さすが西洋RPGの雄Obsidian! 原作ファンは直ちにプレイすべき!

アニメ「サウスパーク」のテイストを見事に再現したADVパートに、意外と骨太な戦闘パートが見事に融合! RPG『South Park: The Stick of Truth』レビュー_01

 海外でPS3/360/PCをプラットフォームに発売中の新作ゲーム『South Park: The Stick of Truth』を紹介する。

 本作は海外の人気アニメ「サウスパーク」を題材にしたアドベンチャー/RPG。開発はSouth Park Digital Studiosの協力のもと、『Fallout: New Vegas』や『ダンジョンシージ3』などを手掛けたObsidian Entertainmentが行っている。

 2011年に倒産したTHQをパブリッシャーとして発表され、同社の資産競売によりUbisoftから発売されることになった本作。どんな感じに仕上がっているのか、ゲーム冒頭を参考に解説を行った13分ほどのビデオを作成したので、まずはそちらをご覧いただこう。

 というわけで主人公は、サウスパークに引っ越してきた転校生。新居がバターズの家の隣ということもあって、いつもの連中が巻き起こす騒動に突入していく。
 近所の小学生の間ではファンタジーごっこが流行っているらしく、大魔導師を気取るカートマンは自宅の裏庭をKupa Keepという“人間側”の本拠地に改造。そこに鎮座する“The Stick of Truth”なる棒切れをめぐり、エルフ側の子供たちとの抗争をくり広げていた……というのが序盤のハナシ。
 もちろん、あのタブーをぶち破る過激なサウスパークのこと、事態はすぐにとんでもない方向に進んでいく。エイリアンにアブダクションされてケツに謎の機器を埋め込まれたり、タコベル(メキシカンの超巨大チェーン)出店に見せかけた政府の陰謀を暴いたり、アル・ゴア(元アメリカ副大統領)にお使いを頼まれたり、ケニーの家で薬物中毒者をシバくハメになったり、ジーザスも出てくる。

アニメ「サウスパーク」のテイストを見事に再現したADVパートに、意外と骨太な戦闘パートが見事に融合! RPG『South Park: The Stick of Truth』レビュー_02
▲持つものは世界を支配できるとかいう“The Stick of Truth”(真実の棒)。ただの棒切れ。

 ゲームとしては、まんまアニメの通りのグラフィック&アニメーションの2Dアドベンチャーパートと、ターンベースの戦闘のRPGパートが融合している。

 まずアドベンチャーパートだが、実名の企業や個人がバンバン出てくる「サウスパーク」らしさはゲームでも存分に発揮されているし、ミニゲームやサイドクエストなども盛りだくさん。マップ上にはさまざまなアイテムが隠されており、さまざまな能力を駆使してこれらを取りに行く探索の楽しみもある(Chinpokomonのフィギュア収集要素もある)。

 そしてRPGパートも、キャラゲーと馬鹿にはできない出色の出来で、パラメーターは少なくシンプルにしつつ、属性攻撃やアビリティなどを駆使して戦う、Obsidianらしい作りだ。
 例えば防具には“防御力”がない。あくまでアイテムが持つ付与効果や、さらなる効果を足すパーツを空きスロットにハメて能力特化させていくためのもので、その付与効果のひとつとして、アーマー(ダメージ減衰)を持つものもあるという感じなのだ。

 武器も同様で、中途半端に高い攻撃力を持つ武器を持つよりも、属性攻撃や回復など、さまざまな付与効果を、キャラクターが持つアビリティやPerkと組み合わせて運用していくほうが強力だったりする。

アニメ「サウスパーク」のテイストを見事に再現したADVパートに、意外と骨太な戦闘パートが見事に融合! RPG『South Park: The Stick of Truth』レビュー_03
▲インベントリや能力のアップグレードなどは、すべてSNS風のインターフェースで行う。ちなみに友達を増やしていくのも大事な要素。一定人数を超えるごとにPerk(追加能力)も手に入る。

 例えば記者のメインプレイヤーはメイジで、スタン状態に追い込むアビリティDust of Dreamsが好みで、マックスまで強化。Perkでもスタン状態の敵へのダメージ強化をつけ、武器のスロットには炎属性かゲロ属性をつけている。
 戦闘ではDust of Dreamsを発動すると、スタン状態に追い込むとともに、Dust of Dreamsのレベル3でつくサブ効果で対象とその後ろのキャラクターの防御を弱体化。続くパンチもPerkでダメージが強化されているので、それなりのダメージを叩き出せる。
 敵の攻撃のターンでは、ブロックを決めるごとにPPが回復するように防具を揃えており、できるだけDust of Dreamsを短いスパンで撃てるようにしている。PPの回復が間に合わない時は通常攻撃を行うわけだが、武器につけているのが炎属性なら燃え、ゲロ属性ならゲロゲロになるので、通常攻撃が通りにくい分厚いアーマーを持った敵でも、ステータス異常で追い込んでいける。

 とまぁそんな感じに、アニメ同様見た目は可愛くとも、「謎の粉ぶっかけて昏倒させてフルボッコ、なんとか耐え切っても頭が燃えてるか吐いてる」と、ビルド構成は楽しくも凶悪。
 もちろん敵もさまざまなスタンス(近接攻撃無効や遠距離攻撃無効などの効果)を使ってきたり、ブロックしにくいテンポの攻撃(ブロックにはタイミングよくボタンを押さなければならない)を出してきたりと、なかなかハードコア。

 そんなわけで、「サウスパーク」のゲームとしてはもちろん、西洋RPGの雄であるObsidianの新作としても、しっかり楽しめる出来になっていると思う。
 唯一の懸念点はローカライズされてないことなのだが、字幕は表示できるし、そもそもアニメ同様、マイナーなスラング以外は意外と聞き取りやすくはあるので、サウスパークファン、洋ゲーファンならぜひチャレンジしてみてほしい。
 いや、「スラング以外はって、サウスパークはスラングだらけだろ」というのはまことにその通りなのだが、それで敬遠するのはもったいない!(文・編集:ミル☆吉村)