“大転移アップデート”で大変貌を遂げる『アラド戦記』

『アラド戦記』“大転移アップデート”の見どころを開発スタッフに聞く!_01

 日本でのサービス開始から8年以上が経過したオンラインアクションRPG『アラド戦記』。システムの刷新や新規要素の追加はもちろんのこと、世界観までもが一新される“大転移アップデート”が7月16日に実施されることを受け、その目的や真意などについて、開発スタッフにうかがった。

 なお、アップデートの概要やテストプレイの模様は以下の記事を参照のこと。

『アラド戦記』大転移アップデートでタイトミニのお姉さんが追加【PCオンゲーブログ

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▲グローバル室長兼アジアサービス長のオム・ジョンヒョン氏(左)、『アラド戦記』サービス企画者のイ・デヒョン氏(中)、『アラド戦記』QAのイ・ジョンウォン氏(右)。本作のすべてを知る3人だ。
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――まず最初に、“大転移アップデート”の特徴からお聞かせください。
オム・ジョンヒョン(以下、オム) 大きく分けて3つあります。まずひとつ目に、舞台がこれまでの世界のパラレルワールドとなり、シナリオが大きく変わるところです。これまでの敵が仲間に、また、その逆の関係になるというようなシナリオが展開していきます。我々としても、新しいシナリオをどんどん生み出せるような環境になったということになりますので、改めてシナリオを楽しんでいただけるよう、努力しています。
 ふたつ目は、『アラド戦記』は、ユーザーの動線が敷かれていないという指摘が多かったので、とくにゲーム序盤をわかりやすく進めていただけるようにしました。初心者もプレイしやすいゲームになっていると思います。
 3つ目としては、新しいダンジョン、新しいモンスターがたくさん登場します。これまでになかった、巨大なボスも存在しますよ。さらに、既存のモンスターも1体1体パターンも強化したので、アクション性もアップしています。
 新ダンジョンについては、たとえば、黄金の洞窟というダンジョンのボスは、ふつうに戦うとかなり強いのですが、いっしょに出てくるNPCからバフをかけてもらうなど、ギミックを活用すれば戦いが楽になります。こういった攻略する楽しさや、新鮮な体験をしてもらえるダンジョンが増えています。

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――新規のダンジョンはいくつくらい追加されているのでしょうか。
オム Lv.1からLv.54までのダンジョンですから、いくつになるんだろう……(笑)。数えてみたら、38のダンジョンがありました。

――ちなみに通常のアップデートでは、どのくらいダンジョンが増えますか?
オム レベルキャップの開放がともなう場合で、10個くらい増えたことがありますね。

――その数を聞いただけでも、“大転移アップデート”のボリュームがうかがいしれます。では、ふたつ目のユーザーの動線について、詳しくお聞かせ願えますか。
オム ゲームが始まってから中レベル帯に上がるまでのところに、とくに力を入れて、チュートリアル的にプレイを導く要素を追加。これから新しく始める方も、楽しみながら自然にゲームを理解できるようにしています。
 すでに日本でも8年間サービスしているので、いまのトレンドに慣れているユーザーからすると、やはり古臭くて、実際にプレイしてもとっつきにくいという印象を持たれてしまう面もあるかと思うんです。それをチュートリアルやシステムの改修によって解消しています。

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“大転移アップデート”の実施を決断した理由

――これだけ長く続けてきたゲームに対して、世界観やシステムをガラッと変えてしまうアップデートを行うことは、大きな決断が必要だったかと思います。その決断に至った理由を教えてください。
オム ひとつ目の理由は、長く続けてきたゲームですから、どうしても古くて、新たに始めにくいゲームという印象を持たれてしまいます。まず、その印象を払拭したかったこと。もうひとつは、アップデートしたとしても内容に対して退屈に感じるユーザーが増えてきてしまったことです。
 後者に関しては、これまで『アラド戦記』の大型アップデートというと、新しいダンジョンや、新しい職業を追加するということを実施してきました。しかし、新しい職業であっても、「既存のダンジョンで遊ぶのは退屈」というユーザーの声も多くなってきました。新ダンジョンについては、どうしても高Lv.帯のダンジョンが多くなってしまいますから、低Lv.帯のユーザーにとっては変化がないアップデートになってしまいます。
 また、とくに低Lv.帯はユーザーフレンドリーな作りではなかったので、こういった部分の解消も合わせて、新規のユーザーに対してはより遊びやすく、既存のユーザーに対しては新しい職業を新しいダンジョンで遊んでほしいと思い、今回の“大転移アップデート”の実施に至りました。

