セガ・ハード・ガールズとは!?
2015年8月26日~28日の3日間、パシフィコ横浜にて開催された日本最大級のゲーム開発者向けカンファレンスCEDEC 2015。最終日の8月28日、“フリーツールを用いたアニメ制作事例 ~セガ・ハード・ガールズに見るIP活用術~”というテーマのセッションが開かれた。その内容をリポートする。
講師を務めるのは、セガホールディングスの中山雅弘氏と、セガゲームスの福原智学氏のおふたり。中山氏はライセンス部 チーフプロデューサー/チームマネージャーで、1998年より『サクラ大戦』専門ショップ“太正浪漫堂”店主となり、商品企画およびプロデュースを担当。2005年からはセガのゲームタイトルのアニメ化、舞台化、ドラマ化といったメディア展開を手掛けており、『セガ・ハード・ガールズ』ではプロデューサーを務めた。福原氏はセガネットワークスカンパニー開発本部 アート&デザイン部部長/シニアデザイナー。おもに2D・UI作成などグラフィック系のデザインに関わり、『セガ・ハード・ガールズ』ではディレクションを担当している。
セガ・ハード・ガールズとは!?
最初に登壇したのは、中山氏。『セガ・ハード・ガールズ』を知らない来場者にも考慮し、まずはコンテンツの全体像と、IP展開例を紹介してくれた。『セガ・ハード・ガールズ』とは、ひと言で言えば、セガの歴代ゲームマシンを擬人化したプロジェクトで、2014年の10~12月に、『Hi☆sCool! セハガール』というタイトルでアニメ放映もされている。『サクラ大戦』のように、元となるゲームがあるわけではなく、単独のキャラクタープロジェクトという意味では、従来のセガからするとちょっと異質だ。続けて中山氏は、その誕生のいきさつに話を進めた。
まず中山氏が触れたのは、ゲーム発信IPの難しさについて。あくまでゲーム内のキャラクターなので、一般ユーザーへの最初の取っ掛りの部分が弱い。また昨今のユーザーのライト化に伴い、家庭にゲーム機がある状況も減ってきて、キャラクターを見て「ちょっとこのゲームをプレイしてみたい」と思っても、対応ハードが手元にない。スマホアプリでも、最新のスマホじゃないと動かない。……などなど、中山氏はまずは、プレイ環境に関する難しさを指摘した。またゲーム設定や世界観という点では、会社として押し出したいイメージがあるので、安易にコラボができないという面があるという。
これらを打開するために、『セガ・ハード・ガールズ』に課せられた使命が、“接触頻度”と“セガハードという共通項”だと、中山氏は説明する。ゲームに依存しないIPなため、ライトに接触することができるので、“接触頻度”はよりアップ。世界観などのこだわりも少ないので、配信の自由度は高くなり、メディア展開もしやすく各種コラボを引きや寄せやすいという。
また“セガハードという共通項”については、ハードの歴史を背負ったキャラクターということで、世代を超えたファンが話題を共有できるし、歴代ハードを知ってもらう窓口としてのキャラクターという役割も持ちえる。
「セガの旧ハードのネタは鉄板ですので、皆さん、話したいんですよね。世代を超えて、伝道者になってくれると言いますか。またビジュアルから入った若い世代も、ネット検索でハードの逸話などを調べるうちに、いろいろなネタを知ります。ここに共通項としての話題が生まれるわけです」(中山氏)。
続いては、より具体的に、『セガ・ハード・ガールズ』の魅力が説明された。まずキャラクターだが、大きく“メディア選抜”8人、“濃いネタ選抜”9人に分かれる。“メディア選抜”では、ユーザーがゲーム機を持っていなくとも、CMや店頭で目にしたような、わかりやすいハードをピックアップ。いっぽう“濃いネタ選抜”は、ずばりネタ度が高いハードが集まっている。
IP展開も多岐に渡る。詳細がスクリーンで説明されたので、画面を参照してほしい。ゲームコラボでは、セガのゲームにキャラクターが登場するパターンのほか、他社とのコラボも実施。中でも注目は『ネプテューヌ』とのコラボ企画で、「セガでオリジナルゲームが出ていないキャラクターで、他社さんの冠タイトルに入るというのは、おそらくセガの歴史でも初めてだと思います」(中山氏)とのことだ。