世界を熱狂させる『フォールアウト』シリーズ、その最新作を触る!

 2015年12月17日。オープンワールドRPGという、いまやベーシックとなったこのジャンルに、新たな歴史が刻まれる。そう、『Fallout 4(フォールアウト4)』(以下、『フォールアウト4』)が日本で発売される日だ。

 そもそも『Fallout(フォールアウト)』とは、どのようなゲームなのか? 舞台となるのは、核戦争後の世界。1997年にPCで発売された第1作から、2008年に発売されてその名を一気に高めた『フォールアウト3』、スピンオフ的な作品となる2010年発売の『フォールアウト:ニューベガス』を通して、アメリカのさまざまな都市をベースに壮大な物語を紡いできたシリーズだ。いわゆる“ヒャッハー!”的な世紀末物語ではなく(その要素ももちろんあるけれど)、生き残った人々の思惑や陰謀が交差し、背景が明らかになることで見えてくる、壮大かつディテールが詰まった世界観が、高い支持を受けた理由のひとつである。武器や防具など、徹底的に作り込めるカスタマイズ。どのように物語を進めていくのかは、プレイヤー次第となる自由度。ただ過酷なだけでなく、どこかユーモアを感じさせるエッセンス。字面だけではありきたりと思われるかもしれないが、すべてが『フォールアウト』独自の視点で描かれることで、唯一無二のゲームとなった。

 それだけに熱狂的なファンを生み出し、過去作をプレイし続けるユーザーが世界中に存在するほどのシリーズとなったわけだ。そんなシリーズの最新作となる『フォールアウト4』が、ヒットしないわけがない。事実、海外では発売初日に1200万本という驚異のセールスを記録した。そして、世界中でいまも多くのプレイヤーを楽しませている。その模様を指をくわえて見ているしかなかった日本のファンたちも、いよいよその手でウェイストランドに旅立つ日が近づいてきた。そこで今回は、特別に先行体験できた日本語版(プレイステーション4)のプレイインプレッションをお届けしよう。ただし、あくまでファーストインプレッションであり、詳細はできるだけ明かさない。とはいえ、発売まではできるだけ情報をシャットダウンしたい人は、ここまでにしてほしい

いよいよ発売が迫る『Fallout 4(フォールアウト4)』日本語版のファーストインプレッションをお届け!_01
いよいよ発売が迫る『Fallout 4(フォールアウト4)』日本語版のファーストインプレッションをお届け!_02

いざウェイストランドへ! 新しい世界を生き抜く術を体験

 すでにご存じの方も多いだろうが、本作では初めて“核戦争前の世界”が描かれる。ここでは、主人公の幸せな生活が一瞬にして踏みにじられることになるのだが、詳細は省略しよう。衝撃的な展開(これは本作における主人公の目的となる部分だ)を経て、主人公は冷凍睡眠から目覚める。プレイヤーは、何が起きているのかわからないまま、“Vault 111”内で基本的な動作を覚えることに。いわゆる探索と収集、そして戦闘だ。おなじみのラッドローチが徘徊しているが、まあ苦労はしないだろう。むしろ、グラフィックの精度が上昇したおかげで、リアルな“ローチ”っぷりに息を呑むかもしれない……。探索して銃を手に入れられたら楽勝だ。各所にあるターミナルの記録は、きちんとチェックしておく。これを読むのと読まないのとでは、物語の深みが違う。誤解があるので言いたいのだが、本作は単なるFPSではない。シリーズを通して、壮大な叙事詩を描くRPGなのだ。決してストーリーが軽視されたゲームではない。ちなみに既報の通り、フルローカライズされている本作だが、日本語音声は十分にマッチしている。男性主人公役の寸石和弘さん、女性主人公を担当した有賀由樹子さん、おふたりとも落ち着いた中にも凛とした強さを感じられる声で、プレイを邪魔することはない。とくに、岩崎ひろしさん演じるコズワースの声には驚愕するだろう。あまりにもハマっているからね。

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 ようやく“Pip-Boy”を手に入れたら、ウェイストランドへの扉が開く。いよいよ、冒険の始まりだ。ここから何をするのも、無慈悲な世界をいかに生きるのかも、すべてがプレイヤー次第となる。もちろん指針となる目標は示されるが、その通りに進まなくてもいい。ただ、生き残るにはそれなりの準備が必要であり、そのために目標をクリアーしていくことが順当となる。初めてシリーズに触れる人は、画面に表示される目標を目指して移動するといい。

 まずは、とにもかくにも自分の家がどうなったかを知りたい。外は閑散とした、ゴーストタウンと化している。が、その先に懐かしの姿が……! コズワースだ‼ 彼との会話を通して状況を把握したので、廃屋を探索してみることにする。探せば探すほど、あちこちに大量のジャンクパーツが転がっているが、この世界でムダなものは何ひとつない。すべてが資源であり、そこから役立つアイテムを生み出せば、主人公の糧となる。ステータスによって運べる重量に制限があるので、何でもかんでも運ぶわけにはいかないが、「こんなゴミがいるの?」と思うような物でも必要となることが多いので、無視できない。ガレージなどの保管場所を確保して、膨大なアイテムを整理することも、サバイバルのポイントとなる。

