原作を忠実に再現したストーリーが味わえる

 フリューより2015年4月2日に発売された、ニンテンドー3DSのアクションゲーム『テラフォーマーズ 紅き惑星の激闘』。テレビアニメ『TERRAFORMARS(テラフォーマーズ)』を原作とし、同作のストーリーを忠実に再現したアクションステージや、膝丸燈や小町小吉らアネックス1号のメンバーたちを成長させていく育成要素が楽しめる作品だ。今回は、ストーリー部分を中心に同作のおもしろさについて語っていこう。

 その前に、まずは本作がどんな作品なのかを簡単に紹介する。原作は2014年9月から放映されていたSFアニメ。現代から約600年後の世界が舞台となり、火星を巡る人類と異常進化したゴキブリ“テラフォーマー”たちとの生き残りを懸けた戦いが描かれていく。その中で、メンバーたちは“バグズ手術”や“M.O.手術”などによって、昆虫を始めとしたさまざまな生物の能力をその身に宿し、テラフォーマーと戦うこととなるのだ。

 ちなみに、敵が「じょうじ」とブツブツ呟きながら襲ってくるのは、本作の物語が始まる40年ほど前にジョージ・スマイルズという人物がおり、人間たちが彼の名前を呼んでいるのを覚えたことが遺伝されているという設定になっている。恐ろしい話である。自分で語っておいて何だが、聞かなきゃよかった知識と言えよう。

 本作は、その設定を活かしたアクションゲームであり、原作同様、火星へと向かったアネックス1号がテラフォーマーに襲われて不時着し、散り散りになった6つの班のメンバーたちが再び集結することを目指して奮闘するさまを描くストーリーが展開する。加えて、本作オリジナルの展開も一部用意されており、第六班のジョセフが大活躍するファン待望のミッションなども登場。

 さらに、テレビアニメ版を原作としているだけあって、各ステージの前後に挿入されるイベントシーンでは、アニメのカットを使ったビジュアルやボイス付きの会話が楽しめるようになっている。もちろん、各キャラクターの声は原作と同じキャストが起用されているぞ。そのため、原作の雰囲気をゲームでもそのまま味わうことができるのだ。個人的には、ミッシェルのツンデレっぷりがきちんと収録されていたので満足である。

『テラフォーマーズ 紅き惑星の激闘』プレイインプレッション――原作を忠実に再現したストーリーが味わえる_12
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意外にアクションもガッツリ楽しめる!

 本作のメインはアクションゲーム。各班の中から全部で9名+α。チュートリアル後は自分で好きな班からプレイすることが可能だ。

 攻撃には、Yボタンによる弱攻撃、Xボタンによる強攻撃と、Y→Y→Xなど、そのふたつを組み合わせて放つコンボ攻撃がある。キャラクターによって、単体攻撃が強い者、攻撃範囲が広い者などコンボ技に特定の方向性があるのが、本作の特徴。アクションが単調にならないような工夫がされているのがわかる。ちなみに、操作中のキャラクターがどんなコンボ攻撃が可能なのかは、プレイ中STARTボタンを押して“コマンド表”を呼び出すことでいつでも確認できるので、初めて使うキャラクターなどは、それを見ながら慣熟していくといいだろう。

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 また、キャラクターによってとくに大きな違いがあるのが、Bボタンによるガード行動。文字通りガードをするキャラクターと、緊急回避をするキャラクター、2通りあって操作感が非常に異なる。ガードなら実行後、直ちに攻撃のボタンを押せば反撃できるのだが、回避をすると場所がズレてしまうので、反撃の際にキャラクターの向きを修正してあげる必要が出てくる。これだけ挙げると回避するキャラクターが単純に難しいだけでいいところがないようだが、同時に複数の敵と交戦しているときは同時に2方向の攻撃に対処しなければならないので、その場合は回避のほうがリスクが低くなるのだ。とはいえ、回避のほうがアクションの難度は高くなるので、燈やマルコスなど、回避系のキャラクターを使うときは慎重に戦うといい。

 ガード行動のマスターは、高難度ステージをクリアーするには欠かせない。筆者のようにアクションゲームが苦手な人は、とにかく攻撃ばかりに気を取られがちだが、けっきょくのところ、敵の攻撃が当たらなければ負けないのである。そのことに気付けば、初心者でも一気にゲームが進みだすはずだ。序盤の難度の低いステージでザコ敵を相手に練習しておくと、後々役に立つぞ。

 なお、ピンチ時などには、範囲攻撃が可能なサポートキャラクターを呼び出して攻撃してもらうのがオススメ。呼び出した際には、プレイ中のキャラクターとの掛け合いが発生するなど、芸の細かい演出も楽しめる。ほかにも、“捕獲”システムなど、本作ならではの要素も盛り込まれており、多彩なアクションが楽しめる。

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 ちなみに、原作を知っている人ならおなじみの“マーズランキング”上位のキャラクターはやはり使いやすくて強い。とくに1位ジョセフの強さは完璧である。2位のアドルフや3位シルヴェスターもやはり強い。彼らはストーリーをある程度進めないと使えるようにならないが、彼らがいるとゲームをラクに進めることができる。対個人戦なら最強クラスの鬼塚慶次と併せて活用していきたい。

 また、本作では、ステージ中に手に入る“マテリアル”というアイテムを使ってプレイアブルキャラクターを成長させることができる。高難度のステージも、マテリアルをつぎ込んでキャラクターをパワーアップさせればだいぶラクに進められるようになるので、成長はこまめに行っておきたいところだ。とくに優先して習得させたいのは、より多くのコンボ技が使えるようにコンボを増やすこと。コンボを1段階増やすと習得できる技は、コマンド表にある黄色い枠の中にあるもの。ただし、ジョセフなど、キャラクターによってはコンボが増えない人物もいる。

『テラフォーマーズ 紅き惑星の激闘』プレイインプレッション――原作を忠実に再現したストーリーが味わえる_13

 本作は、いわゆる“キャラゲー”に分類される、原作ありきのゲームで、おもにストーリー面が魅力だ。しかし、これまで語ってきたようにシステム面も練り込まれており、とくにアクションゲーム好きな人ならかなりやり応えを感じられるデキになっている。むしろ、難易度の面でガチすぎて「ここまでやっちゃって大丈夫か!?」と心配になるくらい。と言っても、ガード行動がきちんとできるようになればグッとやりやすくなるし、キャラクターを成長させることでさらに難度を下げることも可能になっている。なかなかよく考えられた作品なのだ。

 一方、ストーリー面でのボリュームはやや物足りなさを感じるかも。何しろ、原作となったアニメ版自体が1クール作品と短いので(コミック版もまだ12巻しか出ていないしなぁ)、インターネットを介したランキングシステムなどのやり込み要素や、本作オリジナルのミッションを加えてもそれなり、といった感じだ。この点については、コミック版もまだまだ連載が続いているし、次回作が出るようなことがあれば自然と解決される問題だろう。

 “原作に忠実”で、なおかつ“ガチなアクションが楽しめる”本作。とくに原作ファンのひとは、ぜひこのマニアックな良作を遊んでみてほしい。


テラフォーマーズ 紅き惑星の激闘
メーカー フリュー
対応機種 3DSニンテンドー3DS
発売日 2015年4月2日発売
価格 5980円[税抜](6458円[税込])、ダウンロード版は5980円[税抜](6458円[税込])
ジャンル アクション