プロトタイプ映像もガンガン公開! 『バトルフィールド』最新作から謎すぎるプロジェクトまで、大きな転換点となるかもしれないEAカンファレンスの内容をまとめてお届け【E3 2014】_10
▲挨拶を行った若きCEOのアンドリュー・ウィルソン氏。昨年の9月に現職に就任してからは今回が初のE3となる。

 日本時間の2014年6月10日早朝、エレクトロニック・アーツが今年もE3前の恒例のカンファレンスを開催した。
 次世代ゲームは開発に時間がかかるし、作り始めてから披露できるレベルになるまでは、それなりの時間が必要だ。そんな時、メーカーには二つの道がある。見た目が整い完成に近付いてから公開するか、あるいは粗削りでもワクワクするようなコンセプト部分を見せてしまうか。普通、エレクトロニック・アーツほどの大パブリッシャーが取るのは前者の道だ。しかし、今回同社が取ったのは、インディーゲームや小規模スタジオのPR戦略に近い後者。

 今年のEAカンファレンスは、テクスチャーもはっていないむき出しのコンセプト映像が次々と披露される、例年からすると異色の内容だった。CEOのアンドリュー・ウィルソン氏が連発していた言葉を借りれば、これがプレイヤーに向けて将来にわたって素晴らしいゲームを提供していくという“公約”(コミットメント)の場であるからこそ、単に今年販売するソフトのラインアップを垂れ流すだけでなく、多少粗削りな部分があってもこの先待っている方向性を指し示すという内容になったのだろう。

実際、プロトタイプには夢がある!プロトタイプ編

 「どこどこが○○を作っているらしい」という噂の方が、実際の発表よりも盛り上がるなんていうことがよくあるように、そこに夢がありさえすれば、ワクワク感に完成度はあまり関係ない。要するに、面白さを凝縮したコンセプトモデルやプロトタイプには夢がある!
 というわけでこの項では、今年の象徴とも言える開発の初期段階のタイトルをまとめて紹介しよう。

■VR対応も検討? Criterion Gamesの一人称視点の何か
 Criterion Gamesは、現在進行中の新プロジェクトにあたっての開発方針をプロトタイプ映像とともに披露。モーターボート、ATV、ジャンプスーツ、パラシュート、ヘリコプター……とさまざまな乗り物が絡むゲームらしく、コンセプト画像では「モーターボートで滝に向かって爆走してからパラシュート展開」というエクストリームなシーンも。
 しかし、レースゲームなのか、エクストリームスポーツ競技のゲームなのか、具体的なことはよくわからず、唯一「一人称視点のゲームだ」という発言があるくらい。でもまぁ、オープンワールドレーシング『バーンアウトパラダイス』が楽しかったクライテリオンならバカ騒ぎできるゲームを作ってくれるんじゃないだろうか?
 ちなみに一人称視点となるとVRヘッドマウントディスプレイへの対応が気になるところだが、スタジオの公式ツイッターアカウントでは「公式に発表出来る事は何もないけど、オフィスでVRを試してる時は楽しいね」という発言も。

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▲数年前なら、エレクトロニック・アーツほどの大パブリッシャーがこんな映像をカンファレンスで流すのはナシだったんじゃないだろうか? でも今は「あのクライテリオンがなんか今までに見たことがない、なんでもアリな一人称視点のゲームを作ってる」という情報はとってもアリ。

■詳報は来年春を待て! 『Star Wars Battlefront
 DICEが開発中のスターウォーズゲーム『Star Wars Battlefront』は、AT-STを歩行させるプロトタイプ映像や、傷や汚れもリアルに描かれるストームトルーパーのレンダリング映像などとともに、実際のエンジンで収録した、映画さながらに燃えるスピーダーバイクのフッテージも!
 ゲームは「ファンが夢見たゲームを作り上げるべく」開発中で、映像にはルーカスアーツの資料を見せてもらったり、撮影に使われた環境に行ってみたりしている様子も収録されている。気になる続報は「SEE MORE SPRING 2015」と、来年春になりそう。

