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カプコンカップ歴代王者が語る『ストV』の魅力―かずのこ編―

若い世代の台頭が楽しみです

 『ウルトラストリートファイターIV』(以下、『ウルIV』)の公式世界大会、カプコンカップ。その歴代王者である、かずのこ選手、ももち選手、sako選手の3人に『ストV』の魅力を語っていただく企画、カプコンカップ歴代王者が語る『ストV』の魅力。本記事では、かずのこ選手のインタビューをお届けする。(取材:2016年1月中旬、担当:豊泉三兄弟(次男))

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カプコンカップ2015優勝
Team:GODSGARDEN
かずのこ選手
 G-TuneがメインスポンサーTeam:GODSGARDENと契約したプロゲーマー。『ウルIV』ではユンを使用し、キャラクターのやり込みだけではなく、鋭い攻めと大胆な読みを武器に、カプコンカップ2015で見事優勝を果たした。

――まずは、ベータテストで『ストV』をプレイした印象を教えていただけますか?

かずのこ 『ウルIV』に比べるとシンプルな印象がありますね。攻めを継続しづらくなっているので、投げと打撃で相手のガードを崩しにいって、崩せなければ仕切り直しになるといったシンプルな駆け引きになりそうです。

――駆け引きがシンプルになったことで、 闘いはどのように変化するのでしょうか?

かずのこ 攻めがあまり強くないということは、逆転性も少し減ったと思うんです。 攻めのうまさで圧倒するゲームではなくなったので、立ち回りではダメージを取るよりも、取られないほうが重要になりそうですね。

――そのほかに、『ストV』のここに期待している、というものはありますか?

かずのこ 若い世代のプレイヤーの参入に期待しています。現在、トーナメントで活躍する日本人トッププレイヤーの平均年齢は高く、昔から『ストリートファイター』シリーズをやっていた人たちばかりなんです。ですから、もっと新しい世代と戦ってみたいです。

――確かに、シリーズで有名な方々が、 強いプレイヤーとして残っている印象がありますね。

かずのこ 『ストリートファイター』は、立ち回りやサブゲージの使いかたが重要なゲームなのですが、 そういう部分は圧倒的に熟練プレイヤーがうまく、経験の少ない若い世代のプレイヤーでは太刀打ちできない部分があります。だから『ストV』には、そういった差をものともしない、強力な攻めが展開できるキャラクターが登場してくれたらと思います。 たとえば、 ユンのような(笑)。

――(笑)。ちなみに、ベータテストではどのキャラクターを使っていましたか?

かずのこ 最初はリュウや春麗といった『ウルIV』にもいたキャラクターを使ってみたのですが、『ストV』はできることをわざと少なくしているゲームなので、それではあまりいいイメージが湧かなくなってしまうと思いました。それもあって、新キャラクターのネカリをよく使っていましたね。

――新キャラクターの中からネカリを選んだのは、どういった理由からなのでしょうか?

かずのこ ネカリのVトリガーはラウンド終了まで効果が持続するタイプなので、Vトリガーを発動する癖をつけられそうだな、 という理由からです。 実際に使ってみると、 コンボの威力が大きいですし、 技も便利なものが揃っているので、初心者にオススメのキャラクターだと感じました。

――では、ネカリひと筋だったのでしょうか?

かずのこ ネカリを通して『ストV』に慣れてからは、いろいろなことができそうだと思い、ナッシュも試してみました。ナッシュは飛び道具のソニックブームと、相手のジャンプを迎撃する“対空”が強く、 基本の“相手を跳ばせて落とす”闘いかたができるので、 カプコンの格闘ゲームをプレイしている人なら、ナッシュから『ストV』に入るといいと思います。

――カプコンカップに優勝した昨年同様、 今年も積極的に大会に参加するのでしょうか?

