世界が愛する“ソニック”とセガハードの歴史
セガが家庭用ゲーム事業に参入して30年。これを記念して、週刊ファミ通2013年8月8日発売号には、セガハードの魅力を紹介する別冊付録“SEGA CONSUMER 30th ANNIVERSARY BOOK”が付いている。この付録に掲載している『ソニック』シリーズのプロデューサー・飯塚隆氏のインタビュー完全版と、最新作『ソニック ロストワールド』の最新画像を併せて公開しよう。
セガを代表するハイスピードアクションゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(以下、『ソニック』)。メガドライブからプランナーとして開発に参加して以来、現在に至るまで、数多くのハードを舞台に『ソニック』シリーズをけん引し続けるシリーズプロデューサーの飯塚隆氏(※文中は飯塚)に、『ソニック』の制作現場から見たセガハードの歴史、そしてこれからの『ソニック』について、話を聞いた。
ハードが変わっても『ソニック』の原点は失っていない
――飯塚さんが『ソニック』の開発に携わるのは、メガドライブの『ソニック3』からですね。
飯塚隆氏(以下、飯塚) はい。メガドライブは、ハードにはない拡大縮小の機能でもプログラムで可能にしてしまうなど、アイデア次第で不可能を可能にする、おもしろいハードでしたね。『3』のときも、ふたつのカートリッジを合体させるという奇抜なアイデアを実現してもらったのは、いまでも印象深い思い出です(笑)。
――セガサターンでは『ソニック』の完全新作は発売されませんでしたが、理由は?
飯塚 セガサターン初期では、『NiGHTS』の開発を手がけていました。その後、「セガサターンで『ソニック』は出ないのか」という声もあり、『ソニックジャム』を制作したのですが、そのときに進めていた、3D空間で『ソニック』を動かす研究の一部を、『ソニックジャム』のミュージアムとして取り入れています。
――ドリームキャストの『ソニックアドベンチャー』では、ついに完全3Dになりました。
飯塚 すべてが変わりました。でも、『ソニック』の気持ちよさの原点は、前に向かって走ること。方向キーを前に倒していれば、行きたいところに行ける。カメラは、つねに目的地のほうを向いていること。ここを大事にすれば、3Dでも気持ちよさは失われないと思いました。開発は手探りでしたが、よくできたと思います。でも、『ソニックアドベンチャー2』をアメリカで開発しているときに、ハードから撤退することを聞きまして。ユーザーとしても開発者としてもいちばん好きなハードだったので、ショックでした。コントローラーを持ったときに、親指の直線上にアナログスティックを置いてほしいといった、開発からの提案をもとに設計されたハードだったので、作る側も楽しかったんですよ。
――飯塚さんにとって、もっとも印象深いセガハードは?
飯塚 やはり、ドリームキャストですね。アメリカにいたときは、“ドリームアイ”を使って日本とアメリカでテレビ会議をしました。いろいろな挑戦が詰まった、いいハードだったと思います。
――以降もさまざまなハードで、多くの『ソニック』タイトルを出されましたが、セガハード時代とは作りかたも変わりましたか?
飯塚 環境も開発費も、大きく変わりましたね。でも、メガドライブのころから、ハードの性能や良さを引き出すソフトウェア作りを心がけていたのですが、それはハードが変わっても同じ。『ソニック』の原点は失わないようにしています。プラットフォームを飛び越えて作れるようになったのも、楽しいですよ。
集大成を越えて、新しい『ソニック』へ
――そんな『ソニック』の最新形が、『ソニック ロストワールド』で見られますね。
飯塚 2011年に『ソニック ジェネレーションズ』という形で、20年をかけて培ってきた『ソニック』ならではのゲーム性の集大成を皆さんにお届けできました。そこで、つぎの『ソニック ロストワールド』では、ゲームの内容に合ったグラフィック、遊びやすい操作性、誰も見たことのない360度のチューブステージで展開する、いままでとは違う『ソニック』の楽しみかたを見せたいと考えています。
――新しい『ソニック』に挑戦されている、ということですか。
飯塚 そうですね。「360度のステージで『ソニック』のおもしろさを表現できるのか?」という疑問もあるかと思いますが、「本当に3Dで表現できるのか?」という疑問から『ソニックアドベンチャー』が生まれたように、『ソニック ロストワールド』でも新しい体験を、みなさんにご提供できると思います。ニンテンドー3DSとWii Uのデータ連動もありますので、ぜひ楽しみにしていてください。
原点と最新要素が融合した最新作!
