決戦を控えたsakoが意気込みを語る

 プレイステーション4版『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』を用いた格闘ゲームイベント“闘神激突”への参戦が決定しているプロゲーマー“sako”。シリーズの古豪プレイヤーであるFAB選手(ポチョムキン)との対戦を控えたsako氏の意気込みを伺ったぞ。
(取材日:7月)

■闘神激突とは?
 『ギルティギア』シリーズの最強プレイヤーたちが率いる“ギルティギア王者軍”と、世界を舞台にさまざまな大会で活躍するプロゲーマーが集結した“プロゲーマー連合軍”の、絶対に負けられない2チームが激突する大会。両陣営とも代表選手5名+オンライン予選通過選手5名の計10名で構成され、現在進行形で代表を決めるオンライン予選が実施されている。

『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』大会イベント“闘神激突”プロゲーマー“sako”インタビュー「どちらが勝つかわからないところまで必ず仕上げてきます」_01

――闘神激突への参加を決めた理由をお聞かせいただけますか?

sako氏(以下、sako) 理由としてはウメハラの参戦がすでに決まっていて、とてもおもしろそうなイベントだと思ったからです。

――ウメハラさんが出るというのが大きかったんですね。

sako 大きいですね。『ギルティギア』は俺もウメハラもかつてやり込んでいた時期がありましたけど、ほぼ同じころにやめていたので今回はお互いに“復帰組”という立場なんです。復帰組として現役のプレイヤーにどこまでやれるのかという不安があったのですが、「同じ立場のウメハラがやれるなら俺も大丈夫かな?」と、そういう安心感もありました。

――『ギルティギア』ファンからすれば、sakoさんもウメハラさんも昔はプレイしていたけど、さすがにやっていない期間が長すぎて、実際にどこまでやれるのだろう? という気持ちを持っていると思います。そこで伺いますが、正直なところ勝つ自信はありますか?

sako ぶっちゃけ現時点では自信はないですね(笑)。それくらい相手のチームのやりこみが凄すぎます。

――『GGXrd』が登場して1年以上経過し、『ギルティギア』シリーズ自体は10年以上も続いてますしね。

sako 『ギルティギア』以外のゲームもプレイしている人たちならともかく、相手のメンバーを見ると、『ギルティギア』ひと筋のプレイヤーばかりなので、正直まともに勝てるとは思っていないです。

――対戦相手のFABさんは、シリーズ初期からポチョムキンをやり込み続けているプレイヤーです。FABさんのことはご存じですか?

sako もちろんです。『ギルティギア』をプレイしている人なら誰もが知っているプレイヤーですよ。昔からFABと聞いたらポチョムキンという感じですから(笑)。

――昔sakoさんが『ギルティギア』をプレイしていたころも含めて、FABさんとの対戦経験はありますか?

sako ないと思います。『ギルティギア』をプレイしていたころに東京へ行ったことがあるんですけど、もしかしたらそのときに対戦していたことがあるのかもしれません。でも、たぶん負けたと思います(笑)。

――つぎに、sakoさんの使用キャラクターについてうかがいます。ザトーを使い始めたのはいつごろからですか?

sako シリーズで言うと、『イグゼクス』や“青リロ”(『シャープリロード』)のころに本格的に使っていました。じつは、プレイステーションで発売された第1作『ギルティギア』でも遊んでいたんですよ。そのあとにゲームセンターで『ギルティギアゼクス』もプレイしていたので、『ギルティギア』シリーズが本格的にブレイクする前からちょくちょくやっていました。

――そういえば、ザトーの“sakoスペ”と言われる連携はsakoさん開発でしたね。シリーズ初期のころにザトーを使っていて、そのつながりで今回も使うといった感じでしょうか?

sako そうですね。『ギルティギア』は、青リロのあとにもいろいろなバージョンアップ版が登場しましたが、ザトーは少しずつ弱くなっていったのでモチベーションが続かなかったんですよ。でも今回の『イグザード』のザトーは、使っていてすごくおもしろいんです。俺はただのザトー好きなところがあるので、ザトーがおもしろいとやる気が出てくるんです。

――『イグザード』のザトーは、sakoさんが使いたくなるようなザトーだったというわけですね。

sako 今回はホンマおもろいですよ。とはいえ、家庭用の16段くらいの人たちと対戦して、やっと3割くらい勝てるかなというレベルなので、まだまだ使いこなせていません。

――sakoさんでもなかなか勝てるようにはならないんですね。

sako 17段にもなる超上級者に対しては、現状まったく歯が立ちません。

――『ストリートファイター』ではトッププレイヤーとして君臨していますが、『ギルティギア』ではチャレンジする立場になっています。そういった立場の違いについてはいかがですか?

sako 楽しいですね。新しく覚えなければいけないことが多いのでたいへんですが、練習すればするほど自分が強くなっていくのがわかるので、この感覚はすごく懐かしいです。

