『ウイイレ』シリーズ最新作が満を持して登場

 KONAMIから、2013年11月14日にいよいよ発売されるプレイステーション 3/PSP/ニンテンドー3DS用ソフト『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014』。“刷新”をテーマに開発されたシリーズ最新作について、同作のクリエイティブプロデューサーの益田圭氏にお話をうかがった。

『ウイイレ 2014』のテーマは“刷新”

新生『ウイイレ』のテーマは“刷新”! 益田クリエイティブプロデューサーにインタビュー_02
益田圭氏
KONAMI
フットボールコンテンツスタジオ
クリエイティブプロデューサー

--いよいよ発売を迎えた『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014』ですが、本作のテーマやコンセプトから教えてください。
益田圭氏(以下、益田) まず、新しいゲームエンジンとして“FOXエンジン”を導入しました。そうしたこともあり、今回は新しい『ウイイレ』として、“刷新”をテーマにしています。いままで愛されてきた『ウイイレ』シリーズですが、ある意味で勇気を持って、ゼロベースから変化を加えながら作りました。また、リアルなサッカーとして、これまで表現できていなかった“Home&Away”の要素をより強く出していきたいと考えました。
--それはモーションやゲームモードなどを見直したということですか?
益田 そうですね。とくにモーションに関しては、ほぼ最初から作り直しています。
--モーションですが、“FOXエンジン”を採用したからできるようになったのでしょうか?
益田 たとえば、表情などのグラフィックの表現は大きく進化したと思います。さらに、将来的な新世代機を見据えた開発環境として、このタイミングで切り換えられたことも大きいと思います。ただ、“FOXエンジン”が完成していたわけではないので、実際に使いながら、サッカーに即した機能を加えながら、構築していきました。
--“刷新”というテーマで作られた本作のゲームモードについて紹介してください。
益田 まず“マスターリーグ”ですが、機能的に複雑でしたし、ゲームを進めていくうえでのプロセスが長かったので、スピード感を出すようにしました。このモードでは、監督としてチームを作り上げていくわけですが、理想のチームが完成してしまうと、やりきった感覚になってしまうことがありました。そこで、継続してプレイしてもらう意味でも、監督が移籍したり、条件を満たすことで代表の監督になれる要素を入れました。移籍したチームと、過去に自分が作り上げたチームとが対戦する……そんな楽しみかたもできるようになりました。また、代表監督になると、本来のチームも見つつ、代表監督も務めることになります。また、“マスターリーグオンライン”や“チームプレーロビー”では11人対11人のオンライン対戦もできるようになりました。“ビカム・ア・レジェンド”では、ゴールキーパーでもプレイできます。

新生『ウイイレ』のテーマは“刷新”! 益田クリエイティブプロデューサーにインタビュー_01
新生『ウイイレ』のテーマは“刷新”! 益田クリエイティブプロデューサーにインタビュー_04

世界中で愛されているがゆえの悩みも!?

--本作では1対1の局面に重きが置かれているようですが?
益田 “刷新”ということで、試合での駆け引きをこれまで以上に表現したかったんです。ですから、1対1はもちろんですし、その先にはチームプレイや戦術での駆け引きもあります。リアルサッカーと照らし合わせながら、いままでゲームの中で表現できなかったことを盛り込みました。
--1対1やチームプレイは、試合の流れの中で連動しているわけですね。
益田 もちろんです。ただ、やはりゲームとして楽しめるように、局面と全体両面でのバランス調整もしています。
--体験会や体験版に対するユーザーからの意見は、どのような感じですか?
益田 国内だけではなく、海外からもたくさんのご意見をいただきます。ユーザーさんごとにいろいろな楽しみかたがあるので、なかなか最善の答えは見つけられません。現在のゲームバランスがいいという意見もあれば、ちょっと違うという意見もあります。その賛否があるなかで、つぎのステップへの施策をつねに探しています。
--サッカーというスポーツの性質上、ゲームとしてのバランス調整が非常に難しいですね。
益田 当然目指すべきゴール地点は設定し、それに向けて作るのですが、実際にプレイしていただいたときに、ユーザーさんがどう感じるか。それに、ワールドワイドで展開しているタイトルなので、地域性もあるんですよ。
--地域というと国レベル、ですか?
益田 はい。じつは南米と欧州ではかなり意見が違います。とくにシュートの感覚や、ゲームスピードに対する意見は違いますね。そういう意味では答えが出しづらいのですが、ユーザーからのフィードバックやどんなモードや機能が好まれているかといったデータも反映できればと思っています。ゲームバランスの調整には終わりがないですし、一歩間違うと失敗しかねません。
--もしもですが、欧米仕様バージョンや南米仕様バージョンという可能性も?
益田 将来的には、そういう可能性も考えなければいけないかもしれませんね。とくにゲームスピードに関しては、お互いの差を感じますが、セッティングで調整できるようにしたり、解決できる方法を模索しています。今後、デフォルトのセッティングが地域別に違う、ということくらいはあるかもしれません。国内についても、いろいろとご意見をいただいていますので。

