あのハンサム・ジャックの過去が明かされる!

 2014年10月30日、ついに発売されたプレイステーション3、Xbox 360用ソフト『ボーダーランズ プリシークエル』のインプレッションをお届けしよう。なお今回の記事は、Xbox 360版を使用して執筆している。

 過去に何度か紹介してきたが、改めて概要を解説。そもそも『ボーダーランズ』シリーズは、Gearbox Software開発による一人称視点シューティング(FPS)。RPGやハック&スラッシュの要素も楽しめることや、ブッ飛んだ世界観が人気を博し、シリーズ化されたのだ。

 『ボーダーランズ プリシークエル』は、そんな人気シリーズの3作目。『2』の敵役であるハンサム・ジャックがどのような過去を歩んできたかという、『1』と『2』をつなぐ物語が語られるのだ。ローカライズは前作に引き続き、テキスト、音声ともに日本語化されている。

今度は月でバカ騒ぎ! 『ボーダーランズ プリシークエル』プレイインプレッション_01
▲ストーリーに大きく絡むハンサム・ジャック。プレイヤーは、『2』では敵となる彼の陣営に所属して戦うのだ

“月”ならではの新要素が熱い!

 本作で選択できる主人公は、グラディエーターのATHENA、エンフォーサーのWILHELM、ローブリンガーのNISHA、フラグトラップのCLAPTRAP。いずれも過去作に登場したキャラクターで、ファンには嬉しいポイントだ。各キャラクターは覚えられるスキルが異なるため、戦闘スタイルも大きく変わる。キャラクターごとに異なるテイストのバトルを楽しめるというワケだ。

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▲『ボーダーランズ』のDLCで登場したATHENA。盾を使用するタンククラスで、スキルもそれにちなんだものが多い。
▲『ボーダーランズ2』のボスとして登場したWILHELM。本作ではまだ人間の部分が多く、スキルを育てると徐々に機械化していく。
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▲『ボーダーランズ2』のシェリフだったNISHA。近接攻撃はムチで戦うというウェスタン風味。
▲シリーズを象徴するようなキャラクターのCLAPTRAP。機械のため酸素がなくても平気という特徴を持つ。

 前述したように、本作の時系列は『1』と『2』のあいだ。HyperionのHeliosという宇宙施設が、Lost Legionという組織に襲撃を受ける。Heliosから月へ脱出した主人公は、ジャックとHeliosを救出するため、月から発信されているジャミング信号を見つけ出す……というのが当面の目的となる。

 というわけで、本作の舞台は過去作から見えた“月”となる。単に設定や背景にとどまらず、ゲームシステムにも大きく影響を及ぼしているのだ。ひとつめは、過去作の舞台である惑星パンドラよりも重力が低いこと。そのためジャンプは大きくゆったりとしたものになる。ジャンプからのホバーや、急降下攻撃“スラム”といった新しいアクションも楽しめる。

 もうひとつの新要素が酸素。月面は当然ながら真空で、徐々にO2(酸素)ゲージが減少。02ゲージがなくなれば窒息状態となり、今度は体力が減ってしまうのだ。そのため、これまでのようにじっくりと探索することは月面では難しく、つねに酸素の残量を気にかけつつ戦う緊張感が味わえるのだ。なお酸素は、月にある施設やアイテムで補給できる。

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▲真空状態では、過去作よりも大きくジャンプできるのが特徴。O2を消費してホバーすることも可能だ。
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▲体力ゲージの下にあるのがO2ゲージ。月面にある酸素が吹き出すポイントや、室内などから酸素を補給できる。

新システムをたっぷり堪能できる作り込みの数々

 基本的な情報をおさらいしたところで、さっそくプレイ。最初からプレイするのは今回が初となるが、まず感じたのは、「期待していたとおりの『ボーダーランズ』だった!」ということ。新要素は多数あるものの、狙いを付けて撃つというシューティングの根幹となる手触り感は過去作と変わっておらず、「ただいま!」の気分でどっぷりのめり込める。

 だが、月面に降り立つあたりから、少しずつ“本作らしさ”を体感するようになる。まずは敵が強いこと。序盤であるにもかかわらず敵の攻撃は激しく、また耐久力も高いのだ。だが理不尽な難しさではなく、「過去作はもーちょっと簡単だった気がするなあ」というレベル。個人的にはこれぐらい歯ごたえを感じるぐらいで丁度いいので、どんとこいだ。

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▲追加要素はあれど、基本的なテイストはシリーズそのまま。撃ちまくりのバトルをたっぷり楽しめる。
▲序盤から割と倒されることが多かった。ちなみにダウン状態から敵を倒すことができれば、その場で復活できる。

