自分だけの個性的なトリデを作れるリアルタイムシミュレーションゲーム

『勇者トリデ BAGOOON!!』はマイペースに遊べる“ながらゲー”【プレイインプレッション】_20

 『ディバインゲート』、『ロード・トゥ・ドラゴン』と、スマホで遊べるゲームを開発、運営し、立て続けにヒットを飛ばしているアクワイア。そんなアクワイアから新たに、iOS、Android、そしてプレイステーション Vitaでリリースされるフリー・トゥ・プレイ(基本プレイ無料)のゲームが発表された。タイトルは『勇者トリデ BAGOOON!!』。…………うん、なかなか思い切ったタイトルである。30代も中盤になった筆者にとっては、バゴォーンというと思わずカップ焼きそばを想起してしまうところだが、よくよく調べてみると2014年現在も東北・信越地方では絶大な人気を誇っているそう。あれ、スープがいっしょに添付されてるのがお得感があっていいんですよね。すばらしいアイデア! ……まぁ、そんな話はさておき。そんな、『勇者トリデ BAGOOON!!』をサービスイン前にプレイさせていただく機会に恵まれたので、本ソフトの魅力をお伝えしたいと思う。なんだろう、唐突に堅い感じになっちゃったので……、バゴ―――ンと魅力を紹介するヨ! よし、勢い大事。

 『勇者トリデ BAGOOON!!』は、メーカー資料によると“トッテトラレテストラテジー”というジャンルのゲーム。もうちょっといろいろな人にわかってもらえる簡単な言いかたをすれば、タワーディフェンス型のリアルタイムシミュレーションゲームです。自分の陣地に攻めてくる敵を、防衛施設やキャラクターを駆使して倒すゲームのことですね。『Fieldrunners』、『エレメンタルモンスターTD』、『クリスタルディフェンダーズ』といった作品をプレイしたことがある人も多いのではないでしょうか。最近だと、ニンテンドー3DSに移植された配信専用ソフト『メゾン・ド・魔王』や、世界中でヒットしている『クラッシュ・オブ・クラン』なんかも、タワーディフェンス型のゲームですね。

 おもしろいのが、『勇者トリデ BAGOOON!!』の世界設定。世界を危機に陥れたドラゴンが退治されたため、世界中の勇者たちに就職難の時代が訪れ、一転してニートになってしまったとのこと。需要があったころはよかったけど、需要がなくなると戦士や傭兵が途端に山賊とか海賊になっちゃうなんていうファンタジー作品もあったりしますよね。まぁ、そんな感じで働き口がなくなった勇者たち。そんな勇者たちの一攫千金を狙った仕事が、“勇者トリデ”作りなわけです。堅牢で階層の高いトリデを作ることがプレイヤーの使命。その先にいったい何が待っているのか……? それはまだ謎ですが、トリデ作りに欠かせない“資源”は専用の施設で生成するほか、他プレイヤー(マルチプレイ時の攻略対象)やニセ勇者(シングルプレイ時の攻略対象)のトリデに侵攻して、トリデを破壊することで得ることができるのです。

「他人のトリデ見て、我がトリデ直せ」個性的なトリデを作ろう

 個人的に何よりもハマっているのが、トリデ作り。ちまちまと自分だけのトリデを作りながら、他プレイヤーから攻められたときのことを想定して、「ここで足止めをしているあいだに、こっちから攻撃……」と妄想を膨らませるのが楽しくて楽しくてしかたがない! 自分の発想力こそが、相手を翻弄すると考えると、こんなに挑戦しがいのあるトリデ作りはないです。もうめっちゃ楽しい。また、他プレイヤーのトリデを見に行くのも楽しいです。自分がプレイさせてもらっている時点では、マルチプレイを行うと開発スタッフの方たちが制作したトリデに侵攻できたのですが、「ああ、こうすることで、相手が攻めづらくしてるんだ」とか、「その発想はなかった!」なんていう独自の発想から作りこまれたトリデなんかもあって、非常に勉強になり、また、それが自分のトリデ作りへのモチベーションになるんですよね。なので、ぜひサービスが開始されたら、マルチプレイで他プレイヤーのトリデへ侵攻しまくってください。勝てなくて悔しい思いをしたトリデって、めっちゃ参考になります。

