【ファミキャリ!会社探訪】『ポケットモンスター X・Y』を開発中のゲームフリークを訪問!_18

『ポケットモンスター X・Y』を開発中のゲームフリークを訪問

 ファミ通ドットコムに本日2013年5月30日にオープンした、ゲーム業界専門の求人情報サービス“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職を目指す人たちに向けた“ファミキャリ!”のオープンにともない、ゲームメーカー探訪を行った。第1回となる今回は、ゲームフリーク!
 インタビューに応じてくれたのは、開発現場で指揮をとりつつ、経営にも携わっている増田さんと海野さん。そして、ゲームフリークに中途採用で入社し、現在第一線で活躍中の大久保さんと梶田さんの二組だ。それぞれの立場から垣間見える“ゲームフリーク”の魅力とは?

入るべくして入ることになったゲーム業界

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増田 順一/取締役 開発本部長

--おふたりの簡単な経歴を聞かせてください。
増田 僕はゲームフリークができた当初から所属していて、現代表の田尻(智)とインディーズで『クインティ』というゲームを作っていました。当時はまだ専門学校生で、卒業後は企業でプログラマーとして働いていたのですが、結局ゲームフリークのオフィスに毎日通っていましたね(笑)。そして『クインティ』を発売する時にゲームフリークを会社として立ち上げるという話だったので、当時の仕事を辞めて立ち上げに参加しました。もうお金の問題ではなくて、自分の作りたいものを作ってみたかったのです。単純に「楽しそう」という理由で決断し、親にナイショで会社を辞めて……あとで「辞めたから」と言ったら、相当怒られましたけど(笑)。
海野 自分は大学が教育学部で、もともとは教師になるために勉強をしていました。ただ、趣味として、パソコンで絵を描いたり、スクリプトを打ってみたりしていて。そんな中、友人が働いていたゲーム会社の社長にたまたま絵を見せる機会があって、そしたら「君、明日からグラフィックデザイナーとして働いてくれ」と(笑)。ちょうど就職活動中だったので、「正社員として雇ってくれるなら」という理由でゲーム業界に入ることになりました(笑)。その後、といっても10年以上前の話ですが、縁あってゲームフリークに転職してきた、というところです。

いつも“おもしろさ” にこだわっていたい

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海野 隆雄/開発部 アートディレクター エグゼクティブ マネジメント グループ

--ゲームフリークはどのようなことを見据えているのでしょうか?
増田 技術力の高い個人が集まり、チームになればどんなゲームでも作れる……そんな集団になりたいですね。社員個人の技術の向上に力を入れたいのはもちろんのこと、「いいものを作りたい」という思いと実力がある方なら、積極的に弊社のゲームづくりに関わってきてほしいと思います。ゲームフリークも時代や外部環境に合わせて変化してきた部分は多くありますが、設立当時からの“おもしろさ”にとことんこだわって、泥臭く作る姿勢はじつは変わっていません。そういった部分は活かしつつ、柔軟な姿勢で遊びをつくり続けていきたいですね。ゲームフリークには社員がみずから手を上げてプロジェクトを立ち上げる“ギア・プロジェクト”という制度があるんです。昨年発売された『リズムハンター ハーモナイト』はここから生まれた製品ですが、こういった形で新たなチャレンジは続けていくつもりです。
海野 いまは昔に比べてゲームフリークの会社としての体力がついてきて、専門の技術者も集まってきました。これからは、技術の広さより深さを重要視した人材の集めかたにシフトしていく可能性が高いですね。今後はつねにおもしろいことをやって、ゲームに限らず、“遊びと言ったらゲームフリーク”と言われるようになりたいと思っています。いまは、さまざまな部分で技術基盤を構築している段階で、個人的にもとても楽しいですし、おもしろいと感じてもらえる仕事がたくさんあると思いますよ。

ゲームフリークは本気でチャレンジしたい思いを叶えられる会社

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--転職を考えているクリエイターに向けてアドバイスをお願いします。
増田 技術的にいろいろなことを試してみたい、チャレンジしてみたいことがある、自分のセンスや技術を買ってほしい、こんなモノをつくりたい……そういったさまざまな個人の思いがあると思いますが、それを選考の中でぶつけていくといいのではないかと思いますよ。それはゲームフリーク以外のゲーム会社に対しても同じだと思いますが、弊社の場合は何かやりたいと手を上げた時には、それが叶えられる場所を提供していきたいと考えています。「いいモノを作りたい」と考えている方に、ゲームフリークのことをもっと知ってほしいですね。
海野 自分たちをほめるようで恐縮ですが、組織の中でやりたいことがあるなら、それを実現できるいい会社だと思いますけどね(笑)。それは僕自身が強く実感していて、僕はデザイナーだけど「ディレクターをやりたい!」と言っていたら、ディレクターの役割が来たわけです。転職を考えている方へのアドバイスとしては、「やらないで後悔するよりも、やって後悔」かな。自分が動かないと、何も変わらないでしょう。

