ガンプラ少女、表彰台に立つ!

 “ガンプラビルダーズワールドカップ2014”は、バンダイ公式のガンプラコンテスト。過去の日本大会では、お笑い芸人のパンクブーブー 佐藤哲夫がファイナリストに選ばれて話題になったことを記憶している人も多いことだろう。2014年12月21日には、日本(と各国)大会で優勝した者だけが参加できる“ガンプラビルダーズワールドカップ2014世界大会決勝戦 表彰式”が行われた。参加者の中でとくに注目を集めたのが――畑めいさんだ。14歳以下が腕を競うガンプラビルダーズワールドカップ・ジュニアコースでこれまでに日本大会V4を達成。4度目の世界挑戦で準優勝&特別賞(セブン-イレブン賞)をW受賞した、日本が誇るガンプラビルダーだ。ファミ通.comでは、畑めいさんに独占インタビューを敢行。作品作りに対する姿勢や、小学生としての日常生活などを訊いてみた!

“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_01
▲ガンプラビルダーズワールドカップ2014・ジュニアコース準優勝を勝ち取った、畑めいさん作“アルの中の戦争”。モビルスーツ単体の仕上がりはもとより、迫り来る弾道を鮮やかに再現し、圧倒的な迫力を生み出している。これがオープンコース(15歳以上)の作品だと言われても、何の違和感も持たないのでは?
“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_02
▲この少女こそ、大人も舌を巻くほどのモデリング技術を持つ、畑めいさん!

努力しないと楽しいことって見えてこない

――大会に出品する作品を制作までには、どのくらいの時間かかるものなのですか?
畑 めいさん(以下、めい) うーん……作る時間は1ヵ月くらいかなあ。どういう作品を作るのか考える時間は、2ヵ月くらいかも。

――作品を考えるときは、設計図になるような絵を描いたり……?
めい お話の中から「これ」っていうのを決めて、頭の中で考えていくの。絵を描いたりはしない。それで、考えた感じになるように材料を買ってきて、表現していく感じ!

――その「これ」っていうものは、どうやって思いつくのですか?
めい たとえば……最初の年は地上の作品を作ったから、つぎは水中をやってみたいと思って……。で、そのつぎはやっぱり宇宙かな? という感じ毎年決めていって。どんな感じにするかが決まったら、そこからDVDでアニメを観て、バチッときたところを膨らませて、実際に作品を作っていくの。

――なるほど。では、『機動戦士ガンダム』シリーズのアニメの中で、いちばん好きな作品は?
めい ……ひとつ!? 

――じ、じゃあ、ふたつでも3つでも!
めい だったら、最初の『機動戦士ガンダム』と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のふたつ!

――ということは、アムロとシャアの物語が好きなのかな?
めい ううん。ザクとνガンダムとサザビーが好きだから。

――ああ、登場するモビルスーツが大事なんですね。
めい うん。ガンダムなんだけど、ガンダム系の中では唯一、νガンダムが好き。ほかはあんまり。

――まあそう言わず(笑)。でも、ガンプラビルダーズワールドカップ2014で受賞した作品はケンプファーですよね? ってことは、作品にしたいモビルスーツと好きなモビルスーツは分けて考えているということ?
めい そう。作品作りと好きは違うから。

――さすが、世界2位だけあってクールだなあ。じゃあ、コンクールとか関係なく、遊びで作るとしたら、どのガンプラを選びますか?
めい 旧キットのビグロ!

――おおお!? なんてシブいチョイス! それはなぜ?
めい 前に作ったことがあるんだけど、どれだけ技術が上がっているか比べてみたいなーって。

――なるほど、納得! ちなみに、大会に出品する作品以外も含めて、1年でどれくらいの作品を作るのですか?
めい 少ないです! 遊びで作るのを合わせても、年間4~5個かなあ? 

――確かに少ない! いっぱい作って練習しているのかと……。
めい めいはあんまり作らない。弟のほうがいっぱい作るよ! でも、弟はいろいろ作るけどあんまり取っておかない。すぐそれを改造したり、ほかのやつのパーツにしちゃうの(笑)。

――あはは(笑)。めいさんは、ひとつひとつの作品を大事にしている?
めい めいは1個作ったら、ながーく遊んで、飽きたら「眠っててね」って仕舞っておくの。で、弟に取られちゃったりする。

――(笑)。素朴な疑問ですが、めいさんがガンプラ初心者の人に上手になるコツを教えるとしたら……どんなアドバイスをしますか?
めい ヤスリは10年!
めいさんのお父さん いきなりそんなこと言ったら初心者の人が作りたくなくなるでしょ!

――まあまあ(笑)。とにかくヤスリがけは重要、と。
めい あとは、汚し(塗装)も大事だけど……。まずはヤスリからやらないとできない!

