会場では、田中公平氏の生演奏も!

 2017年2月25日、東京・新宿のタワーレコード新宿店 7F イベントスペースにて、PS4用ソフト『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』の楽曲を収録したサウンドトラックの発売記念イベントが開催。楽曲を手掛けた作曲家の田中公平氏と、ディレクターを務めた外山圭一郎氏が出演し、ゲームと楽曲の制作秘話を語ったほか、握手&お渡し会を行い、ファンとの交流を楽しんだ。

田中公平氏が「渾身の一作」と語る『GRAVITY DAZE 2』サントラが発売! トークイベントで田中氏と外山Dが制作秘話を披露_01
田中公平氏が「渾身の一作」と語る『GRAVITY DAZE 2』サントラが発売! トークイベントで田中氏と外山Dが制作秘話を披露_02
▲左から、田中公平氏、外山圭一郎氏、MCを務めた週刊ファミ通編集長・林克彦。
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▲タワーレコード新宿店 7Fのイベントスペースは満杯に! 皆さん、熱心な『GRAVITY DAZE』ファンで、すでに『GRAVITY DAZE 2』のトロフィーをコンプリートしたという人もチラホラ(スゴイ!)。

※以下のリポートには、ゲームに関する若干のネタバレが含まれます。未クリアーの方はご注意ください!

 トークイベントでは、まず、『GRAVITY DAZE』シリーズの楽曲を田中氏が担当することになった経緯について語られた。外山氏は第1作を作る際、サウンドスタッフとの打ち合わせで、「1970年代のアニメで使用されていたような、“オーケストラを使っていて、かつキャッチー”な曲をやりたい」と語ったという。そしてスタッフから、「いまその曲を作れるのは、田中公平先生しかいません」と提案があり、田中氏に依頼することになったとのこと。

 田中氏はその話を受けて、「でも本当は、(外山氏は)冨田勲さんに頼みたかったんですよ」と、当時『GRAVITY DAZE』の映像に、仮で『マイティジャック』の音楽が当ててあったことを明かした。そして田中氏は、オファーを受ける際、「でも、これ(『マイティジャック』)とはぜんぜん違うことをやるから」と語ったという。田中氏自身も、冨田氏の音楽は大好きだが、ぜったいマネはしたくないと思っていたそうだ。

 続いて、『GRAVITY DAZE 2』の音楽作りについて。田中氏いわく、外山氏は自覚なく無茶ぶりをしてくるそうで、「『ガオガイガー』以来の無茶ぶりだった」とコメント。1曲に対するリクエストが長文でしたためられており、たとえば「荘厳さを持ちつつ、閉ざされた日常の閉そく感を感じさせ、隠された謎に迫っていく場面。そして不安感を煽るような展開があるとよい」などと書いてあり、「どういうこと!?」と悩ませられたとか!

 一方で、リクエストにない曲を田中氏が作り、外山氏を悩ませたこともあるという。クロマチックハーモニカ奏者の南里沙さんが参加した楽曲「GRAVITY DAZE 2 (Harmonica Ver.)」は、田中氏が勝手に作った曲で、外山氏がこの曲について問い合わせたところ、「うまく使って」と言われたとか。結果、この曲は、「GRAVITY DAZE The Animation ~Ouverture~」のエンディングと、ゲーム本編の一度目のエンディングで使われることとなった。ちなみに南さんは、サントラのディスク4に入っているダウンロードコンテンツ用の曲にも参加しているが、「ネタバレになるので、DLCをプレイしてから聴いて!」(田中氏)とのこと。

 初代『GRAVITY DAZE』制作時も、あるシーンのために作った曲が、シーンに合わないということでボツになったが、「このシーン用には別の曲を書くから、この曲はほかの場所で使ってくれ」と田中氏が頼んだところ、いい場面で使われたことがあったという。「ここに使ってくれたんだ!」と田中氏は喜んだそうだ。

 外山氏は、田中氏から上がってくる音楽を聴いて、「こう来たから、これを活かすようにがんばらなきゃ」と、つねに刺激を受けながら制作した、と開発当時を振り返った。田中氏も、「なんでもやらせてくれて、チャレンジャーになれて、とても楽しかった」と、同作の楽曲制作が充実していたことを語りつつ、音楽に合わせてゲーム開発も変化していくのは、いちばんいい姿だと思っているとコメント。『サクラ大戦』では、ゲームがほとんどできていない段階で主題歌とエンディング曲を作り、開発スタッフたちはその曲を聴きながら「このゲームは、こんな世界なんだ」と考えて開発を進めていったそうだが、『GRAVITY DAZE』シリーズも同様に、ゲームと音楽が影響し合いながら作品が形作られていったというわけだ。