 まだ脅威が少ない序盤でぜひ身に着けなければいけない要素が、もうひとつある。それが“V.A.T.S.”だ。AP(アクションポイント)を消費することで時間を一瞬止めて、狙った部位を攻撃するというシリーズ独特のシステムだが、『フォールアウト4』では仕様が少々変更されている。時間が止まるのではなく、“ゆっくりと流れる”のだ。角度によっては狙いにくい部位が発生するので、発動させるタイミング、的確かつ瞬時の判断が求められるようになり、戦闘の緊張感が増した。序盤はそこまであわてることはないが、強力なボスや集団相手だとなかなか手に汗握る展開になる。APも、ステータスの割り振り次第ではすぐに不足するので、ここぞというときに発動するよう、心掛けたい。

 また、CT(クリティカル)値を示すゲージが搭載され、プレイヤーが任意でクリティカルヒットを放てるようになっている点も重要だ。いわゆるシューターが苦手なプレイヤーでも、これらの要素を駆使すれば十分に戦えるので、「難しいFPSなんでしょ?」という誤解は解いてほしいものだ。もちろん、シューティングのスキルがあるに越したことはないが、視点も一人称と三人称を切り換えられることもお忘れなく。

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 これも説明しなければ。仲間(コンパニオン)の存在だ。すでに複数のコンパニオンが登場することは既報の通りだが、なかでも忠実かつ長い時間をともに過ごすであろう“ドッグミート”に注目する。まず、とにかくかわいい。開発者の飼い犬をキャプチャーしているだけあって、しぐさもリアル。「こいつを死なせてはならない!」と思わせるサムシングがある。しかも、超有能。周囲に潜む敵を察知してくれるし、アイテムも見つけてくれるし、いざとなれば敵に飛びかかる果敢な一面を持っている。本作では死にはしないが、ダメージが蓄積されるとその場から動けなくなるので、とにかくムチャを承知で助けたくなることは間違いない。そういうときは大体が複数の敵に囲まれているか、強烈なボスに襲われているときなので、自分も危ない。それでもいいと思わせる魅力が、ドッグミートにはある!

 ほかにもコズワースや人間型など、多彩な仲間が登場するが、犬より魅力的な仲間がいるかどうか(個人の感想です)。己の行動が導くカルマによって仲間の態度は変わるが、きっと犬は自分を裏切らない……はず。仲間がいると敵に対するけん制になるうえに、V.A.T.S.を発動しやすくなるなど、戦闘時にはかなり頼りになる。仲間の体力や行動を気にするのがわずらわしいローンサバイバーでないならば、積極的に登用したほうがいいだろう。

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 ネタバレになってしまうので、ストーリーには言明しないが、先に進むほど敵のバリエーションも多彩になる。そのぶん、こちらもそれなりの装備になっているはずなので、対処の方法も増えていく。レイダーどもを倒して装備をはぎ取れば、十分な武器や防具が手に入れられるだろう。それに、シリーズファンなら驚くくらいのタイミングでパワーアーマーが入手できるのもうれしい。電源が心もとないので乱用は厳禁だが、あのデスクローさん相手にはパワーアーマーでないと、少々キツイかも……。パワーアーマーは初期装備でも十分に強く、頼りになるが、電源の心配が不要になるまでは我慢すべき。移動途中で電源が切れて、動きがにぶくなっているときに襲われてもたまらない。デスクロー相手に活用したら、まずは保管場所を決めることだ。モジュール次第では後にジェットパックで空を飛べるというトンデモ仕様になるので、大事に使おう。

 武器は潤沢としても、銃弾には限りがあるので、出会った敵に片っ端から挑む必要はない。ブラッドバグやモールラットなど、対処はしやすくても集団で襲われるときびしい敵もいるし、強烈かつ俊敏なグールはかなり手強い。いざというときは逃げるのもひとつの手段であることはお忘れなく。どうしても倒せない場合でも、自分の武器と防具、そしてPERKを見直せば、必ず道は開けるはず。その道を探すことも、本作のおもしろさなのだ。

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新しい物語の幕開けまであとわずか!

 序盤しか体験できていないので、当然ながら本作の膨大な世界を完全に把握してはいない(開発者が「400時間遊んでも未知の部分がある」というくらいなのだ)。その範囲でも言えることは、シリーズファンなら本作を遊ばない理由はない。マップは、地下施設のような“縦”の構造を持つ場所がかなり加わっており、密度は過去作よりも確実に濃くなっている。グラフィックに関しては、変化する天候で表現される空気感、細かい部分まで配慮されたライティングは、十分に最新作と呼べるクオリティーになっている。

 まだシリーズ作も触ったことのない人には、「なんてラッキーなんだ!」とお伝えしたい。1日で1200万本も売れた理由には、「あれだけ俺らを満足させてくれたゲームが、今度はどこまで楽しませてくれるんだ!?」という期待があった。『フォールアウト』は、それだけ多くのユーザーに衝撃を与えたゲームだった。その衝撃を、現時点で最高の環境で体験できる人は、“幸運”という以外に何と言えばいいのだろう。

 新たな舞台で始まる、新たな破壊と再生の物語。日本での幕開けまで、あとわずかとなった。じっくりと腰を据えて、真正面から立ち向かえる大人のゲームはそう多くない。時間をかけて、この豊潤な世界を楽しみたい。拠点のカスタマイズなど、まだまだ理解できていない要素もたくさんある。今年はボストン(ウェイストランドの、だが)で、危険な新年を迎えることにしよう。

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