かずのこ やる気はあります。 ですが、 まだ発売前で、 自分が自信を持てる戦法が確立されていませんので、 海外を飛び回ってがんばっている様子がイメージできません。まずはいち早くゲームを理解したい、 という段階です。去年の『ウルIV』では、ユンでEX必殺技(スーパーコンボゲージを1ブロック消費して使用する強化版必殺技)にゲージを使わず、確実に大ダメージを奪えるレッドセービングアタック(スーパーコンボゲージを2ブロック、EX時は3ブロック消費する技)を使っていくという戦略を組み立てて実践することで、 いい結果を出せました。 ですから、 今年も同様に、 まずは自分の中で「このゲームはこうやって勝つべきだ」という方向性を固めてから挑みたいです。

――ちなみに、連覇する自信はありますか?

かずのこ さすがに実際にやり込んでみないとわからないですね(笑)。 本当は、 ここで強気に「あります」と言ったほうがいいと思うのですが、 新作で、 まだ勝ちかたも見つけられていないので、難しいところです。

――では逆に、 大きな大会に出場し始めたら、自信がついた証拠とみていいですか?

かずのこ はい。 自分が海外の大会に出場し始めたら、 何がしかの自信がついている状態なんだと思います。 そのときは自分のプレイを見てほしいです。ただ、カプコンカップ本戦がすべてで、 そのほかの大会を下に見るというような考えはありません。 どこのプレミア大会も強豪プレイヤーが集まって、盛り上がるし、レベルが高いじゃないですか。そこで勝つことはものすごくたいへんなことだし、 自分としてはすべての大会に真剣にぶつかっていきたいと考えています。

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ストV』はゲージの使いかたがカギになります

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――『ストV』で追加されたバトルシステムの印象はいかがでしょうか?

かずのこ VスキルとVトリガーはかなりおもしろいと思いました。Vトリガー発動を組み込んだコンボには、 どんな状況からでも逆転できる要素があるんですよ。1ラウンドに1回は、必ずVトリガーを使う機会が来るので、どのタイミングで発動して、どれだけのダメージを取れるか。そして、そのチャンスをどう活かすかが重要になると思います。

――Vトリガーを発動しやすくするために、Vスキルをどう使うかがカギになりそうですね。

かずのこ Vスキルもキャラクターによって性能が違って、 立ち回りで気軽に使える技もあれば、 相手に読まれたら危険なものもある。どんな性能のVスキルを持っているかによって戦術が大きく変わってくるので、プレイヤーの個性が出ておもしろいと思います。 相手によってVスキルの有効性がかなり変わってしまうので、相性が露骨に出そうですね。

――確かに、たとえばナッシュのVスキルは、相手によっては機能しそうにありませんね。

かずのこ はい。ナッシュのVスキルは、飛び道具を持っていないキャラクターに対してはあまり有効ではないですね。 でも、 そういう相手には、ソニックブームを使った立ち回りで圧倒できるので、Vスキルが機能しなくても問題はありません。それにナッシュは、相手の後ろに瞬間移動できるVリバーサルが強いので、そちらにVゲージを使って立ち回りを強化するというのもアリですね。体力でリードしたら画面端まで逃げていって、何か技をガードしたらVリバーサルを発動してまた反対側に逃げるとか、タイムオーバーになりそうな試合でのナッシュは相当強そうですよ(笑)。

――Vゲージの使いかたは、 かなり重要な要素になりそうです。

かずのこ 間違いないですね。Vゲージのストックが2ブロックか3ブロックかも、 大きな要素になりそうです。たとえば、ストックが2ブロックあるバルログは手強そうなイメージがあります。Vトリガーからクリティカルアーツまでつなげることができて、そのVトリガーも発動しやすくて使い勝手がいいとなれば、システムにマッチしていますよね。今後、研究が進めば、2ブロックのキャラクターは、1ラウンドに2回Vトリガーを発動できるようになるかもしれない。そうなると、溜めるまでに時間のかかる3ブロックのキャラクターは不利になる可能性もある。Vゲージは、使用キャラクターを選ぶうえでかなり重要な要素でしょう。