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▲「そうそう、こんな感じ!」ってな各種挙動がたまんないッス。

■今度のFaithはもっと強く、もっと美人さんだぜ『Mirror's Edge
 『ミラーズエッジ』をちゃんとプレイした人なら、あのゲームがその革新性に見合った評価を受けていないことに苛立ったことがあるんじゃないだろうか。
 この、パルクールスタイルであらゆる障害を物ともせずに駆け抜ける一人称視点のアクションゲームが、そのセールス以上の根強い人気があるのは、ちゃんと理由がある。主人公の容姿が合わないことを理由に、プレイもせずに半笑いで扱うなんて論外だ。

 そして彼女は帰ってきた。昨年のカンファレンスでの新作制作発表に続き、今年は新『ミラーズエッジ』の開発状況がビデオで公開された。DICEは主人公Faithを次世代の存在へと作り込んでいるのだという。
 パルクーラーの協力も得て、移動アクションをさらに練り直し、格闘システムも一人称視点の近接戦闘の最高のものを目指してリニューアル。さらに彼女の外見も、一度Faithを象徴する物を探るためにドット絵に還元した上で再デザイン。PC/Xbox One/PlayStation 4をプラットフォームにしていること以外、発売日や設定などは特にわからないのだが、期待して待ちたい!

■昼夜や天候の変化も再現? 新『マスエフェクト
 そしてBioWareの人気SFRPG『マスエフェクト』についても、新作が開発中であることを示す映像が公開された。
 本作に取り掛かるにあたってBioWareが「あなたにとってマスエフェクトとは何であるか」とファンに問いかけたところ、未知の宙域へと踏み出し、新たな人々と出会い、新たな環境を発見していく、宇宙を探索していく楽しみについて言及する人が多かったそうで、かくして本作では宇宙の新たなエリアを舞台に、かつてなく大きい世界へとプレイヤーを誘うとしている。

 惑星の環境などを映したプロトタイプ映像は美しく、時間経過による昼夜や天候の変化にも対応していることがわかる。ファンならばこれだけで、どんな世界が、どんな生物が、どんな冒険が待ち受けているのか、胸躍ることだろう。

もちろん今年のラインアップも大作揃いだぜ!AAA編

 いつ出るのか、下手すりゃどんなゲームかもあやふやなプロトタイプ群を先に紹介してしまったが、もちろん今年出るタイトルも大作揃い。ということでお次は、今年発売のAAAタイトルを紹介する。

■いきなり今日から遊べる『バトルフィールド ハードライン
 カンファレンスのラストで紹介され、「今日、たった今からマルチプレイのクローズドβテスト開始します!」という突然の発表で沸いた、FPS『バトルフィールド』シリーズ最新作『バトルフィールド ハードライン』。海外だけでなく日本でも募集が開始されており、起きて取り敢えず登録したFPSファンも多いのではないだろうか。

 シリーズを作り上げてきたDICEと、『デッドスペース』のVisceral Gamesとのコラボレーション作ということもあって、「警察特殊部隊 VS 犯罪者」というテーマ選択も異色。マルチプレイのローディング画面がテレビのニュース速報風になっていたり、近接武器として野球のバットで殴り倒せたり、シングルプレイのキャンペーンについても警察ドラマのような内容になっているそうで、独自の捻りがきいているのが面白い。

 プラットフォームはPC/PS4/Xbox One/PS3/360で、アメリカでは10月21日、ヨーロッパでは10月23日より順次発売予定となっている。

■審問官となり人々を導け! 探索の魅力も増した『Dragon Age: Inquisition
 10月発売のファンタジーRPGシリーズ最新作『Dragon Age: Inquisition』は、新たなトレイラー映像とデモを披露。トレイラーでは新たな仲間たちの姿が描かれているほか、デモでは巨大なドラゴンとの戦闘を例に、「右前足」などの部位を狙ってドラゴンを攻略していく様子や、戦略的に戦える見下ろし型のカメラモードなどを見せていた。
 完全なオープンワールドではないそうだが、それに近い形で探索の自由度も増している本作。Frostbite 3エンジンによるグラフィックは目を見張るものがあり、世界を隅々まで堪能したくなる。

