『シャドウ・オブ・モルドール』など気になるタイトルがいっぱい

 先日行われたE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)でも、ひときわ印象的だったのがワーナー・ホーム・エンターテイメントブース。詳細はリポート記事をご覧いただくとして(⇒記事はこちら)、『バットマン: アーカム・ナイト』や『シャドウ・オブ・モルドール』など、キラ星のごとき注目作を出展し、たくさんの来場者を集めていた。

 そんなE3に先駆けて、ワーナー・エンターテイメントでは、イギリス・ロンドンにてプレスイベントを開催。『シャドウ・オブ・モルドール』、『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』、『Gauntlet』をお披露目した(⇒関連記事はこちら)。ここでは、同イベントで行われた各タイトルのクリエイターへのインタビューの模様をお届けしよう。

 なお、3タイトル中『シャドウ・オブ・モルドール』に関しては日本発売が決定済み。『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』と『Gauntlet』の発売は現時点では決まっていないが、吉報を心待ちにしたい。とくに『レゴ ムービー ザ・ゲーム』(⇒関連記事はこちら)と『レゴ マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲーム』(⇒関連記事はこちら)の国内発売は決定したことだし、この勢いで『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』もぜひ……。ねえ、ワーナーさん!

■「プレイヤーひとりひとりに異なるゲーム体験をもたらしたい」
『シャドウ・オブ・モルドール』
モノリスプロダクションズ デザイン・ディレクター マイケル・デ・プラター氏

『シャドウ・オブ・モルドール』や『LEGO Batman 3:Beyond Gotham』など、ワーナー注目3タイトルのこだわりポイントをクリエイターに直撃_01

――『ロード・オブ・ザ・リング』をモチーフにしたゲームを作ろうと思った経緯を教えてください。
マイケル チーム全員で決めました。映画『ホビット』が公開されるというタイミングもありましたし、もともとすばらしい物語&世界観なので、その世界を舞台にアクションゲームを作るというのは、我々にとってチャレンジングな取り組みになるのではないかと判断したんです。チーム全員のモチベーションが高かったですね。

――ゲームの時代設定を『ホビット』と『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のあいだに設定した理由は?
マイケル いくつか理由がありましたが、いちばん大きかったのは、ふたつの作品のいいところ取りをできるところですね。『ホビット』と『ロード・オブ・ザ・リング』両方の物語からインスピレーションが得られるわけです。私たちにとっては、クリエイティブな可能性が広がるものになりました。

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――“ネメシスシステム”が斬新ですが、どのように発想されたのですか?
マイケル ふたつの理由がありました。ひとつ目は、もともと『ロード・オブ・ザ・リング』の世界では、オークたちはお互いに仲間割れする存在だということ。そういった意味では、“ネメシスシステム”は世界観に沿っているんです。もうひとつが、オークという敵の存在をよりおもしろいものにしたかったということです。本作では、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)をとにかく時間や労力をかけて作りました。わけても、注力したのは敵キャラクターです。そこで私たちは、「どうしたら敵をよりおもしろいものにすることができるのか?」「いかにして彼ら(敵)により大きな意味を持たせ、それぞれのプレイヤーごとにユニークなものとすることができるだろう?」って考えたんです。

――それで、オークの個性を際立たせる“ネメシスシステム”ができあがったんですね?
マイケル そうです。この世界に存在するどんな敵でも、砲弾の餌食となる兵士でしかないということはないんです。どんな登場人物でも個性を持ったキャラクターになり得るわけで、それとともに、豊かな物語を作ることができるんです。

――“ネメシスシステム”のほかに、本作でとくに注力したポイントは?
マイケル すぐに思いつく限りでも3つありますね。まずは敵のAIです。まるでその世界に本当に存在するかのような敵キャラクターは、オープンワールドにまったく新しい息吹を吹き込むことができました。ふたつ目は、主人公であるタリオン(プレイヤーキャラクター)のアクション。“戦闘”、“ステルス”、“遠距離攻撃”など、そのときどきに合わせたゲームプレイが快適で洗練されたものになるように、かなり長い時間をかけてアクションをブラッシュアップしています。そして、3つ目は現時点では詳細をお話しできませんが、物語とその世界観です。