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▲ちなみにこちらが我がトリデ。上空からの攻撃への対策をまったくしていませんが、上から攻めてきてもすぐに下りてこられないように階段を左右に振って移動距離を長くさせる嫌がらせ的な構造にしてあります。いちばん奪われたくないブレイブコイズの貯蔵庫である本拠地は、階層の中段に置くなど、必死です。
▲本拠地をレベルアップしていくと、トリデの施設のレベル上限が上がったり、横方向に広く使えるようになったりします。そのために絶対に必要になるのが、前述したブレイブコイズ。だからこそ、本拠地は死守したいのです。
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▲他プレイヤーからの侵攻に備えて、“防衛キャンプ”で防衛用の勇者を雇用しておきましょう。どんな勇者を雇用するかもセンスが問われるところ。最初のころは選べる勇者も少ないが、防衛キャンプをレベルアップさせると、雇用できる勇者の種類も増えていく。
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▲他プレイヤーから侵攻されるとシールドが発生。シールド発生中は他プレイヤーが侵攻できなくなるため、安心してトリデ作りにいそしめます。ありがたや。

 あと、プレイヤーによっては、個性的なトリデを作るというのも、お楽しみ要素のひとつ。たとえば、アクワイアさんからいただいた画面写真などでは、ハート型のトリデや、お城のような形のトリデを作ったりしています。まぁ、こんなのは序の口。サービスインしたときに、プレイヤーの皆さんがどんなトリデを作り上げるのか。制約の中でどこまで自由に遊んでしまうのか、いまから楽しみでしかたありません。

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「どこから攻めるか……?」時間差攻撃も有効

 そして、タイトルの語源となっている「BAGOOON!!」を発生させると超気持ちいいトリデの侵攻。これは、自分の手持ちの勇者たちで、どうやってトリデを攻略するか、その戦略を問われる内容になっています。トリデに侵攻させる勇者は“勇者酒場”で雇用。勇者は、ナイトやアーチャー、メイジなどといった職業ごとに特徴があるので、どんな勇者を雇って侵攻するかも、攻略の重要な要素になります。

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■ナイト
目の前の敵や施設へと突撃し、道を切り開く、ニート勇者の代表。
■アーチャー
空中タイプからの攻撃と上下段への間接攻撃が可能。田舎育ちのノラ勇者。
■ゴーレム
耐久度の高い施設を壊す際に壁役となれる、デカい勇者。

 でも、何よりも重要なのがトリデをどこから、どのように攻略するか! ここがポイントです。上下左右に遠距離から攻撃可能な“アーチャータワー”の配置されたトリデに、何も考えずに突っ込んでいっても、完全に的になるだけ。そんなときは、盾役として活躍するゴーレムを先行部隊として送り込み、アーチャータワーの脅威がなくなったところで、一気に勇者たちを侵攻させるなど、時間差で攻めるといった戦略も重要になる。また、1体だけ召喚できるヒーローも重要です(※ブレイブコイズを消費すれば他プレイヤーのヒーローも召喚可能)。ヒーローは、それぞれ状況を一変させるようなスキルを持っており、バトル中に召喚されている時間が長いほど、そのスキルの効果も高まるため、どのタイミングでスキルを発動させるかが、トリデ攻略で重要になってきます。というわけで、トリデ攻略時はぼーっと見ていては、ダメ。つねに状況を把握して、いまどんな手を打つかを考えながらプレイしなければならないのです。

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▲わりと攻めやすそうなのに、貯め込んでいる資源がとんでもなく多いトリデを発見。さっそく侵攻することに。
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▲しかし勇者たちのレベルが低いと、施設の耐久値をなかなか減らせず、制限時間を迎えてしまう。

 戦略的な要素に関しては、まだまだ見どころが満載。トリデの1段分の施設を破壊しきると「BAGOOON!!」という演出とともに“ブレイクラッシュ”が発生し、トリデが1段分つぶれます。これがまた気持ちいい。しかも、2段、3段と同時に複数段をブレイクラッシュすると、ド派手な演出とともにトリデを大破壊! 課金商材である“ガーネストン”や施設のレベルアップに必要になる資源がたくさん手に入るとあって、これはもう狙うしかない要素となっています。ただ、トリデを攻略するだけではなく、いかに効率的に気持ちよくトリデを破壊するかを考える。その試行錯誤が楽しいゲームとなっています。これは、やり込み要素とも言えると思うので、ぜひやり込み派のプレイヤーは挑戦してほしいです。

