『ダビマス』PR大使は、あの田中将大選手!

 ある日の昼下がり、編集部にて。

元和スイーツ(以下、) ブラボー!さん、麻雀やってます?
ブラボー!秋山(以下、) いやいや、最近はむしろ競馬かな。じつは『ダービースタリオン マスターズ』(以下、『ダビマス』)というスマホのゲームを始めたんですよ。
 おー! 『ダービースタリオン』(以下、『ダビスタ』)のスマホ版ですね! 僕は『ダビスタ』にハマっていたことがあるんですよ。『ダビスタ』で最強馬を育成するには……。

(以下小一時間ほど生産や配合についての持論を展開)

 あー、こだわりはわかった! つーか、『ダビマス』を開発したドリコムさんは元和スイーツさんの担当メーカーでしたよね? せっかくなので、いろいろと話を聞きに行きませんか?
 異議なし!

<『ダビマス』とは?>
 2016年11月にドリコムより配信された、iOS/Android向け競走馬育成シミュレーションゲーム。『ダビスタ』の流れを汲み、プレイヤーがオーナーブリーダーとなり、競走馬を生産・育成。レースに出走し、最強馬を目指す。スマホでプレイできるよう、サクサクプレイできるテンポ感あるゲーム性を実現。
 2017年1月には100万ダウンロードを突破。また、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手がPR大使に就任したことが発表された(→コチラ)。

大の『ダビスタ』好きがドリコムに潜入! 『ダービースタリオン マスターズ』開発チームにアレコレ聞いてみた_01
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大の『ダビスタ』好きがドリコムに潜入! 『ダービースタリオン マスターズ』開発チームにアレコレ聞いてみた_03

 というわけで、さっそくドリコムへ『ダビマス』の開発秘話などを伺いにやってきたのだが……。

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▲元和スイーツはイレ込み気味だったので、失礼がないように競馬記事用の正装(?)で訪問した。
▲レトロ調のオシャレな電話が置かれた受付。突撃とはいえ、そこは大人の対応で取材を依頼。「取材を申し込んだ元和スイーツですが……」
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▲会議室は、さまざまなジャンルの偉人の名前から名付けられている。「へぇ、偉人の名前がお部屋の名前なんですね」

 ワクワクしながら会議室で待つ我々の前に、田中将大選手がPR大使に就任するなど、いまやワールドワイドな存在となりつつある『ダビマス』開発陣の登場に、集団にモマれ弱い我々は緊張気味!?

大の『ダビスタ』好きがドリコムに潜入! 『ダービースタリオン マスターズ』開発チームにアレコレ聞いてみた_08
▲写真右より、ゲーム開発特別監督部長・金山圭輔氏、プロダクト本部 ゲームプロダクト部・岩田杏理氏、同・西村拓也氏。

――早速ですが、『ダビマス』での担当業務について教えてください。
西村拓也氏(以下、西村) 『ダビマス』ではゲームプログラマとして、レースのロジックや画面遷移、それからメンバーに対するスケジュール管理など、リーダー的な仕事もやっています。
岩田杏理氏(以下、岩田) 開発開始当初はおもに演出面を担当していました。もともとはUIデザイナーなのですが、いまはUIや演出に加え、デザイン全体の監修も担当しています。
金山圭輔氏(以下、金山) プロデューサーとディレクターを担当しています。プロデューサーとしては、最初の企画や、売上KPI予測など、プロジェクト計画の全体を。ディレクターとしては、作るものの優先順位を決め、作ったもののオーケーかNGの判断など、何か決めなければならないことができたときの判断をしています。

――プロデューサーとディレクターの両立は難しくないですか?
金山 そんなことはないです。ドリコムの場合、会社側で売上やプロモーションのバックアップや人員アサイン、機材確保など、関係各所への調整をしてくれるので、プロデューサーとしての負荷があまり高くかかりません。ですから、自分の場合はディレクター寄りの仕事が多いですね。

