャンネルが合うことがある。
     その携帯で話しているっぽい、若いOLらしい女性の声も、そんなものの一つだった。

    『どんな自殺の名所もさ。結構、行くの大変じゃん? だって思わない? 富士の樹海とかで死ぬ人って、どんだけ頑張ってるわけ?』

    『樹海までの行き方調べて。電車乗って、乗り換えて乗り換えて、歩いて歩いて。フツー、死ぬ為だけにそこまでやるかね?』

     ガールズトークを楽しむかのようのノリで、イカレた話をしていた。

    『駅ってさ。誰もが日常に利用している場所なわけだよね。それで、電車を待っている時間って、自分を顧みるいい時間になるわけじゃん』

     電車待ちのささやかな時間に、……ふと、死んでもいいかなと思い至るわけだ。
     確かに、駅は素晴らしい。死のうと思い立ったなら、死ぬ為の準備は何も必要がない。ただ、ホームの最前列から数歩、歩み出るだけでいい。

    『ね? 最高の自殺スポットだと思わない? コンビニやカラオケくらいに身近でお手軽な、カジュアルな自殺スポットだと思うわけ』

     自殺って、……もっともっと悲壮で重いものじゃなかったっけ。
     でも女は、死はもっと気楽に考えてもいいものだと言うのだ。
     ……眠くてぼんやりとしているせいなのか、彼女の言うそれは、ものすごく斬新で新鮮な何かを気付かせてくれたように感じてしまう。

    『自殺って言葉が、私は物騒だと思うんだよね。エステで、新陳代謝を改善して、新しいお肌を生まれ変わらせるのと、まったく同じ感じ』

    『だから“自分殺し”なんて物騒な言葉じゃなくて、人生のリピュアとかってどうかな。ね、なんかステキな響きになったと思わない?』

     その時、私は初めて、……彼女が私に向かって語り掛けていることに気付く。長い髪が印象的な、OL風のお姉さんだった。

    『してみると、結構、驚いちゃうよ。何で今まで無駄に怖がってたんだろ、馬鹿みたいって』
    「……したことあるんですか、……リピュア」
    『うん』

     彼女はあっさりと答える。
     目眩がして、周りの喧騒がボリュームの摘みを間違えたみたいにやかましく聞こえる……。


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     気付けば、私は満員のホームの最前列に居た。後ろには満員の人々の人垣。押し戻ろうにも、満員電車並のぎゅうぎゅう詰めで、私が押し入ろうとしたのと同じだけ押し返される。

    『見てみて。下を』

     彼女の声はすぐ近くから聞こえるけれど、姿は見えない。指示に従ったつもりはないが、後ろから押され、つい足元を見てしまう。
     ……するとホームの下は、青空だった………。

    「………………………っ……」

     砂利とレールのあるべき空間が、……ぽっかりと抜け、眼下に青々とした大空を覗かせているのだ。
     まるで、空に浮かぶ島から、眼下を見下ろしているみたいに。

    『おいでよ』
    「……でも……」
    『すっごい簡単であっさりだよ。怖くなんかないから』

     彼女はいつの間にかそこにいて、手を差し伸べていた。
     見れば、いるのは彼女だけではない。友人たちか、あるいは同僚たちだろうか。スーツ姿の男女が見える。
    「でも、……これって……」
     飛び降りろってことだよね……? ホームから。
     みんな、飛び切りの笑顔で手を差し伸べてる。
     でもほら、向こうから電車がやってくる音が聞こえる。
     地鳴りが唸りが、叫びが聞こえる。
     
    『ほら、早く。』

    『……怖くないから。痛くもないんだよ』

    無理だよ。そこへ飛び降りるってことは、……だって、だって……。

    ……ら、……じゃないか……。
    ら、……ばら……。
    みんなみんな、……手も、……足も、……首も、……ばらばらじゃないか……。

     青空なんてない。そこは風雨と錆で赤茶色に染まった石が敷き詰められたホームの下。
     錆色の太いレールがまるで鉄格子のように遮る向こう側から。
     ごつごつとした石を掻き分けながら、懸命に私に向かって手を伸ばす、……四肢がばらばらの亡者たちの呻きが、そこにあった。


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