『勇者トリデ BAGOOON!!』はマイペースに遊べる“ながらゲー”【プレイインプレッション】_12
▲赤くなっている部分には勇者を送り込むことができないので、基本的にはトリデの外側から侵攻をすることに。ただし、よく見ると赤い部分が抜けている箇所もあるため、そこから一気に攻めるという方法もあるし、また、あえて穴を作ってそこから攻めさせて、ワナを用意しておくという防衛側の戦略もある。
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『勇者トリデ BAGOOON!!』はマイペースに遊べる“ながらゲー”【プレイインプレッション】_02
▲うまくトリデの1列分を破壊できれば「BAGOOON!!」と派手にトリデがつぶれる。まとめて複数段破壊できると、より派手に。

“ながらゲー”という名の自分のペースでやり込めるソーシャルゲーム

 そんなわけで、『勇者トリデ BAGOOON!!』の魅力を語ってきたわけですが、ぶっちゃけ人によって「おもしろい!」と感じるポイントが分かれるだろうな、という印象でした。自分にとっての『勇者トリデ BAGOOON!!』は、トリデ作りが最高に楽しいゲームです。人によってはトリデ攻略が楽しいゲームだと思います。

 メーカー資料によると、本作は“ながらゲー”と呼称しているそうで、これがなかなか的確。どうしてもゲーム序盤はトリデを強くするために資源も欲しいし、トリデを侵攻してニセ勇者や他プレイヤーのトリデを破壊する楽しさに傾倒しがち。自分もそうでした。ただ、トリデを侵攻するには勇者を雇わなければいけない。侵攻に必要な人数の勇者を揃えるには、そのレベルにもよりますが数分待たなければいけないため、トリデを侵攻してすぐにまたトリデを侵攻、といったプレイができません。もちろん、課金商材である“ガーネストン”を使えば時間短縮をして、即座に侵攻することも可能ですが、そこまで追い詰められてない心境的には、いま課金するのもなぁといった感じ。これがたとえばイベント開催期間やランキングなどで「上位に食い込むために走らなきゃ!」という状況だったら、考えかたも変わるんですけどね。また、トリデの施設をレベルアップさせるのも、資源のほかに時間がかかります。そんなこんなで、プレイ時には数分~数時間待つことがあるわけです。それも、けっこう頻繁に。

 そこで思い出していただきたいのが、メーカー資料にあった“ながらゲー”。そう、メーカー資料にもはっきりと書いてあります。「ほかのゲームの合間にプレイしてくれ」と

 どんだけ謙虚か!!!

 なるほど、そういうゲームか! ということがわかった時点からは、ほかのソーシャルゲームをプレイして、スタミナがなくなったら本作をプレイ。終わったらスマホを閉じて、ほかのソーシャルゲームのスタミナが回復したころに、またプレイ。寝る前には数時間かかる施設のレベルアップを行い、朝起きてチェックという日々を続けていました。そんな“思い出したころにプレイ”という遊びかたで十分に楽しめるバランスが、とても遊びやすかったです。もちろん、この状況もサービスインして、多数のプレイヤーが自分のトリデに侵攻するようになったら、状況が変わるかもしれませんが、とりあえず、個人的にソーシャルゲームなどで感じるガツガツプレイし続けないと置いていかれるとか、時間の効率を意識して生活をそっちに合わせないとイベントで勝てないといった強迫観念のようなものがなく、マイペースに遊べて、でも、トリデ作りやトリデ攻略など、やり込み要素もある、そんなゲームになっているのが好印象。とっても楽しくマイペースにプレイできました。ですので、長々と書いてしまったこの記事を読んでくださった皆さんも、配信されたら、ぜひ思い出していただき、プレイしてみていただければ。


勇者トリデ BAGOOON!!
メーカー アクワイア
対応機種 PSVPlayStation Vita / iOSiPhone/iPod touch / AndroidAndroid
発売日 iOS版・Android版は2014年11月上旬配信予定、プレイステーション Vita版は今冬配信予定
価格 基本プレイ無料(一部アイテム課金あり)
ジャンル シミュレーション
備考 開発:サイクロンゼロ、アクワイア