体験プレイの舞台は海賊レストラン!

 2016年10月14日、都内のアクアシティお台場で、アートディンクのプレイステーション Vita用ソフト『ネオアトラス 1469』の体験イベント“海賊のアジトへ潜入「Neo ATLAS 1469」体験会”が開催された。本イベントは、10月27日の同作の発売を控え、ユーザーさんにいち早くゲームに触れてもらうことを目的に実施されたもの。当日は、体験プレイのほか、ディレクターとゲストのトークショーなどもあり、大いに盛り上がった。ここでは、その模様をリポートしよう。

 イベント会場となったのは、アクアシティお台場にあるレストラン“KING OF THE PIRATES”。海賊船を再現した店内には、さまざまなオブジェが飾られ、まさにイベント名どおりに“海賊のアジトへ潜入”した気分に浸れ、『ネオアトラス 1469』をプレイするにはピッタリの舞台だ。

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▲『ネオアトラス 1469』仕様の店頭では、ゲームのPVも流されていた。
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▲時期的に、ハロウィーンムードで統一された店内。
▲店内には、海賊船をイメージした多彩なオブジェが並ぶ。
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 イベントでは冒頭、プロデューサーの清道孝行氏が開催のあいさつを述べ、続いてディレクターの山口洋一氏が登場。「このようなイベントが開催でき、非常に感動しています。僕も店内にいますので、何か質問などありましたら、気軽にお声をかけていただければと思います。どうぞ今日は、楽しんでいってください!」と、参加したファンに向けて笑顔で語った。

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▲イベント開催に向けてファンにあいさつした、清道氏(左)と山口氏(右)。

 そしてさっそく、体験会がスタート……と思いきや、清道氏が「じつは私、ソフトを持っていないんですよ」と驚きの告白。どうやら、海賊にソフトを盗まれてしまったらしい。「その海賊の親玉を連れてきて、ソフトを取り戻します」という清道氏に連れられて登場したのは、本日のゲストである、元『ログイン』編集長の高橋ピョン太氏。山口ディレクターとは、1991年に発売されたシリーズ原点の『THE ATLAS』以来の仲だという。
 海賊に扮した高橋氏は、「『ATLAS』シリーズにはハマりにハマっていて、今回はソフトを盗んじゃいました(笑)。今日は皆さん、思う存分遊んでいただければと思います」とコメント。このあと清道氏より、参加者ひとりひとりにソフトが手渡しされ、今度こそ本当に体験会がスタート。軽食とドリンクがサービスされ、参加者は思い思いに、約2時間のフリープレイを楽しんだ。

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▲盗んだソフトを差し出した、高橋ピョン太氏。
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▲清道プロデューサーが参加者に試遊用のソフトを配布。
▲軽食とドリンクはフリー。参加者はリラックスしながらプレイができた。
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▲それぞれのスタイルでプレイを楽しむ参加者たち。
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▲隣接したデッキエリアに出て、屋外の開放感を味わいながら楽しむファンも。

トークでは注目エピソードが続々登場!

 体験プレイがひと段落したところで、イベント後半戦は、山口ディレクターと高橋ピョン太氏のトークショーに。マル秘エピソードも飛び出した、ファン注目のそのトークセッションの内容を、以下にダイジェストで紹介する。

山口 たぶんこの新作でも、『Neo ATLAS』っぽさは出ていたのではと思います。皆さんにも楽しんでいただけたようで、安心しているところです。初代の『THE ATLAS』から、喜望峰を回ってインドに到達するルートがあったんですね。その喜望峰に、皆さんが行けてくれたらうれしいです。

高橋 でも昔から考えると、航路を引くのもラクだし、船を選ぶのもラクだし、至れり尽くせりですよ。昔はミゲルもいなかったし。逆に言うと、そのたいへんさがおもしろくもあり、新鮮でした。『ログイン』でアートディンク担当になり、『THE ATLAS』を見たとき、色使いがほかのPC98ゲームと比べてあまりにシンプルで、衝撃を受けましたね。そのころに山口さんと出会って、ちょっといままでと違うタイプのクリエイターが出てきたと思ったことを覚えています。

