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じつはウメハラのプレイにムカついていた!? プロゲーマー・ボンちゃんRed Bull Kumite 2017インタビュー!

取材:豊泉三兄弟(次男)

公開日時:2017-06-07 20:13:00

 フランスの一大格闘ゲームイベント“Red Bull Kumite 2017”に参戦したレッドブルアスリートのプロゲーマー・ボンちゃん選手。「絶対に勝ちたい大会」と位置付けた同大会には、前週まで3週連続優勝を飾って最高の状態で挑むことができた。しかし、その結果は5位。この結果をどうとらえているのか? ボンちゃん選手に直撃した。

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プロゲーマー・ボンちゃん
2016年はカプコンカップ本戦への出場は惜しくも逃したが、2017年はカプコンプロツアー3連勝を達成するなど好調。ランキングは、カプコンカップ本戦出場圏内をキープ。

――まずはお疲れさまでした。カプコンプロツアー3週連続優勝という最高の形で挑んだRed Bull Kumite 2017。結果は優勝したネモ選手と、ウメハラ選手に負けての5位でした。

ボンちゃん選手 ネモとウメさんに関しては、やっぱり自信がなかったですね。とくにネモは、今回のイベントで絶対に勝ちたいという想いから相当な時間を割いてきたようなので、数少ないナッシュ戦をやり込んでいる人間なんですよ。それに比べて俺は、ユリアンとはあまり対戦できていませんでしたからね。

――ユリアンは強いと言われているキャラクターのひとりですが、対戦する機会が少ないというのは意外でした。

ボンちゃん カプコンプロツアーに使い手がいないんですよ。大会に参加するときは、自分と同じプールにいるキャラクターや、その大会の参加者で自分が勝てなさそうな相手から対策をしていくので、優勝するための練習というよりは、勝ち上がるための練習をしているんです。ユリアンは基本の攻略だけで勝てる程度の人しか当たっていなかったので、当然ネモクラスだとキツイ。

――そう言われると、カプコンプロツアーで勝ち上がってくるユリアンはあまり見たことがないですね。

ボンちゃん ぜんぜんいないです。だからあまり攻略ができていない状態で、相手がトップクラスのプレイヤーだとかなりキツイんですよ。実際にユリアン戦に取り組んだのはRed Bull Kumiteの2日前くらいだったので、満足のいくレベルまで詰められませんでした。

――個人的には「ネモさんかボンちゃんが優勝するのでは?」と見ていました。

ボンちゃん ウメさんがキャラクター的にもネモに対して相性がいいので、「ネモがウメさんに負けて、俺ががんばってウメさんを倒す」というのを優勝するためのビジョンとして持っていたんですけど、まあそうはならなかったですね(笑)。ネモと当たって、やっぱり力負けという内容でしたし、もう一回やっても同じ結果になるでしょうね。

――初戦の相手、RBもユリアンでした。

ボンちゃん RBのユリアンには去年(2016年)負けているんですけど、当時も今回と同じ理由で、ユリアンなんかより春麗を優先していたので、対策不足の恥ずかしい負けかたをしてしまいました。今回シーズン2になってから、RBはバイソンを使っているという話を聞いていたし、バイソンのほうがナッシュとやりやすいので、「当然バイソンを使ってくる」と思って、携帯の対策メモもバイソンページを開いていたら、いきなりユリアン(笑)。
 でも、あの試合に関しては、突っ込むようなところはなかったですね。相手が跳びたいところはしっかり落として、地上ステップに対しては技を置いて止めることができたので、余裕を持って戦えました。