――“詳細をお話できない”とのことですが、触りだけでもお教えいただけないでしょうか? そして、主人公のタリオンとは、どのようなキャラクターなのですか?
マイケル タリオンは、レンジャー(野外活動を得意とする戦士)ということもあり、(同じレンジャーの)ボロミアからインスピレーションを受けました。アラゴルンから影響を受けた部分もあります。タリオンのキャラクターに二面性を持たせるというのは、我々にとって重要でした。本作は、彼の復讐から始まります。彼は家族を失い、生命を落とすのです。それで、最終的な目的は、もちろんサウロンの中つ国征服の野望を阻止することにあります。

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――本作では、ストーリーモードのほかに、どのようなモードがあるのですか?
マイケル ゲームプレイは基本ひとりなのですが、ソーシャル要素も加味されています。“抗争(ベンデッタ)ミッション”がそれにあたります。こちらは、プレイヤーが敵に倒されたら、そのプレイヤーの友だちのゲームプレイ時にミッションが作成され、友だちが仇を討つことができるというモードです。仇討ちに成功すれば、友だちにもプレイヤーにも経験値などが与えられるんです。

――まさにベンデッタ(抗争)ですね。
マイケル それから、『バットマン:アーカム』シリーズと同様の“チャレンジモード”なども準備していますよ。これは、敵をどれだけ早く倒せるかを友だちと競うモードです。 “何人倒したか”や“どれだけ早く倒したか”を得点で争うことになっています。率いる部隊には階級もあるので、けっこう燃えますよ。

――それはおもしろそうですね。本作は、海外では10月7日に発売されるとのことですね。
マイケル はい。日本でもあまり時間をおかずに楽しんでいただけるようになるのではないかと思います。本作は、オープンワールドを舞台に、プレイヤーそれぞれに他人とは違う体験をしていただくということを目標に開発を進めています。日本のファンの皆さんに、どのように本作を楽しんでもらえるか、私たちもいまらから楽しみです。

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■「『LEGO』シリーズの新機軸となる作品に!」
LEGO Batman 3: Beyond Gotham
TT Games アシスタントゲームディレクター マーティン・シャープルズ氏

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――シリーズ3作目ですが、前作までのフィードバックを受けての、本作の方針を教えてください。
マーティン タイトルの“Beyond Gotham(ゴッサムの先)”が象徴している通り、私たちが作りたかったのは、バットマンとロビンがゴッサム・シティを離れて新鮮な環境に身を投じることで、『LEGO Batman』シリーズにユニークで新しい経験をもたらすゲームです。そのため、ゲームプレイの要素も少し調整し、新しい活力を与えることも必要でした。

――具体的にはどのようなことを?
マーティン もっとも大きな変更は、スーツがどのように機能するかという部分でした。シリーズの『1』と『2』のゲームプレイは、“レゴスーツ”に規定されていました。つまり、ステージが変わるとバットマンとロビンが新しいスーツに着替え、パズル要素を解決していくというものです。それでは少し制約が多い。そこで『3』では、アンロックしたスーツであれば、いつでもどこでも着替えられるようにしたんです。それによって、新しいゲームプレイがもたらされることになりました。ひとつのミッションに対して、複数のアプローチが可能になったんですね。そういったゲームプレイの広がりは、舞台設定を宇宙に広げるという意味からも有意義なことでした。

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――それにしても舞台が宇宙とは、スケールの大きなお話になりましたね。
マーティン 本作では150人を超えるDCコミックのスーパーヒーローたちが総登場するのですが、それだけのヒーローが活躍するには、宇宙という舞台は必須でした。そして、ゲームユーザーの皆さんはつねに新しいものを求めています。本作では、「こんなことまで可能だったんだ!」とびっくりしていただけるようなスケール感を出したかったんです。