いまやゲームフリークの屋台骨を支える即戦力コンビ

--まずは、おふたりの簡単な経歴から教えてください。
大久保 僕は4年ほど前に中途採用で入社して、最初は『ポケットモンスターブラック・ホワイト』で背景の3Dグラフィックスを担当しました。もともとはキャラクターモデラーなのですが、機会があって別のプロジェクトではマップの3Dグラフィックスのチームリーダーもやらせてもらいました。現在はキャラクターモデルチームのリーダーをしています。
梶田 僕も中途入社です。ゲーム業界に入ったのはプレイステーション2が発売されたころで、ゲームフリークに入ったのは2年ほど前です。業界に入ったころからモーション専門のデザイナーとしてやっています。
--おふたりはどうしてゲームフリークで働くことにしたのですか?
大久保 転職しようとした時、つぎの会社を選ぶ基準として、単純に「おもしろいゲームを作っている会社であること」と、考えていました。グラフィックデザイナーですので、グラフィックは仕事としては重要な要素ですが、プレイヤーはグラフィックよりも“おもしろいゲーム”を求めているわけです。だから、そこを重要視している会社に行きたかったんですよね。そこで出会ったのが僕の場合、ゲームフリークでした。
梶田 僕は以前に勤めていた会社で進行中のプロジェクトが中止になりまして……そのタイミングで転職活動を始めました。当時、じつはゲームフリークがモーションデザイナーを募集していると思いませんでしたが、もとから会社として興味はあったのでサイトを見てみたんです。するとちょうど3Dのモーションデザイナーを募集していて……それで自分で応募して、入社に至りました。

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大久保 智彦/開発部 3Dグラフィックデザイナー
2009年に3Dデザイナーとして中途入社、現在はキャラクターモデルのリーダーを務める。
梶田 太/開発部 3Dグラフィックデザイナー
2011年にモーションデザイナーとして中途入社、現在はモーションチームのリーダーを務める。

選考中の印象は……とにかく選考スピードが速い!