――確かに、1回戦は安心して見ていられましたね。早く2回戦でボンちゃん対ウメハラを観たいという気持ちが先行していました(笑)。

ボンちゃん いや、俺は(ウメさんの試合は)メチャクチャXYZZYを応援していました(笑)。ウメさんが使うガイルは、バーディーにとってキツイ相手なので、「最初はあんな組み合わせ無理だろ」と思っていました。でも、だからこそキツイと思っている側はメチャクチャ対策するんですよ。逆に、楽だと思っている方は対策をしない。そういうことが垣間見える対戦内容でした。
 ソニッククロスをうまく潜ったりとかは、多分ウメさんがやられたことのない行動で、試合の途中に「ちょっと話が違うぞ」と思ったはずなんですよね。ふつうのバーディーだったらEXブルヘッドを駆使して無理矢理近づこうとするんですけど、XYZZYはEXゲージをほとんどクリティカルアーツに回してまとまったダメージを取って倒しきる戦法だったので、EXブルヘッドを警戒して受け身になっているガイルに対して試合を有利に進められた。試合として素晴らしい方法で対策を取っているのが見ていて伝わってきたので、もう俺は完全にXYZZYを応援してましたね。「がんばれー! バーディー!」って(笑)。

――そんなにウメハラさんと当たりたくなかったんですね(笑)。

ボンちゃん 絶対に当たりたくなかったです。大会が始まる前に軽くウメさんと練習したんですけど、前に対戦したときよりも圧倒的にキツかったんですよ。すごく攻めてくるんですよね、いまのウメさんのガイルは。やっぱりガイルって守るキャラというイメージがあって、俺のガイル攻略は相手の守りをいかに崩すかを中心に考えていたから、ウメさん用の対策をしていなかったんですよ。だからいま当たったら嫌だなと思っていたところでXYZZYが勝ち上がってくれて、「よっしゃー! やっぱ持ってるなこの大会!」と思いました(笑)。

――では次のXYZZY選手との試合には自信を持って臨めたんですね。

ボンちゃん いや、メチャメチャ危なかったんですよね。XYZZYが参加することはわかっていたし、対策もヌルいつもりはなかったんです。シーズン2になってからバーディーに負けることが増えていたので、数をこなして大丈夫だと思えるレベルにまで動きを修正していって、自信もかなりあったんですよ。最初は「悪いねー。ガイルの後にナッシュなんてツイてないねー」とニコニコしていたんですけど、いざ試合が始まってみたら「こりゃキツイぞ…」と(笑)。

――壮絶な試合になりました。

ボンちゃん XYZZYはジャンプの使いかたがうまかったんです。通常技で対空するキャラは、バーディーにジャンプ中Pとジャンプ中Kを使い分けられると安定して迎撃できなくなるんですよ。だから、俺も途中から両方のジャンプ攻撃に対応できる“EXソニックサイス”にEXゲージを回さなくちゃいけなくなったので、クリティカルアーツは使えなくなるし、画面端に追い込まれるという、苦しい試合展開が生まれてしまいました。まあ、楽ができないということは、それだけ相手がいいプレイをしているので、対戦自体はおもしろかったですけどね。

――途中、お互いに体力が残り一発圏内になった接戦のラウンドがあったので、見ていてかなりハラハラしました。

ボンちゃん あのときは、相手のしゃがみ弱Pに勝てるしゃがみ中K先端の間合いで触りに行くことを意識していましたね。相手はソニックブームも被弾できない状況だったので、そういった意味ではこちらに分があったんですよ。逆に、ああいう場面で焦って中段攻撃を打つと負けますよね。

――あのラウンドが終わった直後は、“憔悴”しきったような表情に見えました。

ボンちゃん 久々にたかぶりすぎちゃったので、気持ちを落ち着かせるために10秒くらい深呼吸したんです。試合では一回のミスから劣勢に追い込まれることも少なくないので、万全の状態でプレイするために気持ちを切り替えることは大切ですよ。

――それに成功してXYZZY選手に勝利しましたが、つぎのネモさんとの試合で力負けてしまいました。ルーザーズに落ちたつぎの相手は、やりたくないと言っていたウメハラさんでした。どんな気持ちでしたか?

ボンちゃん それまでの試合も見ていたんですけど、もう、ウメさんがメチャメチャ強かったんですよ。ガイルは守りが堅いとか、離れた位置からソニックブームで封殺、みたいなイメージが強い中で、あれだけ前に歩いて打撃で攻めるスタイルは新しいなと思うし、実際に自分がやられて目の当たりにしてみると、すげえ強いんですよね。
 前から「ガイルは攻めキャラだから」とウメさんが言っていても、「そ、そう? 本当にそうなの?」と思っていたし、事実そんなに昔は勝ててはいなかったんですけど、最近はどんどん調子がよくなっていて、今回のRed Bull Kumiteは、ウメさんが見出したガイルの強さが存分に発揮された大会だったと思います。

――実際に大会でウメハラさんのガイルと対戦してみて、どんな印象がありましたか?