山口 当時のPC98は、16色しか出なかったんですね。その10色以上をセピア色に使って、「16色なのに、このゲームはモノクロなんですね」とよく言われてました(笑)。「いや、じつはいっぱい使っているんですよ、セピアの部分に」と思っても、誰もわかってくれない。ある意味、ぜいたくな色使いをしていました。

高橋 山口さんは、もともとデザイナーとして入社なされたんですよね。それを聞いて納得しました。ほかのPC98ゲームとは違うなと思いながら、つぎに受けた衝撃は“信じる、信じない?”ですね。でも考えてみると、きっと大航海時代は、受けた報告を信じるか信じないかによって、世界の見えかたが違うんだろうなと。

山口 最初に地図を作るゲームにしようと思ったのは、その当時の人になってもらいたかったということがあります。当時の人の気分を味わってもらうための苦肉の策として、「信じない」もあっていいじゃん? ということで。

高橋 その大胆さはすごいと思いますね。その「すごい!」が続いて、何年かに一回は、『ATLAS』を遊びたいなという気持ちがわいてくるんです。思えば昔、『ログイン』の記事をご存じの方もいると思いますが、“走れゴメス!”というコーナーで、海賊風の格好で町中であちこち撮影をしていました。ハウステンボスに行ったときは、スタッフと間違えられたくらいです。ファンの方といっしょに写真も撮ったりね。それくらい、思い出深いゲームです。

山口 第一作を作ったとき、ピョン太さんも取材に来てくれておもしろいと言ってくださったんですが、ユーザーの方が本当におもしろいと思ってくださるか不安だったんです。初めて世に出す自分のゲームだし、自分の妄想をゲーム化したようなところもあったので。完成して『ログイン』編集部にサンプルを送ったのですが、その後に編集部より連絡があり、「編集部で流行ってます。みんな遊んでますよ」と。これは本当にうれしかったですね。

高橋 インパクトの強い“肉人”というキャラクターがゲームにいて、そのころはみんなが意味もなく“肉人”と言ってたり。この『ネオアトラス 1469』にも“肉人”はいるんですよね? プレイヤーそれぞれに思い入れのあるキャラがいて、また会いたくてプレイしたくなる。それもこのシリーズの魅力だと思います。

山口 世界が丸いかどうかも決まってない。証明されるまではわからないというのも、このゲームの特徴です。昔の人はジパングに行きたかったけど、アフリカの先を回るのは怖い。それで逆から回ってみたのがコロンブスなんですね。そんな価値観をゲームにしたいという思いがあり、それと地図を作るという妄想がくっついて、『ATLAS』シリーズになっている感じですね。

高橋 今作でも、「喜望峰を目指せ」とかいろいろ言われて、一応そちらも目指すのですが、やっぱり違うところも見たいんですね。結果、なかなか先に進まない(笑)。ストーリーもあるけど、ちゃんと自由度も高いところが、クセになります。これは当初から、コンセプトとしてずっとありますよね。

山口 この最新作は、昔の『ATLAS』シリーズが好きだった人が「アレはおもしろかったよな」と脳内補完しているような、昔ながらによかった部分はそのまま形になっている作品にしたいと思ったんですね。UI(ユーザーインターフェイス)やシステムはそのまま持ってきたら、いまのユーザーにはキツいでしょうし、そこは考慮しています。でも、ゲームの本質は何も変えてないです。ファンは「これが『ATLAS』だ~!」と思い、新規ユーザーは「なんだこの斬新なゲームは!」と思う、そんなゲームになってほしいです。

高橋 ちなみにガイド役のミゲルは、じつは山口さんがモデルだという話をお聞きしたのですが……。

山口 『THE ATLAS』から『Neo ATLAS』に移るころに社内で、手こずっている人たちにアドバイスをしていたんです。そのうちに、「なるほど。こんなキャラクターを作ればいいんだ」と思い立ち、ミゲルを作ったんです。だから、原形は僕なんですね。