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――その『ダビマス』は絶好調ですね。皆さんが『ダビスタ』シリーズで魅力的だと感じる部分はどんなところですか?
西村 私は小学校のころ、『ダービースタリオン99』(PS/1999年発売)にハマっていました、周囲の影響もありましたが、やはり配合が魅力ですね。配合を考えるのは難しかったのですが、配合をしっかりと考えることによって強い馬が産まれることに喜びを覚えました。また、レース中の馬どうしの攻防にも競馬らしい楽しさを感じました。『ダビマス』でも、そういったことを意識して再現するようにしました。おかげさまで、従来の『ダビスタ』プレイヤーさんからの反応もよかったです。
岩田 私は『ダビスタ』シリーズをプレイしたことがなく、競馬も全然知りませんでした。女性大半がそうだと思うのですが、数値がたくさん並ぶようなゲームが苦手で……(笑)。『ダビマス』の開発に参加してから「いいな」と思ったのは、たとえば調教師のコメントから馬の能力や調子を類推することですね。やはり自然が相手だと一筋縄ではいきませんよね。『ダビスタ』では、そんな“難しさ”もうまくゲームにハマっていておもしろいと思いました。『ダビマス』では最初の新馬戦でもなかなか勝てないと思うのですが、それはリアルな競馬の魅力でもあります。多くのスマホゲームでは、最初に簡単に勝たせてゲームを続けてもらう……という戦略もあると思います。しかし、そうではないところが『ダビスタ』らしいというか、『ダビマス』にもうまく引き継いでいるのではないかと思います。
金山 岩田が言ったように、ハッキリした数値が出なくて、牧場長や調教師の言葉から判断するしかなく、それをもとにユーザーどうしでああだ、こうだと議論するのがいいですよね。自分は『ダービースタリオンIII』(SFC/1995年発売)がいちばんプレイしたタイトルですが、シンプルなゲーム性が魅力です。『ダビマス』でも、プレイヤーには馬の管理のみに集中してもらうように意識しています。

【2017年3月30日 12:00】
※スーパーファミコン版『ダービースタリオンIII』の発売年は、1995年でした。読者の皆様及び関係者様にはご迷惑をおかけしました。訂正のうえ、お詫び申し上げます。

――なるほど。では『ダビマス』を開発するにあたり、こだわった部分はどんなところですか?
西村 やはり“『ダビスタ』の再現”には苦労しました。作れば作るほど、データ量の多さに戸惑いました。パリティビットさんに伺って、薗部さんに直接レースのロジックについて教えていただきました。
金山 開発当初は、過去の『ダビスタ』シリーズを元にプロトタイプを作ってから、それを“スマホっぽく”するのが速いと考えていました。しかし、薗部さんからは「どういう『ダビスタ』を作りたいのかがわからないと、どんなデータを提供すればいいのか判断できない」と言われ、確かにその通りだと。その後は週一回ペースで伺っていました。

――『ダビスタ』らしさを維持しつつ、ドリコム版『ダビスタ』を作る過程があったわけですね。
金山 そうですね。「こういった仕様を作りたいので、アドバイスをください」とお願いすると、快く教えてくださいました。
西村 薗部さんもプログラマですから、弊社からもエンジニアが伺って、エンジニアどうしで会話をしていました。データも、パソコン上で実際に数値を見ながら教えてもらったこともありました。

――岩田さんはどんなこだわりが?
岩田 これまでソーシャルゲームを何作か作ってきましたが、『ダビマス』では金山からリアリティーについての指摘を受け、『ダビマス』ではそれまでの方法論が通用しないなと思いました。ゲームを進めるうえでの没入感は、演出面が大きいと思っています。たとえば、ガチャの演出はテレビの中継スタイルにして、そこにストーリーに出てくるアイドルを登場させようとか。また、ブリーダーズカップで報酬が開封されるときにファンから手紙が届くという仕様は、実際に馬主だったらファンから手紙が届いたらうれしいだろうなということで導入しました。
金山 課金やストーリーが、従来の『ダビスタ』ユーザーさんからどう判断されるのか注目していたのですが、もちろん、若干の抵抗感はありつつも、大きく懸念されるほどの問題にはならなかったと思います。ドリコムとして、その分野の制作には慣れている部分でもありましたし。むしろ、最初は『ダビマス』の開発に集中する環境を作ることに腐心しました。結果的に、“チームが2016年度は『ダビマス』に集中する”ことに全社挙げてバックアップしてもらえたのがよかったと思います。開発メンバーに極力余計な負荷がかからないように、また、開発外のスタッフも極力『ダビマス』の開発に協力できるように、会社が後押ししてくれるといった配慮もしてもらいました。

 と、ここで元和スイーツが果敢に攻める!

