16年の時を経て甦る名作フライトアクション
『NiGHTS into dreams...』は、1996年にセガサターンで発売されたフライトアクションゲーム。エリオットとクラリスのふたりは、ある日見た悪夢から逃れようとするうちに、イデアパレスという神殿に監禁されているナイツと出会い、悪夢の世界から侵攻してきたワイズマン率いるナイトメアンたちから、よい夢の世界ナイトピアを救うべく、ナイツとデュアライズ(同化)して夢を創り出す光“イデア”を取り戻す冒険へと飛び出す──というのが本作のストーリーだ。
ナイツはセガ(ソニックチーム)のキャラクターとしては、ソニックと並んで世界的に人気のあるキャラクターと言えるだろう。ほかのゲームにもゲスト出演しているので、本作をプレイしたことがなくても、ナイツのことを知っている人は多いのではないだろうか。
今回、Xbox LIVE アーケードとプレイステーションネットワークでダウンロード配信されたものは、2008年にリリースされたプレイステーション 2への移植版をベースに、グラフィックのHD化が行われている。グラフィック面で大幅に作り直されているわけではないが、当時を知る人のいわゆる”思い出補正”には十分対応していると言ってもいいのではないかと思う。セガサターン版そのままのグラフィックで遊べる「SEGASATURN DREAMS モード」も収録されているので、オリジナルのグラフィックと比較してみるとその違いがよくわかるだろう。もとのデータをいじっていないぶん、操作感などの手触りの部分は当時のイメージそのままだ。ちなみにセガサターン版では、アナログスティック付きのマルコンことマルチコントローラーを別途購入しないと微妙に遊びづらかったのだが(同梱版も発売されていた)、Xbox 360やプレイステーション 3のアナログスティックなら、この点を心配する必要がないのもうれしいところ。
ナイツとなって華麗に空を舞え!
ナイツの目標は、ブルーチップを20個集めることで、4つのイデアをイデアキャプチャーから取り戻し、ボスを倒すこと。3D空間を飛行するフライトアクションだが、スクロール自体は基本的に横スクロールの2Dアクションとなっているのが特徴だ。コース内にはブルーチップのほかに、得点アイテムや通過することで得点が入るリングなどが設置されていて、これらは次項で解説するスコアアタックに影響する。クリアー自体に関係しているのはブルーチップのみなので、無視して進んでしまっても問題はないが、移動ルートの参考になっている。
ナイツは飛行時にボタンを押すことでドリルダッシュを行う。これで敵に体当たりをして倒したり、スピードアップすることが可能。また、飛行時に体から出ているキラキラした光を宙返りして円形に繋げることで“パラループ”を行うことができ、これに巻き込んで敵を倒したり、周囲のアイテムを引き寄せることもできる。これらのアクションを使いこなし、前述のブルーチップを集めていく。独特の浮遊感と相まって、ただ空を飛んでループを行っているだけでも気持ちいいのは、本作ならではの特徴だ。操作の気持ちよさを重視しているのは、さすがソニックチームのタイトルといえるのではないだろうか。
深く楽しむことのできる要素も豊富
本作は、とりあえずクリアーするだけなら、各ボスの倒しかたで一部悩むところはあるかもしれないが、それほど難しくない。ただ、ひと通りクリアーして全ステージを遊べるようになってからのスコアアタックが非常に熱いのだ。前述のリングを連続でくぐったり、アイテムを入手することでLinkがつながっていき、Link数に応じてボーナスが獲得できる。また、ブルーチップを20個集めてイデアを回収した後は、スタート地点のイデアパレスにイデアを納めるまでのあいだ、ステージ上のブルーチップが黄色に変化し、さらに各スコアも2倍になるというボーナスタイムがスタートする。各コースごとに制限時間は固定なので、いかに素早くイデアを獲得して、残り時間ギリギリまでコースを周回していくかがカギとなるのだ。ちなみにタイムアップになると、エリオット/クラリスとナイツの同化が解除されて、それまで稼いだスコアがパーになってしまう。このギリギリのせめぎ合いも熱くなれるポイントだ。また、ボス戦の残りタイムに応じてスコアに倍率がかかるので、ボスを素早く倒せるようにパターンを練るのもおもしろい。
雰囲気重視のゲームだと思われがちだが、実際に遊んでみると、この稼ぎ要素が盛り上がり、プレイスタイルに応じて楽しめる遊びの幅がある点も、16年前のゲームとは思えない。いまでも通用するゲーム性なのではないだろうか。ちなみに今回のXbox LIVE アーケード、プレイステーションネットワーク版は、オンラインランキングに対応しているので、スコアアタックは当時よりも盛り上がること間違いなしだ。
スコア稼ぎだけでなく、世界観を楽しむのも本作での重要なポイント。ステージ中には、敵とは別にナイトピアンというキャラクターが生活(?)しており、ナイトメアンに襲われているところを助ける、パラループで消滅させるなど、彼らに影響を与えることでナイツとナイトピアンの関係が変化。その変化がBGMにも表れるのだ。また、たまにステージ内で発見できる卵を触ることで新たなナイトピアンが誕生したり、ナイトメアをナイトピアンにぶつけることで新種のナイトピアンが生まれたりする。これらはあくまでオマケ要素で、ゲームの攻略やスコアには基本的に影響しないが、意識してプレイしてみるといろいろと新たな発見があるだろう。
ちなみに筆者は、操作が雑なせいかパラループでナイトピアンを消滅させてしまうことが多いのだが、パラループで消滅するときのナイトピアンの叫び声がけっこう怖いので、プレイ中、ビクッとすることが多かった。もうちょっとナイトピアンにはやさしくしたいところだ……。
16年経ったいまでも楽しく、名作の看板に偽りなし!
ナイツというキャラクターの人気や当時の高い評価などは、いまでも語りぐさになっている本作。改めて今回遊んでみても、その楽しさは十分感じ取ることができる。発売から16年のあいだ、さまざまな名作ゲームが世に出てきたが、それらと並んでも遜色のないゲーム性を持ったタイトルだ。世界観にひたってのんびり遊ぶもよし、ハイスコアを目指してやりこむもよし。シンプルに遊んでも深く遊んでもそれぞれによい点があり、当時を知っている人も知らない人も、ぜひ一度プレイしてみていただきたい。
ちなみに、佐々木朋子氏による楽曲の評価も非常に高く、メインテーマの「DREAMS DREAMS」は、耳にしたことのある人も多いのではないだろうか。本作では、サウンドテストで楽曲とBGMを自由に再生することもできるので、「セガサターン版を持っているし……」という人はこれを目当てに購入するのもアリだ。
■著者紹介 黒鉄タカスエ
ファミ通Xbox 360、月刊アルカディアほかで活動中のライター件編集・デザイン屋。久しぶりに「クリスマスドリーム」のエンディングテーマ「DREAMS DREAMS(アカペラVer.)」を聴いたら、感極まってホロリときてしまいました。名曲です。
NiGHTS into dreams...
メーカー | セガ |
---|---|
対応機種 | X360Xbox 360 / PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2012年10月4日(プレイステーション 3)、10月5日(Xbox 360) |
価格 | 1000円[税込](プレイステーション 3)/800マイクロソフトポイント(Xbox 360) |
ジャンル | アクション |
備考 | プレイステーションネットワーク/Xbox LIVE アーケードにてダウンロード配信 |