ボンちゃん やっぱり強かったですよ。俺も食らいつけてはいたと思うんだけど、最終的には負けてしまいました。いやー、でも、人読みもすごかったんですよね。いくらなんでもこんなに歩かねえだろ」とムカついていましたもん(笑)。
 以前もアメリカの大会でウメさんと当たって負けているんですけど、そのときは対空しづらいジャンプを多用されて、そこから攻め込まれて負けたという印象があったんです。だから、ジャンプに対応できる距離になるまで、間合いを離したかった。そうしたらウメさんがすごい前に歩いてきて、一回投げられたらもう画面端みたいな状況になったりして。そういう試合運びに、劣勢なのは俺だなって試合中ずっと思っていました。相手の図々しい歩きに対して、「ごめんやりすぎたわ」と思わせることができなかったのが敗因でした。

――観戦していて、とても見ごたえのある試合だったと思います。

ボンちゃん ガイルであんな動きをされたらおもしろいですよね(笑)。ふつう、相手にあんな動きをされたら、“舐めプレイ”なのかなと思いそうなんですけど、でも確かに、「歩いてくるその間合いで俺は何もしないよね」と。ウメさんとは付き合いも長いんでね、ここはしょうがないということにしておきました。

――ウメハラさんは昔、『CAPCOM VS. SNK』シリーズでガイルを使っていた時も、攻め攻めでしたよ。みんな下がって戦うのに、ひとりだけ前ステップしてしていた印象がありました(笑)。

ボンちゃん あのころのウメガイルはかっこいいって、みんな言っていますよね。たぶう、そういう経験があるから、ほかのプレイヤーとは違う認識を持ってガイルを使えるんでしょうね。

――ルーザーズでウメハラさんに敗北して、結果は5位となりました。

ボンちゃん そうですね、終わっちゃいましたね。今回、トーナメントの組み合わせであったり、勝ち上がってくる対戦相手だったり、運はあったと思うんですよ。優勝するためのルートは開かれていただけに、自分の力不足を感じさせられました。ただ、ネモに負けたのは久々だったんですよ。

――最近の大会では、ルーザーズに落ちたことすらありませんでしたよね。

ボンちゃん ここ3週で30連勝くらいしていて、ネモ戦が終わった後も「あー、まあ負けちったな」くらいに思ってたんですけど、負けて何かが崩れてから立て直せない脆さがあったかもしれません。「今年の残り試合に勝てなくても、Red Bull Kumiteだけ勝てれば満足」というくらいの感覚だったんですけど、今回の大会でこういう結果になって、改めて対策の重要さを感じましたね。
 ネモ戦は、傍から見ている分には「ネモってこういうプレイヤーだよね」という目線だったんですけど、いざ相手にしてプレイを始めると、「すげく動きが速く見えるんですよ」。それは、相手の行動を予測できていないからであって、動きがすべて後手に回っている状態なんです。こういうときは、俺の経験上よっぽどラッキーなことが重ならない限り勝てないんです。ウメさん戦も同じように、予想外の動きをされて後手に回ってしまいました。勝っている人間は余裕があるから、相手の動きを見て的を絞りやすいはずなので、そういった意味でも、自分の試合に対策不足を感じた敗戦でしたね。

――Red Bull Kumiteでは惜しい結果になってしまいましたが、それまでの連覇でカプコンプロツアーのランキングポイントはかなり獲得できました。

ボンちゃん そうですね、カプコンカップ本戦出場はもう確定したと思います。

――そうなると、今後はどのくらい海外の大会に参加するつもりなのでしょうか?

