“The Game Awards 2014”のGame Of The Year受賞はダテじゃない!
エレクトロニック・アーツより、プレイステーション4/プレイステーション3/Xbox One/Xbox 360用ソフト『ドラゴンエイジ:インクイジション』が発売中だ。同作は、壮大な世界観や練り込まれたストーリーが特徴の正統派RPG『ドラゴンエイジ』シリーズの最新作。先日行われた、全世界のゲームメディアが選ぶゲームアワード“The Game Awards 2014”でも、その年もっともすぐれたタイトルに送られるGame Of The Yearに輝くなど、その評価はすごぶる高い。ここでは、そんな同作の魅力を、開発元であるBioWareのクリエイティブ・ディレクター、マイク・レイドロウ氏に語ってもらった。本作のプレイを検討している方は、とくにご一読あれ。
──今作『ドラゴンエイジ:インクイジション』と、前作(『ドラゴンエイジ: オリジンズ』、『ドラゴンエイジ II』)の物語はつながっているのですか?
マイク 『ドラゴンエイジ:インクイジション』の物語は、時間軸で言いますと『ドラゴンエイジ: オリジンズ』のすぐあとから始まります。ただし主人公はまったくの別人ですので、“似ているようで違う世界”を体験できます。
──ほかの登場人物も一新されているのでしょうか。
マイク 主人公は違いますが、前作までのキャラクターはたくさん登場しますよ。前作をプレイした方のほうが冒頭の物語がわかりやすいと思いますが、初めてプレイする方でも楽しめるようにデザインしています。また、シリーズ作品の経験者は、『ドラゴンエイジキープ』(※1)というウェブサービスを利用すれば、前2作で起きたことに合わせて『ドラゴンエイジ: インクイジション』の世界をアレンジして、自分だけのストーリーを楽しめます。
※1 前作『ドラゴンエイジ: オリジンズ』、『ドラゴンエイジ II』で起きた出来事について、300以上の選択を行って『ドラゴンエイジ: インクイジション』のストーリーに反映できるウェブサービス。(⇒詳しくはこちら)
──前作と同様、キャラクターどうしの恋愛イベントは起こりますか?
マイク 今回も恋愛イベントはあります。主人公だけでなく、パーティー以外でも恋愛関係が生まれることがありますし、バリエーションが多彩になっています。キャラクターどうしの関係が、バトルやストーリーに大きく影響することはありませんが、友情関係でも恋愛関係でも、NPCと仲よくなることでサイドクエストを含む、さまざまなコンテンツがアンロックされます。サイドクエストをクリアーするとレアなアイテムが手に入ったり、相手のキャラクターのバックグラウンドがよくわかるようになって、ストーリーの幅が広がります。
──クエストのボリュームは増えていますか?
マイク 『ドラゴンエイジ II』や、さらにクエストが多かった『ドラゴンエイジ: オリジンズ』よりもかなり増えています。前作までのサイドクエストは、手をつけなくてもゲームプレイそのものにはとくに影響しませんでしたが、『ドラゴンエイジ:インクイジション』ではサイドクエストも意味のあるものにしようと考えました。ストーリーには影響しませんが、審問会(主人公が率いる勢力)が強くなったり、主人公がいろいろな人物から尊敬されたりして、「やってよかった」と思えるサイドクエストがたくさん用意されています。もちろん、ストーリーに関わるメインクエストそのもののスケールもかなり大きくなっていますよ。
──シナリオを用意するだけでもたいへんだったのでは?
マイク たしかに、ものすごくたいへんでした(笑)。制作に3年以上かかっていますし、途中でゲームエンジンをFrostbite 3(※2)に変更したので、ゼロから作り直すことになってしまいました。ゲームエンジンを変えたのは、Biowareとして、グラフィックを楽しむだけのゲームではなく、“プレイできる壮大な物語”を作りつづけたいと考えたからです。『ドラゴンエイジ: インクイジション』でそれが実現できたことを誇りに思いますし、今後、Biowareが作るゲームも“プレイできる壮大な物語”になると思います。
※2 『バトルフィールド 4』、『ニード・フォー・スピード ライバルズ』など、エレクトロニック・アーツから発売されているゲームでおもに採用されているゲームエンジン。
──ゲームエンジンを変えたことで、どのようなメリットがありました?
マイク まずビジュアル面でできることが増えました。たとえば会話シーンでは、キャラクターのしゃべりかたをゲームエンジンがチェックして、怒ったり笑ったりする表情を表現します。NPCどうしの会話も実現できましたし、大きなカットシーンについては、モーションキャプチャーを使ってリアルに描けるようになりました。ものすごく苦労が多かったんですが、ゲームエンジンを変えて本当によかったと思います。
──シリーズで初めてマルチプレイを導入したのはなぜですか?