シリーズのターニングポイントとなるかもしれないタイトルに

--選手のモチベーション要素である“エモーショナルシステム”について教えてください。
益田 大きな部分だと、シーズンを通しての選手のメンタル要素があります。メンタル面の上下を表現したいという思いがあり、それが端的に現れるのが“Home&Away”での試合のときです。“逆境に強い”選手だったり、その逆もありますよね。試合の出場機会や前節での評価といったものが、選手のモチベーションとして影響してきます。これまでのシリーズにもあった“コンディション”はフィジカル面に対して影響するものですが、モチベーションはメンタル面なので、たとえばオフ・ザ・ボールのときのAIに影響が出ます。ボールに対する動き出しやサポートなどですね。メンタル面が充実していれば、十分なパフォーマンスを発揮しやすくなります。パラメータとしても表示されるので、モチベーションを意識しての起用が重要になるかもしれません。
--長いスパンで選手の起用法を考える必要がありそうですね。
益田 詳しくは言えませんが、ポジションごとにある条件を満たすことで、その試合でのモチベーションが上下することもあります。ただ、1試合だけで大きく変動させてしまうと、シーズンの流れを壊してしまうので、使いかたとしては、落ち込んでいた選手のモチベーションを起用法やプレイで盛り上げて、悪かったシーズン前半から後半の巻き返しにつなげる、といった楽しみかたができると思いますよ。
--当然逆もあるわけですね? 自分のプレイが下手で凹む、みたいな。
益田 そうですね(笑)。当然メンタルが弱い選手は落ちやすいですが、マイナス面についてはそれほど強烈ではないですよ。あまりに変動させると、ゲームとして楽しめないですから。
--“エモーショナルシステム”はどのモードにもあるのですか?
益田 はい。対戦のみ、セッティングでオンオフの変更が可能です。我々が提供するひとつの機能として楽しんでいただければと思います。
--チュートリアルも豊富ですね。
益田 ただ、チュートリアルは今後改善したい課題のひとつです。複雑になってきているので、ゲームの導入部分として、新しいユーザーのサポートになるようにしたいですね。
--発売後に対応するアップデートやダウンロードコンテンツなどについて教えてください。
益田 シーズンアップデートとして、その都度選手モデルや移籍情報が反映されます。また、日本代表の新ユニフォームも、発売後すぐに対応できます。Jリーグについては、お客様のいろいろな意見や要望を聞きながら、提供の仕方を含めて検討しています。

新生『ウイイレ』のテーマは“刷新”! 益田クリエイティブプロデューサーにインタビュー_05
▲先日発表された、日本代表の新しいユニフォームも、無料アップデートで対応。
新生『ウイイレ』のテーマは“刷新”! 益田クリエイティブプロデューサーにインタビュー_03

--益田さんが思う、『ウイイレ』らしさや魅力はどんなところですか?
益田 これまで、『ウイイレ』はサッカーゲームの代表として第一線を走ってきました。ボタンひとつで出せるスルーパス、ワンツーパスやダッシュなどを、ゲームとして楽しめるように実現していると思います。ゴールに至るさまざまなシーンや過程を演出したり、それを気持ちよさにつなげていることが『ウイイレ』の魅力だと思います。
--今回は“刷新”がテーマですが、引き継いでいる部分と変革した部分は?
益田 ゴールシーンまでの多様性は、これからも絶対に引き継がないといけない部分です。一方、シリーズを続ける中で、やはりモーションが課題となってきました。ハードのスペックがどんどん上がっていく中で、モーションを表現するクオリティーも求められてきます。サッカーのシミュレーション的なおもしろさとアクションゲームとしての爽快さのバランスのうち、『ウイイレ』はアクションゲーム寄りのおもしろさが魅力だったと思います。その中で犠牲になっていたのがモーションでした。本作は、爽快感よりも“リアルサッカー”のスピードに近づけることが目標だったので、“リアル”だと感じるか、“ストレス”に感じるかというバランス、『ウイイレ』で親しまれてきた部分に対してはチャレンジした感がありますね。
--最後にメッセージをお願いします。
益田 今回は“刷新”をテーマに、グラフィック、ゲームプレイ、すべてを新しくしました。生まれ変わった『ウイイレ』で、新しい楽しみや驚きを体験してください。ゲームプレイは“リアルサッカー”をイメージしてプレイしてもらえるといいと思います。単純にダッシュでサイドを駆け上がって、といった単純なプレイだけではなく、ボールコントロールやプレイスピードの緩急、体力やモチベーションも意識して、生まれ変わった『ウイイレ』を楽しんでいただけたらと思います。


ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014
メーカー KONAMI
対応機種 PS3プレイステーション3 / PSPPSP / 3DSニンテンドー3DS
発売日 2013年11月14日発売予定
価格 PS3版 パッケージ版:7980円[税込]/DL版:7480円[税込]、PSP版 パッケージ版:3980円[税込]/DL版:2980円[税込]、ニンテンドー3DS版 パッケージ版:4980円[税込]/DL版:3980円[税込]
ジャンル サッカー/スポーツ