――なるほど。まさに「ヤスリがけの技術を磨くべし!」ってことなんですね。
めい なんて言うか……そんなに簡単にうまくならない。やっぱり、努力しないと楽しいことって見えてこないから。

――ものすごく核心を突いた言葉ですね……。
めい めいの場合は、最初は汚しがとっても楽しくて、「汚しの技術を高めていきたいな」って思ったら……そこからどんどん楽しくなっていったの。

“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_03
▲準優勝が決まった直後のめいさん。あまりにもうれしくて、よろこびのコメントを聞かれたときに、うまくしゃべれなかったらしい。

男の子よりザクのほうがカッコいい!

――これだけのガンプラ作りの腕があるわけだから、図工の成績はいいでしょう?
めい だいたい“たいへん良い”!

――じゃあ、得意教科もやっぱり図工?
めい ううん、算数! あと、体育は球技以外が得意!!

――ほー!
めい 算数は計算が好き。体育は、5年間連続でリレーの選手なの。

――ガンプラ作りは世界レベルで、算数が好きで、足も速い……そんなめいさんは、将来いったいどんな大人になりたいですか? 目指してる職業があったら教えてください。
めい ずっとガンプラを作ってたいなー。でも、将来の夢はお医者さんの免許を取って、バンダイに入るの!

――えっ! ガンプラを作る感覚で手術するのは困るけど?(笑)
めい それはしないー! お医者さんである程度稼いでから、バンダイに入社したい!!

――めいさんなら、バンダイでも十分稼げると思うけどな。ところで、学校の成績が落ちたらガンプラを作らせてくれない、というような“お家ルール”ってあったりします?
めい ない! めい、学校の成績落ちないし!!

――失礼しました! じゃあ、それ以外のお家ルールは?
めい 9時に寝ること! あとは、ガンプラは楽しく作ること!!

――でも、作品作りで忙しいときに宿題がいっぱい出たりとかってこともあるでしょ?
めい めい、やらない! やらなくていいよって言われるし。
めいさんのお父さん 先生は、めいのことを本当に考えてくれていて。「宿題よりも優先してがんばることが必要なときもある」って待っていてくれるんですよ。だから……やらなくていい、じゃなくて待ってくれてるだけだからな、めい!
めい はーい!

――なるほど。お父さんにガンプラ作りを教えてもらい、学校のフォローもあって……すごいですね。
めい あと、近所のプラモ屋の店長!

――ほほう。その店長さんは、めいちゃんの師匠的な存在?
めい うん。師匠! 引き出しをいっぱい持ってる!!

――4連覇もうなずける最高の環境だなあ。ちなみに、作品作りを通じてめいさん自身が「成長したな」ってことは?
めい 人見知りはしなくなったかも……? それくらい。

――それくらい、ですか(笑)。いやあ、これだけの成績を残しているんだから、学校じゃめいさんってヒロインなんじゃ?
めい ううん。「ガンプラ女」って言われる! 「何が悪い?」って言い返すけど。

――いや、まったく悪くないですよ! でも、そろそろクラスの女の子とかは「○○君カッコイイ!」とか言ってたりするでしょ? めいさんはそういうの……ないんですか?
めい いる! 「付き合ってるんだー」とか言ってる子、いる!! でも、めいはまったく興味ない。

――男の子を見て、カッコいいとか思ったりは……?
めい だって、ザクのほうがカッコいいもん!

――あはははは(笑)。筋が通っていてすばらしい!

これが世界だ! ジュニアコース&オープンコースの作品をご覧あれ!

 以下では、畑めいさんとしのぎを削ったジュニアコース受賞の2作品と、オープンコースの受賞3作品を紹介。この大会がどれだけとてつもないレベルのものなのか、写真を見れば……ガンプラに詳しくなくてもわかるはず!

“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_04
▲こちらがジュニアコースの優勝作品。韓国代表、アン・ジフンさん作“イノセンス・オブ・チャイルドフッド”。クオリティーはもちろん、作品全体から心温まるストーリーを感じさせる。
“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_05
▲ジュニアコース3位となったのは、タイ代表、ワラコーン・カエウマートさん作“キュリオス アサルト”。ベースの『MGデュアルガンダム アサルトシュラウド』をはるかに凌ぐ、すさまじい火器群を追加!
“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_06
▲オープンコースの世界一は、マレーシア代表、アンディ・ウォンさん作“インベーダーズ・ファウンド”。ベースとして使われているのは『MG ジ・O』なのだが、その片鱗はごく一部に感じられるのみ。すさまじいカスタムっぷり!
“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_07
▲三木義久さん作“天翔ける麒麟 ~バイアラン・カスタム試作2号機~”が準優勝作品。『HGUC バイアラン・カスタム』をベースに『HGUC ギャプラン』、『HGUC マラサイ』などのパーツを組む込み、ティターンズモビルスーツの集大成的な仕上がりに。なお、当作品は特別賞のガンダムVISAカード賞もW受賞している。
“ガンプラビルダーズワールドカップ2014”日本大会ジュニアコース4連覇の畑めいさん独占インタビュー!_08
▲オープンコースの3位は、台湾代表、リン ズ チャオさん作“リボーン”。モビルスーツの作り込みも圧巻だが、波の質感や背景の多彩なオブジェクトも光る逸品だ。台座に作品のテーマを盛り込んでいるところもおしゃれ!