ウワサのバイオレンスアクションが待望の日本上陸!

 スパイク・チュンソフトから2015年6月25日に発売予定のプレイステーションVita、プレイステーション4用ソフト『ホットライン マイアミ Collected Edition』。本作はアメリカのインディーズシーン発の見下ろし型2Dステルスアクションゲームだ。海外では2014年8月にプレイステーション4版として発売された第1作『HOTLINE MIAMI』、そして今年発売された第2作『HOTLINE MIAMI2:Wrong Numbers』がセットになり、待望の日本上陸を果たした!

 『HOTLINE MIAMI』は、もともとPC対応のゲームとしてリリースしており、日本国内でも新しいモノ好きの一部コアゲーマーのあいだでは話題になっていた作品だった。かくいう筆者もじつは最初にPC版で第1作を知ったひとり。特徴のひとつ“強烈なバイオレンス性”から、コンソール機の発売、ましてや国内でのリリースはあり得ないのでは……。と見る人も多かったが、このたび日本でのリリースが決定。しかも2タイトルをセットにして! スパイク・チュンソフトの英断には拍手を送りたい。

『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_01
『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_02

 まずは、第1作からゲームの世界を紹介しよう。プレイヤーは“Jacket”と呼ばれる青年だが、Jacketすら自分が何者かわからない状態でゲームは唐突に始まる。冒頭で暗闇から浮かび上がる動物のマスクを着た3人から、尋問、非難を受ける主人公。彼らはJacketの正体を知っているようだ。そして、つぎのシーンから時間軸が巻き戻り、1989年の日常場面に。“主人公がこれまでにしてきたこと”を体験して、自分は何者なのか、なぜ殺戮をくり返すのかを把握していくという仕掛けになっている。

『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_03
『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_04
『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_05
『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_06

 ゲームは、自宅電話の留守電に残された“指令”に従い、ロシアンマフィアの拠点に単身潜入。建物にいるマフィアを全滅させるというステージクリアー型で進行する。気絶させるのではなく、殺すということが目的なので、そのぶん表現も妙にリアルだ。

 画面はつねに上から見下ろした視点のみ、すべてのキャラクターはドット絵で描写……と、現代のハードで再解釈した“レトロゲームらしさ”がいい。このらしさはビジュアルに限った話ではなく、ゲームの遊びにも表れている。仕組みがとにかくシンプルなのだ。

 壁などの隔たりがないところで敵の向きに主人公がいれば(視界に入れば)、ダッシュで襲ってくるため、可能な限り視界に入らないように近寄らなければならない。武器はゴルフクラブやナイフといった近接武器から銃火器までさまざま。基本的に敵を倒して奪っていくのだが、うかつに銃器を使うと音に気付いて敵が襲ってくるなど、抽象化された表現のなかで、潜入のシチュエーションがリアルに再現されている。これらの場面を脳内で補完しながらステージに挑むといった営みが、まさにレトロゲームの手応えと同様なのだ。

 これは、難度にも言えること。敵がぶっ放した銃弾に当たったり、近接武器の攻撃を1発くらうと即死亡。そのフロアを最初からやり直すという“激ムズ”仕様だ。しかも、敵の攻撃は超がつくほどの正確さ。主人公は笑っちゃうくらいに弱く、何度も何度も同じフロアをくり返し挑むことになる(そのぶん、リプレイはXボタンを押すことで瞬時にできるのがありがたい!)。

 年季の入ったプレイヤーならば、このやられたときの悔しさに“あるある”をきっと感じることだろう。昔のゲームならではの“単純なミスなのはわかるけれど、どうしても克服できない”あの悔しさを……。

『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_07
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『ホットライン マイアミ Collected Edition』プレイインプレッション――ミステリアスなストーリーで展開する激ムズアクション_14

 もちろん、現代のゲームらしく、いたずらに難度が高いだけではなく、巧みなフロア構造、敵配置のもとでステージが構成されているので、「どのルートで進むべきか?」、「どの順序や武器で敵を倒すべきか?」といった戦術が見つけられればクリアできるようになっている。そのことがわかると、攻略法を必死に考える営みや、素早く正確な操作を手になじませるまでの過程は、やがて快感へと変わっていくはずだ。

 ちなみに、タッチパネルにも対応し、敵に直接触れることでロックオンができたり、スワイプ操作で画面がスクロールして遠くまで見渡せるのは、地味ながらも便利な機能なので、ぜひ使いこなしていきたい。