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--自分が採用されたいちばんの理由はどこだと思いますか?
大久保 入社後に上司に言われたのは、応募した作品のクオリティーが高かったからだそうです。いま自分が選考する立場になっても、確かに作品のクオリティーはすごく重要ですね。僕の場合は、いままでの仕事上の経験や考え方も当時のゲームフリークとマッチしていたみたいです。それから、一次面接が終わった後、「ありがとうございます!」と頭を下げたら、机に頭を勢いよくぶつけてしまったんです(笑)。いまだにからかわれるのですが、もしかしたらそれが決め手だったかもしれません(笑)。
梶田 自分が応募した時は、“いずれチームをまとめられるようなモーションデザイナー”を要件として募集をしている時期でした。ですので、スキル面と加えて自分のそういった経験も評価してもらえたようです。じつはこの時、選考そのものが2日間で終わったんです(笑)。一次選考が終わった後に「5時間後につぎの選考を受けてもらえませんか」と言われまして(笑)。そして翌日には最終選考を受けて、そこで合格となりました。その意思決定のスピードと、フットワークの軽さには正直驚きました。
大久保 梶田の時はけっこう極端なケースで(笑)。状況に応じて、キチンと時間をかけて選考をする機会もたくさんありますよ。ただ、会社が求めている人材像に、出会った方が完全に一致した場合はスピーディーに動くケースが多いですね。梶田の一次面接は僕が担当したのですが、スキル面とコミュニケーション面の両方をみて、「この人の下で働いてもいいな」と思いました(笑)。
梶田 そうだったんだ(笑)。
--入社してからの印象はどうでしたか?
大久保 僕が過去に働いたことのある会社は各社員が黙々と仕事をしていたのですが、ゲームフリークはみんなとにかく好奇心旺盛で、何かおもしろそうなことがあれば「何? 何?」と集まってくる。“おもしろいこと”に関しては本当に貪欲なんだなと感じました。
梶田 入社初日に挨拶に回って感じたのはフラットな職場環境だということです。その印象は2年経った現在でも変わっていないし、上司・部下、という縦の関係でも、メンバー間という横の関係でも意見が伝わる透明度が高い感じがします。動きやすいというか、本当に意見を言いやすいんです。
大久保 そうですね、やりたいと思ったことに対して会社が理解を示してくれますね。もちろんそのためには実力と実績が必要ですが。
--おふたりは即戦力として採用されたと思いますが、すぐにプロジェクトに参加されたのですか?
大久保 僕は研修後、『ポケットモンスターブラック・ホワイト』のマップに配属されましたよ。当時はまだ人物はドットで描かれていて、3Dは背景やマップのみだったので、キャラクターモデラーとしての強みはいつ発揮できるか考えていたのですが、それは意外にもすぐにやってきました(笑)。
梶田 入社してすぐに『ポケットモンスター X・Y』のプロジェクトに参加することになりました。いきなりバトル部分のモーションをやってくれと言われたのにはビックリしましたね。たしかに興味はありましたし、主張もしましたが、まさか研修期間中に、そんな大事なパートをまかせてもらえるとは思っていませんでした。そういったところもゲームフリークの魅力だと思います。
--今後の夢は?
大久保 いままでのゲームフリークはドット絵をメインに、ゲームフリークならではのタッチやグラフィック表現を構築してきました。しかし『ポケットモンスター X・Y』からはそれが大きく変わってきています。これからゲームフリークのグラフィック表現は新たな境地を迎えるだろうし、自分でそのフォーマットを作っていけたら…と思っています。
梶田 やりたいことが本当にたくさんあるので、ひとつ“夢”と決めるのは難しいところですね。ゲームフリークの3D技術力をさらに高めていきたいですし、『ポケットモンスター』シリーズのさらにコアな部分も関わってみたい。自分自身で新しいゲームも作ってみたいし…。あまり絞らずに、やれることをどんどんやっていきたいです。

じつは3DCGデザイナーが大活躍できる会社

--最後にゲーム業界での転職を考えている方へメッセージをお願いします。
梶田 最近モーションチームに新しいスタッフが入ってきたのですが、話を聞くと、ゲームフリークが3DCGのデザイナーを募集しているとは思わなかったそうなんです。ほかの会社も経験している自分の立場から言うと、そんなことはまったくなく、フル3DCGを使っている他社と同じ環境だと思ってもらって問題ないです。先入観なしに、ぜひ転職先のひとつとして検討してほしいと思います。
大久保 先入観といえば、「3Dデザイナーといえど絵がうまくないと応募できないらしい」というイメージも強いみたいですね。以前はそういう部分もあったかもしれませんが、いまはイラストやモンスターデザインが描けなくても、3Dグラフィックに確かな技術があればまったく問題ありません。『ポケットモンスター』シリーズは2Dのイメージが強いと思いますが、パッと見ると2Dに見えるけれどじつは3Dという、おもしろい表現もしています。
梶田 今回の『ポケットモンスター X・Y』を見てもらえれば……いままでの印象が変わるかもしれません。今後はさらに3Dの技術力を強化していくつもりです。いろんな意味でいまがチャンスなので、転職を考えている人にはぜひ一度、応募してもらいたいですね。お待ちしています。

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ゲームフリークってどんな会社?

 1989年に発売されたファミコン用ソフト『クインティ』を制作し、現在は10月発売予定のニンテンドー3DS用ソフト『ポケットモンスター X・Y』の企画・開発などを行っているゲームフリーク。『ポケットモンスター』シリーズの開発を手がけるほか、2012年9月には、全社員から企画を募る独自の制度から生まれた『リズムハンター ハーモナイト』(ニンテンドー3DS用ダウンロードソフト)が任天堂から発売された。
 日経オフィス賞を受賞したこともある社内は、スタイリッシュで、開発機材も最新のもの。働く環境を整えることで、社員がものづくりへの“こだわり”を十全に発揮できるようにバックアップしている。
<会社概要>
株式会社ゲームフリーク ●従業員数:85名(2013年4月現在) ●事業内容:ゲーム・コンピュータープログラムの研究開発、製造及び販売

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▲幻想的な雰囲気を醸し出す、ゲームフリークのエントランス。右にある地球儀は、ゆっくりと回転している。
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▲半円の机と一面の鏡による会議室“Saturn”。
▲会議室“Venus”は、かわいらしい装飾と色合いが印象的。