元 ちなみに『ダビマス』はオートセーブですから、たとえば『ダビスタ99』のように、リセットをくり返しての最強馬生産ができないわけですが、コアなユーザーからはそういった意見や要望はありませんでしたか?
金山 リセットで最強馬を作るのが『ダビスタ』らしさだというご意見もいただくのですが、『ダビマス』はそこからは離れています。限られた種付け権と繁殖牝馬の寿命の中で、いちばんいい馬を生産してつぎの世代につなげていくというのが『ダビマス』になりますね。

――確かに、プレイヤーによって“『ダビスタ』らしさ”は違うでしょうね。オートセーブ推奨派ならば不受胎やレースで予後不良になるのも、また仕方ないことだと……。
西村 逆に質問ですが、“才能”はどうですか?(※『ダビマス』で新搭載されたシステム)

元 僕はあまり気にしていないというか、『ダビスタ』シリーズにはなかったシステムですから、まだ意識して使いこなそうとしていないですね。
西村 私も最初に“才能”の仕様を聞いたときには「いいのかな?」と思いました(笑)。しかし、才能があるとないのとでは、やはり強さが違います。以前“マカヒキ2016”という種牡馬が登場しましたが、その非凡な才能が発揮されると、快感を覚えるくらいでした。才能の使いかた次第でさらにおもしろくなるなと思いましたね。

元 あー、やっぱりそうなのか……。

――リアルブリーダーズカップである“全国ダビマス王座決定戦”も開催されますが(→特設サイトはコチラ)、“才能”を駆使したり、想定外の配合や育成による強い馬が出てくるかもしれないですね。
西村 そうですね。楽しみです。

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――今後の予定を聞かせてください。
岩田 海外の競馬場とか……。
金山 お!(笑) 確かに、海外の競馬場などは、ユーザーさんの関心の高いものから順に提供していきたいと思っています。それから、ヤンキースの田中将大選手が“ダビマスPR大使”に就任してくださいました。もともと『ダビスタ』が好きで、『ダビマス』も配信直後からプレイしてくれているそうです。まさかこんな有名な方と関わることができるなんてとビックリしています。今後、田中将大選手に関する“いろいろなこと”をやっていきたいと考えています。
 “全国ダビマス王座決定戦”は、ユーザーさんに実際の大会で栄光を勝ち取るといった体験をしてもらいたくて企画しました。ガチのユーザーさんに集まっていただいて、オフ会のような雰囲気の中、輝ける勝利の瞬間や楽しい時間を過ごしてほしいですね。かつて『ダビスタ』では、競走馬の命名権を争奪する大会が行われたり、ゲーム雑誌以外にも掲載されたりするほどの勢いがありました。『ダビマス』でもそういった盛り上がりを見せて、リアルに波及していってほしいと思います。

――楽しみですね。それでは全国のプレイヤーにメッセージを!
西村 スマホで気軽に『ダビスタ』ができる本作ですが、通勤中や移動中にぜひプレイしてほしいですね。縦画面での見やすさも意識して作っています。ちょっとした短い時間でもサクサクとプレイできるので、プレイしていない方もぜひ試してほしいと思います。
岩田 『ダビスタ』ファンは、たとえば“完璧な配合”などを求めると思いますが、私のような競馬や『ダビスタ』に馴染みがない人でも楽しめるようにとストーリーが入っています。さまざまなことを提示されますが、それが目標になるので、『ダビスタ』への入り口としてとてもいいと思っています。また、登場する女の子のキャラクターがかわいいからプレイしてみようでもいいです(笑)。私もいまでは馬の歴史やエピソードを読むのが楽しくなりました。ゴールドシップのやんちゃエピソードとか(笑)。競馬全体を盛り上げようというだいそれた目標ではなく、その入り口として『ダビマス』を楽しんでいただけたらと思っています。
金山 初めてのプレイではなかなかレースで勝てないと思います。慣れるまでは何をしていいのかわからず、日付を進めるのに躊躇するもしれません。そういう意味では、初めての方にはなかなかオススメできませんが(笑)、『ダビマス』をプレイしている友だちを見つけるのがいいかもしれません。いっしょに遊ぶと楽しいですし、「難しい」と話すことがまたおもしろいので、勝利だけが楽しみではないという遊びかたをしてほしいです。