ハイエンドに新機軸IP、ビッグタイトルの初RPG作など話題作が選出

 2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催されていた東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデイ)。最終日となる18日、メインステージにて“日本ゲーム大賞2016(Japan Game Awards2016)”フューチャー部門授賞式が行われた。

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_01

 日本ゲーム大賞のフューチャー部門は、東京ゲームショウ2016に発表、出展された未発売作品を対象に、開催期間中の9月15日から17日までの3日間で来場者投票を実施。多くの支持を得た作品の中から、日本ゲーム大賞選考委員会の審査を経て、今後が期待される作品が選出されるというもの。
 ここで、本年のフューチャー部門受賞の全10作品と受賞者のよろこびのコメントに、ユーザーを代表して行われたプレゼンターからの質問のやりとりを紹介していこう。

龍が如く6 命の詩。
 セガゲームス

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_02
▲写真中央:名越稔洋氏(『龍が如く』シリーズ総合プロデューサー)

・受賞コメント
名越氏「この賞をいただいたのはこれで9回目くらいになりますが、毎回ドキドキしています。今回は桐生一馬の区切りの作品になっているので、この賞はぜひとも欲しいと思っていたのですが、こうして受賞できて感謝しております」

・質問
−−今回、楽曲の提供で山下達郎さんを起用されていますが、どういった経緯で選ばれたのでしょうか。
名越氏「『龍が如く』にはロックなどがマッチすると普通は思われますが、じつは裏側にある感動的な人間ドラマを感じ取ってもらいたいという部分がテーマになっているので、そうすると山下さんがバッチリはまるんです。今回のシアターでも流れていますが、聞いて頂くと皆さんに納得して頂けています」

−−今作は桐生一馬の最終章と銘打たれていますが、物語のポイントなどを教えてください。
名越氏「桐生はもう48歳。普通ならあんな激しいアクションはできない年齢ですが、そこはゲームなので多少盛っています。シリーズ1作目の頃、この作品がシリーズ化して、遥ちゃんが大きくなって、恋愛したりお母さんになったらどうなるんだろう、なんて冗談をよく話していたんですが、そんな日を迎えることができました。こうして続けてこられて、リアルな人間の一生を描くことができてしあわせに思っています。人の人生は永遠には続かないので、桐生がかっこよく終われるところはどこなんだろうということは、何年か前から考えていました。それがここだろうということで、決断をしたと解釈してください」

ファイナルファンタジーXV
 スクウェア・エニックス

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_03
▲橋本真司氏(スクウェア・エニックス 執行役員)

・受賞コメント
橋本氏「ファイナルファンタジーXV」は、発表してから約10年の歳月が経ちましたが、今回の受賞は、これから発売に向けてのますますの励みになります。皆さまの応援があってこその『FFXV』ですので、投票ありがとうございました」

・質問
ーーいよいよ発売が迫ってきましたが、いまの心境をお聞かせください。
橋本氏「いまはとにかく早く出して、ゆっくり休みたいです(笑)。ハードの変更など、いろいろと紆余曲折がありましたが、時代の流れと我々のやりたいことが、やっと実現するのかなという思いです」

ーー日本を代表するソフトということで、皆さん期待していると思いますが、作品の仕上がりに関してはどう思われていますか。また、発売日は大丈夫ですよね
橋本氏「世界中の皆さんやメディアの方に触っていただいて、公表をいただけているので、いまはそこからさらに磨き上げているところです。完成度をさらに高めて、皆さまの前にお出しできたらと思っています。発売は大丈夫です」

バイオハザード7 レジデント イービル
 カプコン

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_04
▲写真左:川田将央氏(『バイオハザード7 レジデント イービル』プロデューサー)、写真右:神田剛氏(『バイオハザード7 レジデント イービル』プロモーション・プロデューサー)