マイク まず、Frostbite 3エンジンを採用したことで、マルチプレイの実装が可能になったことが大きいですね。4人パーティーで戦いを進めるもともとのゲームシステムも、マルチプレイに向いています。また、(Biowareが開発した)『マスエフェクト 3』のマルチプレイがかなり成功したので、『ドラゴンエイジ:インクイジション』にも取り入れようという話になりました。マルチプレイでもパーティー内での役割分担が楽しめますし、結果的に取り入れて正解だったと思います。
──マルチプレイのキャラクターはシングルプレイと共通でしょうか。
マイク マルチプレイのキャラクターはシングルプレイと別で、独自のビジュアルやバックストーリー、スキルセットを持っています。シングルプレイではゼロからキャラクターを作り上げますが、マルチプレイでは最初に3人のキャラクターから選べるようになっています。その後、ゲームを進めるとキャラクターがアンロックされて、いまの時点では最大8人のキャラクターが使えるようになる予定です。将来的には、キャラクターをさらに追加しようと考えています。
──マルチプレイ用のキャラクターも成長しますか?
マイク 同じキャラクターを使い続けると、キャラクターがレベルアップしていきます。能力がアップしますし、性能の高い武器が使えるようになります。シングルプレイでは、ベースクラス(基本職)に従って4つのスキルツリーから能力を選んで成長させますが、マルチプレイではふたつのスキルツリーと、クラス固有の能力であるスペシャリティー(専門)を成長させることができます。プレイヤーが成長させる能力を選べる点は、シングルでもマルチでも同じです。
──マルチプレイのフィールドはシングルと共通ですか?
マイク シングルプレイとマルチプレイとではフィールドが別々になっていますが、テーマとしてはつながりがあります。たとえば、シングルプレイでは入れなかったエルフの神殿がマルチプレイではステージのひとつとして登場します。同じステージでも、墓場の中を進んだり、地上を進んだりと、いくつものルートが用意されていて、変化が富んでいるので飽きさせません。
──海外のプレイヤーともマルチプレイを楽しめますか?
マイク ひとりのプレイヤーがホストになって、一時的にローカルサーバーを提供する役割も果たしますので、ホストから遠く離れた国のプレイヤーは動きが若干遅れる可能性があります。海外のプレイヤーといっしょに遊ぶことは可能ですが、実際には同じ国のプレイヤーと遊ぶことが多いと思います。
──マルチプレイのグラフィックもかなり精細に描かれている印象を受けました。描画にも何かこだわりが?
マイク シングルプレイでもマルチプレイでも、グラフィックのクオリティーが変わらないことを目標のひとつに掲げていました。キャラクターはマルチプレイ専用なのでシングルと雰囲気が違って見えるかもしれませんが、背景や動きはシングルでプレイしているときとまったく同じ感覚です。
──今後、ダウンロードコンテンツを配信する予定は?
マイク 具体的な内容は未定ですが、『マスエフェクト 3』と同じように、無料で遊べるコンテンツパックを配信する予定です。『ドラゴンエイジ:インクイジション』さえ持っていれば、誰でもダウンロードできて、新規マップなどを追加できるようにするつもりです。
──日本語版とオリジナルの英語版に違いはありますか?
マイク CEROの規制に合わせるために、表現が過激だと指摘されたダンジョンの背景など、いくつかのマイナーな変更は加えましたが、プレイしていて明らかに英語版と違うと思われるような、大きな変更はありません。ストーリーは何も変わりませんし、英語版と100パーセント同じようにゲームプレイが楽しめます。
──日本語訳が自然で読みやすいと感じました。日本語版のローカライズ作業は日本で行われたのでしょうか。
マイク ローカライズ作業そのものは、スペインのマドリードにすべての言語のネイティブスピーカーを集めて進めましたが、最終的なチェックはカナダのエドモントンにあるBioware本社で行いました。本社ではローカライズチームのすぐ近くに開発チームがいますので、表現の細かいニュアンスの違いなどを、つねに開発チームと確認・調整できます。ローカライズのクオリティーにはたいへん自信を持っています。
──『ドラゴンエイジ:インクイジション』をどのように楽しんでもらいたいですか?
マイク ゲームですから、なにはともあれとにかく遊んで、がんばって敵をやっつけてください(笑)。シングルプレイでもマルチプレイでも世界観を大事にして制作していますので、初めてプレイする方も、シリーズ経験者も楽しめると思います。