『Halo』で人生が変わった

 と、さらっと言い切ってしまう3人の『Halo』ファンに集まってもらった。
 『Halo』シリーズの正史を丸ごと最新仕様で楽しめる『Halo: The Master Chief Collection』(以下『Halo: TMCC』)の発売からひと月半。当初からのオンラインの不具合も段階的に復旧し、最新作『Halo 5: Guardians』のマルチプレイ・ベータテストも始まるいま、改めて『Halo』の魅力や楽しみどころについて話を聞いた。

【座談会・参加メンバー】

新旧のトッププレイヤーに聞く『Halo』シリーズの魅力と“コントローラーの向こう側”_01

YASUHIRO
初代Xboxの時代に『Halo: Combat Evolved(以下『Halo 1』)』、『Halo 2』の両タイトルで個人・団体の二冠を達成したレジェンド・チャンピオン。家業の美容師をこなしつつ、日々『Halo』シリーズの伝道に勤しむ生粋の『Halo』サポーターでもある。
Twitter ID:@NOAjp

新旧のトッププレイヤーに聞く『Halo』シリーズの魅力と“コントローラーの向こう側”_02

VEXATION
Japan FPS Championship 2014『Halo: TMCC』部門優勝(⇒関連記事はこちら)。昨年の国内『Halo』関連大会でもタイトルを総なめにした現チャンピオン。Red Bull主催のゲームキャンプで『Halo 4』の講師も務めるなど、いまもっとも目が離せない『Halo』プレイヤーのひとり。
Twitter ID:@_VEXATION

新旧のトッププレイヤーに聞く『Halo』シリーズの魅力と“コントローラーの向こう側”_03

樋口和之
知る人ぞ知る元お笑い芸人(5番6番)、現サラリーマン。芸人時代から“ゲームが得意”のレベルをちょっと超えた腕で鳴らし、『Halo』関連の公式イベントにも出演。ついにはエンターブレイン(当時)に入社してしまったという異色の経歴の持ち主。

2002年、それぞれの出会い

――『Halo 1』から『4』までのミッションや対戦マップを織り交ぜて遊べる『Halo: TMCC』の仕様は、『Halo』歴の長いプレイヤーほどグッときます……よね?

YASUHIRO(以下YAS) (しみじみと)グッときますよ……『1』から『4』と、『Halo 2』のアニバーサリー版で、実質5タイトルぶんのマップが入ってるじゃないですか。大人数で遊ぶと、『3』が得意な人もいれば、僕みたいに『1』が得意な人間もいて、まず個性が出るんですよ。『3』のマップで負けると「つぎは『1』に行こうぜ!」みたいな(笑)。自分の土俵に引っ張り込めるのがたまらないですね。

VEXATION((以下VEX) ナンバリングタイトル4本を1本のソフトに統合して、ディスク入れ替えなしでつないで遊べるっていうのは本当に大きいですよね。

YAS マッチメイキングやカスタムゲームをやっていて飽きないんですよ。「じゃあ、気分転換に『2』のクラシックをやろうぜ」みたいなこともできるので。

樋口 昔のマップが色褪せていないのは、ホントによくできていますよね。

――とくに『2』や『3』のマップは、当時、オンラインのトラッキングやファンの意見を吸い上げてしつこくバランス調整されましたし……いわば数百万のプレイヤーによって磨き上げられたマップ揃いかと。

YAS 逆にクソ……当時不評だったマップも、いま遊ぶと懐かしいわけですよ。出たよこのク……不評マップ! みたいな(笑)。そんなのも含めて、ファンにはたまらないと思います。

樋口 YASUHIRO君もオトナになったんだなぁ……。

――皆さん、『Halo』シリーズはもちろん『1』からリアルタイムでプレイを?

YAS もちろんです。初代Xboxを発売日に買って、Xbox Liveもサービス初日からずっと。『頭脳対戦ライブ』、やってましたよ? 当時はまだボイスチャット自体が珍しかったし、初めてヘッドセットから人の声が聞こえたときは感動しました。

VEX 自分も『1』から。ただ、対戦は『2』からで、オンラインは『2』の後期からですね。Xboxとの出会いにはドラマがあって……中学に入ったときに、初めて自由に小遣いを使えるようになったんです。すごい田舎に住んでいたのですが、それを握り締めて1時間半、自転車を漕いでゲームショップまで行って……PS2を買いに行ったんです(笑)。そうしたら、お金が1000円足りなくて。1時間半かけて行った手前、手ぶらでは帰れず……代わりにXboxを買い、レビューサイトで高評価だった『1』を買ってみたらハマったんです。

YAS 運命の分かれ道だ(笑)。

――あれを自転車で持ち帰るのはけっこう重かったのでは……あ、でも逆に「あの重さがうれしかった!」みたいな?

