PS4と『プレイルーム』がもたらす新世代のゲーム体験とは!?

 DUALSHOCK 4とPlayStation Cameraを組み合わせて、それらの新機能をどのように使ったらおもしろくなるか?――研究し、成果を結集させたコンテンツが『プレイルーム』だ。
 呼び出した“ASOBI”というロボットとコミュニケーションを楽しんだり、DUALSHOCK 4内に住みついている(?)ミニロボットと遊んだり、テーブル上を跳ねまわる球を相手のゴールにいれる、エアホッケーの3D版で遊んだり。
 いままでにない、新しい体験をもたらしてくれそうな本作。開発を手掛けている、プロデューサーのドゥセ・ニコラ氏と、シニアプログラマーの横川裕氏にお話を聞いた。

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【PS4クリエイターインタビュー】PS4と『プレイルーム』の革新性と可能性―ードゥセ・ニコラ氏と横川裕氏が語る!_01
【PS4クリエイターインタビュー】PS4と『プレイルーム』の革新性と可能性―ードゥセ・ニコラ氏と横川裕氏が語る!_02
【写真右】ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオ
プロデューサー
ドゥセ・ニコラ氏
【写真左】ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオ
シニアプログラマー
横川裕氏

誰もが楽しめる『プレイルーム』

――PlayStation Cameraが生み出すプレイステーション4の遊び空間『プレイルーム』という実験的なコンテンツを開発することになったきっかけを教えてください。

【PS4クリエイターインタビュー】PS4と『プレイルーム』の革新性と可能性―ードゥセ・ニコラ氏と横川裕氏が語る!_03

ドゥセ・ニコラ氏(以下、ニコラ) このプロジェクトをスタートさせた理由はふたつあります。ひとつはハードに関すること。新しいコントローラには多くの特徴があるので、このDUALSHOCK 4と、PlayStation Cameraと、PS4がいっしょになったら、どこまでいけるのか知りたかったのです。もうひとつは、ソフトに関すること。ゲームデザインのルールの中で、革新的なこと、驚くようなこと、誰でも楽しめるようにすることなど、たくさんのことを実現したいと思いました。このハードの特徴とソフトのルールを組み合わせると、さまざまなアイデアが出てきたのです。
横川裕氏(以下、横川) 私たちは、DUALSHOCK 4を作るにあたって、何を足したり、逆に何を引いたりしたら、おもしろいゲームのコントローラになるのだろう? という研究開発をしていました。いろいろなデモを作ったり、このコントローラの機能のテストをしたりする中で、おもしろいものを集めて何かできないか? と考えた結果が、いまの『プレイルーム』になります。数々の実験の結果が実をむすんで、いまの形になりました。

――その成果として“ASOBIとあそぶ”、“ARボット”、“ARホッケー”の3つの遊びが生まれましたが、それぞれの遊びについて、DUALSHOCK 4とPlayStation Cameraのどんな機能が使われているのか、教えていただけますか?

横川 “ASOBIとあそぶ”は、プレイヤーのジェスチャーに対して、ゲームの中の世界にいるロボットが反応するというコンテンツです。PlayStation Cameraの顔認識とジェスチャー認識、コントローラのライトバーの認識など、いろいろな機能を組み合わせて、バーチャル・リアリティな体験を楽しめるようにしました。