ボンちゃん 6月はCEO2017とDreamHack Summer 2017というプレミア大会が同日に開催されるんですけど、それには出ないつもりです。もうすぐゲームがバージョンアップして、キャラクター性能やシステムに調整が入るじゃないですか。それに対して今度は新バージョン用の対策を用意しないといけないのですが、準備期間2週間しかないのはキツイなと。ナッシュはパワーで圧倒するタイプのキャラクターではないので、まず対策を詰めないと、それこそ予選プールで敗退なんてことも増えてきます。それをなくすために、1か月間みっちり新しいバージョンでの闘いに備えるつもりです。だからつぎは、7月中旬のEVOを目標として、その調整として7月頭にタイで開かれるプロツアーの大会に出場しようと考えています。

――やはりEVOには万全の態勢で挑みたいと思っているんですね?

ボンちゃん そうですね。2016年のEVOは、キャラをナッシュに替えて間もない時期だったから、「まあいまは勝てねーよな」という状態で臨んでいたんですけど、今年は早くも勝って結果を出せているじゃないですか。それは、俺のゲーム史上でもかなりのきつい年だった2016年を苦しんで得られた物が活きているので、結果につなげたい気持ちが強いですね。

――2016年は本当に苦戦しているように見えました。

ボンちゃん 勝つために新しいキャラを練習しながら海外を飛び回るのは、肉体的にも精神的にもきびしかったです。その分、2017年は早い段階から優勝という形で結果を出せたので、自分が努力してきたことが間違いじゃなかったと実証できて、すごくうれしかったですね。
 3連覇の最初になったイタリアのThe Colosseum Spring 2017は、『ストV』で初めての優勝でもありましたから。旗色が悪いと思える相手にも、無敵技や防御の読み合いで上回っているから勝てた、と思える試合がありました。逆に言うと、対戦相手は「キャラは勝ってるのに何で負けたんだろう」と思う試合があったはずです。だから、そういうところが俺の成長だと思いますし「すごいな、俺」と(笑)。正直、勝てている要因のひとつには、ナッシュ使いが減ったというのが確実にあって、「俺自身ナッシュと当たると面倒くせえな」と思ったりするんですよ。

――ボンちゃんも対策ができていないんですか(笑)。

ボンちゃん 大会で強いナッシュと当たると「ああー、こういう動きをされると嫌だな」というのを久々に味わったんですけど、ただ、それだけじゃ勝てないんでね。最後の最後、Red Bull Kumiteで負けちゃったけど、自分の成長を感じられる、いいスタートを切れたなと満足しています。

――今後の海外大会を見据えるにあたって、最近、北米などで若いプレイヤーの活躍が見られますが、注目の選手はいますか?

ボンちゃん 注目しているのは、北米の若手プレイヤー“Punk”(2017年6月6日現在、世界ランキング1位)ですね。大会では当たってないけど、野試合で結構対戦したことがあるんですけど、彼は間違いなく世界最強ですよ

――そんなに強いんですか。

ボンちゃん 飛び抜けて強いですね。俺が直接対戦した結果はそんなに悪くなくて、「あ、意外と勝てるな」という感覚だったんですけど、ほかの人の試合を見ていると、Punkにしかやれない動きが多いんです。
 ダメージの取りかたとか、コンボ選択だとか、そもそもかりんを使ううえで大事なテクニックである“しゃがみ中Kのヒット確認”の精度が高くて、ふつうのかりん使いだったら相手を倒しきれないような場面でも、Punkだけは倒せる。それこそゲージが満タンだったら体力の半分ですでに致死圏内という状況が、Punkにだけ生まれているんですよ。対戦相手からすれば、もう手を出せなくなりますよね。そういう攻めもすごいし、防御も理にかなった選択をしているので、一見隙がなくて理想に近い動きをつねにしているプレイヤーというイメージがあります。

――プロツアーのランキング上位は、やはり世界最強クラスがそろっているということですね。

ボンちゃん その中でも、Punkが抜けていますね。「日本のトップ層がやってもきびしいんじゃないか」と思います。こんなことは過去になかったことですよ。北米の大会でアメリカのプレイヤーが結果を出したとしても、それはプレイヤーの数が多いからで、「俺は日本が最強だと思ってるし、たとえば上位5人を集めてJAPAN対USAをやったら日本が負けると思ったことはいままでなかったんです」。でも、「Punkが出てきたら全員がやられかねない」というイメージがあります。そのくらい強いですね。そのうえ、Punkのプレイに影響されたほかのアメリカのプレイヤーも強くなっているんですよ。

