PCゲームのダウンロード販売サイト“Steam”で配信されているタイトルの中から、メジャー・インディー問わず毎週1本のオススメSteamタイトルを編集者が独断と偏見で選び、プレイリポートをお届けするこのコーナー。

 今回のタイトルは人狼ゲームが好きな人にぴったりなコチラ。

■第11回オススメSteamタイトル

Deceit

開発:Automaton
配信日:2017年3月4日
ジャンル:ホラーアクション
価格:1480円[税抜]

<どんなゲームか、ざっくり言うと>
・1試合5分程度で終わる人狼ゲーム系ルール
・協力と裏切りがキモ
・勝利のカギはコミュニケーション

 3月4日に配信された『DECEIT』は、健常者チームと感染者チームに分かれ、会話やそれぞれの行動を見ながらほかプレイヤーの正体を見抜いていく、人狼ゲーム的要素が濃い作品だ。

 まずはルールについて説明しよう。プレイヤーは全部で6人。そのうち4人が健常者(innocent)で、2人が感染者(infection)だ。ゲーム開始時に、ランダムで感染者か健常者か振り分けられ、健常者は3ステージを生き抜き脱出に成功すれば勝利。一方の感染者は、人間をすべて倒したら勝利となる。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_07
▲プレイアブルキャラクターは4人。
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_05
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_08
▲ゲーム開始時にランダムで振り分けられる。もちろん、ほかプレイヤーが健常者か感染者かは分らない。

 筆者が初見でプレイしたとき、「なんの手がかりもなしにだれが感染者なんてわからんわ!」と思っていたが、このゲームには人狼ゲームでいう“占い師”的な能力のあるアイテムや、感染者にしかできない行動があるので、注意深く観察していけば手がかりが掴めるようになっている。

 この感染者にしかできない行動というのは、マップにある電源レバーを下げる(OFF)にすることと、マップに点在している血液パックに入った血液を飲むことだ。感染者は、血液パックを飲むことでモンスターに変身したときに一撃必殺をくり出すことができるインフェクトゲージを溜めることができるのだが、血液パックは赤く光っているのでかなり目立つうえ、飲むと周囲に「ゴクリ」と音が響き渡ってしまう。ほかのプレイヤーに血液パックを飲んだところを見られてしまったら感染者であると知られてしまうので、ほかのプレイヤーが近くにいないときにこっそりと飲む必要がある。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_06
▲血液パックはマップの至るところに置かれている。かなり光を放っているので、ほかプレイヤーが近くにいるときに飲む(光を消す)と高確率でばれる。
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_09
▲感染者だけが取れる血液パック。パックに無意味に近づいたりと怪しい行動を取ると感染者だと怪しまれるだけ。取得するタイミングが本当に難しい。

 なおワンゲームにつき3つのエリアが用意され、1マップごとに通常フェーズ→停電フェーズに移行するようになっている。感染者は停電フェーズでモンスターに変身することが可能で、人間以上のパワーとスピードで健常者を殺害することができる。さらに、停電により真っ暗で見通しが悪い+停電中はプレイヤーネームが一時的に非表示にされるので、殺害現場を見られずに済むのだ。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_10
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_11
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_12
▲逃がすかヒャッハー!!

 では健常者はどうするべきか? 感染者から身を守るためにあらかじめ所持しているハンドガンの弾薬確保や防弾チョッキの入手、そして検査キットやトラッカーなど協力で役立つアイテムを、感染者よりも先に入手していくことが重要になる。やり慣れた感染者側プレイヤーになると、健常者の手に渡る前に弾薬や防弾チョッキを取りつくしてしまうので、とにかくアイテム回収が最優先になるだろう。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_02
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_03
【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_01
▲マップにいくつかある電源レバーを上げておくと、停電時間が短縮される。停電中はモンスターに襲われやすいので、見つけたら上げておくべき。

 また、健常者でプレイ中は、ひとりでいると感染者ではないかと怪しまれる可能性があるため、なるべく同じ健常者であろうプレイヤーの近くにいるべきだろう。とはいえ、信頼していたプレイヤーが感染者だったため、真っ先に殺された……なんてこともある。そんな感じで、だれを信じればいいのかまったくわからない不安とスリルが、たまらなくおもしろい。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_04
▲となりにいたアイツが変身! そして食われたー!! が定番。

心理戦がかなりおもしろい!!

 ここまでつらつらとゲームの基本をお伝えしたが、このゲームの真髄は「ボイスチャット」にあると思う。ボイスチャットのおかげで、相手を騙すことも、相手を信用することもできるきっかけになり、プレイヤーどうしの心理戦を生み出しているのだ。

 感染者側でボイスチャットを使った心理戦の一例をざっくり紹介すると、みずから血液パックを飲んだその瞬間に「●●●(ユーザー名)が血液パックを飲んだぞ!」と“嘘の報告”をすること。とにかく、だれかひとりをターゲットにして、その人があたかも感染者であるかのような報告を適宜していった。とはいっても、やり慣れてきたプレイヤーだと「Bullsit(嘘つけ)!お前が怪しいわ!」なんて言われることもある。加減が求められるので、ただの“おしゃべり野郎”にならないように注意は必要かもしれない(筆者がプレイしてきた感じだと、“おしゃべり野郎”は高確率で感染者、人間どちらにせよ疑われて殺される(笑))。
 ほかにも、検査キットを奪うことができたら、健常者をスキャンし「こいつが感染者だ!」なんて“虚の報告”もあり。モンスターに変身して健常者を襲いつつ、「オーマイガッ! ●●●(健常者のプレイヤー名)がモンスターだ!」もありだ。

 なお、『Deceit』は感染者が全員死ぬか、脱出が成功するまでゲームが続行するのが怖いところ。脱出口を通過する最後の最後までだれが健常者、感染者なのか分らない、いわゆる「脱出するまでがゲーム」仕様だ。それゆえに、感染者がすでに死亡していたとしても、健常者どうしで殺してあってしまうこともあったり……。怖いなぁ。

【オススメSteam】人狼ゲーム要素を取り入れたホラーFPS『Deceit』【DayDreamSteamer】_13
▲最後の最後に健常者どうしで殺りあっちゃったから……健常者4人中2人だけ生還。

 少々敷居が高いと思われる、ボイスチャットを使用したコミュニケーション。異国間でのコミュニケーションになるので、英語を使用せざるを得ない(ときどき日本人にも遭遇したが)。筆者はまったく英語を話せないが、とりあえず「I'm Human,Trust me」(「私は人間だから信じて!」)、「●●●(プレイヤー名) is take a Blood pack」(「●●●が血液パックを取ったぞ」)、「I think ●●● is Monster」(「●●●がモンスターだと思うわ」)で問題なく乗り切れたので、英語が心配でなかなか手を出せない人も、とりあえずやってみてはいかがだろうか? 値段も安めなので、お友だちにギフトで送って、いっしょにプレイしてもいいかも。

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【第2回】暑い夏は『Dead by Daylight』で肝を冷やそう
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<今回の担当編集者>
工藤エイム

ヘッドセットを少し高いものに変えたら、音が鋭すぎてびっくりした。しかもFPSゲームで勝率が上がりました。スゲェ!!!