――このアップデートにともない、いくつかコンテンツの削除や見直しも行われています。ユーザーの反発があることも想像できるかと思いますが、それでも削除、見直しを行ったのはどういった理由からでしょうか。
オム 今回、削除や見直しを行ったのは、日本独自の仕様の部分に関してのみです。もちろん、さまざまな反応があることはわかっていましたが、まずはこの“大転移アップデート”を行い、一度仕様を共通のものにしておかないと、これ以降のアップデートの支障が出てしまいますので、削除や見直しを実施しました。しかし、“大転移アップデート”で、また新しい『アラド戦記』を楽しんでいただけますし、これ以降のアップデートでは、日本独自の仕様の追加も検討していくことになると思っています。

――なるほど、まずは土台をそろえる必要があったということですね。

改めて聞く『アラド戦記』の魅力

――“大転移アップデート”の目的として、「新規ユーザーも楽しめるようにしたかった」とのことですが、改めて『アラド戦記』を知らないユーザーのために、魅力を教えていただけますか。
オム 魅力が多くてお伝えするのがたいへんなのですが(笑)、まず、いまとなっては、横スクロールの2Dアクション、しかもオンラインゲームというタイトルは、ほとんど存在しません。3Dだけど2Dのテイストで作られるゲームもあるにはありますが、クオリティーや完成度の高さでいうと、このジャンルで『アラド戦記』に並ぶゲームはないと、自信を持っています。
 最近、2Dのアクションゲームをプレイするユーザーは少ないかもしれません。しかし、このジャンルのゲームを楽しんでいたユーザーは多いと思います。そういった、長くゲームを楽しんでいるユーザーも、オンラインゲームでもこれだけの2Dアクションが楽しめるのかと、驚いてもらえると思います。とくに、昔のゲームセンターに通っていた人は、絶対に楽しめのではないかと。(笑)

――そのタイトルに、今回のアップデートで現在のトレンドが追加されるわけですね。
オム はい。とくに気をつけたのは、くり返しになりますが、ゲーム序盤の動線です。最近のゲームはチュートリアルがよくできていて、学ぶことに苦労するゲームはほとんどありません。しかし昔の『アラド戦記』は、ほとんどガイドがなく、ゲームが始まったらユーザーにお任せしてしまう状態でした。これからは、ある程度アクションが楽しめるようになるまでは、システムの理解に苦労せずに済むように作ってあります。それ以降は、また複雑な部分も出てきますが、十分予備知識は身につけていると思いますし、『アラド戦記』のさらなる奥深さに触れてもらえると思います。

――韓国ではすでに”大転移アップデート“から1年近くが経過しています。ユーザーの反応や評価を教えてください。
オム 復帰するユーザーがかなり多くいました。おととしより昨年、昨年より今年と、増えていきました。韓国では、『アラド戦記』はほとんどのゲームファンがプレイしたことがあるというタイトルなんです。そういった状況の中で増えていったので、とても驚いています。

――オンラインゲームにとって、休眠ユーザーを復活させるのは非常に難しいことだと思いますが、それに成功したアップデートだったというわけですね。
オム その通りです。私は韓国以外の国を担当しているのですが、韓国の状況が非常にうらやましいです(笑)。

――そのアップデートやノウハウを今後、ほかの地域でも投入していくわけですね。
オム はい。ですので、とても期待しています。

スペシャルダンジョンの実装と、決闘場改修の意図について

――このアップデートの大きな注目点と言える、スペシャルダンジョンの特徴と実装の経緯を教えてください。
オム これまでの『アラド戦記』の場合、ダンジョンを進行するなかでシナリオを表現するということを、あまりしてこなかった。このスペシャルダンジョンは、シナリオとの関係性もしっかり表現されています。
 さらに、このダンジョンの中では、ミニゲームのようなギミックが存在します。これまではモンスターを倒していくだけの内容でしたが、たとえばNPCが出現して、プレイの仕方によって敵になったり、味方になったりといギミックがあります。

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▲スペシャルダンジョン 追撃!特急列車

――これまで表現できなかったことが、実現できているダンジョンということですね。ちなみに、オススメのダンジョンがあれば教えてほしいのですが。
イ・ジョンウォン(以下、ジョンウォン) 個人的には“タイムブレーク”というダンジョンを体験してもらいたいです。いくつかのボスがランダムで登場するため、クエストを完了するには、何度も挑戦しなければいけません。クリアーは少したいへんなのですが、レベル上げには適しているので、このダンジョンをくり返しプレイするユーザーも多いようです。

オム ちなみに、スペシャルダンジョンの追加にともなって、大きく変わるシステムがひとつあります。いままではキャラクターのステータスは、レベルアップごとに自分でポイントを割り振って上昇させていくシステムでしたが、このシステムは廃止しました。ダンジョンをクリアーした報酬として、自動的にステータスが上がるシステムになっています。