『ソニックカラーズ』で好評だった“カラーパワー”や、遊びやすいパルクールアクションが追加されたことも話題のシリーズ最新作『ソニック ロストワールド』。ここからは、新たなニンテンドー3DS版の“カラーパワー”とパルクールアクション、そして各ハードのステージを紹介しよう。
ニンテンドー3DS版の新たなる“カラーパワー”!
◆アイボリー・ライトニング
本作から登場する新カラーパワー。アイボリーウィスプの力を借りて変身する。敵や障害物に素早く体当たりして、周囲ごと破壊しつつ進んでいく。電気の糸を飛ばして敵を攻撃したり、電気を帯びたコイルにつなげてワイヤーのように使うこともできる、移動にバトルに大活躍のカラーパワーだ。
◆グレイ・クエイク
本作から登場する新カラーパワー。グレイウィスプの力を借りて、鉄球に変身する。ニンテンドー3DSのジャイロセンサーを使って本体を左右に傾ければ、鉄球の転がる方向を操作できる。鉄球状態のソニックは速度が遅くなるが、流砂や沈む砂地、ネバネバした床など、動きにくい場所も自由に移動が可能となる。壁をどこまでも上って行くこともできるぞ。さたに、ジャンプして急降下するときに使うと、落下時の衝撃で周囲の敵や障害物を一気に破壊したり、ソニックでは押せない巨大なスイッチを動かすこともできる。
◆レッド・バースト
レッドウィスプの力を借りて、燃え盛る炎に変身! 炎の力で空中を自在に跳ねまわり、周囲の障害物を破壊したり、敵に大ダメージを与えることができる。大爆発すると、飛び上がる距離やスピードも上がるので、うまく使いこなせば爽快感もアップ!
どんな地形も自由自在のパルクールアクション!
◆パルクール
壁や天井を走ったり、壁から壁へジャンプするなど、多彩なアクションでステージを突破しよう!
◆サマーソルト
空中で素早く回転蹴りをくり出して衝撃波を発生させれば、ロックオンしている敵をひるませることができるぞ。サマーソルトを受けた敵は、動きが止まったり、弱点を露出するので、より攻撃しやすくなるのだ。
◆ホーミングアタック
ジャンプ中に、ロックオンした敵やモノに向かって高速でスピンアタックするという、シリーズおなじみのアクションがパワーアップ! 最大3体までの敵をロックオンして、連続でホーミングアタックをすることができるだけでなく、大きな敵をターゲットし続けることで、より強力なホーミングアタックをくり出すことができるのだ。
ステージ紹介
ここからは、Wii U版とニンテンドー3DS版の新ステージを、ピックアップして紹介しよう。
◆デザートルーインズ Zone 1(ニンテンドー3DS版)
巨大な砂漠が広がり、いたるところにソニックを押し流す流砂や、底なしの沈む砂地が点在する、危険がいっぱいのステージ。サボテンや大型のサンドワームなど、砂漠の生き物たちが行く手を阻む。所々に点在する、朽ちた廃墟はいったい何なのだろうか……?
◆フローズンファクトリー Zone 1(ニンテンドー3DS版)
極寒の地に密かに建てられたエッグマンの秘密工場に向かって、ソニックが雪山をスノーボートで滑走する、スピード感満載のステージ。凍った地面、冷気の噴出口、雪玉のほかにも、工場のスイッチや歯車など、このステージならではのギミックが待ち受ける! 電気の力やギミックを利用した謎解き、アスレチック要素も楽しめるのだ。
◆フローズンファクトリー Zone 3(Wii U版)
ひと晩中ネオンが輝くカジノのようなこの場所は、ロストヘックスの雪原地帯に建てられたエッグマンの基地。カジノチップのタワーがあったり、ダイスやドラムリールが回り続けていたりと、とてもきらびやか。『ソニック』シリーズおなじみのカジノステージに登場した、あのギミックも待ち構えているぞ。
ソニック ロストワールド
メーカー | セガ |
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対応機種 | 3DSニンテンドー3DS / Wii UWii U |
発売日 | 10月24日発売予定 |
価格 | Wii U版:7329円(DL版:6500円)、ニンテンドー3DS版:5229円(DL版:4700円)※すべて税込 |
ジャンル | アクション |