馬車の操作方法などもデモプレイで披露

 現地時間2月29日~3月1日の2日間、アメリカ・サンフランシスコにてXbox 360などの最新作をお披露目する“Spring Showcase 2012”が開催。Xbox 360で人気のRPGシリーズ『Fable』をモチーフにしたKinect対応ゲーム『Fable: The Journey』のプレゼンテーションが行われた。取材陣の前に姿を見せたのは、もちろん、ライオンヘットスタジオの代表、ピーター・モリニュー氏。モリニュー氏は独特のやわらかい語り口調で、『Fable: The Journey』の概要を紹介した。

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『Fable: The Journey』は魔法による攻撃方法が明らかに【Spring Showcase 2012】_02

 取材陣の中のひとりに実際にゲームを遊んでもらい、自身はそのプレイを解説するというスタイルで行われた『Fable: The Journey』のプレゼン。デモプレイに先立って、モリニュー氏は以下の通りコメント。「Kinectを使ったRPGをうまく完成できたと思います。Kinectによって引き起こされる感情移入がとても気に入っています。本作では、新たな要素が随所に盛り込まれています。主人公の少年が成長してヒーローになるという根幹のストーリーはシリーズ作と変わりませんが、今回は馬と馬車を操作することになります」と、本作の大切な操作方法のひとつに“馬車を操作する”という要素があることを明らかにしてくれた。

 実際の馬車の操作は、手綱を握る動作をするだけでよい。緩やかに手綱を振ればゆっくりと、急いで手綱を振れば駆け足で馬はかけることになる。もちろん、ムチを振るうという動作もできる。ただし、ムチを振るい続けると馬のお尻が赤くなるとのことだ。ユーザーライクなのは、一度馬が動き出すと手を降ろしても馬は勝手に走り続けるということ。つまり、ずっと手を上げ続ける必要がないのだ。

 ときに馬は敵に襲われ体に矢を食らうことも……。そんなとき、プレイヤーは安全な場所まで避難して、馬の体に刺さった矢を抜くことになる。そのうえで、馬を治癒するのだ。そうしたアクションのひとつひとつが、Kinectならではと言える。ちなみに、馬に刺さった矢は、ぐいと押しこむこともできるそうで、そんな自由度の高さが『Fable』シリーズならではの魅力と言える。まあ、馬に矢を押し込んでも、馬が疲弊するだけでいいことは何もないと思うが……。

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 と、ここまで来て、「『Fable: The Journey』は馬車を操るゲームなのか?」と思われた方もいるかもしれないが、もちろんそうではない。主人公は馬車で『Fable: The Journey』の世界を移動していくことになるが、RPGと言えば、やはりコンバット(バトル)。モリニュー氏が「大友克洋の『アキラ』などを見ても思うのですが、私は“パワフル”であるということに惹かれます。本作ではマジックがプレイヤーの手中にあり、これを使うことでプレイヤーはパワフルになれるんです」と語るとおり、本作ではマジックで敵を攻撃していくことになる。プレイヤーは画面に現れた敵に向けて手を振りかざすことで、マジックを駆使することになるのだ。さらに、「幸いなことに人間にはふたつの腕があるので、左手でモノを掴んで右手でマジックを駆使することもできます」とモリニュー氏。両手の動きを組み合わせることで、バリエーションに富んだ攻撃方法が可能になるようだ。

 と、ここでちょっとした疑問が。ファンタジーと言えば“剣と魔法の世界”だが、魔法があるとすると、本作における剣での攻撃はどうなるのか? 取材陣の質問に対してモリニュー氏は「いろいろと実験してみたのですが、ゲームプレイの内容が豊富なので、今回は(剣による攻撃は)不要だと考えました」とのこと。さらに、「剣は一度使うと、それがないと感情的に何かが欠けていると感じてしまう欠点があります。マジックは物理的に手に持つものではないので……」と続けた。モリニュー氏の発言を記者なりに分析すると、剣のアクションをKinectの前ですると、実際は手に何も持ってないという“欠けたもの”があることを実感せざるを得なくなるということだろうか。いずれにせよ、RPGから剣の攻撃を取ったのはひとつの大きな決断と言えるが、モリニュー氏のKinectに対する考えをうかがい知ることができる、興味深い判断だ。

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 さて、『Fable: The Journey』では音声認識でも仕掛けが。声でマジックの質を変化させることもできるというのだ。たとえば、興奮した声で叫びながらマジックを仕掛けると肩に力の入った感じのマジックになるが、逆に皮肉なやさしい口調で「あいつには何もわかっていない」などと話しかけながら使うと、より悪意に満ちた攻撃に変化するのだとか。このへんは実際に体験してみないとわかりづらいところかもしれないが、音声で攻撃の質が変わるというのもなんともユニークだ。

 「RPGとしてのすべての要素が入っている」という『Fable: The Journey』。馬車の操作やマジックでの攻撃のほかにも、Kinectによる操作が実装されているのでは……と思われる。同作は2012年発売予定。Kinectの新たな可能性を拓くタイトルとして、大いに期待したい。

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