開発秘話に生アフレコやライブも! 長年のファンに応える感謝祭

「はいだらーっ!」続編も発表された『Z.O.E HDエディション』プレビューイベントリポート(ステージ編)_01
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 2012年5月25日、新宿の映画館バルト9で、『ZONE OF THE ENDERS(ゾーン・オブ・エンダーズ)』のイベント「ZONE OF THE ENDERS HD(はいだら)-NIGHT 宇宙最速~ReBOOT Preview~」が行われた。本稿では、ステージなどイベントの様子についてお伝えする。HDエディションの発売日決定や関連商品の発売、続編プロジェクトの始動など、発表関連については別の記事ですでにご紹介しているので、そちらをご確認いただきたい。

 ADAのアナウンスがあったのち、司会の森一丁に呼び込まれた小島監督による「はいだらぁぁーっ!」のコールアンドレスポンスでイベントは開幕。
 続いてひとりずつ入場した、メカニックデザインを担当した新川洋司氏、 キャラクターデザイン・作画監督の西村誠芳氏、『ZONE OF THE ENDERS Z.O.E』(以下、『Z.O.E』)脚本・ディレクターの岡村憲明氏、同じく『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』(以下、『ANUBIS』)脚本・ディレクターの村田周陽氏らも、ひとりずつ「はいだらー!」を決めていく。その間にも、会社や学校終わりで駆けつけたのだろう人々が足早に駆け込んでくる。みんな待っていたのだ! そしてイベントは、それに値するファン垂涎の内容となった。

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▲上映前には映画泥棒のアイツ……の代わりにADAがお約束をアナウンス。
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▲バルト9では、10階カフェ オアゼで27日まで『Z.O.E HDエディション』の体験コーナーが開かれているほか、原画展示やオリジナルドリンクの販売も行われている。同じく9階の物販コーナーでは関連グッズを販売中だ。ちなみに監督推薦の映画『ドライヴ』をやっているレイトショーの時間はどちらも運営時間外なのでご注意あれ。
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 まずは開発スタッフ陣による開発秘話から。発端は岡村氏がオリジナルタイトルを手掛けたいと手を挙げたことに始まるのだという。最初のアイデアは何と“平安巫女もの”。序盤のシナリオなども執筆したそうだが、ゲームのジャンルは定まらずにプロジェクトが迷走し始める……。
 ここで「何がしたいんや」と小島監督に言われ、「ロボットアニメをやりたい」と言ったことで、かなり『Z.O.E』寄りに。しかし、再びシナリオはでき始めたものの、ゲームとしてのコアが定まらず。さらに仕切り直しをして、新川洋司氏が学生時代に描いていたロボットのラフなどもくわわり、ようやく『Z.O.E』へと向かっていくことになる。
 ちなみに西村氏によると、当初はレオは現在の内向的な性格よりも陽性の少年で、セルヴィスも「こんな女の子女の子した性格じゃなかった」とか。ヴァイオラにいたっては「ドロンジョ様」(西村氏談)的なキャラクターだったというのだから意外だ。

 そしてディレクションが村田氏になった『ANUBIS』のテーマは、“史上最強のオービタルフレームたるアヌビスを倒す”ということ。それを可能とするジェフティにするために、主人公も見るからにタフなディンゴに交代(いわく「繊細なレオ君には荷が重い」)。そしてチームは団結し、スタート画面でボタンを押すとアヌビスが爆発し、つぎはもうエンディング……って、このアイデアは村田氏の冗談。
 『Z.O.E』に『メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティー』の体験版を収録したことで注目を浴びたものの、ゲーム内容に「ん? というところがある」(小島監督)とスッキリしなかったそうで、そこで『メタルギア ソリッド2』の開発を終えていた“一軍”(小島監督)で『Z.O.E』をやってみようじゃないかということになったのだそうだ。
 一方新川氏は、『Z.O.E』&『ANUBIS』でのデザインは「完全に趣味」と発言。現在であれば早くからプロトタイプを作り、周囲と調整しながらデザインを詰めていくところ、『Z.O.E』当時は“趣味”であるがゆえに、たくさんのギミックや装備のアイデアを溜めており、その使い切れなかった部分が『ANUBIS』にも盛り込まれているとのこと。

 また『ANUBIS』では2Dアニメのテイストを3Dグラフィックに取り入れた“Z.O.E シェード”という描画技術も有名だが、西村氏は、『Z.O.E』がキャラクターパートもメカパートもCGだったところ、『ANUBIS』ではキャラクターパートがアニメーションになったため、メカパートもCGよりアニメ寄りに寄せる必要があったとする。“Z.O.Eシェード”が完成するまでは、もっとトゥーンシェーディングっぽいものも含め、何パターンもテストしたそうだ。

 そのほか、質問コーナーでは、さらなる秘密も明かされた。『Z.O.E』がシークレットプロジェクトとして進行していた当初“アトランティス”というコードネームがついていたそうなのだが、これはドリームキャストでの発売を想定していたため、あの渦巻きマークから、主人公の海パンにそんな模様が入っていた海外ドラマ「アトランティスから来た男」を連想した名前だとか。いかにも海外ドラマ・映画が好きな小島監督らしいエピソードだ。一方で、それを聞いた岡村氏が連想したのが“アトランティス号”の方だったというのもおもしろい。かくして『Z.O.E』にアトランティス号が出てくるわけだ。

 また、西村氏と村田氏は、『ANUBIS』のレオが鉢巻きを巻いている理由を明かしていた。西村氏が途中参加でデザインを引き継いだ時には巻いており、これは『Z.O.E』から『ANUBIS』にかけての成長で男らしくなったことを示すという意図があったそう。
 しかし、小島プロダクションで鉢巻き男となれば、もちろんスネークという大きな存在がいる。被りを避けたほうがいいのではということになり、、アリバージョンとナシバージョンのデザインを作って監督に見せたところ、「気合が入っていてよろしい」と選んだのが鉢巻きアリのもの。ただし西村氏いわく、鉢巻きはアニメ的には風になびかせたりして感情表現に役立つそうなのだが、「でもレオはコックピックにずっといるんですよね……結局、男らしさの表現にしか使えませんでしたね」とのこと。

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好きなオービタルフレームがビックバイパーだって!?