・受賞コメント
川田氏「今年、東京ゲームショウは20周年を迎えているそうですが、『バイオハザード』も今年20周年を迎えております。この節目の年に、このような賞をいただき、大変感謝しております。ありがとうございました」

・質問
−−ブースで、みんな悲鳴をあげているのが印象的でしたが、それを見てどう思いましたか。
川田氏「怖すぎるんじゃないですかとよく言われるんですが、ゲーム全般を遊んで頂ければ、エンターテインメントとして楽しめる作品に仕上がっていることがわかると思います。皆さん手にとって遊んでください」

−−前作から内容をガラリと変えられたり、体験版の配信を行われたり、VRにも対応したりと、本当に攻めているなと思いますが、これまでと意識して変えられているところはどこになりますか。
川田氏「今回は全般的に変えています。とくにカメラ視点が主観視点(アイソレートビュー)に変わったことで、よりダイレクトに恐怖を感じていただけると思います」

めがみめぐり
 カプコン

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_05
▲写真左:小林裕幸氏、写真右:野中大三氏(『めがみめぐり』プロデューサー)

・受賞コメント
小林氏「『めがみめぐり』は、シリーズタイトルが多い中、完全新規IPとして開発しております。いろいろな仕掛けを盛り込んだ意欲的な作品として、自信を持って作っていますので、よろしくお願いします」

・質問
−−一見するとカプコンさんらしくない作品に思えますが、このプロジェクトを起ち上げたきっかけを教えてください
小林氏「元々は、野中プロデューサーがニンテンドー3DSで、交通系ICカードを使った遊びをしたいという企画から始まったんです。最初はツクモちゃん(『めがみめぐり』の主役)もいませんでした。ICカードの履歴情報を使ってコミュニケーションを取ったらどうだろうといったところから、こうして発展してきました」

−−新規IPのタイトルになりますが、いちばん見て欲しいポイントはどこでしょう
小林氏「ツクモちゃんとのおしゃべりコミュニケーション。これに尽きます。新技術を導入していることで話題が先行していますが、中身はカプコンらしく、こだわり抜いたコミュニケーションゲームになっています。そこの部分をぜひ見てください」

モンスターハンター ストーリーズ
 カプコン

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_06
▲辻本良三氏(『モンスターハンター ストーリーズ』プロデューサー)

・受賞コメント
辻本氏「『モンスターハンター』シリーズはこれまでアクションを続けてきましたが、『モンハン』シリーズのもうひとつの柱として起ち上げた企画が、『モンスターハンター ストーリーズ』です。シリーズとして、はじめてRPGというジャンルに飛び込んむ作品ですが、シリーズの名に恥じないタイトルを作ろうという気持ちでここまできました。僕たちの気持ちのこもった作品をぜひ遊んでください」

・質問
−−シリーズもので異なるジャンルを作るのは難しいと思いますが、デザイン面などで気をつかわれた部分はどこでしょうか
辻本氏「モンスターにスポットを当てた作品にしたいので、より愛着が沸くようにデザインのデフォルメもしています。また、絆と目覚めをテーマにしていますが、そういった冒険心を絵にしたいというところもありまして、ここに至るまでいろいろなタッチを検証して、この絵柄になっています」

−−『モンハン』シリーズを遊んだことのある人、遊んだことのない人、それぞれにオススメするポイントは
辻本氏「本作はさまざまなモンスターが出てきますが、いままでシリーズを遊んできた方は、これまで培ってきた経験や知識が役立つはずです。アクションゲームということで、『モンハン』を敬遠されていた方も、本作はRPGですので、時間をかけてレベルをあげていけば、必ずクリアーできます。ぜひ皆さん、遊んでください」

Horizon Zero Dawn
 ソニー・インタラクティブエンタテインメント

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_07
▲石立大介氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント ローカライズプロデューサー)

