2016年を代表するデジタルコンテンツを表彰

 2017年3月13日、一般社団法人デジタルメディア協会(通称:AMD)主催による、デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'16/第22回AMDアワードの授賞式が開催された。

 AMDは、約60社の会員からなる組織で、デジタルメディア・コンテンツ産業の振興を目的としている。そのAMDが毎年行っているAMDアワードは、デジタルメディアの質的向上・人材育成をねらいとするもので、デジタルメディアにて表現された、またはデジタル技術を駆使して制作されたコンテンツやサービスを選出し、表彰している。

 今回は、2016年に発表された作品の中から、12タイトルの優秀賞が選ばれた。功労賞、リージョナル賞、審査員特別賞も決定。そして、優秀賞の中から、AMD理事長賞と、大賞/総務大臣賞が選出された。本記事では、各受賞作品と、表彰式の模様をリポートする。

“第22回AMDアワード”大賞は超歌舞伎、AMD理事長賞はPPAPが受賞! 中村獅童、ピコ太郎らが登壇_01

 表彰式の冒頭では、AMDの理事長を務めるコーエーテクモホールディングス 代表取締役会長の襟川恵子氏が登壇し、AMDアワードの開催に関わった人々への感謝を述べるとともに、「AMDが世の中の役に立ち、多くのコンテンツが発信されるように、今後もがんばっていきたい」と抱負を述べた。

 なお襟川氏は、“優秀賞を12タイトルも選ぶなら、13タイトルでもいいじゃないか、当社(コーエーテクモゲームス)のタイトルがどうして入ってないのか”と訴えたそうだが、血も涙もない(襟川氏談)審査員の皆さんは首を縦に振らなかったようで、襟川氏は「来年こそがんばろう」と決意を新たにしたとのこと。

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 では、各受賞作品・受賞者を紹介していこう。

■功労賞
受賞者:シブサワ・コウ氏(コーエーテクモゲームス ゼネラルプロデューサー)

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 業界への長年の献身、功績があった人物に贈られる功労賞は、ゲーム制作に35年携わってきたシブサワ・コウ氏が受賞。『信長の野望』、『三國志』など、数々の歴史シミュレーションゲームを生み出したシブサワ氏。昨年、大河ドラマ『真田丸』で3Dマップ監修をしたことも記憶に新しい。

 シブサワ氏は、血も涙もある(シブサワ氏談)審査員の皆さんに選ばれたことは光栄だと述べ、これまでシブサワ氏を支え続けてきたゲームファンやメディア、関係各社、コーエーテクモゲームスのスタッフ、そして“35年間ずっと尻を叩き続けてくれた”という妻・襟川恵子氏に感謝の意を表した。

■リージョナル賞
作品:ゆけ、シンフロ部!
受賞者:大分県

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 地域に根ざしたコンテンツやサービスの中で、もっともすぐれた功績を挙げた人物・団体に贈られるリージョナル賞を受賞したのは、大分県。大分県をアピールするムービー『ゆけ、シンフロ部!』が地域の活性化に大いに貢献した。

 登壇した大分県企画振興部 課長の高屋博氏は、大分県は昨年、地震の影響で観光客が減少しまったが、“大分県は元気である”という情報発信をしてきたことで、観光客が戻ってきてくれたとコメント。今後も大分県をアピールするために力を尽くしていくとのことだ。

■年間コンテンツ賞 優秀賞

 優秀賞は、下記の12作品が受賞。いずれも2016年に世間を騒がせたコンテンツばかりだ。

作品:君の名は。
受賞者:「君の名は。」製作委員会

作品:プレイステーション VR
受賞者:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

作品:ガリガリ君テレビCM「値上げ」
受賞者:赤城乳業、電通東日本、電通関西支社、春企画東京、ガリガリ君プロダクション

作品:シン・ゴジラ
受賞者:東宝株式会社

作品:ユーリ!!! on ICE
受賞者:ユーリ!!! on ICE製作委員会

作品:BABYMETAL
受賞者:プロデューサー KOBAMETAL氏

作品:この世界の片隅に
受賞者:「この世界の片隅に」プロデューサー ジェンコ 代表取締役社長 真木太郎氏

作品:リオ2016年オリンピック閉会式 東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー
受賞者:東京都、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、電通、FHO制作チーム

作品:Pokemon GO
受賞者:Pokemon GOチーム

作品:超歌舞伎 今昔饗宴千本桜
受賞者:超歌舞伎チーム

作品:PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)
受賞者:プロデューサー 古坂大魔王氏
[2017年3月15日01時20分修正]古坂大魔王氏のお名前の表記に誤りがありましたので、修正いたしました。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

