新たなハンティングアクションの形

 カプコンから、2015年冬発売予定のニンテンドー3DS用ハンティングアクション最新作『モンスターハンタークロス』。週刊ファミ通2015年7月9日発売号では、本作に懸ける想いを、『モンスターハンター』シリーズプロデューサー・辻本良三氏、『モンスターハンタークロス』ディレクター・一瀬泰範氏、『モンスターハンタークロス』プロデューサー・小嶋慎太郎氏へのインタビューを掲載した。そのインタビュー完全版をお届けしよう。

『モンスターハンタークロス』スペシャルインタビュー完全版 新フィールドのテーマは“恐竜時代”_01

『モンスターハンター』シリーズプロデューサー
辻本良三氏(写真中央・文中では辻本

『モンスターハンタークロス』ディレクター
一瀬泰範氏(写真左・文中では一瀬

『モンスターハンタークロス』プロデューサー
小嶋慎太郎氏(写真右・文中では小嶋

『モンスターハンタークロス』スペシャルインタビュー完全版 新フィールドのテーマは“恐竜時代”_02

開発のきっかけは、新しいモンスターハンターの可能性

――ついに『モンスターハンター』(以下、『MH』)の新たな方向性を示す作品、『モンスターハンタークロス』(以下、『MHX(クロス)』)が発表されました。まずは、お三方の本作での役割や立場を教えていただけますか。

辻本 僕はシリーズプロデューサーという立ち位置ですね。おもにタイトル立ち上げ時のコンセプトですとか、タイトルのポジショニングや方向性を決めるのと、何か大きな決め事をする時に判断するなど、大枠を調整するのが役割。後は、何かあったら言ってください、みたいな感じですね。

小嶋 『MHX(クロス)』のプロデューサーを担当しております。『MH』シリーズ全体のプロデュースが辻本、『MHX(クロス)』のプロデュースが自分、という形になります。

一瀬 『MHX(クロス)』のディレクターを担当しています。辻本や小嶋からお題や相談を受けつつ、それに対してゲームの中身をチームメンバーと詰めながら形作っていく、というのが役割ですね。

――『MHX(クロス)』の制作コンセプトをお聞かせください。

辻本 昨年のシリーズ生誕10周年に向けて、それよりもかなり前の時期から多様な形の『MH』を作れないかという話をしていたんです。そのときに、ハンティングアクションにおける“スタイル”を突き詰めてみてはどうかという案が挙がりまして。

――本作の目玉システムでもある“狩猟スタイル”ですね。それはまたどうして?

辻本 ここまで長く続いているシリーズですと、やっぱりユーザーもいろいろな遊びかたをするようになるんですよ。例えば、ひたすらガードや回避を駆使してディフェンシブに立ち回ったり、一発を狙ってアグレッシブに動いたり。ユーザーそれぞれの“プレイスタイル”というヤツですね。それはユーザーだけでなく僕らも同様で、同じ武器を使っても立ち回りかたがまるで違う。そういった部分をシステムのひとつとして抜き出して強調してみるのもおもしろいんじゃないか、という方向性にシフトしていったんです。あとは、10周年を迎えたこともあり、どうせやるならとことん派手に、“お祭り感”のあるものにしようと。

一瀬 ちょうど企画が立ち上がった段階では、『MH4G』の制作が決まって走り始めようとしていたところでした。『MH4G』も、ある意味お祭り感の強い作品なので、今回はそれとは違う何かしら“お祭り感”の部分での違ったウリの部分を作らないといけないなと。そこで、過去シリーズに登場した村ですとか、1作品に1体ずつだったメインモンスターを4体に増やしたり。最初に挙がった狩猟スタイルなど、いろいろと挙がったアイデアなどをひとつひとつ肉付けしていって、ようやく形になった感じですね。

小嶋 狩猟スタイルに関しては、それぞれの武器の可能性を広げてあげたかったというのもあります。辻本が話したように、同じ武器でも使う人によって立ち回りが変わるわけで、そこを狩猟スタイルという形で広げてあげれば、ユーザーの手によってさらなる広がりを見せるのではないかなと思ったんです。もちろんシリーズ最新作ですし、新武器種を追加する案も出たのですが……。

一瀬 『MH』シリーズには、すでに14種類もの武器があります。新武器を追加するのは、確かにウリにはなるのですが、そこにかなり力を割くことになってしまい、いままでの武器種がおざなりになってしまう。それよりは、今回は、“自分のスタイルをより強くできる”がコンセプトだったので、これまでのシリーズ作品を遊んでいただいたユーザーの“武器への愛着”を大事にしつつ、武器そのもののシステム部分に手を入れて広げていくほうがいいと考え、狩猟スタイルを採用するにいたりました。

