主人公フェイスはさらに深みが

 2015年8月5日~9日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2015が開催中だ。ここでは、海外での発売日が2016年2月23日に決定した、エレクトロニック・アーツのプレイステーション4、Xbox One用ソフト『ミラーズエッジ カタリスト』の開発を手掛けるDICEのシニアプロデューサー、サラ・ジャンソン氏へのインタビューの模様をお届けする。2008年にリリースされた前作『ミラーズエッジ』は、当時斬新なゲーム性が注目を集めた意欲作。そんな同作の最新作が久しぶりにお目見えするということで注目が集まるところだが、どのような思いを込めて『ミラーズエッジ カタリスト』は制作されたのか?

『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_01

――『ミラーズエッジ カタリスト』を最初に発表したときに、「第一作目の特徴と雰囲気を尊重しながら」とコメントされていましたが、具体的にはどのような部分を尊重したのでしょうか?
サラ 前作には、ほかのゲームとは違う“魂”を感じました。それは、独特の世界観であったり、主人公フェイスの流れるような動きだったりします。あとはオーディオ。その3つが大きな要素になっています。そういった部分は、『ミラーズエッジ カタリスト』でも尊重していますね。

――そんなコメントを出されるということは、前作からスタッフは一新されているのですか?
サラ 前作から7~8年経っているので、当然のことスタッフは大幅に入れ替わっています。とはいえ、前作を担当していて、今回参加しているスタッフもいますし、DNAは受け継いでいます。

――根本的なご質問になりますが、なぜ7年ぶりにフランチャイズを復活させることにしたのですか?
サラ 前作は必ずしも成功したゲームというわけではなかったのですが、ゲームユーザーの中には印象に残っている方も多かったようで、購入してくださった方はずっと長くプレイしてくれています。いまだにゲームを追いかけてくれている方もいるんですね。「つぎはいつ出すの?」と聞かれていましたし、ニーズがあるということはわかっていました。あと、DICE社内に『ミラーズエッジ』ファンがたくさんいて、「こういうふうにしたらもっとよくなる」ということを話しあっていたんですね。それを会社に対して、「ほかとは違う経験を提供するユニークなスタイルやゲームプレイがあってよいのではないか」と説得して、ここまで来ました。ファンの方の声と自分たちの声がいっしょになって作ったといっていいかもしれません。

――それは、サラさんを始めとするスタッフの情熱により実現したということですか?
サラ そうですね。『ミラーズエッジ』は従来とはぜんぜん違うゲーム体験を味わわせてくれるゲームでした。私も大好きですし、こういうゲームは必要だと思っています。

――さらに、発表時のコメントでは、「より深みをだすことに力を尽くしました」とありますが、具体的にはどのようなことを?
サラ “深み”にはいろいろと意味があります。ゲームプレイもそうですし、ゲームプレイがバラエティー豊富になっているという点もありますし、スキルの進化もありますし、さらにストーリーも深みを増しています。それとともに、『ミラーズエッジ』ユニバースも深みが出ていますね。全体にリッチなワールドになっていると思います。

『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_10

――『ミラーズエッジ』と言えば、主人公のフェイスが魅力的ですが、本作で彼女はどのように変わったのですか?
サラ 前作ではメッセンジャーの世界でしたが、本作では、情報やデータの獲得を求めて競争する“ランナー集団”が描かれます。ですので、フェイスの役割も異なることになるんですね。フェイスの家族についてのストーリーもあり、より世界観が明確になるんです。彼女が、いまなぜこのような状況にいるのかも理解できるようになります。本作ではフェイスというャラクターが進化して、ゲームの最初と最後では大きく異なる人物になります。端的に言えば、フェイスはより深みのあるキャラクターになったということでしょうか。

――フェイスの新しい動きなどは追加されたのですか?
サラ 前作より、自由でオープンな動きができるようになっています。たとえば、前作では飛び板からしかジャンプできなかったのですが、本作ではいろいろなところからジャンプできるようになっています。戦闘に関しても、前作まで使えた銃をやめてフェイスの動きの延長線上で敵を攻撃するようになっているので、一連の流れがものすごく滑らかなんです。

――前作では使用可能だった銃を、なぜ本作で使えないようにしたのですか?
サラ 銃を使うと、その都度アクションの流れが止まってしまうんですね。あまり有効に機能しているとは思えなかったので、自然に感じられるようにしたいと思いました。フェイスの動きを活かして攻撃に結びつけるようにしたかったんです。何度もプロトタイプを試して、「行ける!」という手応えをつかみました。

――本作は、前作のようなリニアではないと聞いたのですが……。
サラ 必ずしもオープンワールドというわけではないのですが、前作のようなリニアな1本道ではないです。“フリーローミング”と呼んでいて、動ける範囲がかなり広がっていて、ランナーが行けそうなところはいけます。先に進むと、つぎの場面がローディングなしに広がっていく感じです。だんだんに世界が広がっていくのです。

『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_07
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_03
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_04
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_02
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_09
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_06
『ミラーズエッジ カタリスト』はユーザーとクリエイターの情熱により蘇った プロデューサーを直撃【gamescom 2015】_05