全世界で150万個以上の販売実績を誇る人気作

 いまボードゲームが流行しているみたいだけど、どれから遊んだらいいかわからない……。そんな方に向けて、「これこそが鉄板!」というオススメゲームを紹介していく"ボードゲームガイド"の第2回!

 今回は、想像力と表現力でゲームを進めていく『ディクシット』を紹介しよう。抽象的なイラストから言葉を想像し、それをみんなに伝えていく。何とも不思議なゲーム感覚だが、プレイした瞬間からその魅力にとりつかれる人が続出し、数々のゲームアワードを受賞。全世界で150万個以上の販売実績を誇るベストセラーゲームなのである。

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▲ゲームのパッケージ。
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▲パッケージの中身(写真左)。箱がそのまま得点ボードになっている(写真右)。

イラストから想像できる言葉でゲームをする!?

 『ディクシット』は2008年にフランスで発売されたボードゲーム。作者はジャン=ルイ・ルービラ氏で、日本版はホビージャパンよりリリースされており、3人から6人までプレイ可能となっている。ルールは非常に簡単でプレイ時間は30分程度、親が選んだカードがどれなのか当てるゲームだ。

 以下、4人で遊ぶ場合を想定して説明していこう。

 プレイヤー全員にカードが6枚ずつ配られ、これが手札となる。カードの絵柄を見ると、下の写真のとおり、どれも抽象的ながら印象的なイラスト。「どう表現したらいいんだろう?」なんて思ったキミ、じつはそれこそがこのゲームのキモなのだ。

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▲全員に6枚ずつカードが配られる。カードを1枚出すが、その後6枚になるように山札から補充するので、基本的に手札はつねに6枚。手札の表側となるイラスト側は、ほかのプレイヤーに見せないようにする。

 親プレイヤーは手札6枚の中から1枚だけ選んで、そのイラストを言葉で表現、声に出して宣言する。このお題となる言葉は、どういうものでもいい。「恐怖」、「たくさん」という一般的な単語でもいいし、「ブクブク」、「ガッシャーン!」といった擬音でもいい。映画のセリフを引用したってかまわない。

 ほかの子プレイヤーは、その言葉に合うカードを手札から選び、裏にして場に出す。親プレイヤーは自分が出したのも含めて場に置かれた人数分のカードをシャッフルし、表にして並べていく。

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▲手番(親)のときは、手札からカードを1枚選び、そのカード(イラスト)を表す言葉(お題)を全員に宣言する。

 たとえば、いま自分が親で手札が上の写真のような状態だったとする。いちばん左の猫が水槽の金魚を狙っているカードを選び、そのイメージは「逃げたい」と宣言。この段階ではまだ誰にもこのカードを見せない。親以外の残り3人は、「逃げたい」に適していると思うカードを自分の手札から出す。

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▲親も含めてプレイヤーはカードを裏にして出す。これを親がシャッフルしてから表にして並べる。

親が出したカードを当てるだけなのに難しい&楽しい!

 さて、ここからがいよいよ本番だ。親以外のプレイヤー3人は、親が選んだカードを当てなければならない。もちろん、自分が提出したものはわかっているので、残り3枚の中からひとつ選ぶことになる。「親が決めた“逃げたい”カードはコレだろう」というのを選ぶのだ。

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▲子プレイヤーは、どれが親プレイヤーが選んだカードなのかを選択。番号が書かれた投票タイルを裏にして置く(写真左)。全員が投票したところでカードオープン。上の写真の場合、赤と青プレイヤーが1、緑プレイヤーが2を選んだ、ということになる(写真右)。カードの上に並べてあるのは親(黄色)の投票タイルで、カードごとの番号をわかりやすくするために置いてある。

 子は、正解すれば得点、外れれば得点ナシ、というのが基本だ。一方、親は全員に当てられると0点、さらには当てた子プレイヤーがひとりもいない状態(全員に外される)でも0点となる。これが本作のキモで、何人かに当ててもらうと得点になるため、適度にわかってもらえて適度に外してもらえるような言葉を選ぶのが重要となるのだ。

 また、子は自分のカードを誰かに選んでもらうことで得点になるため、自分のカードこそが親だとまわりに勘違いさせるようなカードを出すのがポイント。もっとも得点が高い人が勝者となるので、積極的に得点を狙うといい。

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▲このカードならどんな言葉を選ぶ?