――大きな変更点ですね。なぜ、そのシステムを採用したのでしょうか。
オム どのステータスを上げるかは、ユーザーが前もって学ばないといけないところです。しかし我々は、できるだけ予備知識を学ぶことなく楽しめるのがいいゲームの条件のひとつだと考えています。キャラクターを強くしたいというのはユーザーの共通の目的だと思いますので、そうであれば、我々がベストの方法を提示してあげておいたほうがいいのではと思いました。

――決闘場については、マッチングを見直して不公平感をなくすということですが、具体的にはどういった改修が行われるのでしょうか。
オム フェアな戦いが楽しんでもらいたい、ということを強く意識してマッチングのシステムを見直しました。具体的には、決闘場だけでの実力を評価するレーティングを導入して、これだけを見てマッチングするシステムにしました。実力が近いユーザーとマッチングされるようになり、すでに実装した韓国では高い評価をいただいています。

女鬼剣士の新職業の魅力について

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▲女鬼剣士 新職業・バガボンド

――追加されるふたつの新職業の特徴を教えていただきますか。
イ・デヒョン(以下、デヒョン) バガボンド、ダークテンプラーというふたつの職業を追加しました。バガボンドは物理攻撃力が非常に高いのですが、防御力が低いです。こちらが倒されるまえに倒すというコンセプトの職業ですね。スキルの威力が非常に高いので、初心者にも最適です。Lv.が高くなって敵が強化されるとともに、少し苦戦するケースも出てくるかもしれませんが、低Lv.帯では、この職業より強い職業はないといってもいいです。
 ダークテンプラーは、防御力が高い防具を装備可能で、魔法攻撃を駆使して戦う職業です。こちらはスキル自体の威力はあまり高くはないですが、ユーザーのコントロールしだいで強くなれるという特徴を持っています。使いやすいキャラクターではないけれど、使い手によってどこまでも強くなれる、そういう可能性を秘めています。限界がない職業、といってもいいかもしれません。

オム バガボンドにはもうひとつ、二刀流で戦うという大きな特徴があります。日本のユーザーにはおなじみのスタイルですよね。また、武器を2本装備できますので、組み合わせを考えるおもしろさもあります。あと、とにかくかっこいいです(笑)。

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▲女鬼剣士 新職業・ダークテンプラー

ジョンウォン バガボンド、ダークテンプラーはほかの職業に比べて、“異界ダンジョン”で入手できるアイテムを効率よく扱えるという特徴があります。

――では、これから始めようという人にはバガボンドがオススメと。
ジョンウォン はい。適当にプレイしても強いです(笑)。

――なるほど(笑)。ダークテンプラーは、難しいかもしれないけど、より強さを追及している職業であると。
オム はい。しっかりコントロールして、しっかりスキルを当てていく必要がある職業だと思います。

――ちなみに、ほかに初心者にオススメの職業はありますか。
オム このゲームに最初からある鬼剣士は、シンボルのような職業ですので、まずはこれから楽しんでもらえればいいかと思います。バランスも取れてますし、完成度も高い。あくまでも私の個人的な意見ですが。

ジョンウォン 私は格闘家ですね。攻撃がぶつかり合うという感覚を味わってほしいです。

デヒョン オススメは女格闘家です。新規ユーザーでもプレイしやすくて、それなりに強いです。ほかはプリーストですね。あまり使っているユーザーは多くはないんですが、使えば使うほど愛着が出てくる職業だと思います。

――見事に分かれましたね。それぞれの職業に魅力があるということでよろしいでしょうか(笑)。
オム はい、そのとおりです(笑)。

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▲バガボンドスキル 十字剣
▲バガボンドスキル 烈火地獄
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▲ダークテンプラースキル イモレーション
▲ダークテンプラースキル ドゥームズデー

――では最後に、ゲームファンに向けてひと言、お願いします。
オム 我々はおもしろいゲームを作ることを第一に開発を進めています。ユーザーがゲームを楽しんでいること、これが私のやりがいとなっています。「課金アイテムばかり作って!」といわれることもありますが、それだけに注力しているわけではなく、おもしろいゲームを作ることを第一に、努力していることを理解いただけると、とてもうれしいです。また、離れているユ-ザーさんも多いかと思いますが、カムバックしていただければ、また新しい体験ができると思いますので、ぜひまたプレイしてみてください。

ジョンウォン いままでプレイしていただいたすべてのユーザーに感謝しています。今回のアップデートでいろいろなところが変わっていますが、『アラド戦記』本来の楽しさは損なわれず、ますますパワーアップしていますので、これからも楽しんでいただたけらと思います。

デヒョン 『アラド戦記』を作っているスタッフは、みんな『アラド戦記』が大好きです。これからも、ともに『アラド戦記』を楽しみましょう。