8月9日封切の劇場作品をゲームで先取り!

 2013年8月9日公開のSFアクションアドベンチャー映画『パシフィック・リム』をモチーフにした公式ゲームが登場! 劇中に登場する人型巨大兵器“イェーガー”と“KAIJU(怪獣)”をリアルに再現した迫真のグラフィックに注目だ。7月12日にXbox Live アーケード版が配信された同作をさっそくインプレッション。
 映画『パシフィック・リム』は、アカデミー賞ノミネートの経験もあり、日本のアニメに造詣の深いギレルモ・デル・トロ監督による壮大なSFアクションアドベンチャー。出演は、チャーリー・ハナム、イドリス・エルバをはじめ、菊池凛子らも名を連ねている。

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▲“イェーガー”と“KAIJU”の激しい戦いがXbox 360で再現される!

 太平洋(パシフィック)の深海から突如出現した“KAIJU”たち。世界中の大都市がつぎつぎと破壊され、絶滅の危機に陥った人類は、“KAIJU”と戦うため、英知を結集して人型巨大兵器“イェーガー”を開発した。本作は、“イェーガー”または“KAIJU”を操作して1対1で戦う対戦格闘スタイル。ダウンロードゲームとは思えない精細なグラフィックは、予備知識がない人もついつい気になるすばらしい仕上がりだ。

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▲800MSPのDLCタイトルとは思えない、精細かつ大迫力のグラフィック!

 おもなゲームモードは、シングルプレイヤー(SINGLE PLAYER)、マルチプレイヤー(MULTIPLAYER)、カスタマイズ(CUSTOMIZE)、ダウンロードコンテンツ(DOWNLOAD CONTENT)など。
 シングルプレイヤーは、好きな“イェーガー”または“KAIJU”を選んでミッションに挑むというもの。クリアーすれば、獲得したEXP(経験値)によりランクがつけられ、パワーアップ用のブーストアイテムのほか、後述のカスタマイズで使えるアビリティ、パーツが手に入る。マルチプレイヤーは、ガーディアンコープ、タロンフィスト、ミリシャブラザーフッドといった3つの組織のいずれかに所属し、Xbox Liveを介して世界中のプレイヤーと対戦が楽しめる。

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▲ゲームモードはシンプル。基本的にはつねに1対1で“イェーガー”もしくは“KAIJU”と戦う。

 操作系は、左スティックがキャラクターの移動、Xボタンが左攻撃、Yボタンが右攻撃、Aボタンがガード、Bボタンが得意技、右トリガーが移動またはタックル、左トリガーがダッシュまたは左スティック同時押しでステップ回避(一部キャラは実行不可)。キャラクターを一定時間だけパワーアップできるブーストアイテムは右スティックで使用する。
 本作は“原作および世界観を忠実に再現”することに注力されており、一般的な格闘ゲームに比べるとキャラクターの動作は“重厚”のひとこと。“イェーガー”や“KAIJU”で相応の差はあるが、たいていの人は「うわ、重っ!」と驚かれることだろう。
 攻撃もサクサク手数を出したりコンボを狙うのではなく、相手の攻撃をガードもしくは回避しつつ、一発を確実に当てていくスタイル。左右攻撃は軽くボタンを押すと弱、押しっぱなしにすると強に変化。右トリガーの射撃も同様にホールドでより強力なものになる(一部キャラ限定)。
 攻撃がヒットすると、画面左下(2Pの場合は右下)にある水色の体力ゲージが減少。ガード時はダメージを大幅に減らすことができる。“イェーガー”は体力ゲージが2本あるが、これは原作でパイロットがふたり搭乗することを再現したもの。ゼロになった側の近接攻撃は使えなくなり、左右ともゼロになると敗北となる。

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▲最初にチュートリアルがプレイできるので、まずはこれで本作独特のテンポ感をつかんでおくといい。

 さて……本作の格闘システム最大のポイントは、画面左下(2Pの場合は右下)にあるエネルギーゲージ。時間が経つにつれ少しずつ増えていくが、攻撃するたびに一定量を消費。空振りは丸損だが、ヒットさせればエネルギーが少し増える。一部キャラクターはRBボタンで攻撃モードが切り替えられるが、攻撃力が強化されるぶんエネルギー消費も激しくなる。なお、ガードはエネルギーを必要としないが、ステップ回避はエネルギーを消費する。