高橋 もうひとつ、気になることがあるんです。ほかのキャラクターとのストーリーの絡みも楽しみなのですが、たとえばマリアとか、女性キャラクターが可愛くないですよね!? ここがふつうのコンシューマーゲームとひと味違うというか、ひよってない気がします。

山口 でしょう!? いま風じゃない、絶妙なところで。

高橋 失礼ですけど、アレが『ATLAS』に出てくる女性キャラクターだよだなって、もう一目瞭然というか。そこが好きなところですね。

山口 デザイナーともさんざん打ち合わせしたのですが、いい感じに仕上がったと思います。

高橋 あと、“イブラークの骨”ってありますよね。アレは今回も出てくるんですか?

山口 ありますよ、今回も。

高橋 これも思い出のひとつですが、ネーミングの由来がありますよね。ぜひ山口さんから皆さんに……!

山口 アイテムのアイデアは、焼肉屋で打ち合わせをしていたときに決まりました。ちょうど骨付きカルビを食べていたんですね。これがいいんじゃない? となって、ネーミングを考えたときに、カルビのスペルをひっくり返して、“「KARBI」→「IBRAK」(イブラーク)”、すなわち“イブラークの骨”になったというわけです。

高橋 このエピソードはずっと覚えていて、『ATLAS』シリーズ最新作が出るたびに、“イブラークの骨”があるのかどうかがいつも気になるんですよ(笑)。

山口 そういうシャレで入れている要素もあれば、ちゃんと史実に基づく要素もあるなど、ごちゃ混ぜのカオス的な部分も、このシリーズの楽しいところだと思っています。ちょうど大航海時代は、さまざまな事項が伝説から科学へと移り変わるときで、それはそのまま『ATLAS』シリーズの世界観となっています。もともとゲームを思いついたのも、古地図を見てて、これをゲームにしたいなと思ったからですしね。ゲームの開発当初の仮称は『東インド会社』だったくらいで、実行ファイルは“indo.exe”でしたよ(笑)。

高橋 当時の山口さんは、いままでとは違うものを産み出してくれる雰囲気があったし、アートディンクの別な面としてすごくおもしろく感じましたね。

山口 でもアートディンクらしさは、いまも僕に染み付いている気がします。アートディンクのゲームは、“世界を作る”みたいなところがあるんですよね。『A列車で行こう』もそうだし、『カルネージハート』もそう。ユーザーが楽しく遊べる世界を作るのが、ゲームデザイナーの仕事だと思っています。

高橋 ノリもテーマも全然違うんだけど、でき上がってくるゲームはどれも、独自の世界を形成している印象があります。それがアートディンクらしさということですね。

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▲和気あいあいの雰囲気のなかで進んだトークショー。

喜望峰まで遊べる体験版も配信決定!

 トークショーも終了し、イベントはフィナーレに。ここで清道プロデューサーより、体験版の配信が決定したというトピックスが発表された。配信時期は未定だが、喜望峰までプレイできる内容になる予定。セーブデータは、製品版に引き継ぎできるという。
 あわせて高橋氏も、これから自身のツイッターで、先行プレイの過程をつづる航海日誌を配信していくことを報告。メーカー公認となる発売前のプレイリポートとなるので、購入を検討しているファンにとっては参考になるはずだ。

 最後は参加したファンへの配布グッズ紹介に続き、特製ポロシャツの獲得をめぐってのジャンケン大会があり、イベントは無事に閉幕。山口氏が「ぜひこれを機会に、本作の宣教師となって、楽しさをアピールしてください。ありがとうございました!」と、参加ユーザーへの感謝を込めたコメントで、イベントを締めくくった。

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▲来場者へのおみやげグッズを紹介する清道プロデューサー。
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▲イベントはポロシャツを争奪するジャンケン大会で、にぎやかなままフィナーレとなった。