『パズドラクロス』に豪華作曲陣が集結!! 貴重な座談会で開発秘話が明らかに

公開日時:2016-07-21 12:00:00

●『パズドラクロス』は音楽もスゴいんです

 『パズドラクロス 神の章/龍の章』の大きな魅力のひとつが、豪華クリエイターによる魅力的なBGMの数々。スマホ版『パズドラ』のBGMでもおなじみの伊藤賢治氏を始め、古代祐三氏、山岡晃氏が楽曲を提供し、“本格RPG”ならではの壮大な世界観を音楽面からも盛り上げている。今回はそんな豪華作曲陣に加え、サウンドディレクターである尾崎景吾氏、『パズドラ』シリーズプロデューサーを務める山本大介氏による座談会を実施! 『パズドラクロス』サウンドの開発秘話を直撃した。
(このインタビューは、週刊ファミ通2016年7月28日号(2016年7月14日発売)に掲載したものです)

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▲伊藤賢治氏(文中は伊藤)
“イトケン”の愛称で知られる作曲家。“イトケン節”と呼ばれる、氏独特の音楽がファンに人気。本作では、おもにバトルの曲全般を担当している。

▲古代祐三氏(文中は古代)
株式会社エインシャント代表取締役社長にして、現在も第一線で活躍するベテランゲーム作曲家。本作では、おもにフィールドの曲を手掛ける。

▲山岡晃氏(文中は山岡)
珠玉のホラーアドベンチャー『サイレントヒル』シリーズの音楽などで、高い評価を得ている作曲家。本作では、キャラクターのテーマなどを担当。

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▲山本大介氏(文中は山本)
パズドラ』シリーズのプロデューサー。スマホアプリの業界に一大ブームを巻き起こし、いまなお勢いのある名作『パズドラ』を生み出したキーマン。

▲尾崎景吾氏(文中は尾崎)
ガンホー・オンライン・エンターテイメント所属。本作では、サウンドディレクターとして曲全体をまとめ上げたほか、細かい部分も担当。

●超アツい合作曲も!? それぞれが担当したシーンに注目

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――今回は、すごく豪華なメンバーが揃っていますが、最初にこの面々に曲を依頼することになった経緯についてお聞かせください。
山本 スマホ版『パズドラ』や『パズドラZ』(以下、『Z』)では、イトケン(伊藤賢治)さんにずっと曲を書いていただいていたので、今回もイトケンさんに最初にお願いしました。ただ、本作はかなりボリュームのあるRPGとして作ることになっていたので、おひとりだと負担が多すぎるということもあり、ほかの方にもお声がけさせていただくことになりました。
伊藤 実際、曲作りの最中に、何度かエクトプラズムが出そうになりましたから(笑)。
山本 イトケンさんは、発注時は「いけそうです!」と言われるんですけれど、いざスタートすると、毎回死にそうになっていますよね。
一同 (笑)。
山本 ガンホーでは、プロデューサーには、曲を依頼するときに好きな人にお願いできるという特権があるんです。とくに今回は、ファンタジー寄りの世界観なので、『イース』シリーズや『アクトレイザー』を始め、僕の中で「ファンタジーと言えばこの人!」と思っていた古代さんにご連絡したところ、ご快諾いただけたんです。山岡さんに関しても、同じガンホーグループ(※1)なので、どこかでいっしょに仕事をしたいと思っていたんですよ。それで、これを機にウチの森下(※2)に「山岡さんにも曲の制作を頼んでいいですか?」と聞いてみたら、「空いてるんだったらいいんじゃない?」と返答をもらったので、オーダーをさせていただいた結果、豪華な面子が揃うことになりました。

※1:山岡晃氏はガンホーグループのグラスホッパー・マニファクチュアに所属している。
※2:森下一喜氏。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の代表取締役社長CEOエグゼクティブプロデューサー。

――皆さんで合作した曲などはありますか?
山本 本当の意味での合作はラスボスの曲です。あとは、メインテーマですね。今回、合作では、けっこう変わった取り組みをしているんですよ。まずイトケンさんに作曲していただいて、イトケンテイスト全開になった曲のアレンジを古代さんにお願いしました。そうすると古代さんの色も出てきて、よりいい感じになってきたところで、山岡さんにギターを弾いてもらう、という。この3つの力が合わさって、最高の曲ができあがりました。
伊藤 今回、いろいろな制約を取っ払った曲を作ったら、古代さんのアレンジも含めて、かなりいい曲に仕上がってきたんです。「これはもう、完全にお任せしてもいいや」みたいな感じで、いい意味での気楽さがありましたね。「こんなにすごい方々が手掛けてくれているんだから、安心でしょ!」みたいな(笑)。
古代 イトケンさんは、ほぼフリーパスでしたね。ひとつだけ言われたのは、ラスボス曲に効果音を付け足してほしいというくらいで。

――効果音とは、どういうものですか?
古代 演出的な効果音ですね。ラスボスらしいサウンドを、ということで。たとえば、サビ前で盛り上がるときに、ただの楽器音ではなく、ちょっとしたエフェクト音を入れて、より効果的な感じを出したり。このへん、ネタバレになるのであまり言えないです(笑)。

