大反響を巻き起こしたPCゲームがついにXBLAで登場!
コアなゲーマーなら一度はその名を聞いたことがあるだろうPCゲーム『Minecraft』。海外のインディーズゲームながら大ヒットし、現在では500万本以上を売り上げているんだとか。そんな怪物タイトルが、『Minecraft: Xbox 360 Edition』としてXbox LIVEアーケードにて登場、さっそくプレイしてみた。
本作は、世界のすべてが大きめの立方体で作られているアクションゲーム。ブロックのグラフィックはドット絵テイストで、どことなくレトロな雰囲気が漂っている。この世界で何をするのかと言うと……、じつは明確な目的がない! 自由気ままに世界を構築し、生き抜いていくことを楽しむゲームなのだ。
さまざまなブロックをもとに自分だけの世界を作る
最初に行うのは、新しい世界を作ること。レイアウトはランダムに決定されるが、“世界の種”に数値や文字を入力して特定の世界を作ることもできる。
世界にあるもの、たとえば樹木や地面などは、すべてブロックの集合体として存在している。それらを壊してブロックにし、持ち運んだり別の場所に設置して新しい建築物を作ることが可能だ。
木を叩いて壊し、それを積み重ねて壁や天井を作り、家を建てることが可能。もちろん土や石で作ることもでき、規模を大きくすればお城や塔も作れる。
もうひとつの生産要素が、入手したブロックから新しいアイテムを作り出すことだ。たとえば木のブロックからは4つの“木の板”を作り出せ、木の板が4つあれば“作業台”を作成できる。作業台を利用すれば、さらに多くのアイテムが作り出せる。
とりあえず必要となるのは、採掘に使う道具類。木のツルハシがあれば石を掘り出すことができ、石を入手すれば石のツルハシや鉄鉱石を掘り出せるようになる。鉄鉱石は“かまど”で精錬して、“鉄の延べ棒”にすることができ、鉄の道具類やバケツ、鉄の胸当てなどの材料になる……といった具合だ。
まずは拠点となる自宅を作り上げる!
実際にはどのように遊ぶのか、プレイレポート形式で紹介していこう。開始時には地図しか持っていないため、まずは周囲を探索し、木を取る。道具はないため、素手で殴りまくるのだ。ある程度たまったら、拠点となる家を建てる。さきほどの木を使ってもいいが、家はブロックを大量に使うため、その辺にある土を掘って使ってもいいだろう。出入り口だけは開けておくのを忘れずに。
続いて、作れるアイテムの幅を広げるために作業台を作成。さらに、アイテムを保存できるチェストを複数作っておくといい感じだ。そうそう、ドアも忘れずにね。これでひとまず、冒険の舞台となる拠点は確保できたわけだ。次なる資源である石を入手すべく、木のツルハシを持って岩場に向かう。
周囲をちょっと探索したり地面を掘っていけば、砂漠でもない限りはすぐ石が見つかるはず。ある程度入手したら、家に戻ってかまどを作る。これで、非常に大切なアイテムであるたいまつを作れる下地が整ったわけだ。
かまどでは、燃料とアイテムを入れると、アイテムを熱して精錬することができる。まず作るのは木炭だ。木を燃料に木を燃やせば、しばらくすると木炭が完成する。これと棒を組み合わせると、たいまつを作れるのだ。
この世界は複雑な光源処理が施されており、洞窟や建物内など日光が届かない場所は真っ暗。加えて昼夜が存在するため、夜も暗くなってしまう。明かりを確保するため、たいまつは必需品なのだ。
動物やモンスターも『Minecraft』で生きている!
ここで、この世界の生物についても解説しておこう。世界にはニワトリやブタ、ウシなどさまざまな動物が存在している。たとえばブタを倒すと肉をドロップするので、その肉を食べて体力を回復できる。肉をさきほどのかまどで焼くことも可能だ。
動物は基本的に無害だが、こちらを攻撃してくるモンスターも存在する。スケルトンやクモ、ゾンビなど種類は多くないが、とくに装備が整っていない序盤ではいずれも強敵。本作にはゲームオーバーは存在しないが、敵に倒されると持っているアイテムをその場にばらまいてしまうため、回収しなくてはならなくなるのだ。
モンスターは暗い場所で発生するため、明るくするのは視界を確保するのみならず、モンスター発生を抑制するという意味も兼ねている。その理由からいたるところにたいまつを設置するため、大量に必要となるわけだ。
なかでも気をつけたいのが“クリーパー”という敵。緑色をした細長いヤツで、直接攻撃はしてこないが近づくと自爆する性質を持つ。困ったことに、この爆発によってダメージはおろか、周囲のブロックやアイテムが破壊されてしまう。そう、頑張って作った家がコナゴナになってしまうこともよくあるのだ。
なおヒツジを叩くと落とすウールを材料にベッドを作ることができる。ベッドで寝るとすぐに夜が明けるため、モンスターと遭遇する危険はグッと下がる。また最後に寝た場所が倒されたときのリスタート地点となるため、拠点ごとにベッドを設置していきたい。
新たな素材を求めて、いざ地下世界へ!