 またマップもシステムに合ったデザインになっている。高いジャンプを活用して移動できるような、複雑で立体的な作りになっているのだ。そのため、マップを探索する楽しさも増大している。それに合わせて難度もアップしているが、正解のルートを目印で教えてくれることもあるため、クリアーだけなら困らない印象だ。

 個人的に気に入ったのは、新アクションの“スラム”。本作はFPSのため、真下に急降下するこの攻撃は当てにくいだろうなあ、と思っていた。だが攻撃範囲は予想以上に広く、また敵も大きく吹き飛ぶため爽快感もバッチリ。積極的に使いたくなるアクションに仕上がっていた。

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▲高い位置にある機械に近接攻撃を行うなど、高いジャンプを楽しめる仕掛けが数多く用意されている。
▲個人的にお気に入りの特殊攻撃“スラム”だが、敵も使ってくる。急に目の前に落下してくるため脅威!

シリーズ通しての魅力もバッチリ健在

 本作はミッション形式でゲームが進行するが、本編とは関係ないサイド ミッションが多数用意されているのも過去作譲り。ミッションの内容もいい感じにブッ飛んだものが多く、ポスター撮影のために空中で的を狙い撃ちさせられたり、さらに完成したポスターを自分で貼らされたりすることも。登場人物もイカれたキャラクターが多く、シリーズ伝統の悪ノリは本作でもバッチリ楽しめたのは嬉しいところだ。

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▲個性的な内容が多いサイド ミッション。クリアーするとさまざまな報酬がもらえるのだ。
▲ある人物から配達確認書にサインをもらうミッション。無事サインをもらったら、依頼主から「じゃあそいつクソ野郎だから殺して」と斜め上の展開に。じつに『ボーダーランズ』らしいノリ!

 主人公の成長も変わらず楽しい。本作は敵と戦ってレベルアップするとポイントを入手でき、これを割り振って新しいスキルを取得、成長させていく仕組み。スキルの種類は非常に多いため、プレイ毎に異なるスタイルで成長させられるのも大きな特徴だ。筆者は割り振りに迷うタイプのため、とりあえずポイントを溜めておくスタイル。こんな感じでナチュラルな縛りプレイになってしまう人、きっと多いよね?

 強力な装備を探すことも本シリーズの楽しみのひとつだ。武器はショットガンやサブマシンガンなど数タイプ存在するが、その性能はランダムで変化するため、強力な武器に切り替えて主人公を強化していく楽しみが、最後……というかクリアー後まで味わえるのだ。また武器にとどまらず、シールドやグレネードなどの能力も装備で大きく変わる。FPSでありながら、ハック&スラッシュの要素も楽しめるのだ。

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▲キャラクターごとに異なるスキルを取得可能。セオリーをつかみきれない序盤では、どのカテゴリを成長させていくか悩みがち。
▲グレネードやシールドは、Modという装備によって威力や属性などが変わる。

 また、やり込み要素も用意されている。ショットガンで敵を○○体倒す、凍った敵を武器で○○体粉砕する、といった特定の目標を達成する“チャレンジ”が存在し、達成すると“Badass ランク”が上昇するのだ。ランクを上げていくこと自体も楽しいが、ゆくゆくはプレイヤープロフィール全体で有効となるアップグレードも入手できる、というメリットも存在する。2体目、3体目のキャラクター育成が楽になることが予想されるため、やり込み派のプレイヤーには嬉しい要素だろう。

 多数の新要素が加えられ、プレイ前は別物に変わってしまったのではないかと一抹の不安があったことも事実。だがふたを開けてみれば、新たな魅力を組み込みつつ、シリーズの良いところはしっかりと継承している完成度であった。個人的には、敵の強さやレベルデザインによって過去作よりも少し難度が高くなったと感じた。だがFPSが苦手な人は敬遠せず、むしろこれを機会に協力プレイにチャレンジしてみてほしい。複数人で立ち向かえばひとりでは困難な局面も突破できるはずだし、何より本シリーズ最大の魅力である協力プレイのおもしろさも跳ね上がるハズだ。

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▲過去作のセーブデータがあれば、スキンやムーンストーン(強化に使える通貨のようなポイント)がボーナスでもらえる。ファンには嬉しいオマケだ。
▲過去作に登場したキャラクターがチョイ役で登場する、これまた嬉しいサプライズが!

著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。『ボーダーランズ』シリーズは毎回フレンドと協力プレイで遊ぶのが何よりの楽しみ。おもしろさが10倍ぐらい変わるよね!