テーマは、“ウーマンVSワイルド”

 2015年9月25日、品川にて“Xbox One 大感謝祭 2015”プレス向け事前体験会が開催。あわせて、Xbox One/Xbox 360用ソフト『Rise of the Tomb Raider』のプレゼンテーションが行われた。当日は、開発元であるクリスタル・ダイナミックスのアソシエイト・ブランド・マネージャー クリス・ジョンストン氏がゲームの概要などを紹介してくれた。

『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_06

 プレゼンでは、まずはジョンストン氏がデモプレイを披露。“Xbox One 大感謝祭 2015”プレス向け事前体験会では、ゲーム冒頭のシリアのフィールドでのゲームプレイが紹介されたが、今回のプレゼンでプレイされたのは、「ちょっと違った場面をお届けしましょう」とのことで、戦闘シーンがピックアップ。ララが敵地に潜入して、トリニティーの兵士たちと戦う場面が公開された。ジョンストン氏より強調されたのは、プレイスタイルの幅の広さ。「戦闘場面においてもララには選択肢があります。ステルスで誰も倒さずにゲームを進めることもできますし、銃を撃ちまくって中央突破を図ることもできるんです」(ジョンストン氏)とのこと。

 まずステルスでのデモプレイでは、ときに水中から、ときに木の上から、敵に気づかれずに近づいてテイクダウンし、ナイフなどで屠るといったゲームプレイが紹介。あわせて、火炎瓶を遠方に投げて敵の注意をほかにそらし、背後から忍び寄るといったシーンも確認できた。一方の“戦闘モード”では、ララが正面から敵に対峙していく場面が披露。デモプレイではララが毒矢で敵に攻撃を仕掛け、気付かれた敵から総攻撃を食らうといったシーンを見ることができた(けっきょくララは倒されてしまい、苦笑するジョンストン氏)。そう、正面から攻撃するのは爽快だが、それだけリスクも伴うのだ。そのあとは、「違ったルートを選択しましょう」とのことで、さきほどの玉砕したのとは別の道筋を選択。正面突破ながらも適宜陽動作戦などを取りつつ、敵を着実に倒していくというプレイが確認できた。ちなみに、気になる攻撃方法も本作では多彩。本作では、複数のアイテムを合成して強力な武器を作ることができるのだが、デモプレイでは毒草と弓矢を組み合わせて毒矢を作ったり、火と瓶で火炎瓶を作ったりといった合成が紹介された。「戦闘における選択肢が重要だと思っています」(ジョンストン氏)とのことで、まさに、プレイスタイルの幅広さが本作の魅力というわけだ。

『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_01
『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_02

 おつぎにムービーで紹介されたのは“チャレンジトゥーム”。こちらは “トゥーム(墓)”内での決められた課題をクリアーするといったモードで、映像自体は「世界でもこの映像を見た人はほとんどいません」という、相当レアなもの。残念ながら写真の撮影はNGだったが、機械じかけの“トゥーム”をララが移動していくシーンが映しだされていた。“チャレンジトゥーム”とは、パズル的な謎解きが楽しめるモードで、「前作がリリースされたあとで、ファンの皆さんから“もっとパズル的な要素がほしい”というリクエストがあり、盛り込むことにしました。“トゥーム”という要素を『トゥームレイダー』の中に復活させたいと思ったんです」とのことだ。話を聞いていると、『Rise of the Tomb Raider』には、“チャレンジトゥーム”以外にも“ゲームのクリアーには必ずしも必須ではないが、世界観を膨らませるための充実した要素が充実しているようだ。その一例が“レムナントからのミッション”。レムナントとは、シベリアにある地域社会で、ララの敵対する組織トリニティーと対抗している。本作では、ララはレムナントからの依頼を受けて、数々のミッションをこなすシチュエーションもあるようだ。