・受賞コメント
石立氏「じつは本作を開発しているゲリラゲームズのスタッフが、今朝日本を発ってしまいました。ですが、飛び立つ寸前に受賞のことを伝えることができ、大変よろこんでいました。日本の皆さんに投票していただいて、この賞を受賞できたことを誇りに思っています。皆さまにいい作品を届けられるようにがんばりますと、メッセージをもらっています」

・質問
−−新規タイトルとして期待されていると思いますが、そのことについてどう思われていますか
石立氏「E3やGamescomにも出展させていただいたところ非常に好評で、今回のTGSでもメディアさんからの賞もいただいており、非常に期待が高まっています。ゲリラゲームズもそのことを重く受け止めていて、新規IPに似つかわしくない完成度の作品に仕上がっていると思います。アクションの手触りが素晴らしく、遊んでいて楽しくなる作品です」

−−ローカライズプロデューサーとして、期待して欲しいところはどこになりますか
石立氏「ローカライズチームが、『アンチャーテッド』と同じチームが担当しているんですが、リーダーがRPG大好き人間なので、そのローカライズが素晴らしいということと、敵の動きと、それをいかにして倒すかという戦略性が楽しいので、そこをじっくり味わってください」

仁王
 コーエーテクモゲームス

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_08
▲鯉沼久史氏(『仁王』プロデューサー)

・受賞コメント
鯉沼氏「フューチャー部門ということで、2005年に発表している『仁王』がもらっていいのかという思いもありますが、いよいよ完成の目処がつきました。2回作り直して、3回目でようやく手応えのある作品になりましたので、ぜひ期待して待っていてください」

・質問
−−いま、バランス面での調整を行っているところだと思いますが、最終的にどれくらいの難易度で提供されるのでしょうか
鯉沼氏「α版のときには、国内では難しすぎるといった声を聞きました。前回出したβ版の難易度でいいんじゃないかと思っていますが、もう少し気持ち良く遊ばせて欲しいと言う意見を世界中からいただいています。いまは徐々に回答させてもらっていますが、やればやるほど遊びやすくなるように調整しているところです」

−−チームNINJAとしても新しいチャレンジですよね
鯉沼氏「最初に発表したときは、コーエーで作っていたんですが、そのあとにシブサワとチームNINJAがコーエーテクモで作り出し、私が加わってダークファンタジーの色とストーリー性をしっかりとさせていきました。チームNINJAのセンスが活きたアクションゲームになったのではと思っています」

サマーレッスン 宮本ひかり セブンデイズルーム
 バンダイナムコエンターテインメント

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_09
▲玉置絢氏(『サマーレッスン』ディレクター)

・受賞コメント
玉置氏「このような権威ある賞をいただき、ありがとうございます。予定が合わずにこちらにこられなかった原田(原田勝弘チーフプロデューサー)もよろこんでいました。いま、私たちが作っているものは、VRのキャラクターコンテンツなんですが、それがこのように日本のゲーム業界の未来の選択肢のひとつとして選ばれたことをうれしく思っております」

・質問
−−今年のTGSはVRが盛り上がっていますが、その中でもVRを代表するソフトとして今回フューチャー賞を受賞されました。ユーザーの反応あってのものだと思いますが、いかがでしょうか。
玉置氏「キャラクターが目の前にいるという体験がすごいということはわかっていたんですが、それが指示されるのか。ユーザーの方から、あのソフトはいつ出すのか? 早く遊びたい、といった声をたくさんいただけて、こういったことを覚悟を決めてやるということが、この日本のゲーム業界でありなんだなと思いました。ユーザーの反応のお陰で、ここまでこられたのは間違いないです」

−−この先、VRを使ってやりたいことがあれば、言える範囲で教えてください。
玉置氏「現時点で、“こういったことができたらいいのに”という声をたくさんいただいていますので、その中から“これだったらできるかも”というものをピックアップしていくというものがあります。それと、キャラクターが本当にそこにいるということがテーマなので、より強い臨場感を味わえる体験だったり、そのキャラクターと何がしたいか、期待に応えるシチュエーションを提供していきたいと思います」

