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発売記念開発スタッフインタビュー!

公開日時:2016-03-01 14:04:00

  ついに発売を迎えた『ストリートファイターV』。今回は、プロデューサーの杉山晃一氏とディレクターの中山貴之氏のおふたりに、開発秘話をうかがったぞ。(※インタビューは週刊ファミ通2016年2月18日発売号に掲載したものです。)

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プロデューサー
杉山晃一氏(写真左、文中は杉山)
 本作のプロデューサー。『ウルトラストリートファイターIV』で初めてプロデューサーを務めた。アシスタントプロデューサーの綾野智章氏とともに、精力的にPR活動をもこなす。

ディレクター
中山貴之氏(写真右、文中は中山)
 本作のディレクターとして、開発現場を統括。以前に行っていたグラフィック業務の経験を活かし、本作のタイトルロゴをデザインするなど、デザイン業務にも携わっている。

格闘家のオーラと、攻撃の軌跡を 組み合わせた“気跡”の表現

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――発売を迎えて、心境はいかがですか?

杉山 ようやく発売された、という気持ちですね。追加キャラクターなどのコンテンツもありますし、開発自体はまだまだ続いていますが、まずは無事に皆さんのお手元に届けられて、ほっとしています。 予定通り、発売時に16キャラクターを実装し、ゲームバランスもしっかり整えられたと思っています。

――お疲れさまでした。 実際の開発期間はどのくらいだったのでしょうか?

杉山 企画段階から数えると、4年くらいですね。当初は、よりリアルな3D表現とゲーム性の両立を模索していて、現在とはまったく異なるゲームでした。

――それはどのような内容だったのでしょうか?

杉山 フックのような横からの攻撃の表現を例に挙げると、横からの攻撃に対しては3D格闘ゲームらしく画面の奥に吹き飛びますが、それでいて操作感は2D格闘ゲームという表現を研究していました。 ただ、 一応の形はできたのですが、これは『ストリートファイター』ではないということになり、 改めて現在の正統進化系へと戻しました。

中山 ビジュアルも、当初からノンフォトリアル(絵の具で書いたようなもの)を意識して作り込んでいましたが、ノンフォトリアルを深く理解するために、 フォトリアル(精密で写真と見紛うリアルなもの)を研究した時期があり、リアル路線のビジュアルを作ってみたこともありました。でも、『ストリートファイター』はリアルな“人”を表現するのではなく、“キャラクター”が動いていることが重要なんです。 フォトリアルを十分に理解したうえで、さまざまな絵のタッチで試行錯誤を重ねました。その中で、“油彩表現”という油絵のような表現に注目したんです。これは、止まっていると絵に見えるのですが、動くと絵と感じさせないという表現で、それを進化させていったのが、本作のビジュアルコンセプト“気跡(きせき)”になります。

杉山 グラフィックの“軌跡”と、 格闘家の“気(オーラ)”を掛け合わせた表現ですね。

''――キャラクターモデルの制作も苦労されたのでしょうか? 発表当初と顔の印象が変わったキ
ャラクターもいる気がします。''

杉山 写真写りが悪いというやつですね(笑)。

中山 確かに、開発初期とは印象が変わったキャラクターもいるかもしれませんが、 じつは、モデル自体はあまり変えていないんですよ。照明の当たりかたによる影響が大きく、 光が強すぎるとモデルの凹凸が消えてしまうんです。それで、のっぺりとした顔に見えていたものを、はっきりと顔立ちがわかるように、光の当たりかたや強さを調整しました。

オンラインに接続すればゲームがどんどん進化していく

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――ストーリーモードには『ストIV』のC.ヴァイパーなど、プレイアブル化されていないキャラクターが登場していて驚かされました。

杉山 本作のストーリーは、過去シリーズの伏線を回収する集大成と考えているので、 いろいろなキャラクターが登場しますよ。本作のメインストーリーは、 今夏無料配信予定の“ゼネラルストーリー”で全貌がわかる仕組みになっています。発売日から遊べるキャラクターストーリーは、各キャラクターが闘う動機や、それぞれの前日譚という位置づけになっており、ゼネラルストーリーを補完する位置づけです。

――今後、 新しいコンテンツが段階的に実装されていくんですね。

杉山 カプコンU.S.A.主催の“カプコンカップ”の開催予定があり、まずは格闘ゲームとして完成させるのが第一のミッションでした。もちろん、ストーリーを楽しみにしている方がいらっしゃるのも認識しています。ですが、そういった方にも、 まずはかつての『ストII』と同じように、ガチャガチャとキャラクターを動かして、友だちと対戦するだけでも楽しい、 ということを体験してもらいたいですね。

