これはエイプリルフールネタではありません

 PC用VRヘッドマウントディスプレイOculus Riftが3月28日より正式ローンチ。すでにお届けしたハードウェア周りについてのリポートに引き続き、注目のソフトウェアを連日紹介していく。

 本日紹介するのは、Guy Godin氏によるユーティリティソフト“Virtual Desktop”。現在Steamで配信中で、価格は1480円。4月5日より発売されるHTC ViveをはじめとするSteamVRのVRヘッドマウントディスプレイはもちろんのこと、Oculus Riftにも対応している。

Webサーフィン(死語)だろうがツイートだろうがなんでもできるぜ

 Virtual Desktopは、その名の通りVR空間内にデスクトップ環境を映し出すソフトウェア。Steamでソフトを起動し、Oculus Riftを被ると、使い慣れたデスクトップが映しだされた巨大なバーチャルスクリーンが目の前に出現!
 仮想スクリーンのサイズや、周辺の背景(朝焼けの草原だったり宇宙だったりゴージャスなホームシアターだったり)、スクリーンの湾曲具合などは自由にエディット可能。背景は付属のエディターで自作することもできる。またサブ機能として、360度写真や動画のプレイヤーにもなる(Oculus Riftの公式ソフトに同内容のものがあるが)。

VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_07
▲VR画面からツイッター閲覧&ツイート。技術の無駄遣い。
VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_06
▲YouTubeを再生中。映像系のコンテンツは特に相性がいい感じ。
VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_01
▲スクリーンの形状やサイズ、背景など、いろいろ設定可能。VR内からバーチャルデスクトップを配信したい人は映像のミラー出力をオンにして、OBSなどの配信ソフトで取り込もう(この記事の映像もそうやって作っている)。
VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_02
VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_04
▲背景を作るエディター機能も。Steam Workshopを通じてほかのユーザーに共有することも可能だ。
▲360度写真・動画のビューワー機能も。

 というわけで具体的に何が出来るかというとズバリ、Windowsのデスクトップで行えるあらゆる作業が可能。例えば、映画の視聴、メール、チャット、ツイート、映像編集……実はこの原稿もバーチャルデスクトップに表示されたGoogle Chromeで、Google Docsを使って書いているぐらいだ。まぁOculus Riftをかぶっているためにマウスもキーボードも見えないので、ほぼ手探りでブラインドタッチしなきゃいけないのだが。

VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_05
▲キャプチャーをするために解像度の低いサブウィンドウに出力したので文字がガビガビだが、実際のVR画面は高解像度で文字もちゃんと読めている。

もちろんPCゲームもプレイ可能

 ところで、PS VRのシネマティックモードなど、VRヘッドマウントディスプレイを開発・提供する各社とも、非VRのゲームや映像をVR空間の大きなバーチャルスクリーンでプレイできる仕組みを準備中。VR対応コンテンツ以外も現実空間の制限を受けないVRのメリットを受けられる、重要な機能として扱われている。

 Virtual Desktopは通常のデスクトップでできることをそのままVR世界内に持ち込めるので、もちろんPCゲームをこうしたバーチャルシアター形式でプレイ可能だ。
 今回ソフトの検証にあたって、インディーアクションゲーム『Hyper Light Drifter』と『Downwell』をVirtual Desktopの大スクリーン(視野角145度分)で遊んでみたが、結構ハードコアなアクションなのに、遅延もそこまで気にならず遊べてしまったのが驚き。仮想大画面&Riftの高品質なヘッドフォンのおかげで、映画館でプレイしているような気分で堪能した。

VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_08
VR空間にデスクトップ環境をそのまま持ち込む究極のソフト『Virtual Desktop』が登場。ゲームしたり原稿書いたりしてみた【Rift Launch】_03
▲ゲームはVirtual Desktop側に実行ファイルを登録する形で行う。フルスクリーンでもウィンドウモードでもプレイ可能だ。

 ただし、Steam本体のVRモードがすでにバーチャルリビングルームで非VRゲームを遊べるシアターモードを搭載しており、そのVRモード自体のOculus Rift対応も行われたので、Steamで購入した非VRゲームを遊ぶだけなら、Virtual Desktopを購入する必要はない。ブラウザゲームも遊びたいとか、デスクトップをそのまま持ち込めるという部分に魅力を感じる人はVirtual Desktopの導入を検討してみるといいだろう(SteamVRのシアターモードもデスクトップを表示すること自体はできるが、現状はあまり実用的ではない)。

 Virtual Desktopはあくまで実際のデスクトップ画面をVR空間に投影するというだけで、SF映画のような「仮想3次元空間にウィンドウが浮かんでいて自由に操作できる」という類の体験ではないのだが、すでに実用可能なレベルにはなっており、非常に大きな可能性を感じる。今後こういったユーティリティソフトの分野でどんな発明が行われるのかも興味深いところだ(個人的にはVR空間に場所がオーバーレイ表示されるキーボードとマウスが欲しい)。