――ロボットをなでたり、怒らせたりと、さまざまなコミュニケーションが楽しめますよね。では、“ARボット”は?
横川 “ARボット”は、“コントローラの中にたくさんのロボットがいる”という設定で、コントローラをただの入力装置ではなく、生き物のような存在に見立てています。中に住んでいるロボットたちを外に出していって、かわいいロボットたちと遊ぶというコンテンツです。
ニコラ タッチパッドやモーションセンサーといったDUALSHOCK 4の特徴は、ひとつずつ見れば、シンプルな技術です。でも、それらの特徴が組み合わさると、新しい遊びかたが生まれる。“AR BOTS”では、モーションセンサーと振動機能、スピーカーを使うことで、本当にコントローラの中にロボットがいるような感覚が実現できましたので、プレイヤーには初めての経験を楽しんでいただけると思います。
横川 ユーザーテストで“ASOBIとあそぶ”や“ARボット”をプレイしてもらうとき、協力していただいた方にまずコントローラをお渡ししますと、皆さんはこれが昔のコントローラと同じもので、“ただボタンを押す”ものだと思っていらっしゃいます。そこで、「タッチパッドをタッチしてください~」、「スピーカーから音が出ますよ!」と案内すると、すごく驚かれます。また別の機会に“ASOBIとあそぶ”のプレイ映像を見ていただいた方には「なんだこれ?すごい!おもしろそう!」と言っていただけました。PS4を購入すると、そんなちょっとした驚きを味わえると思います。科学博物館に行くと楽しめるような、びっくり体験といいましょうか、ソニーらしいとも言える、そんなコンテンツを作りたかったのです。

――“ARホッケー”についてはいかがですか?
ニコラ “ARホッケー”では、ふたつの考えがありました。ひとつはコントローラ2台で、ライトバーとモーションセンサーとタッチパッドを使うと、どこまでいけるか。もうひとつは、そのテストをするために、誰でも理解できる、シンプルなゲームを採用しよう、という考えです。そこで、ホッケーという、クラシックなアーケードゲームを作りました。

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横川 タッチパッドをフリックしてスタートさせ、あとはタッチパッドを押すだけで遊べる、すごく単純なゲームです。ルールはとてもシンプルなのですが、シンプルな中に、誰でも楽しめる要素があるのです。それに加えて、バーチャルな世界の中でエアホッケーを遊んでいるという、ビジュアルの新鮮さもあります。原点回帰とも言える要素、伝統へのオマージュ、未来的な楽しさを備えたゲームになっていると思います。
ニコラ “未来”というテーマは、それぞれのゲームで意識しました。“ARホッケー”で、ライトバーからホログラムのようなビジュアルでテーブルが出てくる演出のは、本当に未来的で、PS4とマッチしていますね。

――『プレイルーム』には、“ASOBIとあそぶ”、“ARボット”、“ARホッケー”以外の遊びも用意されているのですか?
ニコラ はい、あります。今後発表する新しいコンテンツでは、コントローラとPlayStation Cameraを、これまでに見たことがないような方法で使っています。
横川 『プレイルーム』を起動すると、いまは3つのコンテンツが表示されますが、その数がだんだん増えていく予定です。その中には、コンパニオンアプリ、セカンドスクリーンを使ったコンテンツもあります。
ニコラ スマートフォンやタブレット、プレイステーション Vitaを、PS4と組み合わせたら、どんな遊びができるかを考えました。“ARボット”でも、タブレットにドローイング(絵を描く)アプリケーションをダウンロードして、そのアプリで絵を描いてフリックすると、その描いた絵がゲームの中に3Dで登場するという仕組みを実装しています。たとえばオモチャを描けば、ロボットがそのオモチャで遊ぶのです。
横川 一度、この“お絵描きアプリ”をタブレットやスマートフォンにインストールして、PS4とコネクトさせると、『ARボット』を遊んでいるときはそのアプリが起動し、お絵描きができるようになります。

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――今後、この『プレイルーム』を、一般のユーザーが遊べる機会はありますか?
横川 じつは、PS4を起動すると最初からあるアイコンのひとつは、『プレイルーム』のアイコンです。すべてのPS4に『プレイルーム』が入っていますので、皆様が初めから楽しめるコンテンツは『プレイルーム』ということになります。DUALSHOCK 4、PlayStation Camera、PS4を組み合わせた体験がすぐに楽しめるますよ。
ニコラ インタラクション(プレイヤーの行動と、それに対しゲームから返ってくる反応)がとても自然なので、ゲームをふだんしない人でも、小さな子どもでも、誰でも楽しめると思います。