人喰いの大鷲トリコ
 ソニー・インタラクティブエンタテインメント

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_10
▲北尾泰大氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント 宣伝担当)

・受賞コメント
北尾氏「本来なら、製作チームのメンバーが立つべき場ですが、現在発売に向けて全力で開発に取り組んでいる最中ですので、代理で受け取らせていただきます。本作は、じつは昨年もこの賞をいただいており、そのあとに延期を発表させてもらいました。発売を楽しみにされていた人たちには本当に申し訳ないのですが、それにも関わらず、今年もこうやって投票していただいたことをうれしく思っています」

・質問
−−雰囲気がキモになっている作品だと思いますが、プロモーション展開で気をつかわれていることはありますか
北尾氏「このゲームは、いろいろと見せすぎてしまうと、それがネタバレになってしまいますので、あまり見せないということを意識しながら、でもたくさんの人に知ってもらうよう、ビジュアルイメージやロゴの形など、製作チームがこだわったものをひとつひとつ大事に、できるだけ大きく扱うといったことをやってきました」

−−北尾さんはプレイされていると思いますが、実際にプレイするとどんなゲームなんでしょう
北尾氏「本当に生き物といっしょに行動している気持ちになります。たとえば、トリコは樽が好物なんですが、その樽が間違って顔に当たってしまったとき、ついテレビ画面に謝ってしまうといったような、動物と戯れている感覚を味わうことができます」

GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択
 ソニー・インタラクティブエンタテインメント

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_11
▲外山圭一郎氏(『GRAVITY DAZE 2』ディレクター)

・受賞コメント
外山氏「近年でも希に見る大作が揃っている年にこのような賞をいただき、ありがとうございます。チームメンバーも、もともとは携帯機ということで少人数から始まった少人数の職人気質の集まりですが、今回の受賞はみんなの励みになると思います」

・質問
−−ほかに比べるもののない独特の作品だと思いますが、それがPS4になったことで、ここを見て欲しいというポイントがあれば教えてください。
外山氏「主人公の動きに巻き込まれる周りの破片の挙動の説得力や、風景のリアリティ、自然な空気感など、PS4というハードの性能から受ける恩恵が大きくて、前作より格段に没入感が増していると思います。操作のシンプルさを崩さずにできることを増やすといったことをチームで考え、結果多様なアクションが実現できているので、そのあたりも期待していてください」

−−開発は順調に進んでいますか。
外山氏「規模が大きくて大変ではありますが、順調に進んでいます」

 10作品の日本ゲーム大賞2016 フューチャー部門の授賞式が終わったところで、日本ゲーム大賞選考委員の浜村弘一氏より、講評が行われた。

“日本ゲーム大賞 2016”フューチャー部門・受賞者たちのよろこびの声を紹介【TGS 2016】_12
▲浜村弘一氏(角川取締役・日本ゲーム大賞選考委員)

浜村氏「率直な感想をいうと、ハイエンドがようやく来たなということを強く感じました。見てもらえればわかりますが、10作品中8作がハイエンド系のゲームになっています。海外ではハイエンドゲームが記録的なスピードで普及していますが、日本はどうしても携帯ゲームが中心になっていて、そんななかでこれだけハイエンドのゲームが揃ったというのは、注目に値することだと思います。この年末年始は、人気作のナンバリングタイトルや、構想10年以上という作品がずらっと揃います。惑星直列という言葉がありますが、まさにそんな感じでビッグタイトルがずらっと並ぶ。恐らく強烈な引力が発生することでしょう。この引力によって、ゲームがもう一回大きく伸びるのではないかと思っています。また、携帯ゲーム機でもまったく新しい機軸のICカードを使うものや、ビッグIPのRPG作品などもあって、年末年始もおもしろいゲームが市場を引っ張ってくれるのではないかと、期待しています」