 開発トークの次は、井上和彦(ディンゴ役)、鈴村健一(レオ役)、芳野美樹(エイダ役)、雪野五月(ケン・マリネリス役)といった出演声優陣が登場してのトークステージに。もちろん雪野は登場とともに渾身の「はいだらーっ!」。ここでは、さまざまな質問や来場者の回答によるランキングの発表なども交えつつトークが進行した。

 まずは“好きなキャラクター”が発表に。1位はADA、2位はディンゴ、3位はレオ。ここで“好きなディンゴのセリフ”を聞かれた井上は、「覚えてますか?」と尋ねられ、「はいだらぁ……」と力なく返事(?)したものの、「まずは動かさなきゃいけないから「動けぇ!」」、「今度は止めなきゃいけないから「止まれぇ!」」と演じてみせ、最後に「金と力は正しいことに使え」と……違うよ、それはなんか違うよ!
 なお、2位3位コンビに「ディンゴとレオはどちらが好きか」と聞かれた1位の芳野は、「『Z.O.E』の方のヘタレな……(レオ)」と、誰も傷つけないオトナの満点回答。ちなみに、『Z.O.E』のレオは鈴村ではなく下和田ヒロキが演じている。

 続いてのお題は“好きなオービタルフレーム”。1位はジェフティ、2位はアヌビスという貫禄のワンツーフィニッシュで、3位はまさかのビックバイパー。あれ、ヤツはオービタルフレームではなくLEVじゃ……。しかし小島監督が「僕も(そう)つぶやいてしまったので、正解です」と9年ぶりの逆転判決。そうか、そうなのか……。

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 ちなみに雪野には、「はいだらー!」を台本で見た際にどんなことを思ったかという質問が寄せられていた。もちろんわからず、「自分だけ知らない言葉だったらどうしよう」と心配になり、村田氏に聞いたらしい。「ケンのドラマの分岐点じゃないですか、その気持ちをこめてください」と指導した……と語った村田氏だったが、これはどうも嘘らしい。ちなみに西村氏もわからず、絵コンテに“はいだらー!(謎)”と書き込んでいたそうな……。結局謎のままか!

 最後のコーナーは“好きなシーン”。“レオとADAが再会するシーン”、“馬鹿かお前、馬っ鹿じゃねえのか!? またはアホか!?”のくだり、そしてディンゴが皆を率いてアーマーンを倒しに行くシーンの3つが紹介されたのだが、ここで各声優が生アフレコを実演してくれるという、うれしいサプライズ。しかし、「はいだらー!」を混ぜてボケ倒す井上と鈴村に、思わず芳野は吹き出してしまうのだった……。
 ここでは、最後のシーンに対して、直後の荒野の大戦闘シーンがゲーム的にうまくいかないだろうと思っていた小島監督が「よくできていた」と褒め、村田氏が照れるシーンも。

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宇宙は全裸です

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 『Z.O.E HDエディション』の紹介ステージでは、アニメ演出家の近藤信宏氏と演出の山地光人氏が登壇し、HDエディション用に作られた新しいオープニングムービー映像も披露された。小島監督が語るポイントは「ケンがすっぽんぽんで空中を舞っているところ」だそうで、イメージはヤマトの森雪のワープシーン。西村氏も「ケンは裸、ヴァイオラはシャワー(シーン)」を入れるよう指示されたことを明かしたが、後者は入れる場所がなくスルーされたそうな……。
 また、西村氏は当初、暫定的なラフを出して、打ち合わせで詰めていこうと考えていたそうなのだが、山地氏がシリーズに詳しく、西村氏が記憶に任せて間違えたところも指摘するほどのハイクオリティーな仕事を見せたのだとか。氏のおかげでファンも納得の出来になっているそうなので、会場に行けなかった皆さんもお楽しみに。

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▲ブルーレイボックスの発売が決まった『Z.O.E Dolores,i』の特別映像も流れた。大スクリーンにあんなドロレスこんなドロレス!

怒涛の2時間!

 そして発売日発表や続編プロジェクトの始動といった発表が行われたあとは、出演者全員と来場者でのフォトセッションに。もちろん合い言葉は「はいだらー!」だ。小島監督は最後の挨拶として「(シリーズは)僕らの財産だと思うので、新しい作品をなんとか作って行きたいと思います。愛を込めて、はいだらー!」とコメント。その後も小休止を挟んで、第2部としてDJ YOLOと木村真紀によるミニライブまであり、2時間のイベントはようやく終了。もちろん退場後も試遊台や、続編プロジェクト“エンダーズ・プロジェクト”用のデザイン画や立体物などが置かれたスペースに人が集まり、大変なにぎわいだった。

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