――新しいゲームを始めるのは新鮮ですごく楽しいですよね。

sako メチャクチャ楽しいですね。子どものようにキャッキャしながら遊んでいますよ。負けたらちょっとイライラしますし(笑)。

――もう純粋に『ギルティギア』を楽しんでいるんですね(笑)。

sako 『ギルティギア』は冗談抜きでメッチャおもろいです。

――童心に帰ってプレイしながらも、プロという立場上、結果が求められる一面もありますよね。

sako そうですね。わざわざ負けるために出るわけじゃないので、相手がFABさんであろうとしっかり準備して勝ちたいです。必ずそこまで仕上げてきてます。

――試合はTOPANGAリーグ(※世界最高レベルのプレイヤーが集まる『ストリートファイター』のリーグ戦)のような長期戦にはならないそうですが、そのあたりはいかがでしょうか?

sako 長期戦だったとしたら経験の差がモロに出るので勝ち目はないんですけど、短期決戦であればワンチャンあるのかなと。

――かなりきびしい闘いになりそうですね。

sako 相手はぶっちゃけ化け物ですからね。現状ではそのくらいの実力差があって、相手が強いということです。

――『ストリートファイター』で言うところのsakoさんやウメハラさんを相手にするようなものですものね。それでもsakoさんが本気でやり込んだら、いけるんじゃないかと期待してしまいます。

sako プロゲーマーということで、そういった期待をされることは承知しています。だから期待に応えたいし、おもしろい試合を魅せたいですね。

――その期待に応えるために、毎日の練習はどれくらいやっているのでしょうか?

sako 最低でも1日2、3時間はやっています。基本的に1時間はトレーニングモードでひたすらコンボの練習や、相手のキャラを触って特徴をつかんでいます。残った時間で対戦する感じですね。

――やはり対戦はオンラインロビーで、ポチョムキンを中心に?

sako そうしたいんですけど、ポチョムキンを使っている人がメッチャ少ない(笑)。

――それはたいへんですね(笑)。ウメハラさんは公開練習でトッププレイヤーに教えてもらいながらやり込んでいますが、sakoさんはオフで誰かに教わりながらプレイすることはあるのでしょうか?

sako いっしょにやる相手がいないんですよ。いろいろ聞きたい人は相手チームにいるし……ワンチャンウメハラの公開練習に混ぜてもらおうかと思っています(笑)。

――sakoさんとウメハラさんがいっしょに練習しているところは、ファンも見てみたいと思いますよ。

sako 『ギルティギア』は『ウルIV』の3倍くらいの知識が必要になるから、やっぱり誰かといっしょにやらないと難しいんですよね。

――『ギルティギア』を極めようとすると、そんなに膨大な知識が必要になるんですね。ちなみに、ザトーを自分が動かす際の完成度はどのくらいですか?

sako 今回の『ギルティギア』は“黄色ロマンキャンセル”が奥深いんですよ。やればやるほど答えが遠ざかっていく感じです。いい戦法を見つけたと思ったら、それに対する選択肢が出てきて、さらにやり込むとそれに対する選択肢がまた生まれて……と、一生答えが出ないですね。

――それをくり返していくと、本番に向けてドンドン進化していきそうですね。

sako 実際、毎日進化していますよ。プレイステーション4はシェア機能で動画を保存できるので、すぐに自分のプレイを見返せるんです。だからその機能を利用して、負け試合をじっくり見直して研究しています。おそらくいまのザトーと1ヶ月後のザトーでは全然違う動きをしていると思いますよ。

――やはり負け試合から学ぶことが多いんですか?

sako 俺の場合は、ほぼ負け試合からですね。勝った試合は自分のやりたいことをやっているだけなので、反省点はそこまでないんです。だから負け試合のほうが得るものが大きいですね。格闘ゲームはダメージを食らって体力が0になると負けなので、どこからダメージを受けたかなどをしっかり確認しています。

――その反省をトレ―ニングモードで修正して、再度対戦すると。

sako それのくり返しですね。少し前は16段の人に1割くらいしか勝てなかったんですけど、最近は3割は勝てるようになってきて、少しずつですけど勝率が上がってきてうれしいですね。

――プロゲーマーもそうやってコツコツやり込んでいくものなんですね。そういう継続する力はどこから出てくるのでしょう?

sako やっぱりおもしろいからちゃいます? 『ギルティギア』というゲーム自体がおもしろいですし、そうやって少しずつ上達していくのも楽しいじゃないですか。『ストIV』シリーズはもう7年もやっていますから、IDを見るだけで相手が強い人かどうかわかっちゃうんですよ。でも、『ギルティギア』は見たことないIDでもメチャメチャ強かったりして、「もうみんなウメハラか!」という感じでわくわくするんです(笑)。

――そんな猛者揃いのところで、少しずつでも勝てるようになっていくのは楽しそうですね。

sako ほんと、格ゲーはメッチャおもろいですよ(笑)。

――チームメイトを見てプロゲーマー軍はいけそうですか?

sako ぶっちゃけS級モンスターと戦うわけですから、対等に戦えるメンバーかというと、ウメハラも含めてきびしいと思います。ただ、短期決戦であればどっちに転ぶかわからないところまでは、みんな仕上げてくるはずです。それが最低条件ですから。

――では最後にこの記事を見ているファンにメッセージを頂けますか?

sako 結果がどうなるかは自分でもわかりませんが、どっちが勝つかわからないハラハラするような試合を見せられると思います。ぜひ応援のほどよろしくお願いします。