――なるほど。本作にはDCコミックのスーパーヒーローが登場するとのことなのですが、どのようなストーリーになるのですか?
マーティン 『3』は、『2』から直接つながるストーリーになります。『2』の最後では、“ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ(※)”がカメオ出演しているのですが、彼らはバットマンやロビン、スーパーマンに加勢し、ジョーカーとレックス・ルーサーの陰謀を阻止しようとしていました。また、『2』の最後では、最強のヴィランであるブレイニアックもちらりと登場しました。ブレイニアックは、奪った惑星をとても小さいサイズに縮小して、ガラスのボトルに入れて集めるのを趣味としています。その惑星に生息する人々もろとも……。で、その惑星コレクションに、地球を加えようとするのです。ブレイニアックとの対決が、『3』のストーリーの中心となります。

※DCコミックに登場するスーパーヒーローで構成されるチーム。

――それは、相当スケールの大きな話ですね。
マーティン はい。それでバットマンはゴッサム・シティを離れて、宇宙でブレイニアックを探し出して、手遅れになるまえに野望を阻止しなければならないというわけです。

――DCユニバースのスーパーヒーローたちは大活躍する?
マーティン もちろんです! スーパーマンやワンダーウーマン、グリーン・ランタン、サイボーグ、フラッシュといったスーパーヒーローたちは、本作を通して重要な役割を演じることになります。それに加えて、ヴィランもたくさん登場します。彼らのことを“リージョン・オブ・ドゥーム”と呼んでいるのですが、ジョーカーやレックス・ルーサー、ソロモン・グランディ、キラークロック、ファイヤーフライ、チーターなどがいっしょになって、ウォッチタワー(※)を乗っ取ろうとするんです。

※月にあるジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ”の拠点

――それはまた、映画なみにスケールの大きな話ですね!
マーティン そこにブレイニアックも絡んでくることになるんです。ところがブレイニアックとヴィランたちの利害は一致しません。地球が乗っ取られることは、ヴィランたちにとって気持ちのいいことではないんです。そこで、彼らはしぶしぶスーパーヒーローたちに協力することになる。

――スーパーヒーローとヴィランが共闘するようになるんですね。映画でも実現しないような夢のタッグが実現すると?
マーティン そうなんです。ブレイアックを倒すために、ヒーローとヴィランがともに戦うわけです。

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――本作からの新要素で、とくにお気に入りのものは?
マーティン 個人的に気に入っているのは、バーチャルリアリティーのミッションです。このミッションのコンセプトは、プレイヤー自身が“自分がバットマンであると実感できるものを目指す”ということから生まれたものです。プレイヤーは、まるでバットマンであるかのように訓練し、バットマンそのものに成り切れるんです。

――具体的にはどのような感じになるのですか?
マーティン なかなか言葉では説明しづらいのですが、プレイヤーが“バットコンピュータ”に入り込んで、バーチャルスペースでミッションをこなす……といった感じでしょうか。バーチャルリアリティーのミッションでは、通常空間とはビジュアルも異なっており、サイバースペースを思わせるものに変化します。ミッションはストーリーに絡むものもあれば、フリープレイとして自由に遊べるものもありますね。

――さらに違ったゲームプレイが楽しめる感じでしょうか?
マーティン そうですね。バーチャルリアリティーのミッションを織り交ぜて、ゲームプレイのペースが変化することで、『LEGO』ゲームに親しんで来られたユーザーの皆さんにとってサプライズになればと願っています。『LEGO Batman』シリーズを初めてプレイされる方は、想定されていたであろう『LEGO Batman』のゲーム体験とは異なるので、新鮮な驚きを感じていただけるのではないかと、期待しています。

――本作は、いままでの『LEGO Batman』シリーズにはない新機軸となりそうですね。
マーティン はい。本作は、皆さんが考えていらっしゃる『LEGO Batman』のイメージを覆すものとなるでしょう。舞台が宇宙になることによって、冒険できる世界が広がるのはもちろんですが、世界観も深化しているんです。本作では、ブルース・ウェインの個人的な背景や、彼が抱く感情をさらに深く掘り下げたものとなっています。本作は、『LEGO Batman』シリーズの新しい時代の到来を象徴した作品となります。日本での発売は決まっていないそうですが、ぜひとも遊んでほしいです。