――多くの案がひとつになり、『MHX(クロス)』という形になったと。では、“クロス”というタイトルはどこから来ているのでしょうか。

小嶋 先ほどお話したような、新旧さまざまな要素がクロスする――交わるという意味合いが込められています。また、クロスの文字がその場を4分割しているようにも見えることから、4つの狩猟スタイル、4大メインモンスター、4つの村というように、それぞれがクロスしていますね。

辻本 これは非常に迷いましたね。タイトル候補も相当な数が挙がったのですが、最終的には字面から来るパワー……“クロス”という文字から感じられる勢いが決め手になりました。

一瀬 “4”という数字には何か根拠があったわけではなく、いろいろと検討していくうちに自然と形になった数字でした。

辻本 各要素の中には、試行錯誤した結果最終的に4になっていた、というものもあったよね(笑)。

一瀬 メインモンスターを作るときも、いつもは看板モンスターは1頭しか作らないのですが4頭にすることで、いままで作れなかったモンスターも考えられたり狩猟スタイルも遊びの幅を増やしプレイヤーのプレイスタイルの構成を引き出すために複数あったほうがいいだろう……という感じで各要素が増えていって、ちょうど4つずつに収まった感じですね。意図していたわけではないのですが、個人的にもうまくハマったなと思います。

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『MHX(クロス)』を象徴する2大システム、“狩技”と“狩猟スタイル”

――狩猟スタイルには4つの種類があるとのことですが、それぞれどんなものがあるのでしょうか。

小嶋 まずひとつ目ですが、これはいつも通り……いままで通りの立ち回りができる、もっともベーシックな狩猟スタイルになります。これまでと同じ感覚で遊びたい人は、これを選んでいただければと。

一瀬 続いてふたつ目は、狩技に特化した狩猟スタイルとなります。通常よりも狩技を多くセットでき、より攻撃的かつ、派手なアクションが楽しめます。

辻本 このスタイルは、過去シリーズの操作感覚に近くなるような調整を行っているのも特徴ですね。本作のコンセプトにあるお祭り感と同時に、“懐かしさ”も加味したいなと。最初はスティック操作(※プレイステーション2で発売されたシリーズ3作品は、コントローラの右スティックで攻撃を行う操作方法だった)とかもどうだろうという話をしていたのですが、さすがに無理でしたね(笑)。

一瀬 3つ目は空中での立ち回りが得意なスタイルです。『MH4』、『MH4G』でもジャンプや乗りなど、空中に関連したアクションはありましたが、よりアクション性を高めた形になっています。モンスターなどを“踏み台”にしてさらなるジャンプや特殊な攻撃ができたりします。

――これは新しいですね。まるで違う遊びかたができそうな……。

小嶋 操作感はもちろん、立ち回り自体もかなり変わってくると思うので、シリーズ経験者の方も新鮮な気持ちで遊べると思いますよ。4つ目は、ピンチをチャンスに変えるがテーマの狩猟スタイルになります。狩猟スタイルについては、順次公開していきますのでお待ちください。

――どれもこれも魅力的で、早く操作してみたい気持ちになります。

一瀬 それぞれのスタイルによって、特性はもちろん、操作感覚なども大きく違ってきます。モンスターに合わせてスタイルを変更したり、あるいは信念を貫き、武器を変えつつもひとつのスタイルを極めるなど、ユーザーの皆さんで好きなように、自由に楽しんでいただければと思っています。

小嶋 片手剣などリーチの短い武器だと、高い位置にある部位の破壊は難儀するわけですが、そんなときにスタイルを駆使したり、もしくは仲間に勧めたりとか。そのときにやりたいことや目的に合わせ、“自由に自分を変えられる”のが、『MHX(クロス)』における新しい狩りの提案でもあります。自分好みのハンティングを、存分に楽しんでほしいですね。

――なるほど。いままで以上に自分での試行錯誤が楽しいものになりそうですね。狩猟スタイルと同じく、本作の新システムでは“狩技”がありますが、こちらも気になります。

一瀬 狩技は、ハンターに強力な必殺技を持たせたかったわけではなく、狩猟スタイルと同様、ユーザーの個性を際立たせるという方向性で生まれた要素なんです。ひと言で言うと“プレイスタイルの確立”ですね。

辻本 狩技は複数あるのですが、種類によって使いかたも性質も大きく異なります。当然、狩猟スタイルとの兼ね合いもありますので、それも考慮に入れつつ、自分に合った狩技をセッティングして、狩猟に臨んでいただく形ですね。

小嶋 モンスターに大きくダメージを与えるもの、自分や仲間を強化・サポートするものなど、さまざまな種類がありますよ。

――狩技は各武器にひとつずつ用意されているものなのでしょうか?

小嶋 武器ごとに複数の狩技を用意しています。また、武器種に関係なく使える“基本的な狩技”もあり、その中から自由に選ぶことができます。狩猟スタイルと狩技の組み合わせで、ハンターである皆さんの“個性”を演出してみてください。

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