――Vゲージが試合を大きく動かす要素になると考えているんですね。

かずのこ ゲーム性がシンプルだということは、逆に、どうやってほかのプレイヤーと差をつければいいのかが課題になってくるはずです。自分は、そのひとつがVゲージだと考えています。たとえば、相手のVゲージが溜まりそうな状況であれば、 相手は当然Vスキルを使いたがる。それを逆手に取って反撃を狙うなど、 試合が大きく動く可能性が生まれます。 観戦される方も、最初はVゲージに注目するといいかもしれません。Vゲージが溜まることで戦いかたがどう変わるかを見ていると、より試合を楽しめると思います。

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――もうひとつのポイントとなるEXゲージについては、どのように考えていますか?

かずのこ クリティカルアーツが圧倒的に強く作ってあるんですよ。コンボに組み込みやすく、大ダメージを奪える保証があるので、 今回のEXゲージは“絶対に裏切らないもの”というイメージがあります。クリティカルアーツを使うにはEXゲージを3ブロック溜めなくてはならないので、Vゲージと並行してEXゲージを管理することが、勝敗のカギになると思います。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

かずのこ 新しい世代のプレイヤーと戦ってみたいという気持ちが強いので、 若い世代のプレイヤーの挑戦を待っています!

――sakoさんたちからすると、 かずのこさんも十分若い気がしますが(笑)。

かずのこ (笑)。なぜ新しい世代のプレイヤーと戦いたいかというと、刺激ですね。自分が『ストIV』を始めたのは、世界的プロゲーマーであるウメハラさんのような有名プレイヤーが大勢いる『ストIV』でいちばんになったら、格闘ゲームで世界一強いプレイヤーになれるというイメージがあったからです。そこから勝つこと自体がおもしろくなって、ゲームを最後まで楽しめました。でも、カプコンカップで優勝して、その目的を達成してしまったいまは、モチベーションを維持することが難しくなっています。そういう意味でも、新しい世代のプレイヤーと戦って刺激を得たいですね。 自分も、『ウルIV』と同じくトップにいられるようにがんばるので、新しい挑戦者が来るのを待っています。


■カプコンカップとは?
 カプコンカップはカプコンU.S.A.が主催する公式世界大会。2013年12月に第1回が開催された。このときの競技種目は、『スーパーストリートファイターIV AE』Ver.2012、『アルティメット マーヴル VS カプコン3』、『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』の3タイトル。第2回のカプコンカップ2014は、競技種目を『ウルトラストリートファイターIV』に絞って開催された。 第3回のカプコンカップ2015は、 競技種目こそ第2回と同じ『ウルトラストリートファイターIV』ながら、賞金総額約6000万円、優勝賞金約1500万円という対戦格闘ゲーム大会史上最高額の賞金が用意され、決勝大会出場枠も過去最大の32名に増設されて行われた。 そして、 第4回となるカプコンカップ2016も同様の賞金額が設定されており、競技種目を『ストリートファイターV』に変えて行うことが、すでに公式発表されている。

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ファミ通ストファイ部

部長:豊泉三兄弟(次男)
週刊ファミ通、ファミ通.comの『ストV』担当編集者。『ストV』国内最速トーナメントで2位に輝き、暫定世界2位を名乗る男。ネカリ、ナッシュあたりを使う予定。
部員:北口徒歩2分
キャミィのような見た目がかわいい女性キャラクターを好んで使う。一応『ストIV』シリーズをプレイしていたが、腕前は微妙。『ウルIV』からのメインキャラクターであるキャミィを継続する予定。
ゲスト部員:HORI/sako
Tesm HORIに所属するプロゲーマーで、公式世界大会カプコンカップの初代王者でもある。sako氏のくり出す高難度のコンボはsakoスペシャルとして多くのファンに愛されている。ちなみに、ゲーム自体が超大好きで、格ゲー以外の腕前もプロ級!
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