道具が調ってきたら、新たな素材を求めて地下へとくり出すことになる。この世界は地下がとても広く、そこでは石炭や鉄、金などさまざまな素材を入手できる。ひとまずの目標は、ダイヤを見つけ出すことだ。だがダイヤがあるのは、溶岩が多く流れる最下層付近のみ。危険と隣り合わせの採掘が待っているのだ。
また地下世界には、まれに天然の洞窟が見つかることも。その場所を探索すること自体が楽しくはあるのだが、洞窟は暗い=モンスターが大量にいるため危険。また迷いやすいため、看板を設置して目印を作るなどの工夫も大切だろう。
基本的にはこのようなことをくり返し、どんどん自分だけの世界を作っていくことが本作の目的であり、魅力に直結している。これまで紹介した以外にもさまざまな作成要素があり、たとえば葉っぱを壊したときに出る苗木は、植えると新たな木を育てられるし、畑を耕して種を植えると小麦を収穫できる。採れた小麦からパンを作ることもできるのだ。
明確な目的がなく、ゲームクリアーの条件もない本作。モンスターがいるためサバイバル要素はあるが、どちらかというとゲームというよりはツールに近いかもしれない。筆者はとくに創造意欲があるタイプではないのだが、それでも自宅を作って改装したり、地下を掘り進んで鉱石を探しつつ自分だけのダンジョンを作るのは、とても楽しく感じられた。
機能的なものを作ってもいいし、自分の好きなもの、たとえばゲームやアニメを題材にした建造物を再現することも可能。この手のクラフトが大好きな人ほど、本作をより楽しめることだろう。
マルチプレイがこれまた想像以上のおもしろさ!
本作のここまでの印象は、好きなものをひとりでコツコツと作り上げるゲーム。じつは本作はマルチプレイにも対応しており、フレンドと一緒に遊ぶことができる。
マルチプレイは、俗に言うクイックマッチは存在せず、自分のワールドにフレンドを呼んで遊ぶか、フレンドのワールドに遊びに行くスタイルとなる。自分が遊びに行く場合は、アイテムを持ち込むことはできず、現地調達となる。またオンラインだけでなく、オフラインでの画面分割プレイにも対応している。
というわけでフレンドとマルチプレイを試してみたのだが、これが想像以上にメチャクチャ楽しかったのだ! あるフレンドと一緒に、べつのフレンドのワールドにお邪魔したのだが、山の上に木造の巨大建築物が完成していた。「何コレすげー!」と騒ぎつつ入ると、どこかで見たような内装が……。じつは彼(フレンドY)は、サウンドノベルの名作『かまいたちの夜』の舞台、ペンション“シュプール”を作っていたのだ!
よう作ったなあ……と思いつつ屋上に上って周囲を見渡すと、何やら近くにダンジョン的なものが。これは『ブランディッシュ』の最初のフロアーじゃないか! そう、このフレンドYは好きなゲームの一部を『Minecraft: Xbox 360 Edition』で再現して楽しんでいたのだ。思いつくのは簡単だが、それを実現する実行力に恐れおののきつつ、本作の奥深さを少し垣間見られた気がした。
さて、彼は地上に建物を作ることに終始していたため、じつは鉄などの素材はさっぱり所持していなかった。というわけで、遊びに行ったフレンドPとともに地下坑道を掘り、いっしょに素材を集めることにしたのだ。
単純な共同作業に思えるが、実際にプレイすると予想外の出来事が多すぎて、とにかく楽しい! 最初は地面に穴を開けて掘り進んでいただけなのだが、ひとりが姿を見せないなーと思っていたら入り口付近を改装し、ダンジョンみたいにしていた。逆に筆者は移動をスムーズにするため段差に階段を設置していったら「知らん間に階段ができてるwwwwww」などと反応された(笑)。
そのまま10時間ぐらいぶっ通しでプレイして、さすがに疲れたので一端解散ということに。後日、またそのワールドを訪れると、シュプールの上にガラスの塔が建てられており、さらにその横には『FF XI』のタルタルのモンクと思わしき像が鎮座していた。いつのまに作ったんだ……!!
仲間と力を合わせて建造物を作る一体感を味わえるばかりか、自分が作ったものに対してリアルタイムに反応が帰ってくるのが想像以上に楽しい。そのため、筆者みたいに創造センスがないプレイヤーでも、段差を階段にしてみるとか、地下にこっそり部屋を作るとか、そのレベルのクラフティングでも最高におもしろいのだ。
初見の映像こそ海外テイストがにじみ出るドット絵のため、とくに日本人はチープなゲームと思いがちだ。だがその中身はまぎれもない傑作で、“何かを作り上げていく”楽しさを存分に味わえる。そのおもしろさはとくにマルチプレイで跳ね上がるため、ぜひとも体験して欲しい。
最後にPC版との比較を。PC版はいわゆる海外産のダウンロードゲームのため、ユーザー登録や購入方法が日本人にとってわかりにくく、プレイするには苦労を伴う。実際、筆者もこれが面倒でPC版は未体験だった。だがXbox 360版は日本で正式に配信された作品のため、購入は(Xbox 360のオンラインユーザーであれば)非常に簡単。すべてがローカライズされており、また親切丁寧なチュートリアルが存在するため、ゲームプレイも理解しやすいのは、非常に大きなメリットだろう。またマルチプレイを手軽に楽しめるのがありがたい。
逆に欠点は、PC版の過去のバージョンをもとに移植されているため、最新版と比較すると一部実装されていない要素があること。『Minecraft』は日々新しい要素が実装され、いまなお進化し続けているゲームのため、このような差が生じているのだ。だが一生このままというわけではなく、Xbox 360版もアップデートを予定しているようなので、また地下を掘り掘りしつつアップデートを待つことにしよう。
著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当するフリーライター。『Minecraft』は気になっていたタイトルだけど、ここまで楽しいとは! つぎは個人的に大好きなPCゲーム『Terraria』の移植を期待してますヨ。