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よりリアルなスポーツの頂点へ。EA SPORTS編

 今度は、スポーツゲームを扱うEA SPORTSのタイトルをお届けする。

■バカコースもアリ? 『EA SPORTS PGA TOUR
 ゴルフゲーム『EA SPORTS PGA TOUR』は、Frostbite 3エンジンを採用し、緑輝くコースだけでなく、戦艦が座礁する緊迫したシーンでもナイスショット!? ゴルフゲームのラインが日本で発売されることはあまりないが、他にどんなバカシチュエーションがあるのか気になるところだ。海外では2015年春に発売予定。

■ワールドカップイヤーにさらなる高みを目指す 『FIFA 15
 毎年進化していくサッカーゲームFIFAシリーズ。昨年の『FIFA 14』ではエンジンを変えたPS4/Xbox One版も登場し、前世代機版とは一段違う手触りの新たなプレイを楽しめた。
 今年は大きなトピックとしては、まずピッチ上の22人のトップ選手たちの感情をさらに深く表現する“Emotional Intelligence”が紹介された。パスをミスって苛立ったり、ハードタックルに怒ったり、プレイによって感情が変わっていくそうで、600以上のリアクションアニメーションを搭載するとのこと。
 そのほかグラフィック面ではレンダリングエンジンを一新し、物理ベースライティングによってよりリアルに、そしてプレイヤーの3Dモデルのリギングシステムの見直しによって選手がより本物のように進化。さらにタックルなどによって芝が剥げていく様子なども再現される。

 コントロール面では、プレイヤーの足の運びをベースに身体の動きを処理するようになり、「こま目にステップを踏みながら進行速度としては遅めにボールをキープ」とか、「ハイスピードに走りながらボールはあくまで近くにコントロール」といった、複雑なシチュエーションの表現が可能に。一対一の競り合いについても手が入っている模様だ。この辺りが実際プレイにどう関わってくるか、手触りが気になる。
 戦術面でも、これまでのチームタクティクスとは別に短期・中期・長期的な目標をセットできるようになり、リードしたらゲームをスローダウンさせるよう狙う、逆にリードされている側はダイレクトに得点を狙いに行くといった、より複雑で現実に即した展開が生まれるようだ。
 アメリカでは9月23日、ヨーロッパでは25日に発売予定。PS4/Xbox One/PC版にはIgnite Engineを搭載。PS3/360版も発売される。

■そのほかにもブルース・リーやマッデンなど色々!
 アイスホッケーゲーム『NHL 15』では、氷の上の激突やパックの挙動まで物理計算するようになり、グラフィック面も他タイトル同様グレードアップ。発売が迫る『EA SPORTS UFC』は、特典キャラクターのブルース・リーを使ってバトルの流れを解説(対戦相手はBJペンで、ブルース・リーが勝利)。アメフトゲーム『Madden 15』では、ディフェンス面が楽しくなるよう設計していることが取り上げられていた。

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シムたちをシェアできるようになった『ザ・シムズ4』に、MOBAタイトルも!PC編

 PCゲームでは、『ザ・シムズ4』をエグゼクティブ・プロデューサーのレイチェル・フランクリン氏が解説。ゲーム中世界の住人であるシムたちは体型や振る舞いなどが細かく設定可能になったほか、彼らをシェアすることも可能に。これまでよりもさらに自由度高く、シムたちのおかしな世界が楽しめそう。
 そして、傘下のWaystone GamesによるMOBAタイトル『Dawngate』についてもトレイラーが流れた。本作については、すでにF2Pタイトルとしてβ運営が行われている。