 最初、慣れないうちは言葉を考えるのが難しく、つい見たままで表現してしまいがちだ。たとえば上写真のカードで親が「背中合わせ」なんて言ったら、その言葉に適合するカードはほかになさそうなので即バレてしまいそう。だが「オレンジ」だったらどうだろう。

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▲「オレンジ」など、色をお題にすると、似たようなカードが多く出た場合は当てにくくなる。

 オレンジ色を基調としたカードは多いため、これを当てるのはなかなかやっかいだ。ただし、前述したように、誰かに当ててもらえないと親は得点できないので、リスクも多い。

イマジネーションでコミュニケーションする醍醐味!

 このゲームをプレイしていると、楽しい瞬間が何度もやってくる。親がカードをイメージした言葉を発したとき、みんな一斉に「ええ?」、「そんなカード持ってない!」と悩み出す場面もそのひとつだ。

 「うわー、どうしよう……これかなあ……」、「決まらない! わからん!」

 などとみんなブツブツ言いながらカードを選ぶ。最終目的は「スコアを伸ばして勝利する」ことなのだが、「親のとき、いかにみんなを悩ませるお題を出せるか」というほうに、ついつい力を注いでしまう。みんなのリアクションが、少しずつ快感(?)になってしまうのだ。

 答え合わせの瞬間も盛り上がるポイントのひとつだろう。プレイを続けていると、まわりの人のクセがだんだん見えてくる。この人ならこのカードを選びそうだ、ということがわかってくると、独特な駆け引きや読み合いが発生したりするからますますおもしろい。

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▲カードの種類は84枚。自分の手番が回ってくるまでに、どのカードでどういう言葉にするかあらかじめ考えておくといいだろう。

 『ディクシット』は、ゲームシステム的におもしろいというよりは、コミュニケーションの楽しさがウリと言っていいだろう。プレイ中は、ほかのボードゲーム以上に会話が生まれて、すごく盛り上がる。女性人気が高いと言われている『ディクシット』だが、こうしたおしゃべりを楽しめる部分もその要因なのかもしれない。

 また、カードに書かれたイラストにも注目してもらいたい。何とも抽象的で個性的なイラストは女性受けがよく、プレイしているだけで刺激を受ける。イラストを眺めるために購入してもいい価値がある。

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▲6人で『ディクシット』をプレイしたときの写真。ボードゲームを初めて体験する方もいたが、とても気に入った様子だった。

 ゲームシステムは単純明快ゆえ、マニュアルには「あなたたちのオリジナルルールを作ってもかまいません」と書いてある。お題に何らかの縛りを設けるというのは、ローカルルールとして楽しそうだ。

 『ディクシット』は人気かつ定番タイトルなので、入手するのは比較的簡単だ。量販店のおもちゃコーナーに置いてあることも多いので、手に入れたい人はチェックしてみよう。

 『ディクシット』本体だけではモノ足らなくなったら、追加カードが入った拡張セットを入手するといい。拡張セットは『ディクシット:クエスト』、『ディクシット:ジャーニー』、『ディクシット:オリジン』、『ディクシット:デイドリーム』、『ディクシット:メモリーズ』が発売されており(『~メモリーズ』のみ2016年1月31日発売予定)、それぞれ84枚の新しいイラストカードが入っている。『ディクシット』だけでは生み出されることのなかった言葉が、拡張セットによって誕生するかもしれない。お気に入りの1本となったら、こちらも合わせて揃えていきたい。

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■ディクシット
デザイナー: ジャン=ルイ・ルビラ
日本語版発売元:ホビージャパン
発売日:発売中
価格:4500円[税抜]
プレイ人数:3~6人
ゲームルール説明時間:10分
ゲームプレイ時間:30分
対象年齢:8歳以上
備考:2010年ドイツゲーム大賞受賞

[短評]
ゲーム難易度:★☆☆☆☆
運要素:★★☆☆☆
思考要素:★★☆☆☆
オススメ:★★★★☆
こんな人に、こんなときにプレイ!:初めてボードゲームを遊ぶ人がいる。6人くらいで賑やかに遊びたい。勝敗にこだわらないで盛り上がりたい。

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