――DUALSHOCK 4にはSHAREボタンがついていますが、『プレイルーム』ではどんな使いかたをしてほしいですか?
ニコラ 『プレイルーム』のプレイ映像には、つねにプレイヤーが映っていますので、映像やスクリーンショットをシェアするのはとても楽しいと思います。たとえば、“ARホッケー”の優勝者がシャンパンシャワーを楽しむとき、その瞬間をワンクリックでシェアできます。
横川 プレイしていて、「おもしろいなあ」と思った場面があれば、ぜひSHAREボタンを押してみてください。少し前のプレイ映像も含めて、みんなとシェアすると楽しいですよ。
ニコラ 皆さんがどんな場面をシェアするのか、ぜひ知りたいですね。

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DUALSHOCK 4、PlayStation Camera、PS4の可能性

――お話を聞いていると、DUALSHOCK 4、PlayStation Camera、PS4には、さらなる可能性があるのではないかと感じます。
ニコラ 今回は、DUALSHOCK 4、PlayStation Camera、PS4、コンパニオンアプリもすべて使って、さまざまな相互作用を実現することができました。それでも、将来的にやりたいことはまだまだたくさんあります。
横川 じつは『プレイルーム』のコンテンツは、たくさん行った実験の中の、ほんの少しでしかありませんす。実験の中から、お見せするのにふさわしいものを選びました。ですが、可能性はまだまだたくさんあって、まだ十分にテストしていない技術もあり、それらを組み合わせることで、新しい可能性が出てくると思います。

――その新しい可能性には、ユーザーだけでなく、クリエイターも刺激を受けると思います。
横川 『プレイルーム』の目的のひとつにも、クリエイターの皆さんにも我々のPS4の実験を体験して共感していただきたいということがあります。『プレイルーム』が、多くの方がいろんなアイデアを考えて、PS4のゲームをおもしろくするきっかけになればいいですね。
ニコラ パブリッシャーの皆さんがPS4でゲームを作ったら、いろいろなインタラクティブな遊びが実現できます。もちろん、少人数のデベロッパーで作るインディーゲームにおいても、たくさんの可能性があります。

――おふたりは、これからどんな可能性を探っていきたいですか?
ニコラ タッチパッドやモーションセンサー、スピーカーなどを、皆さんが親しんでいるジャンルのゲームで使ったら、どこまでいけるのかということに興味がありますね。
横川 DUALSHOCK 4は、従来のコントローラとはまったく違って、多彩な形で入力ができ、プレイヤーへのフィードバックがあります。スマートフォンやタブレットなど、インターフェースの種類が増えている中で、ユーザーの皆さんは、コントローラが単なるボタン入力装置として使われるのではなく、もと素材感のあるものとして扱われるゲームを期待しているのではないかと思っています。『プレイルーム』をきっかけに、コントローラを有機的に使うゲームが出てくると期待していますが、我々ももっと、コントローラとともに没入感を味わえるコンテンツを作りたいと思っています。また、“ASOBIと遊ぶ”では、ASOBIにタッチしたり、ジェスチャーで意思を伝えたりできますが、これをどれだけ自然に遊べるかを考えることは、クリエイティブなチャレンジでした。“ASOBIとあそぶ”は触るとすごく楽しいのですが、この感覚を突き詰めていくと、もっとユニバーサルなコンテンツができると考えています。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
横川 『プレイルーム』は、PS4を起動して、最初に遊べるコンテンツです。おもしろい要素を詰め込みましたので、ぜひ楽しみにしていてください。
ニコラ 私はDUALSHOCK 4とPlayStation Cameraの制作に、最初から最後まで関わりました。スタッフ全員で考えて作ったこのコントローラは、DUALSHOCKの歴史の中で、いちばんいいコントローラだと思います。ご期待ください。

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