中山 アップデートでどんどんコンテンツが追加され、 進化していくので、 まずは格闘ゲームの部分をお楽しみいただければ。

――では、 開発中に印象に残った出来事を教えてください。

中山 PVを新たに公開するたびに、海外のユーザーさんが、それを見て驚いているようなリアクションを撮った動画を、共有サイトに上げてくれるんですよ。自分がコンテを描いたPVも反響が大きくて、そういった動画を見るのが毎回楽しみでした。それが励みにもなっていたくらいです(笑)。 中東で開催されたドバイゲームショーでラシードを発表したら、現地のファンがものすごく喜んでくれたのも印象的でした。しかも、現地ではラシードという名前は、日本で言うところの“太郎”のようにメジャーな名前らしく、「俺の名前もラシードだ!」というファンがいたと思ったら、 あちこちから「俺も!」、「俺も!」という声が上がって盛り上がったのがおもしろかったです(笑)。

――ユーザーの反響は気になりますか?

中山 やっぱり最終的には、遊んでいるユーザー自身がゲームの主人公になってほしいですから。それをサポートするためのイベントや、支援するツールは、今後も提供していきたいです。

簡単そうに見えて奥深いゲーム性の構築

――本作は、 一見するとシンプルですが、 やり込むと、 本当に細かい部分でライバルと差をつけられる作りになっていて、奥深さを感じました。

中山 まずは、パッと見たときに簡単そうじゃないといけないというのがあったんですよ。『ストIV』と違って、通常技が相手との距離によって変化しないようにしたのも、そのひとつです。キャラクターの位置によって、プレイヤーが意図していない技が出ることを避ける意味もあります。 出したい技が出ない、 という事態をなくしたかったんです。

杉山 簡単に遊べそうだけど、 実際にプレイしてみると奥が深い、というのが理想ですね。あとは、攻めるのが楽しいゲームにしたかったということがあります。 どんどん前に出て攻め込んで、 試合展開が速くなれば、 見ている側も楽しめると思うんです。 じつは今回、 通常技に強度の優先順位があり、 ぶつかり合ったときに弱より中、 中より強が勝つようになっています。そうした理由は、ローリスクな弱攻撃だけでけん制するようなプレイスタイルを防ぎたかったんです。それよりは、強攻撃でガツーン! とやったほうが、 プレイしているほうも観ているほうも爽快でしょう。

――では最後に、 本作をプレイしているファンへのメッセージをお願いします。

中山 これからもコンテンツやキャラクターが増えていきます。また、ユーザーの皆さんの意見にはしっかりと目を通していますので、みんなで『ストV』を育てて、 盛り上げていけたらと思っています。

杉山 冒頭でもお話しした通り、 発売して終わりではなく、発売日がスタート地点となります。今後はゲームとリアルがリンクするようなイベントを行ったり、コミュニケーションツールとしても、もっとおもしろくしていきますので、末長く遊んでいただけるとうれしいです。

開発現場の雰囲気は?

 『ストV』のコアスタッフには『ストII』世代が多く、『ストリートファイター』が好きでしかたがない面々が揃っている。 自分たちがファンなので、自分を裏切れないという姿勢で、チーム一丸となって開発に取り組んでいるそうだ。また、休み時間には“俺たちのEVO”なる対戦会でワイワイとプレイしているとか!

A

イーカプコン限定版の特典である春麗のカラーも、旧作ファンであるスタッフの案だ。

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ファミ通ストファイ部

部長:豊泉三兄弟(次男)
週刊ファミ通、ファミ通.comの『ストV』担当編集者。『ストV』国内最速トーナメントで2位に輝き、暫定世界2位を名乗る男。ネカリ、ナッシュあたりを使う予定。
部員:北口徒歩2分
キャミィのような見た目がかわいい女性キャラクターを好んで使う。一応『ストIV』シリーズをプレイしていたが、腕前は微妙。『ウルIV』からのメインキャラクターであるキャミィを継続する予定。
ゲスト部員:HORI/sako
Tesm HORIに所属するプロゲーマーで、公式世界大会カプコンカップの初代王者でもある。sako氏のくり出す高難度のコンボはsakoスペシャルとして多くのファンに愛されている。ちなみに、ゲーム自体が超大好きで、格ゲー以外の腕前もプロ級!
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