――気になりますね。これは、何としても最後まで遊ばないと! つぎに、各々が担当した曲のシーンについてお聞かせください。
伊藤 バトル全般です。今回は王道のRPGということもあり、新しくやりたい要素は、尾崎さんにシチュエーションを確認しながら作っていきました。先ほどお話ししたラストバトルは、オーケストラ的なものも『パズドラ』でやってみようかという提案をしたら、許可が出たので、『パズドラ』はこういう路線もありなんだという、新たな発見がありましたね。
古代 私は戦闘曲もいくつか手掛けましたが、おもにフィールドの曲がメインですね。これまで、けっこういろいろなRPGの曲をやらせていただいているのですが、そのどれとも被らない路線であることは間違いないです。今回は、幅広い層を意識して、徹底的にわかりやすいメロディーを作っていきました。
山岡 僕はキャラクターのテーマと、オープニングをやらせていただきました。ふだん僕が作っている音楽は、大人向けというか、外国の方々が遊ぶエッジの利いたゲームのものが多いんですけれど、今回は、ちょっと違うテイストで、自分の身近な甥っ子や友だちの子どもが遊ぶ姿を想像しながら作っていったんです。いままでになかなかやったことのない音楽作りにチャレンジしましたね。

――尾崎さんはサウンドディレクターとして、曲全体の調整をされたんですか?
尾崎 そうですね。基本的にはお三方がお話しされた通りで、イトケンさんにバトルというかパズルシーンの曲を、古代さんには世界を作っていただくということでフィールドや街を担当してもらいました。山岡さんのほうには、キャラクター劇というか、イベントシーンの曲を中心に作っていただきました。そして、メニューの曲と、ジングルや効果音といった部分を、僕のほうで担当したんです。

――ちなみに、尾崎さんは、いままでにどのようなタイトルを手掛けられたのでしょう?
尾崎 『グランディア3』や『プロジェクト シルフィード』などですね。あとは『ラグナロク オデッセイ エース』だったり、スマホ版の『パズドラ』も少し手伝ったりしています。

――豪華作曲陣の曲をまとめて、細かい調整をしていくのは、やはりたいへんでしたか?
尾崎 そうですね。とはいえクオリティーは何の心配もいらなかったので、僕は皆さんが無理せず、それぞれの持ち味を出せるようなオーダーを心掛けてやってきたつもりです。
山岡 そうは言っても、尾崎さんがいちばんたいへんだったと思いますよ。この3人をまとめるのって、すごいことですよ(笑)。
尾崎 いい経験になりました。
山本 曲が上がってきたときに、ふだんなら僕が最初に聴けるんですけれど、今回はまずサウンドディレクターである尾崎が聞く。ということで、若干悔しい思いをしました(笑)。でも、すごく楽しい開発でしたね。

●曲作りに注ぎ込んだこだわりと想い

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――曲作りで苦労された点はありますか?
伊藤 そうですね、『パズドラ』に限らず、何かしら煮詰まったりすることはあります。ただ今回は、役割がハッキリ分かれていたのと、尾崎さんのディレクションがすばらしかったので、そういう意味で安心感はありました。曲を作る際はシチュエーションから含めて、同じメロディーでも「ギターばかりだと飽きるから、ここはストリングスで。ここでギターソロを!」みたいに、いろいろなバリエーションを尾崎さんに相談しましたね。
尾崎 フィールドの話ですと、古代さんから、「生音を入れたほうがいい」という提案をいただいたことがありました。『Z』までは、基本は打ち込みで曲を作っていたんですけれど。
古代 それには、もちろん理由がありまして。今回は、担当を分けて3人で制作しましたが、みんなそれぞれ、曲作りに使うソフトが異なるので、曲全体で聴いたときに、カラーが違いすぎてしまう恐れがあったんです。ただ、そこに共通の生楽器を入れることでクッションになるんじゃないかなー、と思いまして。それで尾崎さんに相談してみたんですよ。
尾崎 結果的に、生音を入れてみたら、すごくいい仕上がりになりました。キャラクターのテーマを担当していただいた山岡さんの曲に関しては、そのままでもなじみがよかったので、そのままで。イトケンさんの曲は、もうフレーズを聴いただけで一発でイトケンだとわかるテイストと言いますか、“らしさ”がすごく出ていたのが印象的です。
伊藤 まるでキワモノですね。自分ではミスターオーソドックスだと思っているのに(笑)。
一同 (笑)。

――名曲揃いの予感ですが、本作の楽曲の聴きどころはズバリどこになりますか?
山本 これはもう、全部と言いたいですね。今回は相当いいですよ。やりきった感があるというか。曲数も、『Z』の倍以上ありますし。

――わかりました。最後に、皆さんから、ファンの方に向けてメッセージをお願いします。
伊藤 古代さん、山岡さんが入られたことによって、『パズドラ』の音楽に新しい血のようなものが流れ始めたと思います。まずは、ゲームを遊んでいただいて、世界観をじっくり味わっていただけたらと思います。
古代 山本さんも先ほどおっしゃっていましたが、曲は本当にいいですし、とにかく豪華な感じになったと思います。ニンテンドー3DSの音量を最大にしていただいて、曲の細かな音をじっくり聴きながら、プレイしてもらえるとうれしいです。
山岡 僕らがこれまで培ってきた音楽作りというものが、『パズドラクロス』に全部入っています。「『パズドラクロス』は僕らに任せてください!」みたいなセリフを、自信を持って言えますよ! 納得のいくゲームプレイを体験できるのではないかなと思います。
尾崎 いままでの『パズドラ』の音楽を踏襲しつつも、新しい音楽が提案できたと思います。ぜひ最後まで遊んで、お三方が合作した渾身のラスボス曲を聴いてみてください。
山本 これだけクオリティーの高い曲が揃ったゲームは、そうそうないと思います。僕は開発中に幸せな気分を満喫したので、ゲームを楽しみに待ってくれている方々にも、この気持ちを味わってもらいたいですね!

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『パズドラクロス 神の章/龍の章』

メーカー:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:冒険パズルRPG
発売日:2016年7月28日予定
価格:パッケージ版 各4800円[税抜]ダウンロード版 各4074円[税抜]

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