 さらには変換システムがある。交換システムでは、ララがいろいろなアイテムをゲットすることで言語の理解能力が高まり、言語のスキルレベルが高まると、“モノリス”の翻訳ができるようになるのだ。“モノリス”を翻訳すると、隠れた墓や秘密の場所を探し当てることができるようになるという。変換システムを導入した理由としては、「考古学者であるララの気分を味わってもらうため」(ジョンストン氏)とのこと。変換システム自体も必ずしもゲームのクリアーには必須ではないが、「プレイヤーはストーリーの背景を知ることができるようになる」(ジョンストン氏)というのだ。ちなみに、ララが習得できる言語はまだ発表されていないが、数多くの異なった言語を習得するという。

 ここで念頭に浮かぶ素朴な疑問が、なぜここまでゲームに深みを与えるのかということ。こちらに対してジョンストン氏は、「私たちは物語そのものが大好きなんです。それから“考古学者である”というファンタジーが好きなんですね。ゲームにリアルな要素を取り入れるのが大好きです。プレイヤーがこういったタスクを達成していくと、ララといっしょに考古学の探検に出て行ったような気になれるわけです」とのこと。『トゥームレイダー』という世界観に浸りたい方にとっては、まさに最適のゲームと言えるだろう。

『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_05

 さて、デモプレイおよび最新映像紹介のあとは、質疑応答へ。ここでは、その中から気になる部分をとりまとめて紹介しよう。

 まず聞いてみたのがストーリーについて。本作はリブードされた前作『トゥームレイダー』の続編で、前作の邪馬台国の冒険の後から物語が始まる。「ララはいろいろな答えを探そうとしています。彼女は学会のメンバーからは過小評価されていて、ドラゴンズトライアングルのことは誰も信用してくれない。そこで、いろいろな答えを探索しているんですね。そして父親の研究成果の中から、ヒントを得ることができ、シリアにやってきます。そこで……」というストーリーだという。というわけで、ララも前作から経験は積んでいるが、“遺跡探索”としては、本作が初めてということになる。まだまだ学ばなければならないことも多く、失敗も多いのだという。

 本作における最重要課題といえば、何といっても魅力的なララの造形と思われる。ララの造形の苦労に関しては、記者もComic-Conでのセッションを取材して実感したことであるが、ジョンストン氏の口から「ララはゲームでももっとも有名なキャラクターのひとりなので、内部で議論してとにかく時間をかけました」とのジョンストン氏の言葉にも代表されるように、相当な試行錯誤があった模様。コンセプトとなったのは、“モダンで現代を反映する人”とのことで、実際のララの造形を見ていると、なんとなく納得。「リアルなキャラにしたい」というクリエイターの思いを後押ししてくれたのがテクノロジーの進化。新しいモーションキャプチャーの採用やダイナミックな髪の毛の動き、さらは衣装の緻密な描写など、テクノロジーの進化あればこそのララの魅力とも言えるかもしれない。

 「新世代機向けでできたことは?」との質問には、ジョンストン氏は“フィデリティー”(忠実度)とひと言。本作では、1080pで30fpsを実現し、よりリアルになっているという。さらに新世代機向けで可能になったのが、スケールの大きさ。本作では前作の3倍の空間になっているという。と、この流れで、すでに発表済みのシリア、シベリアのほかにどのようなフィールドが用意されているか尋ねたところ、「いまのところお話しできるのはふたつだけです(笑)」と、つれないお返事。ちなみに、ひとつのフィールドに“トゥーム”はたくさんあるそうです。

 最後に、ジョンストン氏が挙げてくれた、本作のメインコンセプトをご紹介しよう。それは“ウーマンVSワイルド”。本作では“サバイバル”がゲームプレイの中核のひとつであり、ララはいかに生き延びていくかがひとつのテーマとなる。“美しいが敵対的な環境”(つまり大自然のこと)が、ララを狙っているのだ。この印象的なフレーズ“美しいが敵対的な環境”も、新世代機だからこその要素と言えるのかもしれない。

 そうそう、最後にちょっとした情報を。本作ではオンライン要素に関しては何も明らかにされていないが、「これまでは何も語ってこなかったが、まもなく発表がある」とのこと。こちらもお楽しみに。

『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_03
『Rise of the Tomb Raider』のクリエイターに聞く とにかくプレイの幅広さを求めて【Xbox One 大感謝祭】_04