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▲エネルギーは攻撃や回避を行うたびに消費されていく。何もしないか、ガード中に少しずつ回復していく。

 確実に一発を狙っていくゲームシステムに加えて、むやみに攻撃しているとエネルギーがなくなり何もできなくなるため、本作の攻防は間合いとタイミング重視の“ジリジリした展開”が基本。こうした状況に変化を加えるのが“パワームーブ”と“フェイタルアサルト”そして“グロッギー”だ。
 パワームーブは、相手のガードを貫通する強力な攻撃で、エネルギーが40%以上の時にLBボタンを押すと発動。フェイタルアサルトは、エネルギーが90%以上の時に左スティックとLBボタン同時入力で発動する“パワームーブの上位版”ともいうべき存在。ただし、どちらも攻撃判定が発生するまで予備動作(タイムラグ)があり、CPU相手にそのままくり出してもサッと回避され当たることはほぼない。
 では、どんなときに狙えばいいのか? それは一定のダメージ蓄積により無防備になってしまうグロッギー状態しかない。“イェーガー”や“KAIJU”には、それぞれRESILIENCE(回復力)と呼ばれるパラメータが設定されており、これが低いとグロッギー状態になりやすい。グロッギー状態を脱するには、XYABボタンをひたすら連打。余談ながら、RESILIENCEが高い“イェーガー”や“KAIJU”ほど回復スピードも速くなる。

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▲パワームーブやフェイタルアサルトは、グロッギー状態の相手に狙うのが基本。
▲自分がグロッギーにされた場合は、XYABボタンをすばやく連打して回復しよう。

 カスタマイズは、溜めたEXPを支払って自分だけのオリジナルイェーガーを作り上げていくというもの。ゲームスタート当初は限られたベースやパーツしかないが、シングルプレイを進めていくと少しずつ開放される。また、ダウンロードコンテンツを購入して増やすことも可能。最初は地味なイェーガーしか作れないが、コツコツ気長に手を加えていくことをおすすめする。

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▲自分だけのオリジナルの“イェーガー”や“KAIJU”を作ってプレイすることも可能だ。

 ひととおり、触らせていただいた率直な感想は「これはプレイする人を選ぶタイトルだなぁ」ということ。本作は劇場映画を題材にした公式作品で、のっしのっし歩く“イェーガー”や“KAIJU”の重厚さは、すばらしいのひとこと。だが、それゆえに一般的な格闘ゲームに求められる“爽快感”が希薄。竹を割ったというか、スコーン! と突き抜けるような明瞭さに欠けるのだ。
 攻防のポイントは、エネルギー管理とステップ回避からの堅実なダメージ蓄積。相手の攻撃はステップ回避が理想だが、地形や間合いなど、状況によってガードと使いわけていく。ジリジリした展開ゆえに、いわゆる“博打”が非常に狙いづらく、大幅にリードされた状態からの大逆転はちょっと期待しづらい。一部キャラクターの攻撃判定の不明瞭さも、慣れないうちはストレス要因になってしまいそう。

 こうした難点はいくつか見受けられるが、個人的にはいわゆる昔の3Dアクションゲームっぽい“間合いとタイミング”重視の作りは嫌いではなく、とくにステップ回避がらみの攻防は仕組みさえわかれば相当熱くなれると思う。キャラクターやステージのバリエーションに乏しいのは、800MSPという価格を考えれば「まぁ、妥当かな」といった印象で、“格闘”でくくるよりは“ウルトラマン”や“ゴジラ”などの特撮映画のノリで楽しむ“1対1の3Dバトルゲーム”ととらえたほうが自然かと思われる。劇場版を見に行く予定がある人はもちろん、興味がある方はこの機会にチェックしてみてはいかがだろうか。

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▲ステップ回避のコツがわかれば、本作に対する印象がガラリと変わるはず。

■筆者紹介:豊臣和孝
フリーライター。ここ10年ほどはWebゲーム媒体メインで執筆中。文中でも触れておりますが、本作は“格闘”や“1対1”という視点だけではなく、あくまでも劇場作品の世界観を重視した“3Dアクション”で解釈するのがよろしいかと存じます。