――アメリカ全体のレベル向上も担っているんですね。

ボンちゃん ここ最近でアメリカのレベルは相当上がっています。だから、現状の総合力で言えば、「日本よりアメリカのほうが強いんじゃないか」と思えるくらい、『ストV』の情勢は変化しています。
 それにアメリカは、今回強いと言われるバイソンの使い手が多く、その使い手のレベルがすごく高いんですよ。日本のバイソンを相手にした対策をアメリカに持っていっても、通用しないことが多々あります。だから、日本のバイソンのふたまわりくらい上のことをやってくるくらいの意識で戦っています。

――バイソン以外に海外で警戒するキャラクターはいますか?

ボンちゃん アメリカはバイソンのほかに、ララとキャミィが圧倒的に多くて、こいつらに勝てないと大会でも勝てないんですよ。でも俺は個人的にもこの3キャラがマジできつくて、アメリカの大会はいつも冷や冷やしています。野試合をしていると「なんとかトップ8まで勝ち上がれたけど、この人たちに当たらなくてよかった」と思うことは結構あります(笑)

――予選プールから油断できないんですね。

ボンちゃん 北米の大会は、最低でも300人~400人は参加者がいるので、予選プールからすでに強いプレイヤーと当たるんです。「第1の矢を凌いでも第2の矢が、予選プールを抜けたつぎの瞬間に第3の矢が飛んでくる」という感じなので、勝ち上がるのがたいへんですよ。ララみたいな相手と連続で当たり続けたら、「絶対どこかで負けるじゃん」と思いますし(笑)。
 だから、アメリカの大会で勝てるのは、そのあたりのキャラをしっかり対策できているハイタニ君とかふ~ど君なのかと。対策もしっかりできているうえで、ハイタニ君はどんなに劣勢でも持ち前の勝負強さで無理矢理読み合いに持ち込んで勝つという総合力の高さを感じますし、ふ~ど君は、もういまのミカであれだけ勝ってるというのはちょっと異常ですよね(笑)。

――フランスに来て、地元のプレイヤーとは対戦しましたか?

ボンちゃん 今回のRed Bull Kumiteではやってないんですけど、この前のイタリアの大会にフランス勢がみんな来てたんですよ。そこでかなり野試合をやりましたね。

――北米ではバイソン使いが多くて強いと聞きましたが、イタリアやフランスではどんなキャラクターが人気ですか?

ボンちゃん ヨーロッパはシーズン1のころからララが多いですね。ララはシーズン2でかなり強化されたので、シーズン1からそのまま使い続けてるようです。ほかには、かりんで強いプレイヤーが増えたと思います。今回のRed Bull Kumiteでは予選3位だったフランスのPakczというかりん使いがめちゃめちゃ強いです。去年から結構対戦していって知っていたのですが、最近かなり実力を伸ばしてる印象があります。ただ、かりんはバーディーがかなりきついので、ルーザーズの決勝でバーディー相手にラシードを出して負けていました。
 バーディーはシーズン2の大会で何か悪さをする注目キャラになってますね(笑)。実際にヨーロッパでいちばんポイントを稼いでるであろうProblem Xというプレイヤーも、シーズン2からバーディーをメインに使っています。バーディーはガイルやナッシュみたいなきつい組み合わせはあるけど、そこら辺の相手に負けなければ大会でも上位に食い込んでくるキャラだと思います。

――カプコンカップ本戦への出場が確定して余裕ができたところで、また日本でオフ会のようなイベントを行う予定はありますか?

ボンちゃん そうなんですよ、プロツアーに行く必要がなくなったので、国内にリソースを割けるようになったんです。オフ会は追加したいですね。まず、広島と沖縄を夏場にやろうと思っています。それ以外の需要を知りたくて意見を募ったときに、東北を希望する声が多かったので、そっちを増やしたいと現状は考えています。まあ、オフ会企画であるBonchan’s Road Tripは来年以降も継続していこうと思っているので、今年行けなかった場所でも今後期待して欲しいですね。

――海外の大会に割いていた時間を、今後どう使っていきたいと考えていますか?