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▲実際にゲームもプレイしている田中氏は、「こんなに音楽とシンクロしているゲームはない!」と絶賛。

 ちなみに、『GRAVITY DAZE 2』の楽曲制作にかけた時間については、「書くだけで3ヵ月」(田中氏)。田中氏はかなり手が早く、『ジョジョの奇妙な冒険』の主題歌などは3時間で書けたそうだが、『GRAVITY DAZE 2』は曲のボリュームが半端なかったため、時間がかかったとのこと。

 また田中氏は、収録時に楽器をぜいたくに使えたことについても語った。なかには、ワンフレーズのために取り寄せた楽器もあるとか! そのほか、DLC用の楽曲に使う鈴の音色を収録するために、10個以上の鈴を集めて、その場で鳴らして決めていったというエピソードや、理想の音を求める中で、パーカッションの人にいろいろなものを叩いてもらった結果、マイクスタンドを叩く音を採用したエピソードも語られた。

 さて、『GRAVITY DAZE 2』には、サントラが4枚組になるほどの数の曲が用意されているが、その中で、田中氏と外山氏がとくに気に入っている楽曲は何なのか? 外山氏は、前作の曲「万有引力の発見」のフレーズが入った、前作との橋渡しとなる曲「ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ」を挙げた。なおこの曲は、今回、歌入りバージョンが用意されているが、もともと田中氏はインストゥルメンタルの曲として書いていたため、「歌を入れたい」というリクエストを聞き、慌てて歌にできる音域かどうかを確認したそうだ。また、歌にするためにキーを変えたので、そのキーの違いを聴いてもらいたい、とのこと。

 田中氏が挙げたのは、「GRAVITY DAZE/重力的眩暈 (Ending Ver.)」。ファンにはおなじみの、前作のメインテーマだ。冒頭の「タタタターン、タタタターン」というトランペットの音こそ、田中氏なりの『マイティジャック』であり、“ツカミ”であるとのこと。

 お気に入りの楽曲紹介の後は、田中氏による演奏コーナー。田中氏は、楽曲の解説を織り交ぜながら、「ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ」や「GRAVITY DAZE/重力的眩暈」、「プレジューヌ」などの演奏を披露した。

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▲「プレジューヌ」演奏時は、自然と手拍子が沸き起こった。

 最後に田中氏は、「渾身の一作なので、田中公平ファンの人にもそうでない人にも聴いてほしい、もしよかったら布教してほしい」と、改めて『GRAVITY DAZE 2』の楽曲への自信を見せた。そして外山氏は、「この仕事を選んだときから、こういうゲームを作らなければと思っていた。それを最高の音楽で彩っていただけた」、「1作目でストーリーが途中で終わってしまっていたところ、皆さんの温かい声のおかげで作りきることができた」と田中氏とファンへの感謝を伝え、トークイベントを締めくくった。

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▲トークイベント終了後は、握手会と直筆サイン入りイラストカードお渡し会。もともとはお渡し会のみの予定だったが、集まってくれたファンに喜んでもらいたいという田中氏の発案で、握手会も行うことに!
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▲田中氏と外山氏のサイン入りイラストカード。

 なお、2017年5月3日(水・祝)に、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで行われるオーケストラコンサート“GAME SYMPHONY JAPAN 23rd CONCERT~PlayStationを彩るJAPAN Studio音楽祭 2017~”では、『GRAVITY DAZE』と『GRAVITY DAZE 2』が演奏される予定。すばらしい楽曲を、生演奏で聴くチャンスだ。詳細はこちらのページで確認してほしい。

 また、本作の音楽に関するトークは、先日2017年2月20日に行われたニコニコ生放送番組「GRAVITY DAZE 2 / 重力的音楽祭:ジルガ・パラ・ラオからヘキサヴィルの調べ」でも聞くことができる。まだ見ていないという人は、タイムシフト視聴でチェック!

「GRAVITY DAZE 2 オリジナルサウンドトラック」CD概要

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■タイトル
GRAVITY DAZE 2 オリジナルサウンドトラック
■アーティスト
田中公平
■品番
KDSD-00973,974,975,976
■POS
4560372447187
■定価
3800円[税抜]
■発売日
2017年2月22日(水)
■発売元
ティームエンタテインメント
■販売元
ソニー・ミュージックマーケティング