初代『バーチャストライカー』、驚きのコンシューマー初移植!

 1994年にアーケードで稼働したセガの3DCGサッカーゲーム『バーチャストライカー』が、プレイステーションネットワークとXBLAで、2013年2月13日にダウンロード配信された。歴代シリーズの原点たる初代作品のコンシューマーへの移植は、なんと今回が初になるというから驚き! はたして、いまプレイしてもイケるのか? 大丈夫なのか? そのプレイインプレッションをお届けする。なお、記事中ではXBLA版を使用しているが、PS3、Xbox 360版ともに内容は同一であることを付け加えさせていただく。

 “MODEL2 COLLECTION”シリーズでダウンロード配信された『バーチャストライカー』。意外だったのが、今回がコンシューマーへの移植が初めてだということ。アーケードからコンシューマーに移植され、ヒットを記録した続編『バーチャストライカー2』、『バーチャストライカー3』の印象が強いせいか、「あれ、以前セガサターンとかで出てなかったっけ?」と錯覚したほどで、改めて手持ちの資料などをさかのぼって確認しても、「あれー?」と微妙な気分。だが、ダウンロードしてゲームを起動した瞬間、当時の記憶がよみがえってきた。
 かつてスポーツゲームファンを魅了した初代『バーチャストライカー』が、自宅で完全再現されるという、この感動。久々に見た画面はやや窮屈な気もしたが、それもコントローラーを握った瞬間に雲散霧消。「いまさら初代?」といぶかっていた人も、スタートボタンを押した瞬間、きっと同じような気持ちになってくれるのではないだろうか。

スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_01
▲画面モードはNORMAL、LARGE、FULLの3つから選択可能。
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_02
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_03
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_04
▲NORMAL
▲LARGE
▲FULL(本来は、4:3サイズモニター向け。出力設定を16:9に変更後“FULL”を選択すると、4:3フル画面でプレイ可能)

 前年(1993年)にリリースされた3D対戦格闘ゲームの金字塔『バーチャファイター』と同じ“バーチャ”シリーズのネーミングを冠していることからもわかるとおり、本作は3DCG(いわゆるポリゴン)で選手が描画される。当時スポーツゲームで3DCGを用いたものは極めて珍しく、ピッチ上に22人の選手が存在するサッカーでそれをやるとなれば、なおさら高度な技術が求められた。
 だが、当時のセガAM2研(『バーチャファイター』など数多くの名作を輩出したセガ社内の開発チーム)は、その難題を克服。いま見ると素朴なグラフィックも、当時は鮮烈かつ強烈なインパクトがあった。ポリゴンで形成された選手たちの力強いモーションは「今後のスポーツゲームは3Dが主流になるのかなぁ」という近未来を予感させるに十分なものがあった。
 『バーチャストライカー』がすばらしかったのは、“技術的なチャレンジ”と“快適な操作性”を両立させたことだ。操作は8方向レバー1本と3つのボタンという、当時のアーケード筐体で無理なく遊べる仕様。ボタンの内訳も、ショートパス、ロングパス、シュートとわかりやすい役割と配置。守備時はショートパスボタンがスライディング、ボールが空中にあるときはパスボタンがショートとロングのヘディング、シュートボタンがダイレクトシュートなど、どれも直感的なものになっている。

スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_05
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_06
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_07
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_08
▲いま見ると素朴なグラフィックだが、当時“選手が全員ポリゴン”というのは強烈なインパクトがあった。誰でもすぐ遊べるという、アーケードらしい快適かつシンプルな操作性も好評を博した。

 さて……『バーチャストライカー』シリーズといえば、“サイドアタック”に言及しないわけにはいかないだろう。各選手をポリゴンで描画しているうえに、アーケードという1試合あたり数分を想定したプレイ時間(オプションで変更可能)。当然、ゲーム内容は現実のサッカーを相当デフォルメしなくてはならない。当時ロケーションによっては乱入対戦プレイが盛んだったため、理想のサッカーうんぬん以前に“絶対的な勝利”を追及した結果、当時のプレイヤー諸氏がたどりついた戦術が“サイドアタック”というわけ。
 タッチライン際を駆け上がったら、とにかくセンタリング。決定率がハンパではなく、基本的には「コレしかない!」といった感じ。ただし、これらは『バーチャストライカー』だけなく、コンシューマーやアーケードのサッカーゲームではよくあったことで、別に“悪”とかそういう印象ではなかった。シリーズではちょっとしたバグ技がトラブルを招くこともあったが、一部例外をのぞけばつねに“アーケードサッカーゲームの頂点”に君臨していたタイトルといえる。

スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_09
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_10
▲サイドアタックがセオリーだが、そこに至るまでのボール運びも重要だ。
▲いまでも全然イケる! “思い出補正”がなくても、シンプルな操作性は極上のスポーツエンタメ!

 選べるチームは、18ヵ国のナショナルチーム。1994年の日本サッカー界は、前年に開幕したJリーグ黎明期の熱量もさることながら、代表戦に対する一般層の注目度が並大抵ではなく、そういった意味では無難なチョイス。各国のフォーメーションが固定されているのは、当時ならではのご愛嬌。選手は個人名こそ表示されないが、当時を知っておられる方々はモデリングを一瞥して「おっ、それっぽい!」と楽しむのもいい。
 一方で「そんな昔話なんて知らんわ!」という若年層の方々には、お手軽に短時間で楽しめるサッカーゲームとしてオススメしたい。近年の超本格化した高密度のリアルなサッカーゲームもいいが、一方でカジュアルに遊びたい時間もあるだろう。そんなとき、本作は文字通り“一服の清涼剤”となってくれる。オンライン通信対戦にも対応しているので、サッカーゲームファンはもちろん、スポーツゲームに興味がある方々は、この機会にぜひチェックしていただきたい。

スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_11
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_12
▲選べるナショナルチームは全部で18ヵ国。1994年は、日本国内でも代表戦が熱く盛り上がった年でもありました。
▲難易度、試合時間、延長戦とPK戦のオンオフが選べる。ちなみに同点終了はゲームオーバー。
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_13
スポーツゲームの名作がコンシューマー初移植! 『バーチャストライカー』プレイインプレッション_14
▲オンラインプレイにも対応。プレイヤーマッチのほかランキングマッチも可能だ。

■筆者紹介:豊臣和孝
フリーライター。ここ10年ほどはWebゲーム媒体メインで執筆中。サッカーは、某県の某クラブを10年以上応援。選手名鑑は毎年「どこを買おうかなー」と気分で物色しております。そんなに選ぶほどないんですけどね。


バーチャストライカー
メーカー セガ
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360
発売日 2013年2月13日(PSN・XBLAでダウンロード配信)
価格 PSN:800円/XBLA:800マイクロソフトポイント
ジャンル スポーツ