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■「とにかく4人協力プレイが楽しい1作です」
『Gauntlet』
Arrowhead Game Studio アートディレクター ロブ・タットネル氏

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――1985年にアーケード版がリリースされるや好評を博した『Gauntlet』ですが、今回リメイクした理由を教えてください。
ロブ 2年前のE3のミーティングで、ワーナーの担当者さんから「古いゲームの権利を持っているのですが、興味ありませんか?」と持ちかけられたのがきっかけです。そのころ私たちは、『Magicka』というタイトルをリリースしていたのですが、『Gauntlet』からインスピレーションを受けた作品だったんです。もともと私たちはオリジナルの大ファンでした。ワーナーの担当者さんも、『Magicka』に『Gauntlet』への愛を見たようで……(笑)。私たちもふたつ返事でオーケーしました。

――『Magicka』といえば、Xbox Liveアーケードで配信されていましたよね?
ロブ はい。Arrowhead Game Studioは、もともとは大学生の集まりだったんですよ。そこで小さなゲームを作ったのですが、賞を取って、それを3D化させて……というのが『Magicka』です。『Magicka』は累計250万ダウンロードを記録しています。設立当初は6~7人だったらしいですが、いまは25人になっていますね。

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――新生『Gauntlet』で、シリーズを踏襲しようとした部分と、あえて変えてみようとした部分を教えてください。
ロブ まずこのプロジェクトを始動するにあたって、スタッフみんなでオリジナル版をプレイしてみたんです。そこでどんなことを感じたかといいますと、オリジナル版はもともとアーケードゲームなので、コインを投入しながら遊びます。そういったメンタリティーは、モダンゲームにはそぐわないことに気づきました。最近のゲームは、体力バーがあって、プレイヤーキャラクターがいまどういう状態にあるかを、わかりやすく計測できるようになっています。たとえば、ダメージを受けて弱まっているとか、七面鳥を食べて回復したりとか……。体力バーは、数量的にそういうところがわかりやすい。一方で、継承したかったのは、ヒーローがとてもユニークでそれぞれ個性的なところです。

――たしかにキャラクターの役割分担はしっかりできていますよね。
ロブ さらには、マップにはたくさんのギミックが仕掛けられていて、ときには混沌としたドタバタも展開される……といったゲームプレイがたまりません。敵もたくさんいて、いろんな属性があったり、長所や短所がある。本作では、そんなオリジナル版の持つすばらしさを、なるべく踏襲しようと努力しています。

――そのほか、注目してほしいポイントは?
ロブ 個人的には、4人がいっしょにプレイするチームワークが魅力だと思っています。ソファにいっしょに座って、それぞれ違ったスキルを持つヒーローが協力して敵を倒す。敵がわらわらと出現する難度の高い局面では、それぞれのヒーローが長所を活かしてチームワークを発揮して戦うことが重要です。たとえば、ヴァルキリーが盾となって前方の敵を抑える。その少し後ろからウォリアーもいっしょに敵をせき止めつつ、最後列からウィザードが魔法でアタックする……とか。そういった感じでプレイヤーどうしで協力しながらチームプレイという遊びかたが、何よりの『Gauntlet』の魅力ですね。

――本作のプレイヤーキャラは?
ロブ ウォリアーとヴァルキリー、エルフとウィザードの4人です。1985年にリリースされたオリジナル版もそうですし。4人だけでもカスタマイズできて、バリエーションを楽しむことができるという理由から、リリース時は4人に固定しようと思っています。協力して敵を倒すというときに、誰かがせき止めておいて、誰かが重要なエネミーにアタックするという役割分担ができているので、この4人のバランスは、とてもいいアイデアだと思いますよ。

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