大人のためのRPGに酔いしれろ!

 今回紹介するのはクォータービュー(斜め見下ろし型)のアクションRPG『Transistor』です。5月にPC版が発売され、北米ではプレイステーション4版も発売されていますが、残念ながら日本語版は未発売。有志による非公式日本語化MOD(※ユーザーが作成したPCゲームの改造・追加ファイル)はありますが、導入は自己責任でお願いします。開発のSupergiant Gamesは、元エレクトロニック・アーツの開発者を中心に2009年に設立され、2011年にPCとXbox Live アーケード向けにリリースされた『Bastion』で一躍注目を集めたスタジオです。
 本作の最大の魅力は、美しいビジュアルと個性的なロックサウンドで描かれるアダルトな世界観! 主人公の“Red”は、ショートカットが似合う27歳の女性で、ネオンがきらめく未来都市“Cloudbank”の人気歌手。そして、本作のもうひとり(?)の主人公とも言えるのが、Redが抱きしめている大剣の“Transistor”。知能を持ち、渋い声で語りかけるTransistorは、無口なRedと対照的な物語の語り手となっています。
 大剣のTransistorを武器に、未来都市を探索するRed。リアルタイムとターン制を融合した斬新な戦闘システムは次ページでも説明しますが、大剣を操るRedはとにかくスタイリッシュ。絵画のような舞台の中、渋いボイスで語られるミステリアスな物語は、まるでハードボイルド小説! ヘッドホンをして、夜中にひとりで浸りたい大人のRPGと言えます。

『Transistor』幻想的で大人の雰囲気漂うRPGに酔いしれよう【とっておきインディー Vol.003】_01
『Transistor』幻想的で大人の雰囲気漂うRPGに酔いしれよう【とっておきインディー Vol.003】_02

~『Bastion』とは?~
 美しいビジュアルと独創的なサウンドで高い評価を得た『Bastion』も、クォータービューのアクションRPGだ。白髪褐色のキュートな少年(Kid)を操作して、崩壊した世界の謎を探っていく。『Transistor』に比べるとアクション性が高く、直感的な操作が特徴。西部劇とファンタジーが融合したような世界観も、都会的な雰囲気の本作とは好対照だ。お好みでこちらをプレイしてみるのもいいだろう。

●サイバーパンクでミステリアスな物語
 Transistorを引き抜いたRedは、“Process”という敵から追われる身に。Transistorの指示に従い、戦いながら街からの脱出を図ることとなる。
 Transistorは“Function”という機能を持ち、これはレベルアップやイベントを通して獲得できる。Functionには、“Crash()”や“Get()”といったプログラミング言語のような名前が付いており、剣にインストールしてスキルやステータスを強化可能だ。Functionを集め、街を探索することで物語は断片的に綴られていく。Transistorの正体は? なぜ街から住人が消失しているのか? ミステリー好きにはたまらない物語も。魅力のひとつなのだ!

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▲いきなり衝撃的なアートで始まるオープニング。悲しげなRedの表情、串刺しにされた謎の男。あらゆる状況が謎のまま、プレイヤーは剣を引き抜く。

◆バトルの流れ
(1)バトル発生! まずはリアルタイムバトル
 都市の夜景が美しいフィールド画面。だが、見とれているわけにはいかない。敵に発見されると強制的に戦闘に移行するからだ。勝利しなければ、点線に囲まれた領域から脱出できない。Functionはスキルのようなもので、あらかじめ4つまで登録できる。カスタマイズの幅は広いので、いろいろと試してみるといいだろう。リアルタイムバトル中も使用可能だが、敵の攻撃はなかなか激しいので、“Turn()”という特殊技が効果的だ。Turn()を使用すると時間が止まり、バトルがターン制に移行する。

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(2)Turn()発動! 時を止めて戦略を練ろう
 Turn()を発動すると、画面が暗転して時間が止まる。この間は、自由に作戦を練って行動を選択することが可能だ。画面最上部のゲージが行動量を表しており、ゲージが尽きるまでは何度でも移動やスキルを使用できる。スキルは近接高威力技、広範囲攻撃、魅了効果とバリエーションも豊富。高性能なものほどゲージの消費が激しいため、計画的に使用する必要がある。また、敵の背後からの攻撃や特定のコンボにはダメージボーナスも加算される。作戦を立てたら、いざ実行。再び時は動き出す!

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(3)そして時は動き出す! 高速で敵を倒せ
 Turn()を解くと、RedはTurn()中に設定しておいた行動を高速で実行するようになる。格闘ゲームのような連続技のカッコよさは必見! 行動中は無敵状態なので、敵の攻撃とバッティングしても問題ない。ただし、こちらの攻撃を受けるとワープしたり、爆発する敵もいるため、思ったよりダメージを与えられないこともある。敵との相性を考えてスキルを使おう。ゲージが完全回復すると、つぎのTurn()が発動可能となる。ゲージ回復には時間がかかるため、ゲージを使いきらないスタイルもアリだ。

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~多様なカスタマイズが可能! 物語の鍵になるFunctionシステム~
 合計16種類あるFunctionには、アクティブスキル、Redを強化するパッシブスキル、ほかのFunctionのアップグレードという3つの利用法がある。たとえば、Crash()はスタンつき攻撃、被ダメージ軽減、ほかのスキルにスタン付与という効果を持つ。また、Functionには物語の重要人物のデータが詰まっており、使用していくことでアンロックされる。本作の物語はゲームを進めるだけでは断片的にしか語られない部分もあるが、Functionをカスタマイズすれば、攻略を有利にし、物語を掘り下げられるのだ。

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▲アクティブスキルは4つまで登録可能。それぞれふたつまでFunctionを追加して強化できる仕組みだ。
▲Function使用でアンロックされる情報は、物語を理解する重要なカギ。

『Transistor』 Launch Trailer


Transistor
メーカー Supergiant Games
対応機種 PS4プレイステーション4 / PCWindows
発売日 発売中(5月20日) ※日本未発売
価格 19.99ドル
ジャンル アクション・RPG