“不思議な空間から帰還する声優”今井麻美ワールドを魅せつける
2015年9月21日（月・祝）に東京の中野サンプラザで、声優、歌手として活躍する今井麻美さんの11thソロライブ“Wonder Place’（ワンダープレイスダッシュ）”が行われた。豪華に作り上げられたステージ上で、生バンドとダンサー陣とともにくり広げられるのは、2015年5月16日に豊洲Pitで行われた自身のバースデーライブ“Wonder Place”の続きの物語。
ライブとして歌やパフォーマンスで魅せるだけではなく、ライブの冒頭から最後まで、ひとつの物語を描き、また披露される楽曲も物語に合わせたものとなっていた“Wonder Place”。その構成は独自性を持ち、声優としても歌手としても活躍する今井さんの魅力を十二分に引き出す内容となり、好評を博した。しかし、このライブの中で、どうしても消すことのできない“事件”が起きてしまい（※詳細はコチラの記事をチェック）、今井さんは忘却時空にあると言われる不思議な空間“Wonder Place”に囚われたままに。“現世”に戻ってこられない“今井麻美”の代わりに“今井麻美’（イマイアサミダッシュ）”として活動を続けているという設定を、2015年5月のライブ以降続けていた。今回の11thライブは、好評を博したバースデーライブ“Wonder Place”の再演という位置づけでありながら、囚われた“今井麻美”を現世へと取り戻すためのライブという位置づけでもあるのだ。要所要所が、前回とは異なる構成となった本ライブ。その物語の大筋は以下の通り。
中野サンプラザでライブを行う“ミンゴス”こと今井麻美さん（※実際は今井麻美’）。『leap of faith』、『AQUAMARINE』と、2曲を披露しながら会場を煽るが、そこへペンギンのようなキャラクター、“アイペン”が唐突に現れる。見覚えのあるその姿に、自身は忘却時空にある不思議な空間“Wonder Place”から帰還したはずであることに疑いを持つ今井麻美’。そして、描かれるのは始まりの物語。あの日、あの時、体験したことが再び蘇る。くり返し紡がれていくWonder Placeでの体験。果たしてミンゴスは、“運命”を覆し、今度こそWonder Placeから現世へと戻ることができるのか？
冒頭が現世でのパートで始まるという、新たな描き出しとなった本ライブ。ステージでは初披露となる『leap of faith』で会場を魅了すると、その後の『AQUARMARINE』では、曲の途中で、アイペンの存在に今井さんが気づくという演出が取り入れられる。ライブ中にペンギンが現れるという、この異様な状況を訝しながら歌い続ける今井さんという構図が非常におもしろく、このとき今井さんは、戸惑いや不安といった感情までも歌声に乗せており、声優ならではの地力を感じさせる“演技と歌唱が融合したパフォーマンス”を見せつけることで、今回のライブ、そして新たな物語へと観客の心をぐっと惹き込んでいた。物語の途中には、用意された3つの鏡から“アイペンが隠れている鏡がどれか”を観客が持っているペンライトで指示するという、観客がライブに参加できる要素も。黄色の鏡、ピンクの鏡、青の鏡、どの鏡を選ぶかという問いかけだったが、2回連続で答えをハズしてしまうという悪夢が再び起きてしまう。しかし、間違えた場合は、間違っていることがその場で告げられるというシステムが取り入られたことにより“事件”は回避。前回のライブでの反省点が活かされ、より進化した“Wonder Place”を体感することができた。
今回のライブで印象的だったのは、物語に合わせて用意された楽曲の数々が、歌詞の変更やセリフの追加などによって、より物語に寄り添った内容になっていたことだ。先述した『AQUAMARINE』での演出や、想いの込められた『サ・ヨ・ナ・ラ』など、物語性をより重視した内容にアレンジされ、楽曲の新たな魅力を引き出した。
また、前回“事件”が起きた、現世へと戻るための選択は、今回は“紫の扉”と“緑の扉”のほかに、もうひとつ謎の扉が用意される。前回“緑”を選んで現世へと戻った記憶を持つ今井麻美’は、緑の扉が正解であることを確信。会場のファンにどちらの色を選ぶか問いかけても、やはり“緑”のペンライトが振られていたため、緑の扉へと飛び込む。もちろん前回の回答は間違いであったため、同じ緑を選んだことで運命を覆すことができず、BAD ENDへと突入してしまう。現世でもなくWonder Placeでもない世界に閉じ込められてしまった今井さん。しかし、現世へと戻りたいという自身の想い、そして今井さんを現世に取り戻したいと願い、さまざまな色のペンライトを振るファンの想いにより開かれた“七色の扉”に導かれた今井さんは、見事にWonder Placeから無事に帰還を果たし、今井さんの帰還を待ちわびた会場のファンとともに『Limited Love』でアツく盛り上がった。
“Wonder Place”から帰還した今井さんはひと皮向けて大きくなったということで、自身のライブやイベントのときに限り、ファンからの「かわいい」という言葉を受け入れると宣言し、中野サンプラザに詰めかけたファンからの「かわいいー！」という大歓声を全身で受け止める。さらに「もっともっと！」というファンの声に応え、その後も2度、3度とファンからの「かわいい」の大歓声を受け止めるなど、これまでの今井さんからは想像できないような姿を見せつけた。そしてここからは、今井麻美としてのライブを展開。楽曲が流れた瞬間、会場から歓声が上がった『Dear Darling』でひと際盛り上がると、最後は会場中のファンとともに『いっしょ。』を大合唱。会場との一体感を感じながら“’（ダッシュ）”まで続いた物語の幕を下ろした。
■今井麻美11thソロライブ「Wonder Place’」セットリスト
01. Introduction
02. leap of faith
03. AQUAMARINE
04. 風と猫のStoria
05. この雲の果て -Angel’s ladder ver.-
06. little legacy
07. Rain～てのひらのアンブレラ～
08. 夢のMAHOROBA
09. 蒼穹ノ月 ～Crystal Moon～
10. Suuny Place
11. 朝焼けのスターマイン
12. 満天星
13. サ・ヨ・ナ・ラ
14. BABYLON ～before the daybreak
15. 星屑のリング
16. クレッシェンド
17. Promised Land
18. 漆黒のサステイン
19. ガーベラ～今年の花
20. Limited Love
21. Dear Darling
22. いっしょ。