作品:逃げるは恥だが役に立つ
受賞者:TBSテレビ「逃げるは恥だが役に立つ」制作チーム

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君の名は。
登壇者:コミックス・ウェーブ・フィルム 代表取締役 川口典孝氏(左)
プレイステーション VR
登壇者:ソニー・インタラクティブエンタテインメント 副社長 三浦和夫氏(左)
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ガリガリ君テレビCM「値上げ」
登壇者:赤城乳業 代表取締役社長 井上創太氏(左)
シン・ゴジラ
登壇者:東宝 映画企画部部長 山内章弘氏(左)
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ユーリ!!! on ICE
登壇者:MAPPA 代表取締役 大塚学氏(左)
BABYMETAL
登壇者:プロデューサー KOBAMETAL氏(左)
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この世界の片隅に
登壇者:ジェンコ 代表取締役社長 真木太郎氏(左)
リオ2016年オリンピック閉会式 東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー
登壇者:FHO制作チーム クリエイティブスーパーバイザー 佐々木宏氏(左)
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Pokemon GO
登壇者:ナイアンティック 代表取締役社長 村井説人氏(左)、ポケモン 専務執行役員 伊藤憲二郎氏(右)
超歌舞伎 今昔饗宴千本桜
登壇者:日本電信電話 取締役副社長 篠原弘道氏(左)、ドワンゴ 取締役CCO 横澤大輔氏(中央)、松竹 取締役副社長 我孫子正氏(右)
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PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)
登壇者:エイベックスマネジメント 代表取締役社長 伊東宏晃氏(左)
逃げるは恥だが役に立つ
登壇者:TBSテレビ 事業局 映画・アニメ事業部長 兼 制作局 ドラマ制作部 奈須田淳氏(左)

■審査員特別賞
受賞者:MIKIKO氏(イレブンプレイ 代表取締役)

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 業界の枠を超えてデジタルコンテンツの発展に寄与した人物を表彰する審査員特別賞は、演出振付家のMIKIKO氏に贈られた。同氏は、星野源「恋」の振り付け“恋ダンス”、PerfumeやBABYMETALの振り付け・ライブ演出、リオ・オリンピック/パラリンピック閉会式の引継ぎ式における総合演出と演武振り付けなどを担当している。今回の優秀賞に選ばれた作品の数々に携わっているということで、審査員からの推薦を受けての受賞となった。

 MIKIKO氏は、「表現者と周りのスタッフに恵まれ、その姿勢や情熱に心を動かされてきた」と語り、今後も“デジタルと身体表現を掛け合わせることによる感動”を届けるべく、制作活動を続けていくとのこと。

■AMD理事長賞
作品:PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)
受賞者:プロデューサー 古坂大魔王氏
[2017年3月15日01時20分修正]古坂大魔王氏のお名前の表記に誤りがありましたので、修正いたしました。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

 優秀賞の中から“AMD理事長賞”に選ばれたのは、PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)。ここで、会場には、古坂大魔王氏の代理……として、ピコ太郎さんが登場! 今回の受賞について、「『三國志』のゲームメーカー並みに“光栄”でございます」と述べ、会場を沸かせた。そして、会場でPPAPを披露! 襟川理事長は、生でそのパフォーマンスを見られたことに感動し、「すばらしい」と絶賛した。

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■年間コンテンツ賞 大賞/総務大臣賞
作品:超歌舞伎 今昔饗宴千本桜
受賞者:超歌舞伎チーム

 大賞/総務大臣賞は、超歌舞伎 今昔饗宴千本桜が受賞。「今年はどの作品が大賞になってもおかしくなかった」というAMDアワード審査員長の夏野剛氏は、優秀賞の中で、さまざまな技術が融合したコンテンツである超歌舞伎が“AMD”の名にふさわしいと考え、選出したとコメントした。

 ここで、超歌舞伎に出演した、歌舞伎役者の中村獅童さんが登壇。中村さんには、総務副大臣 あかま 二郎氏より、賞状やフラッグなどが贈られた。

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▲表彰式のために駆け付けた、総務副大臣 あかま 二郎氏。
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 「歌舞伎を見たことのない若者に、歌舞伎に興味を持ってもらいたい」と日ごろ考えながら活動しているという中村さんは、その試みのひとつである超歌舞伎が大賞を受賞できたことをうれしく思うとコメント。そして、故・中村勘三郎さんに約15年前に言われた「お前さんは、歌舞伎を見たことがない若者を振り向かすことができる男なんだ」という言葉を胸に、これからも精進していきたいと述べた。

 なお、2017年4月29日(土)、30日(日)に行われるイベント“ニコニコ超会議2017”では、超歌舞伎の新たな演目“花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)”を上演予定。今回も、中村獅童さんと初音ミクが共演する。花街(くるわ)を舞台にした恋物語が描かれるとのことだ。
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 前述の通り、優秀な作品が多く、審査に困るほどたったという今回のAMDアワード。夏野審査員長は、「来年も審査員が頭を悩ますほどの豊作であることを祈っている」と語り、表彰式を締めくくった。

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