ボンちゃん 6月はじっくりとゲームを練習したいと思っています。1か月間ずっと日本にいる、なんて『ストIV』でプロになってから初めてに近いくらいのことですからね。毎週海外の大会に参加していると、日本に帰ったらつぎの大会の対戦相手の対策を2日間だけやってまた大会に……というくり返しになるので、ゲームがうまくはならないんですよ。実際、シーズン2になって、野試合ではあまり勝てていませんし。

――本当ですか? 大会では結果を出しているので、意外です。

ボンちゃん 現状、大会で勝っているのは相手の対策不足を突けているからですね。強い相手と練習するのがいちばん自分の身になるのに、そいつらと練習すると大会で当たったときに勝てなくなるんです。数をやればやるほど勝率が落ちていく矛盾がメッチャ歯がゆいです。
 ただ、そこを避けてしまうと自分の潜在能力は上がらないから、複雑な気持ちですよね。もともと俺は「そんなことで悩むくらいなら強いキャラを使えよ」と思う派なんですけど、『ストV』はメインキャラを替えると一気に勝てなくなる部分があるので、練習方法に関しても悩みながらやっています。新しいバージョンでは、ナッシュの昔強かった部分がいくらか戻ってくるので、武器として使える選択肢が増えたときに野試合の結果がどうなっていくのか、というのは楽しみな部分です。

――今回、僕もRed Bull Kumiteに記念参加させてもらったんですけど、時差のせいか夜になると眠気がすごくて、いつもこういう環境でプレイしているプロはすごいと身を持って感じました。

ボンちゃん そうですね。だから大会は予定をしっかり押さえておかないといけないんです。Red Bull Kumiteの予選もかなり長い待ち時間があったと思うんですけど、大会の進行具合とか、いつからどの試合をやるか、などを調べて4~6時間くらいの空きがあったら場合、俺は部屋に戻って寝ますね。それで1時間半前くらいに起きて、30分で準備を整えて1時間前に会場に行く、みたいなことが多いです。3時間くらいの中途半端な休憩だと、寝るわけにもいかないからいちばん嫌ですね。(笑)

――食事をとっても眠くなっちゃいますもんね。

ボンちゃん はい。だいたいの人は大会で緊張すると思うんですけど、緊張すると眠くなるんですよ。それとは別に、対戦で集中している間は感じなかった疲労が休憩中にどっと出てくる。肝心な時に眠いと集中力も削がれるので、俺はいつでも眠れるように、睡眠を促すサプリを持っています。それを飲んで寝た気になるだけでもぜんぜん違って、今日は調子いいなって気分になりますし、目を閉じること自体がすごく大事だと思っているので、やっぱり自室でリラックスする時間は重要ですよ。
 だからホテルが会場に近かったり、そもそもホテルが大会の会場だったりするといいですね。海外を回ると、それだけでスケジュールがきつくて疲れが溜まるので、空き時間があるときはとにかく寝ています。今回のRed Bull Kumiteも3日前くらいに現地入りして、ずっと寝ていましたし。豊泉さんはRed Bull Kumiteに出てみて、どうでしたか?

――すごく楽しかったです。プールに強豪のララ使いがいて、この人が壁になるなと、事前にリプレイをチェックしてみたり……。プロってこんな感じで大会に挑んでいるのかな?というのが体験できました。あとは、同じ日にアメリカでやっていた大会“ComboBreaker 2017”にsakoさんが出ていたので、どっちが上に行けるか、なんて話したりもしていました(笑)。大会に出るのはとにかくいい刺激になったので、つぎはEVOに出てみたいですね。それでは最後に、ファンへのメッセージをいただけますか?

ボンちゃん 2017年は好調なスタートを切ることができました。EVOをはじめ、カプコンカップまで大会はまだまだたくさんあるので、スタートダッシュだけではなく、今後も勝ち続けられるように、練習を積んでいきたいと思っています。応援よろしくお願いします!

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Tesm HORIに所属するプロゲーマーで、公式世界大会カプコンカップの初代王者でもある。sako氏のくり出す高難度のコンボはsakoスペシャルとして多くのファンに愛されている。ちなみに、ゲーム自体が超大好きで、格ゲー以外の腕前もプロ級!
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