●豪華ゲストのトークあり、ライブありで大いに盛り上がったイベントの数々

 レベルファイブは、2011年10月15日(土)・16日(日)の両日、東京都のお台場にある東京ビッグサイト 東ホール1にて、同社初の単独プライベートショーとなる“LEVEL5 WORLD 2011”を開催。ここでは、二日目となるステージイベントの模様をまとめてリポートしよう。

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レベルファイブ代表取締役社長/CEO 日野晃博氏

■『ダンボール戦機』スペシャルイベントステージ

 スペシャルステージは、声優陣によるトークショウとライブという、ほかのステージと同様の構成。トークイベントに登場したのは久保田恵さん(山野バン役)、小田久史さん(海道ジン役)、東地宏樹さん(レックス役)。聞き手はレベルファイブ代表取締役社長/CEOの日野晃博氏が務めた。

 まず、トークイベントでは日野氏が、3人のキャストをエピソードを交えて紹介。久保田さんについては、テレビシリーズでは初の主人公ということで、初めての収録ときは、かなりピリピリした雰囲気だったという。バン役の声優はなかなか決まらなかったということだが、久保田さんを起用した理由について日野氏は、「声がクリーン」なことを挙げ、また、レベルファイブが開発したプレイステーション2用ソフト『ダーククラウド』、『ダーククロニクル』でも久保田さんを起用しており、その時の印象も強く残っていたようだ。東地さんは、レベルファイブ作品のほとんどに起用されており、いわば日野氏のお気に入りの声優と言っていいだろう。東地さんが演じるキャラクターは、辛い過去を背負っている同じタイプのキャラクターが多いということだが、演じ分けに関しては物語なども違うため、あまり苦労はなかったという。一方、海道ジンを演じる小田さんは多少苦労があったようだ。「ジンはいままで演じてきたライバルキャラクターのなかでもいちばんクール。自分とはほぼ正反対のキャラクターなので、演じるうえで少し苦労しました」(小田)

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 つぎに、日野氏はあらためて『ダンボール戦機』の物語とタイトルについてどう思ってたかを3人に質問。物語については、ネットでも「子どもに任せ過ぎ」という評判が多いと言うが、これについて日野氏は「子どもに大切なことを任せる」というシナリオが好きだと語った。多少強引だろうが、そういう展開で盛り上げる、子どもにとって夢のある展開が日野流と言えるだろうか。また、タイトルについては、「何がダンボールなの?」(久保田)、「ダンボールを作った人たちのドキュメンタリーかと(笑)」(東地)、「スタッフがこの作品に関してどれほど本気なのかと不安になった(笑)」(小田)と、いずれも最初は微妙な印象だったとコメント。だが、「インパクトはあった」というのは3人共通の意見。日野氏もそれが狙いだったとしながらも、「『LBXプレイヤー バン』だったら印象に残らないですよね」と久保田さんが話を振ると「……それもいいですね。しかも、バンがずっと主人公のシリーズになりますしね」(日野)と返すと、「え!? ずっとバンが主人公じゃないんですか?(笑)」(久保田)といったやり取りも。また、自身が演じるキャラクター以外で気になるキャラクター、という話題では、3人とも仙道ダイキを挙げた。仙道がいつもタロットカードになぞらえた言動をすることがユニークだというのがその理由。テレビアニメでも毎回タロット占いをすればいい、という発言が出ると、会場からも大きな拍手が沸き起こった。

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 大いに盛り上がったトークショウも終了時間がきたということで、最後にはファンに向けてメッセージが発せられた。

東地:『ダンボール戦機』のキャスト、スタッフも息が合っていて楽しい現場になっています。そんな自由で楽しい現場の雰囲気が作品にもいい影響が出て、ファンにも伝わっているのだと思います。これからも期待してください。

小田:ジンというクールなキャラクターに悩んだこともありましたが、好きだと言ってくれるファンも多く、うれしく思っています。

久保田:スタッフ、キャストも一生懸命がんばっています。これからも盛り上げていきますので、よろしくお願いします。

 最後に日野氏は「『ダンボール戦機』はこれからも続いていきます。昨日発表した『ダンボール戦機 ブースト』では第3の主人公機が登場しますが、アニメでは別のLBXが登場します。次のシーズンの新しい展開も決まっていますので期待してください」とアピールしてトークショウは終了した。

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■『ニノ国 白き聖灰の女王』スペシャルステージでは実機を使った紹介も

 ゲーム内にも登場する漫才コンビ“ニコニコプチプチ”のふたりフキゲンの妖精“プッチ”とホホエミの妖精“ニコ”を演じるアメリカザリガニがステージに登場。“ようせい漫才”を実際に披露し、会場は笑いの渦に。また、実機を使ったゲーム紹介も行われた。

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■コスプレイヤーズコンテント

 もっとも会場が湧いたステージがこの“コスプレイヤーズコンテンスト”。日野氏も盛り上がるかどうか不安だったというが、“笑い”という点では審査員として参加したアメリカザリガニのふたりも感心してしまうほど。ステージでは当日コスプレで参加した来場者の中から選抜された17人が登場。審査員の5人がそれぞれイチ押しのコスプレイヤーを選び、5人のコスプレイヤーから栄えあるグランプリが選ばれた。

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▲グランプリに輝いたのは、西園信助のコスプレをした男の子。

■“『イナズマイレブンGO』ファン感謝祭/バージョンB”

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▲期間中、もっとも注目が集まったステージ。観覧できる整理券はすぐになくなった。