VEX いや、相当重かったですね……(笑)。そこからずっと『Halo』シリーズは遊び続けていて、ようやく最近になって芽が出始めてきた感じです。

樋口 僕も初代の『1』からですね。友だちの家でXboxと『1』を見せてもらって、これはおもしろいぞ、と。いまだにそのときに作ったゲーマータグ、いまでは貴重な2文字のタグを使っています。で、そのころは風呂なしの四畳半に住んでたんですけど、当時の彼女が誕生日にXboxを買ってくれて。その後、彼女専用のXboxも増えて、モニターも2台用意して、(互いに見えないように)斜めにモニターを設置して対戦して……何度か危機もあったんですが、そのときの彼女がいまの嫁です。

『Halo』の原体験

樋口 『Halo』は、操作感がまずよかったですよね。シンプルなんだけど、ひとつひとつのアクションにちゃんと奥行きが用意されていて……まぁ、当時はもう無我夢中で撃ってましたけど(笑)。壁にアサルトライフルで人の絵を描いたり……。

YAS あったあった(笑)。

樋口 対戦のマップで、階段を上がって部屋に入る場所があって。そこの壁に、弾痕で棒人間みたいなのをぱぱっと描いておくと、入ってきた人がたまに間違ってそれを撃つんですよ(笑)。

――初代Xboxは家庭用ゲーム機で初めてハードディスクを積んだマシンだったので、「壁に撃った弾痕まで残る!」みたいなフィーチャーもわりと珍しかった記憶があります。

YAS マップのあちこちからグレネードを1ヵ所に集めてきて、(一度に爆発させて)ワートホグを空に飛ばしたりとか、いろいろやってましたね。

樋口 あと、僕は植物。『1』で初めてヘイローに降りたときに、(芝、すげー生えてんなー)って見とれたり。白い花とかを「キュイキュイーン」って。

YAS スコープでズームして(笑)。

樋口 見てるうちに、コヴナント艇が降りてきてバッシバシ撃たれるんですけどね。ステージが単純にエリアを仕切るものじゃなくて、ちゃんと"世界"が構築されていたというか……こまごましたものまで、ちゃんと丁寧に描かれていたんですよ。あれは驚きましたね。

――『Halo: TMCC』では『Halo 2』も10年越しに初リメイクされましたが、『Halo 2: Anniversary』の皆さんの感想は?

YAS 『1』のアニバーサリーでもありましたけど、ボタンひとつでシームレスにグラフィックを切り替えられるあの仕様って、何気にすごいですよね。『Halo 2: Anniversary』ではムービーシーンもすごく力が入ってますけど、それまでシームレスに切り替えられる。リマスター版からクラシック版に切り替えると、クスっとする部分もたくさんあって、それが僕的にはヒットでした。銃のSEとかも変わりますし、昔『2』で遊んだ人はちょこちょこ切り替えながら遊ぶと、かなり楽しめると思います。

――個人的には、視点調整のシーンがまず懐かしかったです。「上のライトを見てくれ! よーしつぎは下のライトだ!」みたいなアレ、昔よく真似しました(笑)。考えてみると、視点調整の時点でもうちょっと愉快な気分にさせてくれるのも『Halo』シリーズの魅力の秘密……かも?(笑)

VEX (笑)。キャンペーンも好きでずっとやってますけど、自分はマルチ派なので、『2』と言うとやはりランク制ですね。ランクシステムって、同じレベルの人と戦えるのがすごく大きくて。ゲームの寿命も延ばしますよね。
 あと、『Halo 2: Anniversary』ではシステム面もいま風に改良されているのがいいと思います。たとえば、HUDが近年の『4』の仕様に近いので、『4』からの移行組も遊びやすくなっている。そのままのリマスターじゃなくて、かゆいところに手が届くリメイクというか、ブラッシュアップされていますよね。

YAS 確かにそうだなぁ。昔は『2』のシールド、見にくかったですもんね。(画面の)左下にあって、何でここにあるんだよって(笑)。

樋口 『Halo』シリーズって、基本的に装備をつけてキャラが硬くなるわけじゃないんで、個人が強くなったり、立ち回りで硬くなるしかないじゃないですか。シールドの耐久力を調べたり、あとはマップの後ろ歩きの練習とか。撃ちながら逃げるために、マップを全部後ろ歩きで回れないとそのクランに入れない、みたいな(笑)。

YAS やりましたね(笑)、3D空間を把握するために。

樋口 あれは役に立ちました。いまだにいろんなFPSでやりますので。

新旧のトッププレイヤーに聞く『Halo』シリーズの魅力と“コントローラーの向こう側”_05