「『絶体絶命都市4』はいまの技術と、いまの自分たちだからこそ作れるものに」(九条氏)

 2014年12月、グランゼーラは、アイレムソフトウェアエンジニアリング(以下、アイレム)が保有していたゲーム『絶体絶命都市』および、新規タイトルを含むシリーズタイトルに関する全世界での販売権、知的財産権の取得を発表した。『絶体絶命都市』シリーズは、これまでに3タイトルが発売。だが、シリーズ最新作として2011年春に発売予定だったプレイステーション3用ソフト『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』は、2011年3月14日に発売中止が発表。

 それから約4年――。グランゼーラの販売権・知的財産権の取得により、シリーズタイトルの販売が再開され、『絶体絶命都市4』の再始動も発表。今秋には最新作の情報が公開予定となっている。

 そこで今回は、『絶体絶命都市』シリーズ再開について、同シリーズの生みの親であり、グランゼーラ創設者のひとり、九条一馬氏に経緯や思いなど話を訊いた。

※本インタビューは、週刊ファミ通3月5日号(2月19日発売)に掲載したものを加筆編集したものです。

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『絶体絶命都市』シリーズ復活に懸ける思いをグランゼーラ 九条一馬氏に訊く_01
グランゼーラ チーフクリエイター 九条一馬氏。アイレムソフトウェアエンジニアリングを退社後、グランゼーラを設立。携わったおもな作品は『絶体絶命都市』、『R-TYPE』『パチプロ風雲録』など多数。

グランゼーラの創業目的のひとつ『絶体絶命都市』の再始動

――『絶体絶命都市』の販売権、知的財産権の取得の発表は、かなり反響があったのでは?

九条 そうですね。我々が思っていた以上に、皆さんが反応してくださいました。喜んでくださる方がこんなにいるんだ、と本当にビックリしました。というのは、『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』の発売中止を発表したのが約4年前、つまり実質、前作『3』が発売されてからは約6年が経ったシリーズですから。我々自身、権利を取得したこと自体、うれしかったのですが、待っていてくれた方がたくさんいた、ということも大きな喜びでした。と同時に、これだけ多くの方を待たせていたのか、と申し訳ない気持ちになり、複雑な心境にもなりました。

――その反響の多くが好意的なものだったと思います。

九条 権利が他社へ移ると非難されることもありますが、多くの激励をいただきありがたかったですね。私たちが頼りないからでしょうけど、応援、心配してくれるファンの方がいるというのは、ありがたいなと思います。

――もともとグランゼーラがアイレム出身の方が多い、というのが好意的な反応の理由だと感じます。

九条 それもあると思います。私たちも深く関わったゲームでしたので。

――では、そもそも『絶体絶命都市』の販売権、知的財産権を取得した経緯を教えていただけますか?

九条 はい。もともとグランゼーラは「災害ゲームを世に出す」ことが創業目的のひとつでした。災害というリスクの高い題材を扱っているゲームですので、自分たちで経営責任が取れる、リスクを取れる会社を作ろうということではじめました。ですので、『絶体絶命都市』は、できれば我々の手で世に出したいと思っていたんです。そうした思いを、アイレムさんが汲んでくださり、とても好意的にお話を進めていただけました。昨年、一気に話がまとまり、年末の差し迫った中(2014年12月24日)での発表になりました。

――突然のことで、確かにビックリしました。

九条 皆さん、ビックリされていた印象でしたね。あの日の発表は、社内でも直前まで一部の者しか知らなかったので、社内のスタッフも驚いていました(笑)。

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絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち-(PS2アーカイブス:配信中)