 初日にも実施された『イナズマイレブンGO』のファン感謝祭。二日目は2011年12月23日全国ロードショーの映画『劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆 グリフォン』の話題を中心にして開催。ゲストには寺崎裕香さん(松風天馬役)、斎賀みつきさん(神童拓人役)、大原崇(剣城京介役)、北原沙弥香(空野葵役)、そして劇場版の宮尾佳和監督が登場。聞き手はもちろん、日野晃博氏だ。

 まず、宮尾監督は映画のデキについて「前作よりパワーアップしています。期待していただいていいかと思います」と自信のコメント。ボイス収録も終了している声優陣も見どころとして「葵はヒロインらしい活躍します」(北原)と語ると、日野氏が「●●●●的な」と展開が読めそうなコメントをポロリ。すると寺崎さんまでも「でも、天馬が●●るワケじゃない」とトドメのひと言で、会場も爆笑。映画の展開については「収録時、制作途中の映像を観て泣きました。シリーズ史上、いちばん衝撃的な展開です」(寺崎)と語り、「どんな試合の決着になるのかも見どころ」(宮尾監督)と、相当なドラマが待っていることがうかがえるコメント。
 また、主人公である天馬の話題になり、「主人公らしくない」ということがネットなどで話題になっているということは、先日のトークイベントでも触れられたが、本日、日野氏はその理由について次のように述べた。『イナズマイレブンGO』の物語は、天馬以外のキャラクターのドラマが中心で構成されるが、天馬はそのドラマの中心にならない代わりに、つねにそのドラマに絡み、主人公として成長していく構成にあえてしているという。そして最終回では、成長した天馬の行動が試される展開になるというが……その日を期待して待とう。
 最後に公開へ向けての意気込みを聞かれた宮尾監督は「映画の脚本は今年の3月11日に完成したんです。その日以降、どういった気持ちになる映画にしていくべきかも考えて作りました。本作は“心の復興”がテーマになります。ただ、映画自体は難しく考えず、ふだんどおり楽しんでください」とコメント。日野氏は、「映画のラストはテレビアニメ用に用意したものだったんですけど、映画をよりいいものにしようと、映画のラストに持っていきました。そのおかげでテレビアニメのラストを改めて書き直すことになったのですが(笑)。とても元気をもらえる作品になっています」と述べ、晴れ晴れとした表情から、作品への自信がみなぎっている様子が見てとれた。

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▲日野氏(左)と宮尾監督(右)

 トークショウのお次は北原沙弥香さんとT-Pistonz+KMCのライブ。それぞれ2曲ずつが披露された。

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■『機動戦士ガンダムAGE』プレミアムステージ

 テレビ放映も始まったばかりの『機動戦士ガンダムAGE』。本イベントでは、同アニメの小川正和プロデューサー、山口晋監督、メカニックデザインを務める海老川兼武氏が登壇し、ストーリー/シリーズ構成を担当する日野氏の4人でトークセッションを行った。

 トークでは、まずそれぞれの役割から見た『機動戦士ガンダムAGE』が語られた。メカニックデザインについて海老川氏は、「100年という長いスパンの物語なので、メカのデザインコンセプトもガラッと変えないといけない。長い先を見据えながらやっていす。どう変わっていくかの変遷を楽しんでいただければ」とコメント。このメカニックデザインについて、山口監督は「アニメなどではキャラクターがひとり歩きをして物語を広げてくれるというのはよくありますが、本作ではメカが物語を引っ張っていってくれている側面がありますね」。つぎにプロデューサーの立場から見た『機動戦士ガンダムAGE』について、小川プロデューサーは、100年という大河ドラマなので、「設定的に制作する物量がスゴイ」と語る。海老川氏の話にもあったとおり、メカデザインの変遷を見せようとすると、新たに(CGモデリングなど)制作する必要がある。しかも、日野氏は多忙でスケジュールはなかなか厳しいという(それでもいまは小川氏が手掛けた『ガンダム』シリーズのスケジュールではマシなほうだという)。日野氏と監督からはいろいろアイデアが出てくるので、限られた時間でどこまでそのアイデアを盛り込めるか、時間とのせめぎ合いとのこだ。 いろいろ斬新な要素が盛り込まれた『機動戦士ガンダムAGE』についてネットなどで話題になっていることは日野氏も気にしているようで、山口監督は「これも『ガンダム』だ、と開き直って、おもしろいものを作ることに尽きる」と語る。また、山口監督は異星人が敵という点については、「『ガンダム』で異種格闘技戦をやってみたかった」と述べ、「トンデモ系の設定のすべてが日野氏から発信されたものではありません」と、意見が日野さんに集中することについて、お詫びするひと幕も。
 トークセッションの最後には、それぞれに今後の『機動戦士ガンダムAGE』への意気込みが語られた。

「なるべくわかりやすく、スッと入っていける『ガンダム』を目指しています。ほかの『ガンダム』作品と並ぶ作品に育てていきたいと思っています」(小川プロデューサー)

「本作の大きなテーマは“進化”です。予想が付かない展開もあると思いますので、進化の過程を見届けていただけたらと思います」(山口監督)

「本作のメカにはいろいろとギミックなども盛り込んで、楽しんでいただけるメカになっていると思います」(海老川メカデザイナー)

「新しい『ガンダム』であると同時にエンターテイメント作品として楽しめるものを作っているつもりです。アニメ業界の匠の技を見せていただいて、『機動戦士ガンダムAGE』のゲーム作りにも役立つと思います。アウェイ感はありますが(笑)、がんばりたいと思いますのでよろしくお願いします」(ストーリー・シリーズ構成担当:日野氏)

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▲左から小川プロデューサー、山口監督、海老川メカデザイナー。

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▲トークセッションでは、『機動戦士ガンダムAGE』の1話と2話がイベント上映されたほか、栗林みな実によるライブも行われた。